橋本龍太郎の発言 (予算委員会)
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○橋本内閣総理大臣 三月の一日、二日と開かれましたタイのバンコクにおけるASEMの会合、これは私は、従来から、アジアと欧州の首脳が初めて対等の立場で一堂に会して議論をする、それが対立点なく終わるだけでも成功、そしてその意義ありということを申し上げてまいりました。そして、事実、非常に友好的であり、建設的な対話が行われたという意味で、非常によい会合だったと思っております。
そして、本来これでかざしておりました目的というものは、この両地域の相互理解、そして相互利益の増進、そして対話と協力を通じて、冷戦終結後の新たな国際的な枠組みの中に、両地域が手を携えて、ある場合はそれぞれに貢献していくということでこれを開いたわけであります。
率直に申しまして、この会合が開かれるまではさまざまな懸念がございました。しかし、非常に建設的な対話が交わされまして、次回の会合は九八年に英国において、また三回目の会合は二〇〇〇年に韓国において開催されるという合意も生まれまして、大変いい終わり方をしたと思っております。
当然のことながら、我が国は、アジア側の一員という立場でこの会合に臨み、同時に、このASEMのプロセスが継続性を持って発展していくことを考えながら、幾つか具体的な提案をこの中に盛り込んでまいりました。
例えば、経済関係閣僚会議を日本が開催をすること、あるいは経済的相乗効果についてこれを研究しようというようなこと、あるいはビジネス会議の開催、またシンクタンク間のネットワーク化でありますとか、ダボス会議のミニ版のような青年交流計画をつくってはどうか。ほかにも幾つかございます、例えば関税当局における協力、こうしたものが一通り全部受けとめられたという点では、私は、この会議は非常に大きな役を果たしたと考えてまいりました。
ただ、昨年、APECの議長国という立場で、非公式首脳会合におきまして、日本は、二十一世紀におけるアジアの驚異的と言われる経済発展の制約要因の中に、人口の急増、これを受けての食糧安全保障、さらにエネルギーの消費の拡大に対しての対応策、そしてそのエネルギーの使用の増大の中での環境保護問題、こうした視点を打ち出しまして、そしてこの考え方をASEMの席上においても提起をいたしましたが、必ずしもヨーロッパ側の関心を引き切れなかったといううらみは残っておりまして、今後、こうした方面に向けて、アジア側として対応していく必要があろうかと思います。
次に、中国との会談の中における核の問題というもの、これにつきましては、私の方から、実験の停止を当然のことながら改めて訴えました。そして、これに対して中国側は、中国の核実験というものは限られた回数のものであるといった従来からの主張を繰り返すと同時に、全面核実験禁止条約が妥結して発効すれば核実験を停止するという言い方をいたしました。
今回の会談の中では、核の傘云々という議論は中国側から提起をされておりません。その上で、我が国としての立場を申し上げるならば、我が国は、従来から、核兵器のない世界というものを目指しながら、核実験の禁止を初めとする現実的な核軍縮措置を一歩一歩積み重ねていくことが非常に大事だ、そういう立場に立ってまいりました。これは、国際社会の平和の維持におきまして、核兵器というものを含めた軍事力というものが依然として重要な役割を果たしている、その現実を否定することはできませんし、殊に、我が国の安全というものが核を含みます米国の軍事力による抑止力に依存している、こうしたことも十分認識をした上で、我々は核兵器のない世界の実現のために、現実的な核軍縮措置を着実に実行していくことが一番効果的だと考えておるわけであります。
そして、その限りにおきまして、我々は従来からも、我が国がその安全をアメリカの核抑止力に依存していることと、我々が核兵器のない世界を目指して現実的な核軍縮措置を着実に実施し推進する、その過程において核実験の中止を求めることは、何ら矛盾することではないという立場をとってまいりました。もし今回もそのような議論が出たとすれば、私は同じようなことを申し上げたと思います。