池尾和人の発言 (予算委員会公聴会)

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○池尾公述人 今前田先生の御質問の中にもありましたように、数字的なことについては、大学の研究者という立場で誠実に言うとすれば、これはわからないとしか言いようがなく、責任を持った発言はできません。それ以上の特別な数字等が私に入手できるわけではありませんので、数字的には大蔵省が公表している以上の情報を持っているわけではありませんので、それ以上のことは責任を持っては発言できません。
 ただし、私は、不良債権問題への取り組みというのは、ある意味で危機管理だというふうに思っておりまして、マクロ的な危機管理政策であるというふうに位置づけるべきだというふうに考えております。
 そうしますと、その不良債権問題に対する対策が危機管理であるとしますと、危機管理のABCといいますか、もう改めて言うまでもないことですが、危機管理のその第一の基本原則として、最悪の事態を想定して行動するということが必要だというふうになるかと思います。
 危機管理を行うに際して、楽観的な展望に立ってそれを行うというのは最悪の対応であるということでありまして、不良債権問題に関しても、大蔵省が公表している三十八兆円余りの数字をそのまま前提にして対応を考えるというのは、危機管理としてはやはり不十分であろう。危機管理としては、より深刻な事態を想定した上で対策、制度整備を進めるべきではないか。その結果思っていたよりも実際の不良債権問題が深刻でなければ、それは結果としてよかったということであって、最初から良好な事態を予定して、例えば経済動向に関しましても資産価格の動きに関しましても、資産価格は上がるんだとか、景気はこれから絶対によくなるんだとかいうふうな都合のいい経済のシナリオを前提にして対策を考えるということは、危機管理としてはやってはいけないことである。そういう意味で、公表されている数字よりも事態が数倍深刻であったとしても、それに対応できるだけの制度というものをつくっていくということが必要ではないかというふうに私は考えております。
 その際に、繰り返しになりますが、日本の金融制度は本当に、グローバルスタンダードから見ますと古臭い、時代おくれの制度になっているということであります。それは、細々としたところから全体の制度の骨格についても共通して言えることでありまして、それを現代的なものに直していくということを不良債権問題の処理とあわせて進めていくのが本当の意味での根本的な対策ではないのだろうかというのが私の考えであります。

発言情報

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発言者: 池尾和人

speaker_id: 12787

日付: 1996-02-23

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会