田中明彦の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)
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○参考人(田中明彦君) 東京大学の田中明彦です。本日はアジア・太平洋に関する小委員会にお招きいただきましてどうもありがとうございます。私は、日中関係と台湾海峡情勢ということで私見を述べさせていただきたいというふうに思っています。
まず第一に、台湾の総統選挙と今回の台湾海峡危機の意味をどういうふうに考えるかということについて申し述べさせていただきたいと思います。
今回の選挙とこの一連の危機にはいろんな意味があったと思うんですね。その中で、私は四つほど申し上げたいというふうに思います。
まず第一は、今回、李登輝総統が五四%の支持を集めて当選なさったということは、アジアにおける民主化の進展ということを非常にシンボライズする出来事だったというふうに思っています。これは台湾の方がよくおっしゃるわけですが、今回の選挙は中国五千年の歴史の中で初めて民主的な指導者選出が行われた例であるというふうにおっしゃっているんですね。
御承知のように、台湾では一九八〇年代の後半以降から権威主義体制から徐々に離脱が始まって民主化の方向が進んできましたけれども、台湾の民主化の特徴の一つは、韓国などと違いまして、かなりゆっくりと民主化をするというやり方です。韓国の場合は一気に憲法を改正して大統領を選ぶという形にしましたけれども、台湾の場合はエスニックな問題、本省人と外省人と言いますけれども、とりわけ台湾に日本統治以前から住んでいられた中国人とそれから中国内戦の後に台湾に渡ってこられた外省人の方の間の対立ということもあってかなりゆっくりしていたわけですが、今度の総統選挙で台湾の民主化のプロセスがほぼ仕上がった、議員だけでなくて大統領も国民の手で選ぶということができた、こういう意味があると思います。これは、台湾における民主化の動きの仕上げであるということに加えて、アジアにおける民主化がまた一段と進んだと、そういう意味もあると思います。
つまり、かつてでありますと、アジアでは民主主義なんというのはなかなか難しいんだというような意見が非常に強かったわけで、日本とインド、あとスリランカもそうですけれども、そのぐらいしか民主主義的だと言われる国はなかったわけですが、これが八〇年代後半からいろんな国で民主化が進んだ。台湾のようないろんな事情を抱えている、エスニックな問題も抱えているところで民主化が進んだ、これは大変大きな意味があるというふうに思います。ですから、アジアにおける民主化の進展ということが第一ですね。
第二には、その選挙を挟んで行われた中国の軍事演習とかミサイル試験、これを通して明らかになったことですけれども、この東アジアにおいてはまだまだかなり軍事緊張の可能性があることを示したという意味があると思います。
細かく申し上げませんけれども、昨年の李登輝訪米以来、台湾海峡を挟んで中国が行った軍事演習はたびたびあるわけですし、ミサイル実験もあった。昨年の十二月、台湾の立法院の選挙の際にも軍事演習がありました。これに反応するようにアメリカも警戒して、去年の十二月には、報道によればそのときもニミッツという空母が台湾海峡を通ったと言われています。今度の三月初めから以後は、報道されているとおり、ミサイル試験とそれからかなり大規模な軍事演習を行うということがあったわけです。これも報道されているわけですけれども、我が国でも三月の十二日とか十三日のあたりには沿岸の小さい島が占領されるんじゃないかというようなことを懸念する観測もあったというふうに聞いています。
私は、中国の指導者の意図からすると、ここで軍事衝突をするあるいは武力行使をするというような意図はなかったと思っていますけれども、ただこれだけ緊張が高まりますと、だれかが間違いを犯すと大変な軍事衝突になるという可能性があったことは間違いないと思うんですね。今回の場合は幸いなことにだれも決定的な誤りは犯さなかったということなんだと思います。歴史的に振り返って見れば、台湾海峡を挟んでこれだけ緊張が高まったのは一九五八年以来であるというふうに言っていいと思います。
ただ、台湾海峡危機の意味はこれだけではなくて、第三番目に私は、そういう軍事緊張にもかかわらず、やはり台湾と大陸との間には大変密接な経済的相互依存の関係が深まっているということを今回の事態は示したと思います。
先ほど朱先生から、台湾から中国への貿易の量とか直接投資の量の御紹介がありましたけれども、貿易も直接投資もともに大変伸展しているわけで、ですから大陸にとっても台湾にとってもどちらにとってもいつまでもこの台湾海峡において緊張を高めておくというコストは大変高い。
ですから、関係改善は大変難しいわけですけれども、それにもかかわらず、今回選挙が終わってみると、出てきている報道の中には、大陸においても台湾においても関係改善を進めなければいけないというシグナルがかなり出されています。もちろんこれで直ちに関係改善ができるというものじゃないと私は思いますけれども、これだけ緊張があったにもかかわらず関係改善のシグナルが出てくるということは、そこには大陸と台湾の間の両岸関係の非常に深く進行しつつある経済的相互依存関係があるというふうに見なきゃいけないと思います。
ただ、そうはいいましても、四番目に、今回の一連の事態を理解するときに重要なことは、これが古典的な国際関係ではないということですね。通常、軍事緊張といいますと主権国家と主権国家の間での軍事緊張が高まる、そういうモデルを想定するわけですけれども、今回起こったことは全く古典的でない、非古典的な国際関係の典型であります。
両方の政府とも中国は一つだと言っているわけです。実際にはどちらにも政府、領土、軍隊があるわけです。それにもかかわらず、中国共産党も中国は一つだと言うし、中国国民党の公式な政策は中国は一つだと言っています。台湾の中にもちろんそこから離脱して独立したいという声があるのは間違いありませんけれども、オフィシャルな関係においてはどちらも中国は一つだと。
しかしながら、実態を見れば、そこに一つの国家が存在しているというふうには言えないわけですね。ですから、ある種のフィクションがここに働いているわけで、このフィクションをもとにしたシンボルをめぐった争いというのが非常に強く出ているということです。
この場合の二つの関係は、南北朝鮮とはかなり違うわけです。南北朝鮮の場合はどちらも承認する国を認めているわけですね。今で言えば、中国は北朝鮮も承認していますし、韓国も承認しているわけです。ただ、この台湾海峡両岸関係の特徴は、中国は台湾を承認した国とみずから外交関係を決して持とうとしないわけです。ですから、この関係というのは通常の国際関係における二つのパワーの間の衝突というのとやはり複雑に異なる面を持っているというふうに言えると思います。
ただ、実際には経済面、文化面、スポーツなどの面で徐々に台湾はいわゆる普通の国になりつつあるわけですが、やはり最後のところで中国にとってこれだけは受け入れられないというものが残っていると。やはり余り古典的と言えない。中国にとって受け入れがたいのは、台湾が独立と言葉で言うことと、それから首脳がアメリカとか日本のような重要な国を訪問することなんだと思います。
ですから、この台湾海峡情勢を見ていて日本人が学ぶべきことは、そういう非常に複雑な、通常のノーマルな国際関係とは見えない関係が我が国のすぐ南方に存在する。もともとのゆえんをたどればその歴史的背景に日本は関係していないわけじゃなくて、もちろん非常に関係しているところに日本がこの問題に対処するときの難しさがあると思います。
さて、以上のような観察をした上で、それでは今の段階で日本にとっての台湾あるいは台湾海峡というのはどんな意味があるのかということについて、少し私見をまた述べさせていただきたいと思います。三つに分けて考えたいんですが、第一は政治的な意味、第二は経済的な意味、第三は戦略的な意味です。
政治的な意味から考えますと、台湾は日本にとってみると中国の一部であります。日本は中国と一九七二年に国交正常化をしたときに共同声明で「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。」というふうに言っていますし、その後で「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」と言った後、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」というふうに言っているわけであります。
この「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」というのは、その前のカイロ宣言で台湾が中国に返還されるべしというふうに書いてあることは遵守されなきゃいけないとポツダム宣言に書いてある。ですから、これを理解するということは、つまり日本はサンフランシスコ講和条約で台湾を放棄したわけですけれども、その行き先について見ると、中国が言っているとおり、中国の不可分の一部であるということをほぼ認めたという、そういう書き方になっているわけです。
さらに、一九七八年に日中平和友好条約を両国間で結んでいますが、第一条で「両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。」というふうに規定してありますから、日中平和友好条約によれば両国ともお互いの内政に干渉してはいけないということになっているわけです。
ですから、政治的な意味でいえば、台湾について日本はこれを中国の一部だと認め、中国が一つであるという見解を認め、これが内政の問題だとすれば日中平和友好条約によって日本がこれに干渉することはできないという立場になると思います。ですから、このような法的な考え方からいけば、この台湾の問題について日本国として言えることは、この両岸の問題は中国人の間の問題でありますというふうに言うしかないわけです。
ただ、日本国民として多分言えることは、後でもう少し述べますけれども、台湾海峡をめぐって武力行使が起こるというようなことは、日本にとって利害が全く関係ないわけではない、つまり地理的に近接しているという意味からいって武力行使が起こるということは日本の利害にも関係する。ですから平和的に解決してほしい。それからまた、もう少し一般的な国際法の考え方からいえば、内政問題であってもこれの解決に武力あるいは武力の威嚇を用いるということは一般的に言って望ましくない。ですから、その面での日本が中国に対して、内政問題であっても武力の威嚇、武力を使うということは望ましくないという意見の表明をすることは直ちに内政干渉になるわけではないというふうに思います。
日中平和友好条約は内政についてはもちろん決めていませんけれども、日中平和友好条約でも日中両国とも国連憲章の精神にのっとってお互いの間の紛争を解決するのに武力を使ったり武力の威嚇を使ったりはしないというふうにお互い言っているわけですから、これは直ちに台湾問題に適用できませんけれども、現在の国際社会の一般的な流れからして、国内問題であっても武力の行使や武力の威嚇は望ましくないということを言うのは私はそれほどおかしくないと思います。以上が政治的意味であります。
第二の経済的意味については、私は台湾は日本にとって非常に重要な貿易相生地域であるということをやはり確認しなければいけないというふうに思います。中国市場の重要性は最近ますます重要視されておりますし、これは全く当然なことであります。
ただ、一九九五年の統計だけで考えてみますと、例えば日本が一九九五年、去年中国に輸出したのは大体二兆円であります。台湾に対して行った日本の輸出は二兆七千億であります。ですから、中国市場は大変巨大ではありますけれども、額だけから見ますと九五年は台湾に輸出した方が七千億円だけ多いわけであります。ちなみに、韓国への輸出というのはやはり台湾と同じぐらいありまして二兆九千億ぐらいでありますから、輸出市場として見ると中国は去年は台湾や韓国よりも少ないということが言えると思います。
輸入先ということになりますと、中国からは去年は三兆三千八百億円輸入していまして、中国は日本に対してかなりの貿易黒字を持つ国です。これに対して台湾は、日本に対して一兆六千億の輸出をしています。ですから、台湾に対しては日本は貿易黒字、韓国に対してもそうだというようなことになっております。ちなみにアメリカと比べてみますと、日本は最近アメリカへの輸出が大変減っていますけれども、それでも昨年十一兆円売っております。ですから、アメリカ市場は中国と比べると五倍の意味があるということが言えるかと思います。そのようなことを考えますと、台湾との経済的な実務関係を維持するというのは、これは日本にとって非常に重要な意味を持つ、日本の国益であるということだろうと思います。
ちょっと数字をいじくってみますとなかなかおもしろいんですけれども、そうやって中国と台湾を分けてみますとそういうことになるんですが、例えば中国と台湾と香港を全部足してみるとどのぐらいになるかといいますと、日本は中国、台湾、香港を全部足した地域に対して七兆三千七百億円ぐらい売っているんです。この七兆三千七百億というのはどのぐらいと比較できるかというと、ASEANに対して売っているのが七兆二千三百八十億です。それからEUに対して売っている分が六兆六千億ぐらいです。ですから、もし中国と台湾と香港とを合わせると、これはアメリカには及ばないけれどもASEANとかEUと大体並ぶぐらいの地域であるということであります。ということは何を意味するかといいますと、台湾海峡の平和ということがこの日本にとってみると非常に今や大きくなりつつある市場を確保する上で重要だということだと思います。
ですから、中国と台湾を分けてみますと台湾の方がちょっと多いわけですが、これを足してみると日本にとって今非常に重要な地域になっている。ですから、経済的な意味で言っても台湾海峡が不安定になるということは、日本の経済的利益にとって大変問題があるということが言えると思います。
最後に戦略的な意味であります。
これは、端的に言いますと、台湾海峡における中国の軍事力が日本にとって脅威になるかどうかという話だと思います。現在のところ、台湾海峡の部分で軍事演習した中国軍、それからミサイル演習した中国軍の能力それ自体が直ちに日本にとって脅威になるかといえば、私はそうではないというふうに言えると思います。確かに中国がミサイルを台湾近海まで飛ばすことができるということは日本の沖縄県にも飛ばすことができるということを意味するわけですから、それ自体なかなか不安を持つ面もあると思うんですが、これは特に今になって明らかになったわけじゃなくて、かつてからずっとそうです。それにもかかわらず、中国が今のところ、今の中国の軍事力で日本に脅威を与えるということは考えられない。
ただ、この台湾海峡の問題が中国にとって厄介なことは、これを中国は内政だというふうに言っているわけですけれども、もし台湾を容易に占領できるような軍事力を中国が持つに至ったとすれば、これは必ずしも内政で済む問題ではないというふうに私は思うわけです。というのは、今の中国軍には台湾を容易に占領する能力は私はないのではないかというふうに思っているんですが、台湾を圧倒するような、台湾を武力でもって容易に占領できる能力を中国が仮に持つようなことがあったとすれば、台湾は島でありまして、日本の沖縄県と大して離れていないわけですから、そうしますと中国軍は渡洋上陸能力を持つということになります。
ですから、内政問題であるというふうに言って準備された軍事力であっても、周りの国からしてみればそれ自体大変不安なものに感じるということはあり得るわけであります。ですから、日本にとっての台湾の戦略的意味というのは、つまり台湾海峡において中国が台湾を圧倒するような武力を持つというのは望ましくないということになるというふうに思います。
ただ、さらに難しいのは、それでは中国が圧倒的な能力を持たないようにするために台湾は対抗上どんどん軍拡すればいいかというと、これも日本にとっては実は望ましくない。つまり、台湾と大陸の間で軍拡競争がどんどん始まっていくということは、軍拡競争自体は直ちに戦争につながりませんけれども、大規模軍事演習というようなことがたびたび行われて、その間で間違いが起こるということは大規模な軍事衝突が起こる可能性が増すわけですから、これ自体大変望ましくないと、そういうような意味を持つものです。
最後に、そういうような台湾のことのいろいろな意味合いを考えた上で、さらに先ほどの近い過去の台湾海峡の危機の意味づけを考えた上で、日中関係、中国との関係の展望をどんなふうにして見たらいいかというようなことについて私の考えを述べさせていただきたいと思います。
まず第一に、中国をどんな国だというふうにとらえたらいいか、あるいはここまでの一連の経験を通じてどんな国だととらえ直したらいいかということであります。
一九七九年、日中平和友好条約を結んだ後に日本は中国に対して政府開発援助を供与するということを決めました。このときの当時の日本の政府、大平内閣ですけれども、が考えたことは、私の理解する限りでは、安定し西側に友好的な中国というものを形成していくことは日本の利益である、だからこういう姿勢を示す、安定して西側に友好的な中国を支えるような政府開発援助を進めていくことは日本の利益につながる、だからこれを行うんだということだったと思います。
安定し西側に友好的な中国というその位置づけは、冷戦が終わったことで若干変化しました。つまり、冷戦が終わったことで東側というものがほぼ存在しなくなりましたから、その反対現象として西側というものの意味もあいまいになった。ですから、現在恐らく日本人にとってかなり受け入れやすい、望ましい中国像というのは、安定してアジア太平洋の平和、世界平和に貢献するような中国、これが日本の利益になる、そういう考え方なんじゃないかと思います。
それでは、安定しアジア太平洋の平和、世界平和に貢献する中国というものがどうやったらもたらされるかというと、そこで考えなきゃいけないのは、先ほど朱先生のお話にもあったんですけれども、中国がどうもかなり古典的と言うべきか十九世紀的と言うべきか、そういう国際政治観を依然として保持している。
先ほどの朱先生のお話で、江沢民さんは軍から無理やり押されて嫌々ながら台湾政策で強硬策をとったんではない、そうではなくてこれは江沢民さんの路線だというふうにおっしゃったと思うんです。私もこの分析は正しいと思うんですね。ですから、私は軍事演習というのは武力による威嚇だと思いますが、この武力による威嚇は中国指導部が嫌々ながらとったというよりは、台湾の内部に対してその台湾に住む人々の考え方を変えるために計算して行った威嚇戦略だというふうに思います。
先ほど朱先生がおっしゃいましたように、一つの考え方からすれば、中国にとって十二月の立法院選挙よりも独立支持派が減り統一派がふえたということは、まさに中国の武力威嚇がある程度台湾の人々に効果を与えたというふうに解釈できないわけでもないわけです。
ですから、これがもし中国が望んだことだとすれば、中国という国の現在の指導者の中にはよその国、台湾は国じゃないわけですから必ずしもそうは言えませんけれども、国際関係において相手方の意向を変えさせるために武力ないし武力の威嚇を使うということもためらうわけではないというその現象がここに出ているんだと思います。
他方、中国はそうやって武力の威嚇はしましたけれども、朱先生もおっしゃいましたけれども、これでもって現状を次から次へと変えていってやろうと思っているわけではなくて、どちらかというと現在の経済的相互依存が中国の国家の未来にとっての利益だという認識もある。この微妙な二つのところが今の中国をとらえる上で重要な点だと思います。
最後に、それでは日本が中国に対してどういう方針をとったらいいかということについて、全くの私見でありますけれども簡単に五つほどの点を述べさせていただきます。
第一は、日本は民主主義国家ですから、政府が国民の価値を体現した発言をするのは当然なことであります。ですから、日中関係について日本側が中国にとって望ましくないことがあったとすれば、これははっきりと発言するのは当然だろうと思います。第二に、しかしながら中国の置かれた事情その他、それから現在中国が特に日本にとって脅威でない、そういうことから考えますと、全面対決に至るようなことは避けなければいけない。
三番目に、そのための具体的な方策として見ると、私は日中関係を単に二国間の関係であるというふうにとらえるのではなくて、アジア太平洋あるいは世界全体のさまざまな多角的な枠組みの中に取り込んで、その多角的な枠組みを支える価値観のもとで日中関係の動きを調整するという方針が必要だと思います。
それから第四番目に、中国との関係を調整する場合、やはり諸外国、とりわけ同盟国アメリカとの協調ということを慎重に図っていかなければいけない。この場合、特に中国に対して脅威をあおるような必要はありませんけれども、日米間でさまざまな事態について対応できるような協議その他を行っておく必要がある。
最後に五番目に、そういうようないろいろなことはあっても中国はやはり日本にとって非常に重要な隣国であって、基本はやはり私は日中友好というか中国との友好関係は日本の国益にとって非常に重要だということを常々イメージすることだというふうに考えております。
具体的な話もあるかと思いますけれども、とりあえず私の話はこの辺で終わらせていただきたいと思います。