エズラ・F・ヴォーゲルの発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(エズラ・F・ヴォーゲル君) 質問は非常に難しいけれども、まず経済と民主主義の発展の関係のことですね。
アジア全体で経済発展の前に民主主義の国は多分インドとフィリピン、その二つであったと思いますけれども、その後の各国は大体経済の発展を最初にやって、経済の発展の後でどんどん民主主義になって、それはでこぼこがない簡単な成長ではない。例えば日本の場合ですと、明治時代からの経済の発展とともに、大正時代はどんどん民主主義が強くなって、それから三〇年代はまた軍国主義が強くなって、それから戦後はまた平和、民主主義が続いたわけですね。ですから、簡単に民主主義の成長だけではなくて、でこぼこがある。ですから、五年以内に必ず民主主義がふえると言えないけれども、三十年、四十年間を見たら必ずふえると思います。
大体の人は今の中国を見て、経済は変化したけれども政治が変化していないという見方があるんですけれども、私はそれは正しくないと思います。七九年から今までの政治の変化は物すごく大きいと。私は、七九年以来毎年中国を訪ねていくんです。毎年の変化は物すごく大きい。私が七三年、最初に中国に行ったとき、僕は中国語もできるけれども、道で中国人にもし僕が質問したら、僕の顔を見て逃げてしまうんですね。八〇年もそうだった。八二、三年ごろから少しとまって、簡単な質問なら答えますけれども、余り長く話をしない。八四、五年になるとゆっくり話す機会がどんどん出てきて、今は中国で物すごくおもしろい話ができる。アメリカへ留学した中国の学生も中国へ戻ってきて、今驚くほど話の幅がどんどん広くなっていると。中国の雑誌の言っている幅も物すごく変わってきているんですね。
それから、中国の農村、今選挙をやっているんですが、あれをアメリカの新聞はほとんど載せていないんですね。今、アメリカの世論が、天安門事件以来中国はだめだと。だからそういう情報は余り出てこないけれども、実際に中国の農村の選挙は今物すごく幅広いところでやっている。農村の場合ですと、例えば三人の候補者があって、みんな共産党はいいと思うけれども、ただ一人を任命するのと三人の中で選挙するのとでは気持ちが全然違ってくるんですね。例えば、村長はもし国民と関係がよくないとやっぱり続かないと。ですから、彼と国民の関係は随分変わってくると思う。
ですから、世論の幅と雑誌の幅、話し方とかそれから選挙、それからNPC、全国人民代表大会も、例えば十年前は投票するとみんな一緒だったんですね。だけど、今は例えば三〇%か二〇%しか賛成できないと。日本ほど民主主義の国ではないけれども、そういう変化はすごく大きいと思うんです。ですから、五年以内にはふえると言えないけれども、二十年、三十年たつと必ずふえる、それは間違いないと私ははっきり言えると思う。
それから沿海と内陸の比較なんですが、沿海の発達だけではなくて、内陸の発達も非常に速いんですね。沿海のある省では二割ぐらい伸びるんですね、毎年。内陸で例えば六%しか伸びない省もかなりあるんですけれども、やはり変化は物すごく大きいんですね、内陸でも。ですから、沿海と内陸の衝突まではいかないんじゃないかというのが私の判断です。