保岡興治の発言 (金融問題等に関する特別委員会)

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○衆議院議員(保岡興治君) この間の総括質疑のときも関根委員の御質問でお答えもしましたけれども、とにかく今最高裁から説明があったように、住専を初め大量な不良債権が山積みになってきていて、住専については処理スキームをつくって徹底的に処理に当たろうとしているわけですが、結局、処理をするためには最後の手段である競売というものがきちっと行われる、的確、迅速に実行できるということが決め手になるわけです。
 ところが、今の状況では、説明があったようになかなか競売手続が進まない、あるいは売れない、売れたとしても安い。こういう非常に困難な状況の中で、おっしゃるように暴力団がそういう温床に巣くっている。
 これは、バブルの発生のときから地上げなどでいろいろ暴力団が関係して、バブルの時代に不当な利益をそこで上げたということもよく言われているんですが、バブルの結果生まれた大量債権を温床にさらに妨害行為をいろいろして、そこで不当な活動をして利益なども得ている。これをきちっとしないことには、住専の処理もうまくいかない、大量の不良債権の処理もできない、こういうことで我々いろいろ議論をして、与党の住専処理対策会議でプロジェクトチームをつくりまして検討いたしました。その結果、やはり今の法には明らかに欠点があるという結論に達しました。その欠点を補うために民事執行法の改正がぜひ必要である、そういう結論に達しましたので、実は今般の改正案を議員提案させていただいた次第でございます。
 どういう内容かといいますと、現行の民事執行法では、五十五条において競売のために保全処分をする道を与えているわけです。また七十七条において、今度は競売の結果競落した者に対して妨害の排除等をして引き渡しを求める、こういった保全処分の制度があるわけです。
 ところが、こういった妨害排除のための保全処分が現行法では債務者、所有者に限定されておりまして、妨害の態様として頻発している、急増している暴力団等の占有屋と言われる第三者が占有をしている場合には、相手方にできない。これは解釈で、例えば占有補助者という概念を持ち込んで、債務者と何らかの関与があるとか、あるいは妨害目的があるとか、そういう要件を立証すれば占有補助者として債務者あるいは所有者とみなして、そうして相手方として妨害を排除するといういろいろ苦労もしているんです、裁判所では。
 しかし、それも解釈が裁判所によっていろいろまちまちであったり、なかんずく債務者が逃げていなくなったり、あるいはおどかされて何も言わないとか、あるいは結託をして、そうして債権の回収を妨害する。その場合は、もっともらしい賃借権の主張をしてみたり、使用貸借の理由を挙げてみたり、いろんなことをしてなかなか明け渡さない。
 こういった者を的確に排除するためには、やはり保全処分の対象を拡大して、従来の所有者と債務者から、第三者というんですか、占有者にも拡大する必要がある。したがって、今般の改正はその拡大をしたというのがポイントの一つであります。
 それからもう一つは、よく債務者がいなくなってしまって夜逃げをしてしまう。そんな後に競売の申し立てをするのでございますが、そういうときには一々保全命令を出してから、現在は執行官保管という予防排除のできる制度があるんですが、そういうことが意味をなさない。いなくなっている者に執行命令を一時的にかけても意味がないという場合は、いきなり執行官保管がきちっとできるという道を開こうというのが第二点でございます。
 それからもう一点は、これは競落人が競落した後不動産の引き渡しを求めようと、そのときに妨害が入っている。これが現在では、債務者に何らかの権利の主張をすることができる、占有権原が主張できるというもので、実は買い受け人には対抗できないような単なる登記のない賃借権とか使用貸借、そういったことを仮装したりして理由づけてというものに対して排除ができない。これも、やはり訴訟によるのではなくて、簡易な競売手続の中で迅速、簡便に引き渡し命令ができる道を開くべきだということで、そういった点に対応できる改正をいたしたのがポイントでございます。
 それともう一つは、実は競売を実行するには、不動産が他の者に売られてしまっておるというような状況がよくあるわけです。そういう場合には、所有権者に対して滌除権を行使するかどうかと。滌除権というのは、所有者がある一定の金額で自分が引き受けると。自分が引き受けるから、金を払うから自分の所有権を認めろと、平たく言うとこういうような制度なんですが、その滌除をするのに実行通知をしてから一カ月余裕がある。したがって、一カ月たった後、その通知を出したことの確定日付の証明をつけて競売を初めて申し立てなきゃいかぬ。その一カ月が暴力団や占有屋さんたちがつけ込む大事な期間で、そこに一斉に妨害が入ってきてしまう。
 ところが、現行法では、そういった抵当権者が実行する直前に、いろいろ手続をしている間に保全処分を、民事保全法等によって仮処分ができない。これは本当に大きな欠点であるということで、今般、競売開始前に民事執行法で保全処分ができる制度を新しくつくったと、こういうことなどが主な改正の内容になっております。
 いずれにしても、非常に悪質巧妙になってきているこういう占有屋の妨害を排除していかなければ、幾ら立派な処理スキームをつくっていろいろ法の整備をしても、最終的には債権の回収とか責任の明確化、不法行為の損害賠償の請求というのは実現できない。
 したがって、国民の負担その他いろんな社会問題を解決する道につながらないわけですから、こういった立法はぜひ必要だという観点に立って、ただ政府提案ではいろいろ検討に時間がかかったり、あるいは審議会の手続を経なければならないというようなことがありまして、これは行政としては当然でございましょうが、そういう時間を置いておるとこの債権処理が実行できないうまくいかない、日本の経済の将来のためにもこれがしっかりしていなきゃいけない、これが決め手であるという観点に立って、議員として、与党としてこの議員提案をさせていただいて、先ほど委員御指摘の処理の環境整備に不可欠だという観点から御提案を申し上げたところでございます。

発言情報

speech_id: 113614059X00519960613_022

発言者: 保岡興治

speaker_id: 16198

日付: 1996-06-13

院: 参議院

会議名: 金融問題等に関する特別委員会