家西悟の発言 (厚生委員会薬害エイズ問題に関する小委員会)
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○参考人(家西悟君) 三月二十九日に和解成立する運びになりました。皆様の御尽力、また御配慮に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
それで、私の方としまして、今この和解が成立して思うことは、決してこれで終わったわけではないということです。これは私、マスコミにも記者会見で申し上げたとおりで、今第一歩が始まったと、真相究明は徹底してやっていただきたいということと、それと私たちはこれだけの重荷を背負わされたわけです。そのことに対しての、今後生きていくためにやはり真相を明らかにして、なぜ自分たちがこれだけの被害をこうむらなきゃならなかったのかというのをやはり知りたい。知らないと、やっぱりこのまま死んでいくわけにはいかないという思いがひしひしとしています。そうでないと、自分たちはこの被害をこうむるために生まれてきたのかと思います。
そして、今は亡き、私の前任になります大阪HIV訴訟の原告代表をしていました石田吉明氏と一九八三年八月に国会、また厚生省に対しまして安全な血液製剤をという要望書を持ってまいりました。そのときになぜ私たちの声を聞き入れていただけなかったのかという思いがずっとしています。厚生省に持っていったときにも、担当局が違う、これは私どもではありませんというようなことも言われました。そして、それを持っていくのは別の場所だと。場所を教えてくださいと言っても当時の担当者には教えてもらえませんでした。
それはあなたたちが勉強して持っていくものであって、私が言うべき問題じゃないということで突っぱねられました。もしこのときに郡司課長のもとへ私たちの声が届いていたならば大勢は変わったのではないかという思いはずっとしていました。
ですけれども、今回資料で出てきたものを見ますと、そうではないと。八三年に患者に対して指導するとか指針を決めていたということを読みました。こういうことをやっていたのかという思いがしています。そして、一九八三年の血友病の全国友の会拡大理事会の場において、きょう参考人として呼ばれています安部英氏によって、三千人に一人だという話を私は直接聞いています。たった三千人に一人の問題だ、だから心配する必要はないんだということを明確に安部氏は言っています。私はそのときに、本当にそうなのか。でも三千人に一人でもあったらそれはよくないんじゃないか、やはり一人でもあってはならないというふうになぜ考えていただけなかったのかというふうな思いがずっとしています。
そして、今、厚生省は責任を認めて我々に対して謝罪したわけですけれども、恒久対策というものは余りにも不明確、不十分です。やはり、我々は生きるための方策として、先ほど東京原告団の方から言っていました治療センターの確立は確実にやっていただきたいということと、そして治療を受けられる環境をつくっていただきたい。それは生活支援も含めてそういう場をつくっていただきたいと思います。
私たちはやはりこの被害を持ってこれからも生きていきたいし、当然自分の人生を歩みたいわけです。八三年の段階でしっかりと情報を公開してやっていただいたら、私はこの場でこういうふうな発言をする必要もなかったわけです。そして、エイズによって私たちの多くの仲間が死んでいく必要もなかったわけです。それが悔やまれて仕方がありません。
なぜ薬害が起こるのか。スモン、サリドマイドと経験してきて二度と薬害を起こしませんという約束をしながらなぜこういうふうになるのかというところについては、非常に私は憤りと悔しさがあります。そういうことをどうか酌んでいただいて、真相究明という部分については徹底してやっていただきたいと思います。
そして、一九八三年からずっときて一九八八年ですか、エイズ予防法のときにも私たちは大きく反対しました。そして、私たちに救済をしてほしいという要請をしてまいりました。その結果、今現在支給されています友愛財団からの給付というものができました。そのかわりエイズ予防法というものも通りました。このエイズ予防法に対しても、私は決して予防する目的ではなかったというふうに思います。それはあくまでも患者の口封じにしょせんすぎなかったというふうに思っています。
なぜこういうことを言うかというと、我々はエイズ予防法を担当されていた厚生省の高級官僚の方々が、このエイズ予防法可決成立後に祝賀会というか、そういう慰労会を兼ねた席上で発言されたという内容を少し聞いています。その発言というのは、人間のごみの問題は終わった、次は本当のごみの問題に取り組むんだという当時の担当者の発言があったと、その席上。我々はごみなのか、人間扱いはされなかったのかという思いがひしひしとしています。その結果、私たちは裁判はするんだ、しないということはしないんだ、必ずやるんだという思いを当時しました。
そして、当時の厚生省の血液事業対策室長ですか、の方は、あなたたち裁判できないでしょうということも言われました。プライバシーの問題からあなたたち裁判できないんでしょう、だからこういう救済でいいじゃないかみたいな、そういう話もされました。これは交渉の中で、実際私の前でそういう発言をされました。私たちは決して人間として扱われなかったんだなというふうに、当時悔しい、余りにも悔しいという思いがしています。
そして、製薬企業もそうです。在庫を処理するという、今回資料の中にも出ています、在庫の数というものを処理するためにやったと。これは私たちは言っていました、在庫整理するためにやったんだろうと。在庫の売り上げと今後裁判でかかる費用とを計算したときにどっちが安くつくんだということで、彼らはそういう試算をした上でやったんじゃないのかと。その結果、裁判される方がはるかに安くつくという試算をしたんだろうというようなことを私たちは推測していましたけれども、今回の厚生省の資料にやはり在庫処理の資料がある程度出ています、在庫との兼ね合いが。
やはり、そういうふうに我々は人ではなくて物、金もうけの道具程度にしか考えられなかった。また、厚生省としてはあくまでも我々を人間として扱わずに、そういう企業の営利目的のために使う物であって、たかが五千人という程度に考えたんじゃないかという思いがひしひしとしています。
やはり、こういうような体質であれば、薬害の再発防止というものはただのうたい文句、お題目程度に終わってしまう。これではよくないと思います。やはり、実効性ある、具体的に二度と薬害を繰り返さないための厚生省なりの体質改善、また企業のそういう改善を法的に、またこういう国会で真相を究明する中で改善していただきたいと思います。
そして、最後に申し上げますけれども、私たちは決して自分の命が終わったとは思ってはおりません。まだまだやることはあります。こういうことだけにかかわり合いたくないんです。私自身はそう思っています。やはり、治療に専念して、自分の人生というものをもう一度しっかりと歩んでいきたい。
そのためにも生活支援を含めて恒久対策はしっかりやっていただきたいし、今支給されている五万円でどうやって生活するんだという意見も出ています、健康管理手当というものを。介護費用で十五万、これも発症基準というものがあってかなり厳しいです、はっきり言って。やはり、アメリカの新CDC基準であるCD4二百を切れば発病とみなして、そういうものの支給というものをぜひともやっていただきたい。そうでないと私たちは死んでも死に切れないし、何のために生まれてきたんだと。結局は企業、厚生省のそういう道具に使われていったのかという思いがどうしても抜けません。どうかその辺を御理解いただいて、その辺も含めて御検討いただければ幸いです。
ありがとうございました。