橋本龍太郎の発言 (予算委員会)
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○国務大臣(橋本龍太郎君) 多少答弁が長くなりますことをお許しいただきたいと思います。
まず申し上げたいことは、今申し上げましたような視点から見ましたとき、日米安保体制というものが我が国の防衛にとりまして必要不可欠であるという以上に、アジア太平洋地域の平和と繁栄、さらに安定というものに現実に重要な役割を果たしているということはお認めをいただきたいと思います。私は、この点は従来から基本的に変化は全くないものだと思っております。
そのような認識の上で、日米安保共同宣言におきましては、日米関係の中核をなす日米安保体制というものについて、これまでの安全保障分野における両国の緊密な対話の成果というものを踏まえながら、改めて日米安保体制というものの重要な役割というものを確認すると同時に、二十一世紀に向けました日米関係というものについて内外に明らかにしたところであります。今後、むしろその内容は具体的に一つ一つ実施に移していかなければなりませんし、日米安保体制の一層円滑かつ効果的な運用というものに努めていかなければなりません。ただ、日米安全保障共同宣言はあくまでも現在の日米安保条約を前提としたものでありますから、これを何ら改正しているものではないということは繰り返して申し上げなければならないと思います。
次に、その極東の範囲が変わるのではないかという御質問も実は何回かちょうだいをしてきました。しかし、日米安保条約上の極東というものにつきましては、これは日米両国が平和、安全の維持に共通の関心を有している区域であり、これが大体におきましてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域ということは、安保国会の当時、統一見解として示されたものが何ら変更されているわけではありません。
一方、確かに今度の日米安保共同宣言の中ではアジア太平洋地域という言葉を用いております。これは、日米安保条約の目的達成のために米軍が我が国に駐留しているという事実がアジア太平洋地域の諸国に安心感を与えている、結果としてこの地域の安定要因として作用しているという認識をそのまま述べたものでございまして、日米安保条約が安定要因として作用している地域は必ずしもその特定の地理的な範囲に限定されるものではないと私は思います。ですから、実は衆参本会議でも御議論のありましたところですが、今回の共同宣言で言うアジア太平洋地域が一体どの国を含んでいるのか、あるいは含んでいないのかという議論は、実は実質的に余り私は意味がない議論ではないだろうかと。むしろ、どの国がこれを安定要因として受けとめているかということで変化をする、私は実はそのような感じでこれを考えてまいりました。
ですから、この共同宣言を契機として安保条約が広域化する、あるいは極東の範囲が拡大されるといった考え方を私どもは持っておりません。
また、十七日、クリントン大統領との間で署名いたしたわけでありますけれども、この共同宣言の中で、日米防衛協力のための指針の見直しを開始する、及び日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米協力に関する研究を促進することを表明いたしました。
こうした見直しあるいは研究の具体的な内容というものは、まさに今後の検討を待つものでありますけれども、いずれにしても我が国の対応というものが憲法に従って行われるということは当然でありますし、集団的自衛権の行使のように我が国の憲法上許されないとされている事項につき政府の見解を変更いたしておりません。
しかし、政府としては、安全保障上のさまざまな事態に対しまして、これは米国との協力も含めて、我が国がこれにどう対応するかというその手段をきちんと整備しておく必要は本当にあると私は考えております。そして、そうした対応の法的側面に係る問題というものは真剣に検討しておかなければならないと思っておりますこともまた事実でございます。
また、ACSAについての御指摘がございましたが、私は、日米安全保障条約というものが円滑かつ効果的な運用を図られる、また国際連合を中心とする国際平和のための努力に積極的に寄与するというこの協定の意義などにかんがみ、この協定のもとに行われる武器などの提供は武器輸出三原則などによらないという決断をいたしました。
これは、その限りにおきまして確かに武器輸出三原則を変更いたしておる部分でございます。しかし、この場合におきましても、協定に基づいて提供された物品または役務の提供は国際連合憲章と両立するものでなくてはならないことなどが規定されておりますから、この結果、国際紛争などを助長することを回避するという武器輸出三原則などの基本理念を確保している点は変わりがない、私はそう考えております。.