鈴木淑夫の発言 (税制問題等に関する特別委員会)

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○鈴木(淑)議員 尾身委員の御質問にお答えをいたしたいと思います。
 御指摘のように、日本の財政事情は、先進諸国に比べても、今や赤字の対GDP比率でもイタリアに次いで悪い。この調子でいくと一番悪くなるかもしれない。また政府債務残高の対GDP比率も非常に高くなっております。しかし、委員の申されるように私どもはそういう財政事情を無視しているのではなくて、逆に、そういう財政事情であるからこそ消費税率の引き上げをやらないで二〇〇一年三月まで据え置く、そしてさらに、所得税、住民税、法人税の大幅減税を行って民間市場の活性化を図ろうとしているのであります。
 そもそも、減税その他どういう経済政策をとった場合にも、その結果財政赤字がどう動くか、経済にどういう効果が波及するかという議論をするときは、その政策をとる時点で経済がどういう状況か、始発点ですね、出発点の経済の状況がどうであるかによってその後の推移は全然違ってくるわけです。早い話が、インフレの最中に減税をやったらインフレはますます激しくなって、その後物すごいデフレになるでしょう。しかし逆に、労働力が余っちゃう、失業率が高い、皆さん職が得られないという状況、そして企業経営が困難な状況、そういうところで減税を行えば、経済が実力相応の成長軌道に戻っていくことによって、逆に自然増収がふえてくるでしょう。
 したがって、私はここではっきり申し上げたいのは、日本経済の現状をどうとらえておるかということであります。おっしゃるように、財政は危機的状況であります。しかし、危機的状況なのは財政だけじゃありませんよ。日本経済のさまざまの側面が危機的状況であります。
 早い話が、雇用情勢はどうですか。失業率は、一度三・二まで下がったと思ったらまた三・四に上がってきておる。特に、学校を卒業したばかりの十五歳から二十四歳のところは失業率六%台ですよ。悲惨なことです、これは。希望を持って人生に出た人たちの失業率がこんなに高くなったことは、終戦直後を除けばありませんね。さらに、五十五歳から六十四歳、昔の定年を過ぎて、しかし今の人は若い、働きたい、この人たちの失業率も四%台であります。
 雇用問題だけではありません。企業経営だって今非常に深刻であります。
 企業倒産、取引停止処分等は高水準のまま横ばいでありますし、そういう状況だからこそ、政府は足元の景気がよくなると言っているにもかかわらず、株式市場では株価は沈滞しております。長期金利などはずるずると下がっておる。この長期金利がずるずる下がっているというもう一つの危機的状況が、金利生活をしているお年寄りにとって今大変深刻な状況を引き起こしているということは、委員の皆様方御承知のとおりであります。
 さらには、この低金利が年金基金の破綻を招きつつある。こんな超低金利が長く続いたら、すべての年金基金はすっかり計画が狂います。日本には、民間あるいは公的な年金基金合わせて二百兆円ぐらいあります。大体五・五%で回るという計画でありますが、今長期金利は国債指標利回りで見ても二・四%、恐らくこの差三%というのはまだ続くでしょう。二百兆円の三%なら年々六兆円の穴があいちゃうのですよ。まことに深刻な状況。
 さらに、もっとひどいのが金融不安であります。
 さきに阪和銀行が破綻いたしました。あの中身を見ると、二つのことを言っておるのですね。
 一つは、地価がまだずるずる下がっておる。したがって、回収可能債権であったはずのものが根っこから腐ってくる。すなわち、地価の値下がりで担保切れで、回収不能債権に変わっていく。もう一つは、お取引先がこの六年にも及ぶ経済停滞の中でなかなか業況が立ち直らぬ。だからこそ不良債権がふえてきているわけであります。これは阪和銀行だけの例じゃありませんよ。日本全国の不良債権がどんどんふえている。
 私はなぜこういうことを申し上げているかというと、財政赤字が大変だ、それを新進党は認識してないとおっしゃるから、冗談じゃない、財政赤字は一部ですよ、もっとたくさんの深刻な構造的な問題があるということを申し上げた。それを直そうとしているんだ。それを全部直そうとしているんだ。全部直すためにはどうしたらいいか。これは新進党が主張しているとおり、戦略的に一番大事なことは、この六年間沈滞し切っている日本経済を、実力相応の民間主導型の三、四%の成長軌道に戻すということですよ。これなくしてどうして財政赤字が減りますか。
 大体、財政赤字が大きい大きいと言っていますが、御承知のように、今税収は落ち込んでいるわけですよ。曲がりなりにも、一%ちょっとの成長だけれども、経済は成長しているのですよ。だけど税収は落ち込んでおるわけですよ。九一年度は九十八兆円、国税、地方税合計してありました。九五年度は、それに対して十一兆円も落ち込んでいる。法人税だけで五兆円も落ち込んでいるわけであります。本来なら税収はふえるはずのものが落ち込んでおるのですね。こういう状況を根本から立て直すこと。すなわち、我かが言っていることは、経済再建なくして財政再建なんてあり得ないということを言っているわけです。
 それからもう一つは、消費税率の引き上げの大前提には行政改革があったでしょう。国民は、行革によって政府の支出のむだを排除することを条件にして消費税率の引き上げもやむを得ないかなといった人がいる。しかし、どうですか、この間、日本の財政支出の対GDP比率は先進国の中で唯一上がっていっていますよ。行政改革による財政支出の削減なくして財政赤字の縮小などはあり得ない。
 ですから、私は委員に真っ正面からお答えしているんだ。委員は財政事情の悪化を無視しておるとおっしゃるから、冗談じゃない、我々は財政事情の悪化を百も承知だ、しかし財政事情だけじゃない、山のように構造的な問題がある、これを直すためには日本経済の再建と行革による財政支出カット、これが必要だと申し上げているわけであります。そのための手段が、我々の消費税率据え置きであり、十八兆円の大減税ですよ。
 我々は、財政赤字を深刻に考えるから、消費税率の据え置きと財政の再建を言っておるのです。経済再建なくして財政再建なんかあり得ないですよ。行革による支出カットなくして財政再建なんてあり得ないですよ。この二つを今るる御説明申し上げたわけであります。

発言情報

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発言者: 鈴木淑夫

speaker_id: 27950

日付: 1996-12-12

院: 衆議院

会議名: 税制問題等に関する特別委員会