荻野直紀の発言 (公職選挙法改正に関する調査特別委員会)

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○荻野参考人 読売新聞の荻野でございます。
 こういう席で私の意見を聞いてくださるというのは大変ありがたいことと思って参りました。それと、選挙制度に絶対なものというのは、選挙制度に一〇〇%完全なものはないと言われておりますし、事実そうだと思います。私たちもまだいろいろ勉強することが多いと思いますので、この機会に先生方からいろいろな御意見も伺うことを実は期待して参りました。逆質問は許されないそうでありますので、あえて質問はいたしませんけれども、先生方からいろいろ御意見を拝聴したいと思います。
 早速私の考え方に入らせていただきますが、一般論として重要なことは、今も申し上げましたが、一〇〇%完全なものはあり得ないという以上、やはり一番重要なことは、制度の趣旨が生きるようにいかにうまく運用するか、いかなる選挙制度のもとでも、まずそういう考え方が根底にないといけないのだろうと思います。
 それで、順番にここに書かれてありますまず最初、小選挙区比例代表並立制の評価についてという点でありますが、結論を申しますと、私は、この新しい制度、小選挙区比例代表並立制については、見直すべき点はあるが、見直した上で続けていくということがいいのだろうと思います。これが結論であります。
 読売新聞社でさきの選挙の直後に世論調査をいたしましたところ、このまま続けた方がいいという人が八・九%と、これは比較的少ない数字ですが、それに対して中選挙区に戻すという人が三二・三%、それに対して見直して存続していくという人が四三・六%ございました。いずれにしても、見直して存続する、このまま続ける、合わせると過半数になっております。
 こういうバックグラウンドもありますし、そもそもこの小選挙区比例代表並立制を導入されたときの趣旨というものを考えれば、つまり政党を中心に政策本位で選挙をする、特に政策本位というところは、私、今後の日本のあり方を考える上でも非常に重要な点だと思いますので、そういう意味で、見直して存続するというのを結論にさせていただきたいと思うわけです。
 そうしますと次に、見直すポイントはどうかということになりますが、ここに、紙に書かれております二番目として重複立候補についてとありますが、確かにこの重複立候補、これについては大分有権者の間から戸惑いもあり、異論もあり、これが一番大きな問題点になったというのが客観的事実だろうと思うわけです。
 では、この重複立候補をどう考えるかという点でございますが、私は原則的には認めてよいと考えます。これは、政党としてどうしても当選してきてもらいたい人が小選挙区で非常に惜しくも落ちるというようなこともあり得る場合に、人材の活用という点を考えれば、重複立候補は何かおかしいからやめろということはいささかどうかなという気がするわけです。よく言われますが、ドイツのコールさんやゲンシャーさんも小選挙区で当選したことがないが比例代表で通ってくる、こういう例もございますし、重複立候補を原則的には私は結構だと思います。
 ただし、条件といいますか、ここが見直すポイントになろうかと思いますけれども、幾つか条件めいたものを申し上げますと三点ほどございます。
 一つは、この重複立候補を導入するのは、先ほど申し上げましたように人材の活用という点があろうかと思いますが、それを裏返すと、候補者選びにかなり、人材難といいますか、各党ともお困りになった面があったやに聞いております。したがいまして、候補者難というのも一つの理由として。それから、皆様方の中でもそういう御意見がかなり強いようですが、比例選についての定数を削減したらどうかな こう考えます。その数については、私は、本来は比例代表よりも小選挙区を重視した方がいいのではないかと考えるものですから、数については皆様方の今後の御検討にもちろんまつわけでありますが、五十ないしあるいは百ぐらいまで、やや乱暴な言い方かもしれませんが、削減してもいいのではないか、これが一つです。
 それからもう一点は、同一順位の問題です。
 同一順位、それを惜敗率で当落を決めていくというやり方、非常に有権者にとってわかりにくいと言われる一番の原因、理由がここにあろうかと思います。よくよく考えればそんなに難しい話ではないかとも思いますが、一方で、同一順位にするというのは、政党でなかなか順位を決めにくいのである意味で責任を逃れるような感じで同一順位にしたという側面もないわけではないでしょうし、同一順位で小選挙区で大いに競わせれば、集票力がアップしてそれが比例にはね返るというような、政党としてはそういうお考えもあったのでしょうが、わかりにくさというものがこれだけ指摘されている以上、やはりこれはやめた方がいいのではないか、そう考えます。
 それから、今の二つに比べるとあるいは問題はそう大きくないのかもしれませんが、三番目の問題点というか条件というのは、小選挙区で当選に必要ないわゆる法定得票数に達しない方、あるいは供託金まで没収された方が比例で上がってくることには、ちょっと割り切れないという考え方も有権者の中に多いように思います。小選挙区と比例代表というのは全く別のものでありますから、小選挙区の結果に比例代表の方がとらわれる必要がないということは原則的には言えることでありますし、それはそれで私もいいと思うのですが、少なくとも供託金没収というのは、本来そういうことがあってはならない、そういう人は出ない方がいいという趣旨が裏に込められていることだとすれば、供託金没収者は少なくとも、さらに言えば、小選挙区で当選資格のなくなった法定得票数未満の方、これについて相当厳重に考えてみるべき必要があろうかと思います。
 それが見直しのポイント、重複立候補についての私の考えです。
 選挙運動の方ですが、どぶ板選挙になるといういろいろ批判がございますけれども、どぶ板選挙も、考えてみれば、候補者にとっては大変なことだということは重々わかりますけれども、有権者にとってみれば、候補者の人となりを目の前で知るということにおいてばいい機会でもありますし、一方で、このために政策を訴える暇がなくて、握手したり、身の回りの話をして終わってしまうのが実態だという話も伺いますけれども、これこそまさに、政策の重要性ということを候補者の方がよくよく認識されて、むしろ有権者をリードしていくんだという意識に立たれてやれば、運用次第で克服できない問題点ではないのではないか。これが克服できないと非常に難しいのだろうと思うのです、今後の日本を考える場合に。それだけ重要なことだと思いますので、ぜひともこれを見直して、存続する場合には、運動のあり方、政策中心、政策重点にやっていくということを運用面でお考えいただければと思います。
 時間が尽きますので、あとはまた質疑の点で述べさせていただきます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 荻野直紀

speaker_id: 2380

日付: 1997-02-19

院: 衆議院

会議名: 公職選挙法改正に関する調査特別委員会