三塚博の発言 (大蔵委員会)
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○三塚国務大臣 今後におきます財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端として、今後取り組むべき諸課題等について申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げるものでございます。
第一の課題は、民間需要主導の自律的な景気回復を確実なものとすることであります。
まず、国際経済情勢を見ますと、世界経済は全体として拡大基調を維持しております。また、我が国経済の現状を見ますと、景気は回復の動きを続けております。そのテンポは緩やかなものの、民間需要は堅調さを増しております。なお、雇用情勢は、厳しい状況にあるものの、改善の動きが見られるところでございます。
政府としては、このような最近の内外経済情勢を踏まえ、現在の景気の回復力を一層強固なものとし、民間需要を軸とした中長期的な安定成長につなげていくため、引き続き適切な経済運営に努めてまいる所存であります。
九年度予算においても、極めて厳しい財政事情のもとではありますが、経済構造改革に資する創造的、基礎的研究等の分野に重点的、効率的配分を図っているところであります。また、八年度補正予算とあわせ、予算の切れ目のない円滑な執行に努めてまいりたいと考えております。
金融面では、累次にわたる金融緩和措置の実施により、各種金利は依然として低い水準にあり、その効果を見守ってまいりたいと考えます。また、株式市場の動向につきましては、今後とも十分注視してまいる所存であります。
なお、為替相場については、今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じ、その安定を図ってまいりたいと考えております。
第二の課題は、財政構造改革であります。
財政健全化は今や主要先進国共通の課題であり、各国とも果断な取り組みを行っております。我が国においても、現在の財政構造を放置し財政赤字のさらなる拡大を招けば、経済、国民生活が破綻することは必至であり、二十一世紀の我が国経済社会の活力を維持するため、財政構造改革に取り組んでいくことが喫緊の課題であります。
このため、二〇〇五年度までのできるだけ早期に、国及び地方の財政赤字対GDP比を三%以下とし、また、国の一般会計において特例公債依存から脱却するとともに、公債依存度の引き下げを図ること等を財政健全化の目標とすること、さらに、これらの目標の達成のため、国の一般歳出の伸び率を名目経済成長率よりも相当低く抑え、地方に対しても同様のことを要請することを先般閣議決定をいたしました。
このような目標のもと、九年度予算においては、医療保険制度改革を初めとする各般の制度改革を織り込むことによりまして、一般歳出の伸び率を一・五%と九年ぶりの低い水準に抑制するとともに、公債減額四兆三千二百二十億円を実現し、また、国債費を除く歳出を租税等の範囲内に抑制し、現世代の受益が負担を上回る状況を解消するなど、財政構造改革元年として、財政健全化に向けた第一歩を踏み出したところであります。
しかしながら、これらの努力をもってしましても、なお、公債発行残高が平成九年度末には約二百五十四兆円にも達する見込みであるなど、我が国財政は引き続き危機的な状況にあり、今後とも、年々着実に財政構造改革を進め、将来世代に負担を残さない財政構造をつくり上げることに努力していく必要があります。
このため、十年度予算編成に向けて、早い時期から歳出の全般的見直しを進めるとともに、概算要求段階から一層厳しい抑制に取り組むなど、さらなる歳出削減のため努力してまいりたいと考えております。また、先般設置された政府・与党の財政構造改革会議において、財政再建のための法律の骨格を含めた歳出の改革縮減の具体的方策が検討されることになっておりますので、その審議に積極的に参画してまいりたいと考えております。
なお、財政投融資につきましては、改革を推進するとの基本方針のもとで、民業補完の観点をも踏まえ、社会経済情勢の変化等に応じ、その対象分野・事業を見直し、資金の重点的、効率的な配分を図ってまいりたいと考えております。
第三の課題は、税制上の諸課題に適切に対応することであります。
税制につきましては、平成六年秋の税制改革のうち、先行して実施されている所得税等の恒久減税と一体として法定された消費税率の引き上げ等がこの四月から実施に移されます。この改革は、少子・高齢化の進展という構造変化に税制面から対応するものであり、中長期的に見て、我が国経済社会の活性化につながるものと確信をいたしております。この改革の円滑な実施に向け、政府が一体となってきめ細かな対応を図っていくとともに、その意義について国民皆様の一層の御理解をお願いしたいと思います。
税制は国家の基でございます。国民生活や企業活動の前提として安定性が求められる一方、急速な国際化や情報化等のとうとうたる潮流変化に即応して改革が常に求められます。今後とも、こうした観点から、より望ましい税制の姿を実現するよう不断の取り組みを行ってまいる所存であります。
第四の課題は、金融をめぐる諸課題に適切に対応することであります。
金融行政につきましては、金融機関の不良債権問題の処理に引き続き精力的に取り組むとともに、金融の自由化、国際化や技術革新等、金融をめぐる環境の著しい変化を踏まえつつ、市場規律を基軸とした透明性の高い金融行政の確立に向けて、以下の諸改革を進めてまいります。一まず、東京市場がニューヨーク、ロンドン並みの市場に復権することを目指して、日本版ビッグバンともいうべき広範かつ抜本的な金融システム改革を推進いたします。現在、関係する五審議会において、銀行、証券、保険分野への参入促進、商品規制の撤廃・緩和、各種手数料の自由化等について、二〇〇一年までに改革が完了するプランを取りまとめるべく御審議をいただいており、さらに、各審議会代表者による連絡協議会を設置し、改革を一体的に進める体制を整備いたしたところであります。この改革のフロントランナーとして、国境を越えたより自由な金融取引を実現するため、外国為替管理制度を改正することとし、今国会に所要の法案を提出したいと考えております。また、さきの日米保険協議の決着に基づく自由化の実施は、改革の推進に大きな役割を果たすものと考えます。
金融システム改革は、千二百兆円もの個人金融資産の効率的な運用等のために不可欠なものでありますが、他方、市場参加者にリスクや痛みをもたらします。このため、情報開示の促進や早期是正措置等ルールの明確化など必要な措置を講じ、自由かつ透明で信頼のできる市場を構築してまいります。また、金融システム全体の安定に細心の注意を払うとともに、国際化に対応した監督協力体制の確立にも努めてまいります。
次に、住専問題等を契機として国民各層から金融行政に対してなされたさまざまな御批判を重く受けとめ、激動する時代の変化に的確に対応し、国民に信頼される金融行政を確立する観点から、金融システム改革とともに、金融行政機構の改革に取り組みます。
先般、行政改革プログラムにおいて、大蔵省の銀行局及び証券局を統合するとともに、総理府に民間金融機関等に対する検査及び監督を所掌する機関を設立する等の措置を平成十年度に実施することとされたところであり、与党合意の趣旨を踏まえつつ、国民経済の基本にかかわる問題として万般の詰めを行い、政府として今国会に所要の法案を提出できるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。
さらに、日本銀行につきましても、中央銀行研究会報告の示した基本的な指針に沿って、開かれた独立性を有する中央銀行とするため、抜本的な改革をする必要があります。現在、金融制度調査会において御審議いただいており、その答申の取りまとめを受けて、今国会に所要の法案を提出したいと考えております。
第五の課題は、世界経済の健全なる発展への貢献であります。
我が国は、WTO、APEC等の場を通じ、多角的自由貿易体制の維持強化に積極的に取り組んでいるところであり、九年度関税改正においても、税関手続の簡素化、適正な課税の確保、関税率の改正等、所要の措置を講ずることといたしております。
また、世界経済の安定と発展に資するため、国際社会と協調しつつ、開発途上国の自助努力の支援に引き続き積極的に取り組んでまいります。今般、世界銀行における我が国の出資比率の引き上げが合意されたところであり、さらに、本年設立される予定の中東・北アフリカ経済協力開発銀行に対しても積極的に支援してまいる所存でございます。
次に、平成九年度予算の大要について御説明いたします。
歳出面につきましては、一般歳出の規模を四十三兆八千六十七億円としております。これに地方交付税交付金及び国債費等を加えた一般会計予算規模は七十七兆三千九百億円となります。
次に、歳入面について申し述べます。
税制につきましては、最近の社会経済情勢等にかんがみ住宅・土地関連税制等について適切な対応を図るとともに、租税特別措置の整理合理化、蒸留酒に係る酒税の見直し、その他所要の措置を講ずることとしております。
なお、自律的景気回復への基盤の整いつつある経済状況や厳しい財政状況を勘案して、特例公債によらざるを得ない所得税の特別減税は実施いたしません。
公債発行予定額は、十六兆七千七十億円としております。その内訳は、建設公債九兆二千三百七十億円、特例公債七兆四千七百億円となっております。その結果、公債依存度は二一・六%となっております。特例公債の発行等につきましては、既に、別途平成九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案を提出して、御審議をお願いすることといたしております。
財政投融資計画につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方のもとに、資金の重点的、効率的な配分を図ることとしております。この結果、一般財投の規模は三十九兆三千二百七十一億円、前年度当初計画に対し三・〇%の減額となっております。また、資金運用事業を加えた財政投融資計画の総額は五十一兆三千五百七十一億円、前年度当初計画に対し四・五%の増加となっております。
この機会に、平成八年度補正予算について一言申し述べます。
八年度補正予算につきましては、歳出面において、阪神・淡路大震災復興対策費、災害復旧等事業費等時に緊要となった事項について措置を講じております。また、前年度剰余金について国債整理基金特別会計への繰り入れ等を行う一方、既定経費の節減、予備費の減額を行うこととしております。
他方、歳入面では、租税及び印紙収入、前年度剰余金等を計上するとともに、公債金については、建設公債を一兆六千七百六十億円増発する一方、特例公債を三千三百七十億円減額しております。
以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。
なお、既に本国会に提出したものを含め、大蔵省からの提出法律案は、平成九年度予算に関連するもの六件、その他二件、合計八件を予定しております。今後、提出法律案の内容につきましては逐次御説明することとなりますが、よろしく御審議のほどお願いを申し上げ、所信のあいさつといたします。(拍手)