安岡雅之の発言 (大蔵委員会)
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○安岡参考人 ただいま御紹介にあずかりましたバンカーズ・トラストの安岡でございます。
参考人として、今回の為替管理法改正及びビックバンに関連して、三点ほど、僭越でございますけれども、意見陳述させていただきます。
まず第一に、今回の為替管理法改正について、私どもの意見を述べさせていただきます。その次に、二点目として、米国で金融改革が起こったときにどういうことが起こったか、そしてバンカーズがどのように乗り越えてきたかということを、例をもって、御説明させていただければと思います。三点目に、先週発表になりましたが、日債銀との業務提携について、私どもの意見を述べさせていただきます。
まず第一の点でございますけれども、東京に駐在する外銀としての所見でございますけれども、今回の為替管理法改正というのは、私どもの認識では、これでニューヨーク、ロンドン市場と同じ土俵に東京市場が上がってきたという印象を受けております。基本的には、御存じのようにニューヨーク、ロンドンとも資金の流入流出について特に制限がございませんので、私ども、東京市場もこの土俵の中に入ってきたという認識を持っております。これから日本の金融界も本格的に国際金融に入っていくのであれば、まず、国内外の資金の流れをスムーズにして国際化を図る必要があると考えます。その点でも早急な実行をお願いしたいと思います。
外資系から見ますると、現在のビジネスでも、既に為替管理法で強く拘束されているという認識はそれほどございません。国内でできないものは海外で取引することができるという環境がもう既に整っております。時には、海外でやった方がやりやすい、あるいはコストが安いというような取引がございます。具体的には、例えば株式の取引手数料については海外ではかかりませんので、割安に取引ができるというような状況も生まれております。
為替の事務処理コストでございますけれども、海外の方が格段に安く、当行の場合には、既にシンガポールにその事務を集中しております。東京には端末機を置いて、そこから営業の人間がお客さんと話すという体制をとっております。こういたしますと、コストは約二分の一になります。このコスト削減によって、我々は同じ取引でもほかの銀行さんと比べて競争力をアップできる。さらに、コミュニケーションのテクノロジーが発達した結果、場所の差というものを驚くほど感じない事務形態にもう発展しております。
今後でございますけれども、傾向としては、外資系の場合、地域内一極集中して事務処理を行うという外銀がふえてくると思います。その場所をシンガポールに持つか、香港に持つか、東京に持つか、各行の戦略によって異なると思いますけれども、東京へ本拠を置く銀行がふえれば、東京市場の活性化につながるのではないかと思います。
結論を申しますと、早急に改革を実行し、国内外の壁を取り除き、日本の金融機関の国際化を図ることが将来の国益につながるものと考えます。これにより国際市場に日本の金融機関さんの進出が図られ、競争力を強化し、結果として、東京市場が魅力ある市場に生まれ変わるのではないかと期待しております。
二番目の点でございますけれども、金融改革、ビッグバン、アメリカで何が起こったか、バンカースに何が起こったかということを簡単に述べさせていただきます。
一九七〇年代、金融改革が急速に進行したわけでございますけれども、その当時、バンカース・トラストという銀行は、シティーバンク、チェイスに次ぐ第二グループ、特色のない当たり前の中小銀行という位置づけでございました。自由化の波をもろに浴びて倒産寸前の苦境に陥った次第でございます。すなわち、バランスシートの左側であります借り入れ人サイドの企業は、社債、株式、コマーシャルペーパーあるいはユーロボンド等に走り、結局直接金融でその資金調達を図るようになる。一方、右側の預金サイドでございますけれども、証券会社の出すMMF、投資信託等に逃げ、結局銀行としての収益力を落とし、被買収ターゲットにもなった時期がございます。
一九七八年、バンカース・トラストのマネージメントは、ニューヨーク州にある二百の全支店を売却いたしました。本店と四つの支店のみを残す形で再スタートいたしました。ホールセール中心の投資銀行業務に絞って戦略をまとめていくという一大決心をいたしました。すなわち、自分の強い部門にフォーカスしていく戦略、他社との差別化を徹底的に図ったのでございます。人材を積極的に外部より取り入れて体質改善も行いました。
その結果、八〇年代、ユーロ市場の拡大に伴う急速な証券化の発展、スワップ、オプション等のデリバティブ商品の拡大、リスク管理手法の発展等、金融技術の進歩による種々の新商品開発が一気に進む環境が生まれたために、バンカーズとしてはうまくその波に乗ることができて、企業買収、LBO、世界的な金融の自由化、日本市場も含みますけれども、その促進も相まって、全体的な機関投資家の金余り現象の中で、フォローの環境で自己改革を進めることができたのでございます。
その間、バンカーズが毎年多額の金を投資し続けたのは、テクノロジーでございます。テクノロジーに対する投資は年間約五百億やっております。これを絶えず行ってきました結果、バンカーズとしては、金融ビジネスというものをリスク管理を伴う情報産業であるというふうにとらえるようになりました。すなわち、資金の出し手ととり手をグローバルなネットワークでつないで、金融技術を加えてリスクの調整を図って顧客に提供する業務に取り組んだのでございます。その結果、収益力も上がり、リターン・オン・エクイティー、資本収益率についても一五%を上回ることが平均となりました。
現在では、銀行、証券いずれでもない新しい形の金融機関を目指すという経営体制になっております。すなわち、銀行の持つ資金力、バランスシートの力に加えて、証券会社の持つ市場の変化に対する機動力をあわせた金融機関というものをつくり上げたい、これが二十一世紀の金融機関になるのではないかと信じております。
ここ一、二年の動きを見ますと、昨年は、フェデラルリザーブでございますか、連邦準備委員会の総裁でございましたポール・ボルカー氏が会長をいたしますウォルフェンソン社、これは企業買収の仲介アドバイザリー専門会社でございますけれども、そこの買収を行っております。最近は、中堅証券会社で株式上場に強いアレックス・ブラウン社を買収しております。
このように、銀行からスタートしたのでございますけれども、証券会社をあわせ持った新しい金融機関にさらに前進しようと努力しております。
第三番目の点でございますけれども、今回の日債銀との業務提携について御説明させていただきます。
大きな流れとして、東京市場が変わりました。東京における外資系の動きというのを見ますと、八〇年代はグローバル化が促進され、東京市場というのは膨大な資金の供給ソースということでニューヨーク、ロンドンから見られておりました。これをいかに米国市場に還流させるかというのが我々のビジネスということで、外資系はこぞって大量進出してきました。さらに、東京、ニューヨーク、ロンドン間の情報の格差をアービトラージ、裁定取引をすることによって、まだまだ情報の格差を利用して利益を得ることができた時代でございます
ところが、九〇年代、バブルがはじけ、東京の資金供給源としての魅力が減少いたしました。さらに、東京、ニューヨーク、ロンドン市場間の情報緊密化が進み、市場の一体化が図られることによって、外資の間でも競争が激化し、先ほどの裁定取引の魅力も落ちてきました。その結果、一部外資の間にも撤退の動きもありましたし、空洞化の動きもありました。
これを打破する方法として、我々は、ローカル市場へのブレークスルー、本格的参入を図ることによってさらに付加価値をつける必要があるのではないか、そこにビジネスオポチュニティーがあるのではないかと考えました。
外資系には証券化、デリバティブ等金融商品の開発方はありますが、エンドユーザーに対するアクセスが弱いのが問題でございます。日本の市場というのは世界第二位の大きさであり、今後の資金運用はグローバルに展開せざるを得ない魅力的なマーケットでございます。一方、顧客が十分にサービスされているかというと、まだまだ不十分であり、開拓の余地があると考えられます。
外資系金融機関の間の競争も激しさを増しており、競合相手と差別化をする必要もあります。ビッグバン以降東京市場で生き残るためには、外資系としてもローカル市場にブレークスルーを図り、そのコミットメントを示す必要があると考えた次第でございます。今回橋本内閣の打ち出したビッグバン構想は、外資系としても大いに歓迎するところであり、ぜひとも成功してほしいと願うものであります。そのためには、外資系サイドとしても真剣なコミットメントを示す必要があると考えました。
一方、日債銀側には、不動産関連ビジネス、証券化ビジネス、デリバティブビジネス、地方の金融機関に対する、主に投資家でございますけれども、アクセスが非常に強いという強みがあります。日本のホールセールバンクとしてのポテンシャルは我々は高いと考えております。バンカースの経験、ノウハウ、それに日債銀の従来の実績をあわせることが、よい補完関係になり得ると信じております。
以上、陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)