並木正芳の発言 (大蔵委員会)

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○並木委員 金融制度調査会日銀法改正小委員会においてのことでありますけれども、一部新聞に報道された議事録、これは公開されてはおりませんけれども、報道されたところであります。
 これによりますと、委員側の姿勢からは、金融政策はもちろん、業務、予算も含めて日銀の自己責任に基づく自主性を最大限に尊重し、一般的監督権や予算認可権は廃止し、公的コントロールは政府の人事掌握権と日銀のアカウンタビリティー、説明責任によって開かれた日銀の独立性を保障すべきだとする意見が多く見られるところであります。
 一方、事務局を務めた大蔵省と内閣法制局は、憲法第六十五条の「行政権は、内閣に属する。」との規定を盾に、行政の一端を担う日銀は、政府から完全に独立することは困難であり、その中の意見でありますけれども、「日銀の独立性とは、専ら金融政策に関する独立性である。」と限定的な法律論が展開されているわけであります。
 結局、第五十八条の「大蔵大臣は、日本銀行の業務の執行の状況に照らし必要があると認めるときは、日本銀行に対し報告又は資料の提出を求めることができる。」という一般的監督権を残したと思える、こうした監督権の色彩の強い条文となったわけであります。
 また、予算に関しても届け出制でもよいのではないかとする委員側の意見に対し、「届け出制というのは、チェックではなく、言わば報告であり、事実を承知するということである。」すなわち公的チェックはできないという発言や、「予算について、日銀が最終決定権を有し、大蔵省がそれに対して意見を述べるという形では、政府が日銀の予算に責任をとっていない形になってしまい、憲法違反のおそれがある。」との見解も示され、ついには「どうしても独立性を向上させ、認可権を不要とするのであれば、憲法改正について議論があってしかるべきである。実際、フランスでは大議論が巻き起こり、結果として憲法を改正して、中央銀行の独立性を強化した。そうまでしないというのであれば、大変恐縮だが、事務局が国会で立ち往生しないような結論を出していただきたい。」こういう事務局側の意見さえ出た。そして、結局、第五十一条に見られるように、経費予算は大蔵大臣の認可を受けなければならないという条文になったわけであります。
 昭和二十四年、戦後でございますけれども、この現行法改正後も、国の権力的支配を認める従来の建前と日銀政策委員会の独立性と中立性を尊重しようとする新しい考え方とが、相互に矛盾しながら包含されて今日に至っているわけであります。今回の改正においては、この問題につき明確な見解を示すべきではないかと考えるわけであります。
 憲法六十五条につき、国会の地位を定めた四十一条や裁判所の地位を定めた七十六条に比べてやや弱いものの、行政権を原則として内閣に独占させるとの見解をとったとしても、行政委員会などの独立行政機関について、事務の性質が厳正、公平に、または技術的に処理される必要があり、時々の政府、あるいは政党内閣と言ってもいいかと思いますけれども、この政策からの独立性と中立性を認めるだけの合理的根拠を持っており、しかも他面において、人事権等を通して政府がこれをコントロールできることになっていれば合憲と、この行政委員会に関してもそういう解釈をしているわけであります。
 日本銀行政策委員会は、私法人の一種でありますけれども、行政委員会に準ずる地位を有するものであり、事務そのものの内容、性質からして、政府からの独立性と中立性が要求され、公正、中立に通貨価値の安定確保という見地に立って技術的に決定されることが妥当であり、しかも、大事においてこれをコントロールする手段が保障されていれば、違憲のそしりを受けるべきではないと私は考えるわけでありますが、内閣法制局の見解はいかがか、お聞きしたいと思います。

発言情報

speech_id: 114004629X02019970514_004

発言者: 並木正芳

speaker_id: 16369

日付: 1997-05-14

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会