佐藤英彦の発言 (地方行政委員会)
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○佐藤(英)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、この暴対法の成果というものははかり知れないものがあるというぐあいに考えておりますけれども、この五年間の運用を反省をいたしてみますと、やはり検討すべき事項が散見をされました。
例えて申しますと、この法律は、あくまでも個人の行為を規制するという従前の日本の法体系の中で制定をされたことがありますので、あくまでも個人の行為に着目をしているということであります。したがいまして、指定をされました暴力団の構成員、いわゆる指定暴力団員、これの行為について基本的には規制をするということになっております。
そうしますと、同じ被害者に対しましてある暴力団員が参りまして、中止命令をするなり再発防止命令を出しますと、同じ組の別の組員が同じ被害者のところにやってくる。そうすると、またその者に対して同様の命令をしなければならないということで、入れかわり立ちかわりやってくる者に対する対応というものに追われる、そういう被害者あるいは公安委員会というものが出てまいりました。これを何とかできないかということが一つございます。
また、指定暴力団員でありますから、自分でやりますと規制を受けるということで、自分が指定暴力団員でない者、自分の所属する指定暴力団員でない者に対して同じ行為をやらせるということが出てまいりました。いずれにいたしましても、規制逃れが出てきたということであります。
それからまた、準構成員というものがございまして、これはもう暴力団と変わらないような活動をしている実態にございますけれども、この準構成員たちがその親しくしております暴力団の威力を用いまして同様の行為をする。これは自分自身の利益のために行っている、あるいはその一部を上納している場合もありますけれども、これもまた規制ができないというようなことで、こういうところに目をつけて被害者に対して資金を要求するというようなことが出てまいりましたことから、これを何とかやはり解決をいたさないとしり抜けになるというぐあいに考えまして、今回、大きく申し上げますと四点の改正を考えさせていただいたわけであります。
一つは、指定暴力団にはやはり業務というものがございまして、業務といいますと何か普通の観念で考えがちでありますけれども、これは法律用語でございまして、その社会的地位に基づきまして継続的に行っている事業等を業務と呼んでおりますけれども、こういう業務のもとに活動している暴力団員であれば、別の暴力団員がやりましても規制ができるように、その上位の者に対して禁止を命ずるというようなことにできるようにしたい。
二つ目は、暴力団の周辺にある者が同様の行為をしたときには、一定の条件のもとで規制をできるようにいたしたい。
また、対立抗争が起きました場合に、現在、事務所の使用制限をしていただけるようになっておりますけれども、これが同じ指定暴力団の中における別の集団同士の対立抗争の場合には適用できないような規定になっておりまして、これらにつきましても補正をお願いをしたい。
そして最後が、先ほどもちょっと触れました、最近、債権の回収問題が出てきておりまして、この債権の回収に暴力団が介入してきているということから、不当な債権取り立て行為を規制できるようにいたしたいというぐあいに考えた次第でございます。
それから、供託命令の関係でございます。
確かに、年当初まではこの供託命令制度というものを考えまして、これは、暴力団が不当に得た資金、不正収益というものを、税金も払わない、あるいは被害者にも返さないという状態で、得たままの状態、いわばやり得と言ってよろしいかと思いますけれども、これを何とか解消させたい。それから、本来はそれは被害者に返されるべきものでありますから、被害者がその資金を回収できることを何とか支援できないかというぐあいに考えたわけであります。
本来、被害者は、その不法行為によって失ったものについての取り返しは、民事の裁判を起こしまして、ないしは和解等によりまして回収をするというのが法律上の仕組みでございますけれども、この手続に入るということは、実際上、対暴力団の場合にはなかなか難しいという現実もありまして、何とかそれを支援できないかというぐあいに考えたわけであります。
その結果、暴力団が不当な行為によって得ました不正収益、それが、被害の相当額というものが認定できますならば、その額というものを公安委員会が暴力団に命令をいたしまして供託所に供託をさせる、そして、その供託金につきまして、被害者が回収可能な額というものが現実に目に見えますので、その時点で民事訴訟を提起する等の、本来の、法律上予定された手続をとることができるようなインセンティブをつくりたいというぐあいに考えたものでございます。
ただ、あくまでも、これは指定暴力団員による被害に限定されることになります。ちょうど、この問題を私どもが考えました折に、法務省におきましても、被害者一般についての救済を迅速にし、あるいは確保することができるような、そういう仕組みというものを考えなければいけないということで検討に入っておりました。そうだといたしますと、私どものやろうとしております指定暴力団員の被害者というのは被害者の一部でございますので、全体の被害者対策というものを検討していく中でその暴力団員による被害者というものについての救済に関する手当てというものを考えていく方が、よりいいものをつくることができるのではないかというぐあいに考えるに至った次第でございます。