山本正の発言 (内閣委員会公聴会)

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○山本公述人 委員長ありがとうございます。本日はこのような機会を与えていただきまして大変うれしく存じております。発言時間十分ということでございますので、長くならないようにと思って実はメモを書き始めましたら、思いのたけを書くことになってしまいまして、お手元に行っているかも存じませんが、しゃべれば三十分ぐらいのメモになってしまいました。参考までに、お許しいただければ記録にとどめていただければありがたいと存じます。
 日本国際交流センターについて一言御説明申し上げますが、これは私が仲間と一緒に一九七〇年につくりました法人でございまして、財団法人でございます。外務省の所管でございますけれども、補助金は一切いただいておりません。活動内容は、オピニオンリーダーの政策対話、交流、あるいは海外のシンクタンクの協力による政策研究、NGO、民間財団の国際交流あるいは地方の国際交流といったことをやっております。二十七年になるわけでございますけれども、生きていくのに大変苦労したわけでございます。
 そういった立場の人間からいたしますと、このような形でNPO法案が各党から議員立法として提出されまして、しかもその過程で多くのNPO関係者、市民の方々と協議を重ねていただきましたことは、これは画期的なことではないかと思うわけでございまして、立法のプロセスあるいは日本の民主主義のあり方からいっても歴史的な出来事かと思うわけでございまして、各政党の議員の皆様に深く敬意を表したいと思っておるわけであります。
 このように私が感じますのも、実は、この私がやっております仕事の中で、NPOあるいは市民活動組織が日本の場合非常に脆弱であるということが、NGOの交流あるいは協力あるいはそのシンクタンクにおける協力といったようなことにつきまして非常に大きな欠陥になっておりまして、世界じゅうのそういったNGO、シンクタンクあるいは財団の協力関係において日本の存在が非常に希薄になっているということでありまして、私なりに大変大きな危機感を持っておるわけでございます。これは結局、日本のNPOが育つに当たっていろいろな制約条件があるということからくることだと思うわけであります。
 そういった意味では、このたびの市民活動促進法案等の市民の公益活動を促進するための法案は、市民が社会のニーズのために自分たちを組織して活動を展開するということを奨励するものでありまして、日本のNPOの発展のための土台として重要なステップであると確信するものであります。このような現象を、米国のジョンズ・ホプキンス大学のレスター・サラモンは、アソシエーショナルレボリューション、連帯革命と言いまして、市民たちが集まって、その連帯から生み出される力を通じて、政府の枠組みの外側で公共の目的を追求する民間組織が、それまで政府の手だけにゆだねられていた問題の解決に参加し始めるという、世界的な流れを意味するというふうに言っておるわけでございますけれども、このように市民の発意による非営利、非政府の組織が先進国、途上国を問わず爆発的な伸びを示しているというのが現状だと思うわけでございます。
 このような現象の背景につきましては、いろいろありますけれども、簡単に申し上げますと、冷戦後、相互依存が非常に発達しているこの世界の中で、それぞれの国におきまして、それぞれの社会において、政府とか行政あるいは経済の発展だけでは処理し切れないような多くの複雑な問題が生じてきている、その結果、市民の組織する非営利、非政府の組織の活動のスペースが広がってきているということだと思うわけであります。
 神戸・淡路大震災のときに、多くの市民たち、ボランティアあるいはNPOの方々が神戸に参集したわけでございますけれども、この現象は、既に一九八〇年代から起こっておりました、ただいま申しましたような市民活動、NPOの活動の流れの一つの結晶であったというふうに考えてよろしいのではないかと思うわけでございます。ただ、この神戸・淡路島大震災の悲惨な状況の中で、日本でいかにこのようなNPOあるいは市民活動を行うことについて多くの制約があるかということが、初めてと言っていいほど浮き彫りにされたのではないかと思うわけでございます。
 そういったことで、世界じゅうに先ほど申し上げましたようなNPO、市民活動の組織が爆発的な伸びを示している中で、日本のみがそのような素地がまだ十分にできていないということでありまして、外国から見れば、日本が変革を行えない、あるいはいつまでも官僚のみが支配する普通の国ではないというふうに見られても仕方がないんだと私は感じておる次第でございます。
 このような状況でございますから、市民活動及びNPOの活動を推進するための法案をぜひ早急にまとめていただき、今国会中に成立させていただく乞うに、議員各位にお願いを申し上げる次第でございます。
 既にいろいろ修正の御努力があるわけでございますが、その最終的な法案の修正及び合意に至るプロセスにおいて、これまで申し上げたことに基づきまして、次に項目的に申し上げます点について特に御留意いただければありがたいと思います。あるいは既に修正が成り立っている、あるいは修正に向かっている部分もあるのかと存じますけれども、繰り返しになるとすればお許しいただきたいと思います。
 第一に、NPO法人あるいは市民活動法案の設立の認証をなるべく簡素化して、限りなく準則主義に近づけていただきたいということでございます。私自身、現在、財団法人、民法三十四条の法人の資格を持っているわけでございますけれども、許認可のプロセスから監督官庁のコントロールが非常に始まるわけでありまして、往々にして、その結果として、官庁が財団法人、民間法人の活動に介入するということがあるわけでございます。さらに言うならば、そういった認可をとるために、監督官庁の人間を財団法人の中に雇うというか、天下っていただくということが一番手っ取り早いということで、多くの公益法人の中に官僚が入っていらっしゃることは皆さん御存じのことだと思います。
 第二に、同じようなことでございますけれども、NPO法人の日常の活動においての官庁の監督の要素をなるべく排除し、むしろ法人側がその活動内容について透明性を厳守いたしまして、自己責任、アカウンタビリティーを明確にすべきだというふうに考えるわけでございます。いろいろな手続の要請が、結局、官庁のNPOの活動への介入の原因になるということは明らかでございます。社員名簿の提出などの規定がある段階の草案に出ておりましたけれども、このような煩雑な手続はぜひ避けていただきたいというのが強い希望でございます。
 第三に、NPO法人の活動範囲が一定の地域に限られるようなことのないようにお願いいたしたいと思います。相互依存関係の深まる世界において、地域的な活動はおのずから国際的なつながりを持っておるわけであります。
 第四に、今後のNPOの活動がより定着するためには専門性の確立が必要なわけでありまして、そういった意味で、報酬を受け得る社員の数を限定するというようなことはNPOの発展を阻害するものだと考えます。
 もちろん、与党三党の法案に税制上の優遇策が盛り込まれていないことについてはNPO関係者の中にも不満があるわけでありますけれども、これについては、とりあえず二年以内に検討するという附帯修正条項を入れるということが検討されているというふうに伺っておりまして、それをもってよしとするべきではないかと私は考えるわけでございます。
 もちろん、NPOをめぐる法制的、税制的環境が一朝一夕に完全なものになるとは思わないわけでありまして、とりあえずの法案を通していただければと思うわけでございます。とりあえずと申しましても、現在修正が考えられております与党三党及び民主党が修正をされている法案は、これまでの問題点の幾つかを相当改善されておるわけでありまして、これを中心にさらに御審議いただきまして、できることならば全党一致で今国会中に成立させていただきたいと強く希望するわけでございます。
 なお、この法案をつくるプロセスにおいて、相当私どもNPO関係者の意見を各党が聞いてくださっていることについては、深く感謝を申し上げたいと思います。いろいろ直していただきたいことにつきましては、私のメモに書いてあるとおりでございます。
 もう一つ申し上げたいのは、この法案の成立が日本の社会システムのあり方にとって非常に大きな意味を持つということであると思います。今後、NPOが一層発展いたしまして、より多くの、日本の将来を担う若い方々を含む多くの市民が活動に参加できるような状況をつくることが、日本の社会のあり方自体を変えていくのだと思うわけであります。
 官僚を批判しながらも、肝心なことになると常に行政に頼ってしまうというのが日本の市民の一般的な傾向であるわけでございまして、このような点を変えていかない限り、行政改革を含めて本当の意味での改革が行われないのではないかと思うわけであります。その意味では、今回の法案作成のプロセスで議員各位の皆さんと議論し、協力してこられた多くのNPO関係者の姿を見ますと、日本の社会を変える非営利革命とでもいうものが着実に起きているのだと思うわけであります。この非営利革命の流れはもはやとめようのないものだと信じますが、この流れを一層強めるために、議員各位のお力をいただきたいと思うわけであります。
 最後にお願いでございますが、めでたくこの法案が成立いたしました暁には、これで一件落着てあるというふうに思っていただきたくないということでございます。NPO法案につきましては、申し上げましたとおり、寄附免税等、御検討いただくことがまだ多々あると思うわけでございます。私のセンターのように民法三十四条に基づく公益法人のあり方、また特定公益増進法人による免税措置のあり方等につきましても、日本の非営利セクターが抱える多くの問題について引き続き抜本的な改善が必要だと思うわけでございまして、ぜひ御検討を続けていただければと思うわけでございます。
 これらにつきまして、国会議員の皆様と行政の皆様と、それから我々NPOの関係者が一緒になっていろいろ御相談し協議し、日本において非営利セクターがより着実な発展を遂げるように御協力させていただきたいと思いますし、議員各位の御協力をお願いする次第でございます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 114004914X00119970603_002

発言者: 山本正

speaker_id: 2540

日付: 1997-06-03

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会公聴会