高比良正司の発言 (内閣委員会公聴会)

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○高比良公述人 芸術文化団体のネットワーク組織であります、PANと通称言っています、事務局長の高比良でございます。
 最初に、芸術文化団体の状況について簡単に御紹介をさせていただきます。
 芸術文化団体はNPOかというふうに時々聞かれることがあります。確かに営利事業の団体もあるわけですが、全体的には大半が非営利目的で活動しております。例えばPAN構成で見ても、三千団体中約六割が非営利団体、NPOであります。
 また、芸術文化活動も最近では非常に多様化してきております。大きく分けて、舞台創造に携わる芸術団体、あるいはそれを鑑賞する市民組織というのもあるわけですが、最近は、鑑賞だけではなくて市民みずから創造、表現活動に参加する、いわゆる市民参加型の文化活動が非常に活発になっております。また、阪神・淡路大震災でも重要な役割を果たしている、心をいやすための音楽家による音楽セラピー、あるいは俳優たちによる演劇ワークショップなど、ボランティア活動も急速に広がっています。また、森繁久弥さんが代表の日本俳優連合でも、ボランティア委員会などを設置して市民活動への参加を始めております。
 こうした活動を私たちは市民文化活動というふうに総称しております。PANの構成団体でも市民文化団体が最も多く、こうした団体の多くは、地方自治体などと協力して地域振興や町づくりといったものと深く結びついて活動を展開しております。それだけに、芸術文化活動は今後ますますNPOの重要な一翼を担っていくというふうに考えているわけです。
 さて、今回の法案についての芸術文化団体の受けとめ方についてですが、法案成立への切実な期待は他の市民団体と全く同じ気持ちです。PANの構成団体の五割が任意団体で活動しており、社会的人格を持つことへの希望は大変強いものがあります。
 また、私たちは特定の法案だけを支持する立場をとらないできました。それは、議員立法として画期的な三つの法案が提出されているので、少しでもよいところを取り入れていただきたいと願ってきたからです。
 特に、与党案、新進党案は特別法なわけですから、一定の制約はやむを得ないということをよく理解しております。その前提の上に立って、私たちは与党案、新進党案に修正の要望をしてまいりました。新進党案は修正の御回答をいただいたわけですが、与党案は現時点では困難であるというふうに聞いております。私たちは最後の最後まで要望を続けたいというふうに思っておりますし、今国会でもぜひその可能性を探っていただきたいというふうに考えております。
 与党案への修正要望内容は三点であります。私たちの要望は、去る四月十五日、芸術文化、福祉、労働団体等との共同提案にすべて集約されております。これは、昨年同じ趣旨で国会請願をしており、その際、全国会議員の七五%、五百四十名に上る議員に賛同していただいて、紹介議員になっていただいた内容でもあります。
 その第一は、定義における不特定多数の利益の増進についてであります。これは、新進党案の市民公益の概念についても同じ要望を出しております。私たちNPOが社会的な公共の利益のために活動するというのは当然のことです。一般的な公益活動を否定しているわけではありません。問題はその解釈にあるというふうに考えております。これまで、不特定多数の利益は、多くの場合、行政の公益判断として使われてきました。その中で、特に会員制の団体は不特定多数ではないとして公的支援が受けにくかったり、あるいは施設の利用料金が割高になったりと、大きな障害となってきました。
 芸術文化活動は、一定の財政基盤を必要とするため、どうしても会員制をとる工夫をしてきたわけです。特に舞台芸術は、テレビや映画と違って、限られた対象で成り立つ特定性に特徴があります。しかし、この場合でも、だれでも自由に参加できる形態はすべて保障しているわけです。アメリカのNPOにおける公益概念の、対象となるクラスを差別化しないというとらえ方は、私たちにとって大変わかりやすい考え方だと思っております。
 そこで、不特定多数の利益によって著しく対象が狭められることのないように、従来の公益概念ではなく、新しい考え方で柔軟な解釈をしていただきたいというのが第一点であります。
 第二点は、税制上の措置についてです。これは要望の中でも最も切実な内容だと考えております。
 与党案の税制措置は、人格なき社団並みとなっております。私たちも、この間、四十七すべての都道府県で、他の市民団体にも呼びかけてフォーラムを開催してまいりました。税制優遇を望む声はとても大きいです。税制優遇がないのなら、任意団体のままでやるか、あるいは、国際活動をしている団体は、アメリカNPOの税制優遇指定五〇一(c)を取得するしかないのではないかといった悩みも出されています。現に、もう待てないからと、五〇一(c)を取得した芸術団体も既にあります。
 特に、芸術文化活動は、すべて収益事業の興行業というものにくくられてしまうという厳しい現実を抱えております。例えば、子供たちは、学校や地域で、年間一千万人を超える舞台鑑賞をしております。文化はぜいたくとしてつくられたあの入場税でさえ、教育的な非営利活動には非課税や免税措置がとられてきました。このような歴史的な経過を見ても、今後、法人税法のあり方を含めた税制の検討はどうしても必要ではないかと考えております。
 もちろん、税制優遇は、単に税金を安くまけさせるという問題ではない、これは当然のことです。寄附税制の優遇をとってみても、市民が市民活動を支えるシステムづくりの一つであり、第三セクターとしてのNPOを確立する上でのかなめであると考えております。
 これは、芸術文化団体だけではなく、NPO全体の共通の願いではないでしょうか。NGO、社会教育団体、日本青年会議所、こういった団体も同様の要望書を国会に出しており、社会的責任を担っている団体であればあるほど、税制はどうしても避けられない最重点のテーマです。
 税制優遇の具体的内容は今後の議論として、せめて、附則に明記し、法制定後の検討の道筋を明確にしていただきたいというふうに切に願っております。
 第三点は、民間非営利法人一般法についてです。
 今回の法案づくりの議論に参加してきて思うことは、特別法としての制約や限界を解決していく上では、今後、非営利法人一般法を展望していく必要があるのではないかということです。
 本特別法が成立したとして、民法改正を踏まえた非営利法人一般法について、今後、総合的に検討していくことを何らかの形で確認していただくことを切に要望して、私の発言を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 114004914X00119970603_004

発言者: 高比良正司

speaker_id: 23323

日付: 1997-06-03

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会公聴会