森本敏の発言 (日米安全保障条約の実施に伴う土地使用等に関する特別委員会)

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○森本参考人 米国は、昨年、一九九六年ごろから冷戦後の国防政策について少しパターンを変えてまいりまして、先生今御指摘のように、本来、国家の防衛というのは、抑止、そして抑止に失敗した場合、対応という、この二つの段階で国家の防衛、国家の安全保障を担保してきたわけですが、そのもう一つ前段階として予防防衛、英語で言うとプリベンティブディフェンスという考え方をアメリカが取り入れたわけです。これは米国のみならず、現在、国際社会の中で、防衛の面では予防防衛、外交面では予防外交という非常に大きな安全保障上の一つの手段になっています。
 この意味するところは、そもそも抑止というものを働かせるとは、現実に脅威がある、あるいは脅威が来るかもしれないという可能性が非常に高い場合に、抑止ということがあるわけです。例えば、我が国にとって言えば、我が国の周辺地域から来るいろいろな脅威あるいはリスク、危険等を念頭に置いて国家の安全保障を考える場合、抑止という対応をとるわけですが、予防防衛あるいは予防外交というのは、我が国と距離的にもっと離れた地域における地域全体の安定をいかにして確保していくか、そのために各国がどのような協力ができるかというコンセプト、概念であります。
 アメリカは、冷戦後に、米国の海外におけるプレゼンスをこのような予防防衛という手段のために第一段階として使って、具体的に言うと、同盟国との共同演習、あるいは友好国との安全保障協力、あるいは対話の推進、信頼醸成措置の促進といった、いろいろな抑止の前段階の努力を行う、このことによって地域の安定を図る、このような考え方に立っています。
 我が国も、この予防外交というのを外交上の重要な柱の一つとしておりまして、具体的に言いますれば、アジア・太平洋における平和と安定を確保するため、個々の信頼醸成措置に伴ういろいろなイニシアチブをとり、防衛庁や外務省が、周辺諸国との安全保障対話、あるいは軍艦その他の相互交流、あるいは軍人等の交流、あるいは個々の信頼醸成措置のための外交努力、例えば防衛白書を出すとか、あるいは国連の通常兵器移転登録制度に積極的に加わっていくとか、あるいは海上の安全保障、あるいはPKO等の協力に乗り出すといった、個々の努力を通じて地域の安定を維持し、そのことによって国家の防衛の努力、すなわち、防衛力というものをできるだけ少なくして国家の安全保障を維持するというのが冷戦後の安全保障の一つの傾向でありまして、そのことについて政府が累次努力しているところだろうと思います。
 私は、政府の人間ではありませんけれども、間接的にいろいろな作業に加わって、この分野では日本はアジア・太平洋の中で突出して努力をしている国だというふうに考えております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 森本敏

speaker_id: 34495

日付: 1997-04-09

院: 衆議院

会議名: 日米安全保障条約の実施に伴う土地使用等に関する特別委員会