林正和の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○政府委員(林正和君) それでは、私の方から社会資本の整備、社会保障に関します財政上の課題ということで、長期的なお話になるかと思いますが、お手元の資料に基づきまして簡単に説明させていただきます。
 最初に、社会資本整備の方から申し上げたいと存じます。
 お手元に「社会資本整備の現状と課題」というのがございますので、お目通しをいただきたいと存じます。
 初めに、一ページでございますが、社会資本の整備、これは公共事業を初めといたします公的固定資本形成というものが国、地方全体のいわば社会資本整備に充てられているお金でございますが、これが日本経済の中でどういうウエートを占めているのかというのを国際比較したものがございます。この一ページの上の表でございます。
 これを見ていただきますと、白いぽつぽつの部分が公的部門の行っております社会資本整備でございますが、GDP、経済に占めますウエートが、日本をごらんいただきますと六・六%ということでございます。黒い方が民間の、いわば社会資本整備といいますか固定資本形成でございますが、これを見ていただきますように、欧米主要先進諸国と比べますと日本の公的固定資本形成の経済に占めるウエートが高いという実態にございます。こうしたことはこれまでの現在の日本の経済構造といいますかあるいは社会資本の整備状況、こういうところからきているわけであります。
 それでは、社会資本の整備状況はどうかということでございますが、その下に下水道を一つ掲げてございます。これをごらんいただきますように、下水道をとりますとまだまだ先進主要国に比べておくれているということでございます。
 二ページを見ていただきますと、今申し上げました下水道の普及率のほかに幾つか指標をとってございます。特に、戦後日本は社会資本整備にかなり力を入れてやってまいりましたわけでございます。その結果かなり欧米主要先進国と肩を並べるものもございますが、まだ物によってはごらんのような数字になっておるわけでございます。これから高齢化社会を迎えるに当たって、こうした社会資本整備をどのような段取りで進めていくかということが一つの課題になっているわけでございます。
 それでは、こうした社会資本整備をやっております国のベースで見たときには、これまでどんな状況かというと、三ページをごらんいただきますと、いわゆる国の一般会計におきます公共事業関係費の計数が出てございます。
 四十年以降書いてございますが、ちょっと細かい数字で恐縮でございますが、公共事業関係費の一般会計に占めますウエートといいますか、政策の中でのウエートづけというのがどんなことになっているかというのを見ていただくために、右から五欄目にいわゆる公共事業関係費の一般会計予算に対するウエートが書いてございます。B分のDというのをちなみにごらんいただきますと、昭和四十年度は二〇・一六、一般会計の約二割を公共事業関係費で占めておりましたが、これがずっとウエートが下がってまいりまして、九年度を見ていただきますと、一般会計に占めますウエートが一二・七二%という状況になってきているということでございます。一般会計の約一二%程度のお金でやっているということでございます。
 これがどういうところに使われているのかというのが四ページでございますが、これはちょっと長い時系列で見たものでございます。いわゆる公共事業の事業別のシェアの推移というものを見たものでございます。
 もう先生方御案内のとおり、戦後、当時の社会経済情勢を反映いたしまして、当時の公共事業は、例えば開拓でありますとか、あるいは農業水利でありますとか、あるいは戦後の戦災の復興、あるいは住宅の供給、あるいは災害復旧というところに昭和三十年代の前半までは大観いたしますと充てられてきたのだろうと思います。その後、昭和三十年代の後半から高度成長が始まりまして、いわゆる交通系あるいは成長に伴うインフラ整備というものに重点が置かれてまいったわけでございます。
 「区分」の次の四十年のところを見ていただきますと、道路整備に四七・二七%、公共事業関係の四七%が充てられているということがおわかりいただけるかと思います。これが一番右の九年度にまいりますと、二七・九七%ということになってきているわけでございます。ただ、このあたり、四十年代高度成長がずっと進みますと、それに伴います諸問題も出てまいりました。そういうものに対応するために、例えば下水道の欄を見ていただきますと、昭和四十年二・二五%でありましたものが、平成九年度には、一番右の欄、一二・三五というシェアのアップが図られてきているわけでございます。
 そのほかも幾つか数字を見ていただきますと、それぞれ時代の要請に即応するような形で公共事業の配分が変わってきているということを御理解いただけるかと存じます。
 五ページはその中身でございますので省略をさせていただきまして、六ページでございますが、これは平成九年度の公共事業の配分表でございます。
 既に御案内のところでありますけれども、平成九年度におきましてば、私ども、社会経済情勢の変化あるいは国民のニーズということを踏まえまして、生活の質の向上あるいは経済構造改革あるいは防災でありますとか自然環境、こういうものに配慮をした配分をしているところでございます。
 この伸び率の欄を見ていただきますと、港湾、漁港、こうしたところは社会資本の整備水準等を総合勘案いたしまして八年度に比べてマイナスにする一方、大きな伸びのところを見ていただきますと、自然公園、これは一〇・〇でございますが、そのほか森林環境九・九、こうしたところに重点を置いているところでございます。
 また、それぞれの事業の中身におきましても、お手元の七ページを開いていただきますと、例えば上から四番目の道路整備を見ていただきますと、一般の道路整備は三角の三・六ということでございますが、国民のニーズの強い高規格幹線道路整備につきましては一三・七%の伸びにする。あるいは、港湾は全体としてマイナスでありますけれども、特定重要港湾等につきましては一〇・五と高い伸びを示しているところでございます。あと、漁港につきましても全体としてはマイナスでございますが、漁業集落環境整備事業につきましては一五%というようなことで、それぞれの事業の中でもごらんいただきますようにかなりめり張りをつけているということでございます。
 公共事業につきましては、一つのこれは伝統的な、治山治水というようなことで伝統的に分類をしておるわけでございますが、その機能に着目して私ども近年分類をさせていただいております。それが十一ページでございます。
 十一ページを見ていただきますと、この区分の欄をごらんいただきますと、国土保全、交通、住宅あるいは農水産物供給基盤整備というようなことで、いわば一つの試算としてこのような分類もしているということでございます。
 それから、平成九年度におきましては、既に御案内と存じますが、十二ページに書いてございますが、いわば事業の縦割りの弊害を排除しようということで、国土庁に新しく総額二百億の調整費を計上いたしまして、各省が共通して、十五ページに例がございますが、例えばこうした事業を円滑に実施できるようにということで措置をしているところでございます。
 それから、これからの公共投資を考える上で、一つは予算委員会等でもいろいろ御議論ございます公共投資基本計画、これのポイントとなるところを十六ページに書いてございます。
 計画の基本的考え方は、一番上のパラグラフにございますが、「人口構成が若く、経済に活力のある現在のうちに、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提として、」社会資本整備を進めていくということで、公共投資の規模としておおむね六百三十兆ということを今後十年間の投資総額目標にしようということで、六年に決められたものでございます。なお一この計画には、十七ぺ-ジの真ん中のパラグラフにございますが、円滑な執行とあわせて建設コストの低減ということもうたわれているところでございます。
 なお、いわばこれの内訳のような、必ずしもその積算の中身ではないんですが、公共事業につきましては現在十六本の長期計画がございます。十九ページにその一覧を書いてございますが、昨年末の予算編成ではこの米印のつきました三つについて事業規模が設定されているところでございます。
 以上、公共投資につきましてざっと計数を見ていただきましたが、これからの公共投資、社会資本整備ということを考える上での大きなポイントと申しますと、既に御案内のこととは存じますが、私ども大ざっぱに言って三つあるだろうと思います。
 一つは、公共投資の全体の量をどう考えていくかということでございます。
 冒頭、一番最初に見ていただきましたが、我が国の社会資本整備の水準が欧米諸外国と比べてまだ低いという実態を反映いたしまして、経済の中におきます公共投資のウエートが諸外国に比べると大きゅうございます。これを将来的にどう考えていくか、これは日本の経済構造をどうするかということとも関連してくるわけでありますが、この点についての展望をどう描いていくかということ、これが一つのポイントだろうと思います。
 これの関係で、あと景気との関係をどう考えていくか。財政制度審議会等では、既に欧米先進国では景気対策の手段として社会資本整備、公共事業を使うところは余り見かけないというような報告が御案内のとおりなされておりますけれども、この点について景気との関係をどう考えていくかということが問題になってくるだろうと思います。これが第一のポイントだろうと思います。
 それから二番目が、よく議論になりますいわゆる公共事業の配分でございます。どういうところが国民のニーズが高いか、どういうところに配分をしていくべきかという議論だろうと思います。
 ただ、これはその時々の社会経済情勢を反映したものとなりますので、先ほど見ていただきましたように長い目で見ると変わってきておるわけでありますけれども、ただ公共事業全体の予算の伸びが小さい中で非常に固定的な配分がされているという批判がなされているのは御案内のとおりでございまして、これをどう考えるかということが第二のポイントになろうかと思います。
 それから第三番目は、実施面での問題であります。
 一つは、公共事業のコストをどう考えるか、コストが高いという批判が今ございます。これは、いっときバブルのときには非常に公共事業の積算がきついということで随分入札不調のようなケースもございました。ただ、今はこうした経済情勢の中で諸外国と比べてもコストが高いではないかという批判があるわけで、これにどうこたえていくか。
 政府の方では関係閣僚会議が設けられまして、この三月末までにコスト低減策、その具体的な目標を定めるということで作業をされておられますが、このコストの低減をどう図っていくかということ、それから事業の実施の重点化をどうやって図っていくか、あるいは各省それぞれ事業をやっておられるわけですが、こうしたことを全体としてどう効率的にやっていくかということが三番目のポイントになるだろうと思っております。
 以上、はしょりましたが、社会資本の整備については以上でございます。
 それから、引き続きまして社会保障につきまして簡単に御説明をさせていただきます。
 お手元の資料をごらんいただきたいと存じますが、まず最初に、これも公共事業同様、現状と、あと将来の姿についてちょっと計数を見ていただきたいと存じます。
 一ページを見ていただきますと、「平成九年度一般会計予算と社会保障」ということで円グラフがございます。これは御案内のとおりでございますが、社会保障全体として十四兆五千億円余り、一般歳出の三分の一を占める状況になってございます。国の三分の一という極めて大きいウエートを占めておるわけでございます。
 これを大ざっぱに内訳がどういうことになっているかというのが一ページの右の枠でございますが、これをごらんいただきますと、一番大きいのが医療費でございまして、六兆五千億円余り、次に年金が四兆一千億余り、福祉・その他で三兆八千億ということでございます。
 社会保障のウエートが一般会計の中でこのようなウエートであるということでございますが、それが経年的に見ますとどうなっているのかということが二ページでございます。
 二ページの、先ほどの公共事業と同じく社会保障予算の一般会計予算に占めますウエートを見ていただきますと、このちょうど真ん中あたりにB分のCというのがございます。御案内のとおり、昭和四十八年がいわゆる福祉元年と言われた年でございますが、その前年の四十七年を見ていただきますと、B分のC、一般歳出に占めます社会保障関係費は一八・六%でございましたが、それがごらんのようなことで徐々にウエートを上げてまいりまして平成九年度三三・二ということで三分の一、これが社会保障になっているということでございます。
 そうした負担の関係を見ていただきましたものが三ページでございます。
 三ページを見ていただきますと、欧米主要先進国と対比をいたしまして租税負担と社会保障負担を書いてございますが、これもよく言われることでございますが、従来はアメリカ程度でありましたものが高齢化に伴いましてアメリカを抜き三八・二%になっているということでございます。
 これは、その下にございますが、老齢人口比率をごらんいただきますと、大体これに比例しているということで、今後日本の少子・高齢化が進みますにつれてこれが上がってくるということになるわけでございます。
 今のは予算でございますが、給付費の方を見ていただきますと、四ページでございます。
 社会保障給付費、平成六年度で六十兆余りでございますが、年金、医療、その他を見ていただきますと、ごらんのようなことで年金が給付費として半分以上を占めてきているという状況でございます。
 今後どうなるかという推計でございますが、五ページを見ていただきますと、厚生省社会保障関係八審議会会長会議で計算をされたものでございます。この中ほどの試算結果、社会保障の給付と負担の関係を見ていただきますと、社会保障に関連いたします負担、これは税と保険料でございますが、上の方の枠を見ていただきますと、平成七年度を見ていただきますと十八カニ分の一でございます。二〇二五年を見ていただきますと、幾つかの推計はできるわけでございますが、二八%あるいは三五%を超える、国民所得比で超えるという推計がなされているわけでございます。
 六ページを見ていただきますと、せんだって人口問題研究所から日本の将来推計人口が発表されております。中位の推計を見ていただきましても、ごらんのような数字でございまして、平成六十二年、二〇五〇年には一億人ということで、六十五歳以上の割合が三二・三%ということで、一番右の欄、平成四年九月、前回の推計に比べますと、総人口が減り六十五歳以上人口の割合が高くなってきているということでございます。
 社会保障の問題につきましては、少子・高齢化社会に適合した制度にしていくということが基本なわけでございますが、その中で、平成九年度におきましては、医療保険制度につきまして改革を御提案させていただいているところでございます。
 八ページを見ていただきますと、「医療保険制度改革案の概要」というのが書いてございます。これも御案内のとおり、三十六年に国民皆保険制度ができましたわけでございますが、現在、少子・高齢化という中で、医療保険制度の安定的な運営を確保しなければ皆保険制度が崩壊につながるという状況にございます。このため、中身については省略させていただきますが、お手元のようなことで、まず段階的に進めていく第一弾として医療保険制度の改革を御提案させていただいているところでございます。
 なお、この後も引き続き、需要側、供給側、あるいは現在の保険から医療機関に対する支払いのあり方、こういうものも含めて、これから改革をさらに引き続いてしていく必要があるという状況でございます。
 お時間がございませんようですので資料の説明は以上にさせていただきますが、結局、この社会保障を長期的に考えますときに、先ほど申し上げましたように、少子・高齢化への対応をどうするかということが基本なわけでありまして、そのためには、経済、社会とのバランスをどうとっていくか。これから安定成長、低成長経済にいきますと税収も当然落ちてまいります。あるいは給与の伸びが下がる、従来に比べて下がっていくということで、社会保険料の伸びも落ちてまいります。そういう中で、こうした経済、社会とのバランスをどうとっていくかということ、あるいは医療もそうでありますが、特に世代間扶養の考え方をとっております年金につきまして、世代間の負担のバランスをどうとっていくかということが今後の社会保障に関する課題であろうかと存じます。以上、大変簡単でございますが、冒頭の説明にかえさせていただきます。

発言情報

speech_id: 114014324X00219970212_002

発言者: 林正和

speaker_id: 29740

日付: 1997-02-12

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会