三重野栄子の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。
 私は、本調査会のこの一年間の調査会活動を踏まえまして、社会資本整備及び社会保障のあり方について幾つかの見解を申し述べさせていただきます。
 まず、社会資本整備のあり方でございます。我が国の社会資本は、着実に整備が進められてきた結果その整備水準は近年向上してまいりましたが、部門によっては地方におくれが見られるものがある一方で、道路混雑、通勤混雑、環境汚染、大災害あるいは水不足など都市化の進展にその整備が追いついていないといった実情も見られます。特に、生活関連分野でのおくれは国民生活に大きな影響を与えるものでありまして、豊かさが実感できない要因ともなっています。
 安全で快適な国民生活を実現するためには、生活を取り巻く住宅や生活環境施設が一定の水準で整備され、それが適切に配置されていることが重要となります。このため、公共投資の配分に当たりましては、豊かな国民生活の実現に向けて生活関連の社会資本への配分の重点化を必要とします。
 また、生活の豊かさは、日常生活の中でどれだけ身近に自然の緑や水辺空間に接することができるかといったことにも依存するものでありますから、こうした自然の保護を図るためには、自然がもたらす潤いや安らぎといった面を経済的に評価するとともに、公園、緑地等の整備を進める必要があります。同時に、自然災害等に備えた安全な住宅市街地の形成には市街地内のオープンスペースを確保する必要がありますが、道路、公園、緑地などの公共施設の整備はこの面からも必要であります。
 また、毎年のように夏になりますと渇水が起きております。これは近年の少雨傾向と生活水準の向上や生産活動の拡大等による一人当たりの使用水量が増加傾向にあることなどから、水資源の安定的な利用が困難になり、水需要の逼迫している地域を中心に渇水に見舞われているということがあると思います。水は国民の生活や命にかかわるものであり、安全でおいしい水を確保することは快適な生活環境にとって重要なものであります。そのためには水源涵養機能の回復や森林の保全などに努める必要があります。
 また、都市化の進展などに伴い水の需要が増大していくことを考えますと、水を大切に使うこと、すなわち雨水の利用を含めた水の循環利用や節水に積極的に取り組むこと、具体的にはトイレの洗浄水や庭の水まき、車の洗車などは雨水や汚水の再利用など中水道の整備も必要になってまいります。
 一方、高齢者や障害者、妊婦や子供など国民だれもが安心して生活を楽しめるようにするために、福祉の町づくりを進めていくことも重要であると考えます。
 最近は、建築物の出入り口の段差の解消や安全で快適な移動ができる幅の広い歩道の整備などの設置といった施設の改善が見受けられるようになりました。施設のバリアフリー化は、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建設の促進に関する法律、すなわちハートビル法等により進められておりますが、現在は車いす使用者の方を中、心とした整備がほとんどでありますから、視覚障害者や聴覚障害者などより広い範囲内での障害を持った方への対応を考えた整備が必要であると思われます。
 また、生活水準の向上、自由時間の増大等は、多様で個性的な文化をより高い水準で身近に求めよりとする機運が高まってきております。国民一人一人が音楽や絵画等のすぐれた芸術、文化を鑑賞でき、かつみずからが主体的に新たな文化、学習活動を展開できる基盤の整備及び環境の醸成を求めています。
 このために、図書館、美術館、博物館、公民館等文化施設につきましては、それぞれの施設を有効利用できるよう広域的な利用を踏まえた立地を考えるとともに、運営面でも施設間の連携を深める必要があります。
 また、専門化、高度化したニーズに対応するためには、文化活動に携わる人材の養成や文化に関する総合的な情報活動を行う必要があります。
 次に、社会保障のあり方について申し上げます。
 近年の急激な人口構造の変化や長寿命化等によるライフサイクルの変化が社会保障を初めとして経済社会全般に影響を与えておりまして、今後の高齢化の進行等によってはその影響が一層拡大していくものと考えられます。
 少子・高齢化、国際化、情報化等が進展する二十一世紀の経済社会におきましては、まず高齢者が経済的に自立した豊かな生活の確保を図るために、高齢者の雇用機会の拡大あるいは知識や経験を生かして、生きがいを持って過ごせる社会参加の場を積極的に確保していくことも重要となります。
 また、加齢による身体機能の低下は避けられないことから、高齢者が生涯を通じて健康を維持できますように、生涯の各段階に応じた生活全般にわたる健康管理と生活環境の整備が重要であります。
 特に、後期高齢者の増加に伴いまして要介護者が増加し、また家族形態や国民の意識の変化等によって家族の介護機能が低下する中でその基盤の早急な整備が必要となります。
 一方、少子化が急速に進展する中で若年労働力人口が大幅に減少することなどから、経済社会の活力が失われかねないものと考えられております。仕事と育児の両立の難しさや、子供を産み育てる経済的コストの高騰などの経済的、社会的環境の変化を踏まえまして、少なくとも子供を持ちたい人が安心をして育てることができ、子供が産まれ育ちやすい環境整備が必要であります。
 具体的には、まず、生涯を通じて健康で安心できる生活を保障することであります。このためには、六十五歳までの継続雇用の法的整備を図るとともに、六十五歳以降も働ける限り就業できるシステムの整備が必要であります。
 また、雇用環境の整備に当たっても、高齢者のニーズに即した多様な就業機会を用意するとともに、労働災害に対する備えも必要であります。
 次に、雇用と年金の連携を確保することであります。
 六十歳代前半の高齢者雇用の状況を踏まえ、公的年金の支給開始年齢の引き上げ時期を再検討することも必要であります。また、子育てについては、特にその経済的負担を軽減するため、育児休業期間中の給付水準の引き上げ、児童手当の増額、支給期間延長が必要であります。
 次に、夫婦の共働きが一般化していること等を踏まえ、多様な保育ニーズにこたえていくことが重要であります。このため、職業と家庭の両立を図るため、就業時間と保育時間が連携した保育サービスが必要であります。今後、少子・高齢化が急速に進展する中で、家庭と仕事の両立を図るため、育児休業期間の延長と介護休業制度の早期定着に努めるべきであります。特に、介護休業期間中における経済的支援策については検討を進める必要があります。
 そのほか、高齢社会対策基本法の趣旨を踏まえまして、従来の枠組みにとどまらず、教育、社会参加、生活環境等の関係諸施策、制度との整合性を図り、かつ抜本的な見直しを行っていく必要があります。前にも申し上げましたが、特に住宅の高齢化への対応や福祉の町づくりは、高齢者が自宅や地域において生きがいを持った生活を営むための基本をなすものであり、その積極的な推進が必要であります。
 また、近年の医療、福祉、情報通信分野における技術開発には目覚ましい進歩があり、こうした成果を適切に取り込み、社会保障サービスを向上させ、効率化していくことが重要であります。さらに、高齢者や障害者の社会参加や自立を確保するためにも、高齢者や障害者が利用しやすい情報関連技術の推進も重要であります。
 以上の視点を踏まえて、二十一世紀の社会保障を構築していくことにより、経済社会の活力を維持、発展させ、豊かな国民生活を実現していくことが重要であると考えます。
 以上で終わります。

発言情報

speech_id: 114014324X00819970528_008

発言者: 三重野栄子

speaker_id: 26340

日付: 1997-05-28

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会