久世公堯の発言 (予算委員会公聴会)

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○久世公堯君 屋山先生、芳澤先生、きょうは早くからどうも御苦労さまでございました。また、今それぞれお話を承りまして、私はこれから両先生に対して御質疑を申し上げたいと思います。
 まず、屋山先生の行財政改革でございますが、最初に御指摘になりましたジャパン・パッシングを招いているという日本の経済的な観点からする行政改革と申しますか行財政改革の問題でございます。
 御指摘のように、空洞化ということが言われましてからもうかなりたつわけでございますが、最初は特に東アジアにおける産業の空洞化の問題を中心に議論されておりましたが、最近では、産業、流通、金融、さらにはマンパワー、こういうあらゆる面における空洞化が言われているわけでございます。先生も御指摘になりましたように、留学生とか、特にノーベル賞受賞者などはそういう意味におけるマンパワーの空洞化の一例かとも思われるわけでございます。
 そこで、特にごく最近、先生が空港とか港湾の流通問題についてかなり御指摘になっているのは、実態は私も全く同感でございまして、これが非常に問題であることはもう御指摘のとおりでございます。また、その前提としての経済構造の問題も非常に大きいと思うわけでございます。
 今、橋本総理が、行財政改革を単なる行財政改革一つとして改革を言っているのではなくて、六つの改革の中の一つとして、かつそのかなめとして行財政改革を言っておられますのも、経済構造改革なくしては行財政改革もあり得ないんだという趣旨から申しますと、産業構造の大改革をしなければいけない。同時に、今、通産省は、単に産業構造の改革を中心とする経済構造改革だけじゃなくて、高齢化、少子化という社会保障構造改革の面から、空洞化と社会保障構造改革の両面から経済構造改革をしなければいけないというのもその点だろうと思うわけでございます。
 こういう橋本総理の言われる六大改革、特に経済構造改革と先生の御指摘になっておられます流通における空洞化、その関連というものをどのようにお考えになっておられるのか、第一点目としてお聞きしたいと思います。
 それから二点目では、規制緩和のお話がございました。これは先生も御指摘になっておられますように、日本の法体系というのが、行政手続法とか独禁法とかPL法とか、これは特に行政手続法、PL法が曲がりなりにもできている。それに対して独禁法も抜本的な改革をしなければいけないし、情報公開法も、私どもはこの秋いよいよ成文化をして来年は国会に提案されるというふうに聞いておるわけでございますが、そういう一般法ではなくて個別の業法でやってきたところに問題がある、こういう御指摘でございます。
 その点、私はある意味においては同感をいたしますけれども、同時に、一国の行政に対する法体系のあり方というのはそれぞれの国によって異なっているわけでございます。私も行政手続法やそういうものを多少運用したことがございますが、考えてみますと、一般法ももちろん必要だけれども、やはり日本というのはどうも個別法による行政というのが一般的であり、またそれによってそれなりの成果も上げてき、また逆にそれなりの問題点も包蔵してきたんじゃなかろうか、こういう感じがしてならないわけでございます。
 そこで、今、橋本政権におきましては、規制緩和というのを、もちろん前の村山政権からやってきていることでございますが、ようやく最近は、特に橋本政権になってから個別法における規制緩和というのが目に見えてきたと私は思うわけでございます。
 それは、例えば運輸省関係の規制緩和も近々発表になりますけれども、これによってかなりの規制が緩和されるのではなかろうか、流通面も。それから、あと通産省なりあるいは厚生省分野あるいは住宅分野、個別法による規制緩和というものがかなり目に見えるようになった。そこへ同時に、あわせて情報公開法や独禁法も含む改革も今やっている、こういうふうなのが現状かと思うわけでございます。
 私は、やはりその国々の法体系というものがそこは基本的に違うんじゃなかろうかと。日本においては、もちろん一般法の整備も必要だけれども、個別法によって行政体系ができている以上、それを重点的にやって、あわせて一般法で補っていくべきではなかろうか、こういう気がするわけでございますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
 それから、さらに第二点目の、天下りを絶対禁止する。最近、私ども行財政改革の議論でいろいろな観点から伺っておりますが、まずその第一に、六十五歳ないしは七十歳に定年を延ばして天下りを禁止しろと、こういう御意見でございますが、これも私ども自民党におきましては行政改革でいろんな方の御意見を聞いております。ただ、私の意見も含めて、やはり人間は六十歳というのが一つのいろんな意味での能力の一番ピークではなかろうか、こういう気がしてならないわけでございます。
 今、御承知のとおり、各省事務次官は五十七歳か八歳ぐらいでございます。これを六十歳に延ばすのは結構でございますが、あるいはこの間、一時六十三歳という案が出ましたが、そのくらいまではいいと思うんです。やはり事務次官たるものは、人間の能力の一番ピークのところに次官がおって、あと局長、審議官と、こういう体制が日本の特に伝統ある官僚制というものを当面維持するにはこれがいいんじゃなかろうかと。あるいはもう少し時間をかけないと、事務次官の定年だけを幾ら上げたところで、全体の官僚機構そのものをずっと延ばしていかなきゃいけないわけでございますから、これは十年がかりぐらいでこういう体制にするということが必要ではなかろうか、こういう気がいたすわけでございます。その点、いかがお考えか、承りたいと思います。
 それから、それとあわせて、事務次官は六十歳でもいいんだ、そのかわりに定年を過ぎた人、あるいは経験を生かしてシンクタンクをつくればいいじゃないか、こういう御意見でございました。
 これも確かに一つのお考えだろうと思いますが、やはり本当の行政、あるいは政治の、政策のシンクタンクというのは経験から出てくることでございまして、局長や審議官という本当の中枢のところをやっている人間が自分の経験というものを生かしながら、またそこに到達するのはしかるべき課長のポストは経ているわけでございますし、地方とかいろんな経験を踏んでいるものでございますから、そういう政策の執行を今度は政策の立案に生かすのがシンクタンクだと思うんです。そういう集団でないと本当にいい政策が出てこないんじゃなかろうか、こういうふうに感ずるわけでございます。したがって、そのあたりもなかなか一律にはいかないだろう、こういう気がいたします。
 また、一括採用というものは否定的にお考えになりました。私も同感でございますが、やはり公務員になろう、特にキャリア公務員になろうという我が国の人材は、幅広い仕事をやりたいあるいは本当に国民のためになる仕事をやりたいという動機で入ってくるのが非常に多いわけでございます。したがって、非常に役所の中でも人材は偏っております。だから、キャリア公務員なんかを半減したらどういう現象になるかと申しますと、特定の官庁は今までと同じ人が志望し採用いたしまして、先生がおっしゃいました余り人が行かないところが結局さらに悪くなるんじゃなかろうか、こんな気もするわけでございますので、そのあたりのお考えもお聞かせいただきたいと思います。
 そこで、例えばアメリカと日本は制度も違いますから余り比較になりませんが、私はアメリカの知事さん方とかなり交流をしておりまして感じますことは、アメリカの知事から大統領になる人がもう十五名出ております。そういうガバナーから大統領になるという道も、日本と違いますから、開かれているわけでございます。しかし、それ以上に感じますことは、地方の州の議会や上院、下院においても大変人材がおって、そういうところからまた連邦政府にも行く。それ以上に、何よりも、ポリティカルアポインディーの問題もありますけれども、民間と役所が国、地方を通じて交流している。それからまた、大学を卒業した人が公務員になってからケネディ・スクールとかビジネススクールとか、あるいは文系をやった人がMITに行くとか、こういう交流が非常によくできているわけですね。日本もああいうふうになるべきではなかろうかと。
 日本の場合、キャリア公務員が、文系の場合はむしろ大学院を卒業した者は各省は採りません。それに対して技術系の方は、やはり院を卒業していなければいけないと、こういうことがあるわけでございます。そのあたり一概に外国との比較はできませんけれども、日本においてもああいういいところを取り入れてやった方が幅広い人材を、むしろそれをもっと幅広くできるんじゃなかろうか、こんなことを感じますので、その点お答えいただければありがたいと思います。
 それから、芳澤公述人に対して御質疑を申し上げたいと思います。
 今五月十四日という目の前に控えたところの沖縄県の問題、本当に基地を全体の七五%も提供していただいている沖縄県の県民の方々には深甚なる敬意を表したいと思っているわけでございます。ただ、この五月十四日で使用権原が切れますところの駐留米軍用地につきましては、三万二千人以上の土地の所有者の中でもう既に九〇%以上の方が賃貸契約を結んでおられるはずでございます。土地面積からいいますと、九〇%はおろか全体の九九・八%までがこの契約を結んでおられる。在来地主は、契約を結んでいない土地所有者の二千八十一人のうちの百十三人でいらっしゃいます。土地面積にすれば〇・二%を所有しているにすぎない。
 さらにもう少し申し上げますと、二千九百六十八人というのが一坪共有地主でございまして、土地の面積だけから申し上げますと、これは非常に低い〇・〇〇一%にすぎない、土地の面積で言うわけではございませんけれども、こういう実態である。特に、もともとから沖縄県におられる地主ではなくて、こちらの、本土の方におられる地主が約半々ぐらいおられるとか、あるいはまたそれも、この一坪地主さんの中にも共有で持っておられる。そうなりますと、この一坪地主という方は、反安保闘争に参加している方々が多いというけれども、一体その実態はどんなものでございましょうか。また、この契約をそういう方が拒否している理由というのはどこにあるのかということをお尋ねいたしたいと思っております。
 そこで、今度の特別措置法の問題でございますが、今申し上げましたように、用地全体の中で極めて小さな土地を有する、契約を拒否している方を相手とした特措法の手続がそれによって長期間を要したり、あるいはそれによって国の条約上の義務と申しますか安保条約の義務というものが果たせなくなるおそれがある実態というものは、特措法を制定したその本来のあり方としては一体どうだろうか、適正とは言えないんじゃなかろうかと、こういうふうに感ずるわけでございますが、先生のお考えを承りたいと思います。
 以上です。

発言情報

speech_id: 114015262X00119970317_006

発言者: 久世公堯

speaker_id: 7115

日付: 1997-03-17

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会