荒川春の発言 (労働委員会)

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○参考人(荒川春君) 私は、日本経営者団体連盟労務法制部長の荒川春と申します。
 本日、参議院労働委員会におきまして、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案、以下整備法案と略しますが、これに関し意見を述べる機会をいただきまして、大変ありがたく存じております。
 平成七年十月以来、婦人少年問題審議会におきまして男女の雇用における機会均等を推進するための方策につきまして検討が行われてきましたが、私は同審議会使用者側委員の一員として審議に参加いたしました。そこで、今回の意見発表は使用者側委員として臨んできた態度を御紹介することを中心にしていきたいと思っております。
 使用者側は、今日の企業経営にとって、雇用における男女の機会均等は重要な課題であり、その推進にはたゆまぬ取り組みの努力が必要であるという認識を前提に一連の審議に臨んだつもりであります。そして、この考えのもとで、経済、経営の実態あるいは一般社会における同問題の認識、女性労働者の置かれている状況等、問題にかかわる環境を幅広く勘案し、推進するためのあり方を真剣に模索してきました。
 そこで、使用者側がまず第一に主張しました点でございますが、一層の雇用機会均等を推進し、女性の職域を拡大し、活躍の場を広げるための条件整備として、労働基準法上の労働時間、これは時間外・休日労働、深夜労働の部分でありますが、これに関する女子保護規定を解消することであります。
 この女子保護規定の解消は、仮にこれを男女均等の家づくりに例えますと、いわばその土台となるものではないかと考えます。そして、その土台をしっかりとした上で均等の家を立派に構築するということが行われるべきではないかということであります。
 女子保護規定を解消する上で数々問題とされております、御指摘もあります仕事と家庭の調和につきましては、近年、この国会の審議を経て、育児休業法、介護休業法等が相次いで法制化されてきていること。さらに今回、整備法案の中にもありますように、深夜労働にかかわり育児や介護を有する労働者に対しては新たに配慮する措置を講じることとすること。労働時間をとりましても、この四月から週四十時間が中小企業を含めまして多く適用されるようになり、かつ関係労使の努力によりまして実労働時間の短縮が進んできていることなどにより、十分環境が整備されていくとなったことが判断の材料になったところであります。
 この女子保護規定が解消されますと、労働基準法上の規定により、使用者が時間外・休日労働を命ずる場合には、労働組合あるいは従業員の過半数代表といわゆる三六協定を締結することになります。今後は、この三六協定によって、労使が合意して、男女に適正な時間外労働等の実現が図られていくものと思われます。また現在、労働大臣の諮問機関であります中央労働基準審議会では、これからの労働時間法制として時間外・休日労働のあり方が検討項目に挙げられ、関係労使が真剣に議論をしているところであります。
 この女子保護規定の解消の方向とその関連整備については、その原則的な部分について審議会を構成する各側間で一致を見たところでございまして、今国会に政府の整備法案として提出させていただくことができました。このことをぜひ委員の皆さんに御理解をいただき、本法案の成立をお願いする次第であります。
 参考までですが、日経連では女子保護規定のあり方につきまして会員から多く意見を聞いております。その中には、女性従業員みずから女子保護規定の解消を望む声が寄せられております。そこで、その一部を生の声で御参考までにお伝えしたいと思います。
 この方はある会社、製造業でございます。総務本部にお勤めでございまして、読み上げてみますと、
 私は千九百何年に入社し、千九百何年に総合職(事務系)に職種転換しました。入社以来一貫して主に社内教育を担当しておりますが、現在は育児休業中です。
 まず非工業的業種の規制について実状を申し上げます。私の担当しております社内教育の業務は一年サイクルのものが多く、月によって繁閑の差が激しいものです。従って、四週三十六時間という時間外規制は繁忙期には非常に困ることになります。当社ではフレックスタイムを実施しておりますが、繰り越しも一か月が限度で、これではカバーしきれません。
 また、時間外労働は年間百五十時間以下、休日労働は四週一日のみという規制もナンセンスだと思います。これは総合職転換後のことではなく、それ以前も同じことでした。総合職は専門業務従事者、指揮命令者として扱うという考え方もありましょうが、私個人としては女子全体の規制緩和が必要だと考えております。
 また、工業的業種の規制は、私の感じるかぎりでは、女子従業員が生産現場で責任ある立場につきにくい原因のひとつとなっているようです。深夜業の禁止についても、一定の職種には認められても他には認められないというのは、そもそも女子は保護すべきものであるがやむを得ないので許可する、という考え方の現れでありましょう。保護規定全体が女子本来の居場所は家庭であるという考えに基づいているものと思われますが、家庭か仕事かという選択は個人個人の問題であって、女子全体の問題としてはとらえられない時代になっているのです。この際、全面的に規制を緩和し、労使の裁量に委ねて頂けますよう要望致します。
 ただ、急激な規制緩和あるいは撤廃により現在の家庭生活との両立が阻害されたり、若年層の就業意識が低くなったりすることが懸念されます。社会全般の男女平等意識向上と共に進めていくのが望ましいと思います。
 なお、私は現在育児休業中ですが、身をもって妊娠、出産、育児を体験した結果、母性保護については更なる充実の必要性をひしひしと感じております。両性の責任であるこれらの事態に、女性だけがすべてを背負うことはもはやできません。これからますます社会システム全体の理解と支援が、真実に平等な社会のために必要とされているのです。
 以上であります。
 もう一点御紹介をと思ったんですが、時間の関係で省略させていただきまして、このように最近では男性と同様の働き方を求める女性、時間外労働等を含めて男性と同様に働く意欲を持つ女性がふえております。問題は、そうした意欲のある女性に対して法がそれを不可能としてはいけないということであろうかと思います。
 男女雇用機会均等法の改正につきましては、使用者側は、現行法の趣旨を一層徹底させることを出発点としながら、さらに女性労働者の置かれている現状を今一層改善していくには、現行法の枠組みの中で最も重点を置くべき点として募集、採用、配置、昇進について新たな取り組みを模索しようとしました。そしてさらに、それ以外の推進策につきましても、社会一般の男女均等に対する受けとめ方、経営側が人事労務管理を責任を持って完遂できるかどうかという点を考え方の基軸にいたしまして、企業の自主的な取り組み方の提案も含めて積極的に議論に参画したところであります。
 その結果、募集、採用、配置、昇進、教育訓練の機会均等、差別的取り扱いの禁止、ポジティブアクション、調停制度、セクシュアルハラスメント、妊娠中及び出産後の健康管理における措置、公表制度等、幾多の新規及び改正が盛り込まれたところでございます。
 これは、結局婦人少年問題審議会で公労使の委員がぎりぎりの接点として意見の一致を見たものであります。その点は、経営側としても非常に重いものを感じるとともに、これまでに至った経緯を大切にしていきたいと判断したところでございます。立法府におかれましてもこの点を十分しんしゃくいただきまして、ぜひともこの整備法案で可決成立を賜りたいと思うところでございます。
 この上で、あえて均等法部分について申し上げたいと思うんですが、中小企業、零細企業では、現在週四十時間労働制への移行を初めといたしまして、最近の新たな労働関係法、例えば育児・介護休業法へ懸命な対応をしているところでございます。こうした中で、今回の改正は、企業として雇用における男女の均等推進で一層の取り組みをすることになりますので、行政として十分な御支援と御配慮をお願いできればと考える次第でございます。
 どうも意見発表させていただきまして、ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 荒川春

speaker_id: 13942

日付: 1997-06-03

院: 参議院

会議名: 労働委員会