松岡二郎の発言 (労働委員会)

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○参考人(松岡二郎君) 私は、明治大学の松岡と申します。
 今回の均等法改正と労基法改正の点について意見を述べさせていただきます。
 まず、均等法の点なんですけれども、これは十年前に採用、募集について努力義務ということで大騒ぎになった点を、今度は禁止義務ということで改正になった点については私は高く評価したいと思っております。と同時に、セクシュアルハラスメントとかあるいはポジティブアクションというような、枠をつくって推進しようということについても私は高く評価したいと思います。
 ただ、十年前の均等法を見ますと、十年たった今、一体どの程度均等法が各企業で実現されているんだろうかという疑問が随分と残っております。
 例えば、私は講演に呼ばれて、いろんなところに行きまして、その折に工場などを見学させていただく機会が多いんですけれども、中堅以下の工場へ行きますと、大体一つのライン、二つのライン、三つのラインということで、一つのラインは女性ばっかり、一つのラインは男性ばっかり、一つのラインは外国人ばっかり。何でこんなに違うんですかと経営者に聞きますと、これは単純作業だから女性ですよ、男にはだめですと。こっちはちょっと複雑だから男性なんですと。じゃ向こうはと、あれは日本人が来ないから外人なんですというように、実は企業内で性とか国籍による業務のすみ分けが行き届いているような感じがするんです。
 そういう中で、果たして十年前に施行された均等法というものがどの程度実効性があったのか。私はこの点で、今回の均等法というのはさらにステップが上がったということで最終じゃないだろう、きっとさらに改正、改正と行われていくだろう。そうすると、ここらあたりで実効性を担保するものをもう一度考えてみなきゃいけないんじゃないだろうか。
 当然、労使が主役なんですけれども、行政の点でいけば婦人少年室というのが主役になるわけですね。ところが、婦人少年室はかなり動いているんですけれども、残念ながら県庁所在地しかない。なおかつ、機敏に動かなきゃいけないのに公用車が一台もないという状況。タクシー券とあとは職員のマイカーで動いている。そうすると、今度の改正でいろいろ女性が救済を求めたときに、少なくとも婦人少年室は口を出す権利は与えられているわけですが、現場に話しに行くということすらなかなかおぼつかない。特に、地方の場合は電車しかありません。ですから、一たん戻ってまた行くというかなり不合理というんですか、能率が悪い活動をしている。ですから、私としては婦人少年室をいかに、使いまくると言ったら言葉が悪いんですけれども、機能させて、法の実効性を実現させるか。
 あるいは、都道府県には労政事務所があるわけですから、それらと連携して、タイアップして使うというようなことなどを考えて、このときは実効性というんでしょうか、均等法の実効性、幾ら立派な法律ができてもだれも適用しなければただの絵にかいたもちになりかねない。そういう点で議員の方々にはその予算等を含めてぜひお考えいただきたい。
 もう一つは、労基法改正の点なんですけれども、この点で随分私は、この法の趣旨というんですか、それは本当に近来の男女平等を目指したという点では評価するんですけれども、いかんせん日本の労働条件が諸外国、特に先進国と比べると労働時間関係ではかなり悪い、そしてもうちょっとこの法案をすっきりさせる。要は、深夜あるいは時間外、あるいは休日に働きたいという女性のための法かなと。そうすると、働きたくないという女性は、特に労働組合のないような零細の女性たちの意思をどう実現させるんだろうかという点、ここに大きな問題点があるだろう。
 当然のことながら、この法が目指していると思われる男女共通の労働時間制ができることであれば、それで多くカバーできるんですけれども、ただ、あと二年後にこれができるかどうかという保証がないですから、私は当委員会などでとりあえず二年間、憲法十三条の個人の尊厳というようなことを具現化するためにも、個別の同意の尊重でもいい、できれば尊重という法思想、法理論を導入して二年後の時点で解消を図る。当然、最高裁判所は就業規則で一律にできるということなんですけれども、だからこそ法律で定めないと、一部の女子、多くの女子かもしれません、その意思が無視されるという点をぜひお考えいただいて、委員会の結論を出していただきたいと思います。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 松岡二郎

speaker_id: 11988

日付: 1997-06-03

院: 参議院

会議名: 労働委員会