富田俊基の発言 (財政構造改革の推進等に関する特別委員会)
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○富田参考人 財政赤字が歴史的にどういう影響を与えてきたかという極めて大きな問題指摘でございますが、かつて、極めて古い時代、極めて我々にとって不幸な時代には、財政赤字が拡大すると中央銀行が国債を買ってインフレをもたらしてしまうということが、これまでの、財政赤字が極めて巨額になったときの我々人類が参考とすべき事象だと思うのです。これは、私の知る事例では洋の東西を問いません。当時はやはり金融・資本市場も未発達でございまして、国債がたくさん出ると中央銀行がそれを購入して、そして軍事費等に用いるということがどの国でもなされてまいりまして、結局はインフレによってこれまでの借金を帳消しにしようということであったかと思うのです。これは極めて不幸な時代であり、市場経済も発展していなかった時代でございます。
では、市場経済が発展してからはどうか、資本市場が発展してからはどうかということで見ますと、国債が大量に発行されますと、国債というのは市場金利のいかんを問わずに市場から資金を調達するものでございます。それでもって金利が上昇するということが生じます。この金利は名目金利ということで、今ですと二%程度というのが長期の金利であるわけですけれども、実質ベースでとらえるということが重要であろうかと思います。つまり、物価上昇率を割り引いてとらえるという実質金利でございます。国債が大量に発行され、累憎いたしますと、実質金利が上昇する。それでもって民間企業の設備投資や個人の住宅投資が阻害されるというのが戦後の主要国の経験であったかと思います。これに対して、人類の知恵はまだなかなか七〇年代までは先進主要国におきましても定まらず、景気が悪いと財政赤字を拡大させるような減税を行ったり、さまざまな支出を拡大してまいりました。
しかしながら、とりわけ実質金利が上昇するということを経験いたしましてからは、先進主要国は、不況期と申しますか景気後退期において大きな改革を行うというふうに変わってまいりました。その背景は、先ほどグラフでお示しいたしましたけれども、所得の伸びよりも金利が高いという状態を認識したというものだと思います。
具体的に申し上げますと、米国では、不況期といいますか景気後退期、九〇年、九一年が景気後退期だったわけですけれども、そのときに、財政支出の削減と増税を内容といたします包括財政調整法、OBRAというふうに略称されておりますけれども、それを制定いたしました。九〇年でございます。
それから、ドイツでございますけれども、ドイツでは九二年から九四年というのが景気後退期でございました。その中で、九四年の初めに成長と雇用の創出計画というものを作成いたしました。それは、財政支出を削減する、そして増税を行う、財政面から見ればこういう内容でございますけれども、具体的には、付加価値税を引き上げる、そして法人税率は引き下げるのですけれども、課税ベースの拡大で税収中立の中で法人税を引き上げたのが九四年のドイツの計画でございます。そして規制緩和政策としても、小売業の店舗の営業時間の自由化といったこと、さらには中小企業や技術促進のための規制緩和ということを行っております。
フランスにおきましても、九二年から九五年が景気後退期であったわけでございます。それで、九三年五月に経済社会再建プログラムというものを発表しております。これも景気後退期の中で発表しているわけですけれども、それは赤字削減を行うということでございます。一方で、歳出は雇用政策や住宅政策で拡大しておるわけですけれども、増税を行っております。
私は、人類は、これまでいろいろ経験してきたわけですが、これまでの不幸な歴史を踏まえて、今先進国が景気が悪い中でも長期的に財政再建を進めることが各国経済の発展につながるという認識に立ち至ったものと考えております。
繰り返しになりますが、アメリカも景気の悪いときに、GDP比で五%であった国防費を三・五%に引き下げていくということを計画したわけでございまして、これあたかも、我が国が財政構造改革として公共事業の対GDP比を六・五%から五%に下げていくというものと非常に似た現象であるように思うのです。そういう中で、アメリカは規制緩和を進めて着々と新しい産業が育ってきているというふうに思っております。