二宮厚美の発言 (財政構造改革の推進等に関する特別委員会)
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○二宮参考人 最初の質問にも答えようと思っていたのですが、あわせて申し上げたいと思います。簡潔に申し上げます。
伝統的には、歴史観の問題をお話しになりましたけれども、財政危機の問題は、財政学では国家破産論としてこれまで議論されてきたわけです。国家破産的状況になったときに最も手っ取り早いのは、これはフランス革命であるとか、あるいは第一次大戦後のドイツだとか、あるいはロシアで問題になったことで、ケインズが主張しましたけれども、いわゆる借金棒引き論ですね。すなわち、破産というのは要するに借金棒引きが一番簡単なので、これをやれというのが例えばケインズの主張であったわけですね。これは日本ではやれないと思います。
第二番目は、先ほど参考人から意見がありましたようにマイルドなインフレーションで、これは債務の安楽死ですね。徐々に社会全体に物価を上昇させて債務の目減りを図っていく、こういうやり方ももちろんあるわけでありますが、そして日本でも進む可能性があると思いますが、これが第二のパターン。
それから第三番目は、歳入の確保と財政の圧縮。この第三の方向が普通行われていることで、これは先ほど幾つか紹介があったとおりです。
私が申し上げたいのは、その際に、国家破産的状況になりますと、例えば借金の棒引き論というのが出てくる背景、なぜ国家破産の状態になったのか、ここの分析が非常に重要で、大体大づかみに申し上げますと、フランス革命から第一次大戦、第二次世界大戦後まで一貫して、一つは戦争と結びついている、すなわち軍事と結びついて国家破産状態になるケースが非常に多いということと、いま一つは財政の浪費ですね。古い体制でありますと、アンシャンレジームのいわゆる上層部分の浪費が財政危機を招く。これが原因になりますから、浪費というものを抑制することと、それから戦争のツケを断ち切るということが、これまでの歴史上、国家破産状態になったときの解決策として提示をされてきたわけです。
私は、その歴史的な教訓、先ほど歴史観ということが言われましたので、その点を踏まえて、例えば現代の日本の財政危機は、今回の法案でも問題になっておりますように、世界一というふうに言っていいかもしれない。しかし、社会保障の水準だとか医療の水準は世界一とはとても言えないわけで、要するに先進国の中でも最下位のグループだ。つまり、財政の危機は世界一だけれども、社会保障の水準は世界一でも何でもない、最下位グループに属する。この二つを強引に結びつけて、財政危機の原因は社会保障にあるというのは全くの間違いであって、これは論理的に実証できない。
したがって、原因を確かめなければいけないわけでありますが、その原因を幾つか挙げることはきょうはいたしませんけれども、要するに、健全な財政を生み出すための健全な富の源泉、すなわち日本経済のボディー、これを再建しなければいけない。その点でだれもが一致している点は、いわゆる日本経済の再建は、今企業が海外にどんどん出かけていっておりますから内需拡大によるしかない。輸出主導型もだめ。だから、内需拡大という点はほぼ一致していると思うのですね。そうすると、内需の拡大をどの方向に持っていくか、ここで意見が食い違っていると思うのですね。
先ほどお話がありましたように、ゼネコン優先型で相変わらず内需拡大策を図るといっても、これはもう今までの経験上、景気回復にもならないということがはっきりしている。したがって、私は、一言で言いますと国民生活充実型というか福祉主導型というか、例えば福祉だとか医療だとか社会保障といいますのは内需の非常に大きなウエートを占めておりますから、そこを主導にして経済のボディーの健全化を図りながら中長期的な財政再建の方向を考える、これが基本的なこれからのガイドラインではないかというふうに思っています。