村井仁の発言 (大蔵委員会)

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○村井委員 大蔵大臣のお立場では大変おっしゃりにくい点も多々あるだろうということはよくわかりますし、その範囲で読み取る限り、大変厳しい御認識をお示しになられたと受けとめさせていただきます。
 そこで、昨年十二月十二日でございますが、ちょうど一年前になりますけれども、当時の百三十九国会における税制問題等に関する特別委員会におきまして、御記憶の向きもおいででございましょうけれども、私どもとしましては、消費税の引き上げをやめるという思い切った提案をした経過がございます。
 そのときに私どもはどういうことを言ったかということであります。これは新進党の提案であったわけでございますけれども、そのときに私どもが主張いたしましたのは、私どもは、消費税という税金の大切さということはよく心得ている、しかしながら政策というものは常にタイミングというものが大切であって、そのときそのときに適切な対応をしていかなければいけない、既に昨年十二月の時点において日本経済は非常に深刻な事態にある、そういうときにこういうことをしていいのだろうかという問題意識だったわけであります。
 ちょっと引用させていただきますが、そのときの提案理由説明の中で私どもの野田政審会長から申したことでありますが、
 今、日本経済は、表向きは一時的な回復が見られますが、経済危機は深刻になるばかりです。規制が多くコストの高い日本市場は魅力を欠き、雇用不安や産業空洞化が進んでいます。不良債権による金融システムの行き詰まりも経済をむしばんでいます。これまでおよそ六十六兆円規模の経済対策が講じられてきましたが、十分な効果があらわれていません。超低金利政策もここまで来るとマイナス効果ばかりです。民間では、来年の実質経済成長率は一%台、もしくはゼロ%台になると悲観的な見通しを示しています。こうしたときに、政府は、消費税率引き上げ、特別減税打ち切り、国民年金や健康保険料の引き上げで約九兆円のツケ回しをして、国民生活や経済を圧迫しようとしています。
 我々は、国民生活にとって喫緊の課題である消費税率の据え置きを法案化することとしました。今世紀の残された期間を経済再建、財政再建のための戦略的期間と位置づけて、消費税率を三%に据え置くことが不可欠です。こういう基本的な認識を申しまして、いろいろ議論があったわけでございます。
 しかもそのときに、これは質疑の際に出たことでありますけれども、当時答弁者として立ちました鈴木淑夫議員の発言の中でございますけれども、一番大切な問題は日本経済の現状をどうとらえているかということである、財政は危機的状況にある、しかし危機的状況なのは財政だけじゃありませんよ、日本経済のさまざまの側面が危機的状況であります、こういうことを言いまして、そしてもっとひどいのが金融不安である、さきに阪和銀行が破綻しました、あの中身を見ると二つのことがある、一つは、地価がまだずるずる下がっていて回収可能債権であったはずのものが根っこから腐ってくる、結局回収不能債権に変わっていく、もう一つは、取引先がこの六年にも及ぶ経済停滞の中で業況が立ち直らないために不良債権がふえてくる、これは日本全国の問題ですよ、こういう認識を示しているわけであります。
 このような状態というのは、何もきように始まった話じゃありませんで、既に去年の十二月の時点で、私どもが強くこの危機感を訴えているわけであります。
 そして、その日、私は答弁者にもなり、質問者にもなりという妙な日だったのでございますけれども、私の政府に対する質問の際に申し上げたことでございますが、経済財政政策というのは、ある意味では生き物を相手にしたものでありますから、一種の人体実験である、誤れば大変なことになる、さような意味で、私どもが消費税を引き上げないという法律案を今ここにお出しをしている理由というのは、経済がこれだけ停滞しているときに引き上げたら消費を抑制して経済をおかしくしてしまわないか、政策を実施するには時期を選ぶということが大切だ、それを私は特に強調したわけであります。経済再建なくして財政再建というのはあり得ない、財政というのはやはり経済の一部分なのでありまして、もちろん非常に重要な部分でありますが、そのことは私どもももちろんよく存じているところでありますが、経済が不振になれば税率を仮に引き上げても税収がふえないということが当然あるわけでありまして、そういう意味で、経済をおかしくしていいのだろうか、そういうことになる危険のある消費税引き上げを来年の四月にやっていいのだろうか、私どもは真剣にそれを憂えるのだということを申しました。
 そしてさらに具体的に、個人住宅と車につきましてでございますけれども、これは、実際統計的に見ましても、設備投資に占める建設工事の受注、民間分の数字がありますが、昨年の九月は前の月に比べて二倍になっているが、それが十月になつて半分に落ちているということを指摘して、それでこれは来年に入れば必ず腰折れになるということを指摘しました。さらには、自動車を初めとする耐久消費財の駆け込み需要があって、それの反動が非常に厳しいものになるであろう、こういうようなことを具体的に私どもは指摘したわけであります。
 その結果がどういうことになったのかということを今になって見ますと、これはもう申し上げるまでもないことでございますけれども、例えば住宅着工で見ますと、平成八年度は百六十三万戸という水準で推移した。非常に高い水準ですね。これがことしの七−九には百二十九万戸という水準に激減したわけであります。これが経済全体に大きな影響を及ぼさないはずがない。
 自動車であります。これも平成八年度、これは前年対比八・六%の増ということであったものが、平成九年に入りまして、四−六でマイナス一〇、七−九でマイナス九というようなことでございまして、そして十月のプロビジョナルな数字が出ておりますが、これがマイナス一二・二、こういう結果になっておるわけでありまして、いささかも曙光が見えない。私は、こういったことを私ども予想したればこそ、あのような主張をしてきたわけであります。しかし、やってしまったことはしようがないわけであります。今私は、少なからぬ方々がこういう事態を憂えておられると思います。こうして現に起きた事態を憂えておられると思います。
 そこで、自由民主党でも緊急国民経済対策というものを御検討になられ、おまとめになられたと漏れ聞いております。私ども承知しているところでは、規制緩和、土地対策、中小企業対策、それから税制改革など、いろいろなお話が入っているようでありますけれども、その中で、例えば地価税の凍結または廃止でございますとか、それから法人税につきましてもいろいろなお話もあるようであります。いずれも、私どもがかつていろいろな機会にこれをやるべきであると言っていた話がその中に大分たくさん入っている。しかし問題は、これが自由民主党の中の結論としておまとめになったものでも、検討をするというようなことになっていて、やるという決意を示されたものにはなっていない。その結果、この自民党の緊急国民経済対策が発表された途端に、失望売りが東京証券市場では起きたというような極めて皮肉な現象もあるわけであります。私は、どうもこれはいろいろな意味で待てない状況になっているのではないか。
 そこで、また税金の話で申しわけないが、主税局長に来ていただいているので主税局長と、そしてさらに大臣にもお伺いしたいのですけれども、まず土地対策ですね。
 私は、地価税というのは成立の経過もよく承知している立場であります。土地基本法をつくって、そして土地を公の財産として大切にしていかなければいけない、それは税でいろいろ地価をどうこうするという性格のものではないという非常に強い大蔵省の主張、私はこれは非常に適切な主張だったと思います。そういうところで、土地基本法の成立の後に初めて地価税の創設というところに踏み切った。
 そういう意味で、大蔵省としては大変苦労された税目であることは私もよく承知しているわけでありますけれども、しかし現実に、後に固定資産税が急激に引き上げられ、そして一方で地価の鎮静化が進行した現在では、この固定資産税と地価税とを合算した場合の企業の負担というものは、ちょっと黙過できないところまで来ているのではないだろうか。これが景気の先行きにも、あるいは企業経営にも非常に重苦しい圧力を与えているということは否定できない。
 特に地価税の場合、非常に問題なのは、いろいろな経過があったから仕方がないことではあるけれども、取りやすいところから取るという形に結果としてはなってしまった。あるいは都市に不可欠なさまざまの機能を持つ、そういう企業に重点的に課せられるというような結果になってしまった。これを、私はこの際、思い切って例えば凍結するということだけでも随分大きな効果が期待できると思うわけであります。
 このあたりについて、まず主税局長、それから大蔵大臣、いずれも、もちろんその決定の過程で党の税制調査会あるいは政府税制調査会のいろいろな御議論を前提にしなければならない手続があることは承知していますけれども、主管者として、あるいは担当大臣として、どんなふうにお考えなのか、御見解を伺いたい。

発言情報

speech_id: 114104629X00919971203_020

発言者: 村井仁

speaker_id: 19597

日付: 1997-12-03

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会