橋本龍太郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 中井議員にお答えを申し上げます。
 まず、本法案が政府の予算編成権を拘束する、これについて是非を問うという御指摘をいただきました。
 しかし、議員よく御承知のように、この法律案は、個々の経費について網羅的に、具体的な予算計上額を数字をもって定めるものではございません。予算とは法的に性質の違うものでありますから、内閣の予算編成権との関係での問題はない、そのように考えております。
 次に、平成九年度予算がデフレ予算だという御指摘をいただきました。
 しかし、財政は、近年、バブル崩壊後の景気後退に対処するために減税や公共事業の増加などを行ってきたこともありまして、巨額の赤字が累積し、このままでは、将来世代に対して過重な負担を負わせることが明らかであります。そのために、先行する所得減税に見合った消費税率の引き上げを行い、歳出面でも削減に取り組むなど、財政構造改革の第一歩をスタートさせました。
 このような改革は、短期的には痛みを伴います。しかし、中長期的には、国民負担率の上昇を抑えること、あるいは公的部門の簡素合理化などにより、経済の活性化に資するものと考えております。
 今後の経済運営におきましては、安易に財政に頼るのではなく、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことが基本であると考えておりますし、そのためには、財政構造改革と並んで、規制緩和を初めとする経済構造改革などの実現がますます必要だと考えております。
 また、財政構造改革と経済運営について、このような財政経済運営を二〇〇三年まで続けたら我が国経済はもたないという御指摘がありました。しかし、もしそれならば、赤字公債を追加し、公共事業を追加するという手法が今我々にとれるでしょうか。私は、この改革は、短期的には痛みを伴うものの、中長期的には国民負担率の上昇を抑え、また、公的部門の簡素合理化などにより経済の活性化に資するものである、そのように考えておりますし、そのためには、規制緩和を初めとする経済構造改革などの実現がますます必要だと考えております。
 殊に、今日、景気が緩やかに回復しているといいながら、その回復に従来のような力強さが感じられぬ、不透明感が漂うという御指摘を受けるのも、まさに構造的な問題のあらわれであり、内閣を挙げて経済構造改革を強力に進めながら、内需主導型の経済運営を図っていきたい、そのように考えております。
 法人課税及び所得税の減税についてのお話がございました。
 この一環として、法人課税につきましても、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行い、十年度税制改正において結論を得るといたしております。また、特例公債を発行せざるを得ない状況のもとにおける減税につきまして、現下の危機的な財政状況を考えるとき、これを実施することはなかなか容易ではないと考えております。
 今後とも、経済の動向を注視しながら、経済構造改革の強力な推進を初めとして、政府として責任を持って適切な経済運営に努めてまいります。
 次に、この法律案と補正予算あるいは特別会計、地方財政の規定についてのお尋ねがございました。
 補正予算につきましては、財政法第二十九条の補正事由を厳正に判断し、適切に対処していくこととして、改めて本法律案に規定をする必要はないと考えております。
 なお、本法律案における財政健全化目標は、いずれも実績の数値でありますことから、補正予算についても改革の趣旨は反映していくものと考えております。
 特別会計につきましては、本法律案において、財政運営の当面の方針として、特別会計を含むすべての歳出分野にわたる改革を推し進めることといたしております。
 次に、地方財政につきましては、地方自治の視点からは、個々の地方公共団体の財政運営を直接拘束する手法はとり得ません。こうしたことから、本法律案におきましては、地方財政計画における地方一般歳出を抑制することとするとともに、各地方自治体に対して徹底した行財政改革を強く要請し、地方財政の健全化に積極的に取り組んでまいることとしております。
 次に、国と地方の税源配分のあり方についてのお尋ねがございました。
 財政構造改革法案は、財政構造改革の当面の目標の達成に向け、歳出の改革と縮減のための具体的な方策と枠組みなどを規定しているものであります。税制につきましては、別途、各年度の税制改正の中で検討していくことといたしております。地方税源の充実確保は地方分権の推進にとって重要な課題であり、国と地方の税源配分のあり方につき、今後とも真剣に検討してまいりたいと思います。
 次に、この法律案には具体的な規定がないという御意見をいただきました。しかし、本法律案は、主要な経費ごとにめり張りのきいた量的な縮減目標を設定し、歳出構造を改革することとともに、量的縮減目標達成のために、個々の歳出の中身に踏み込んだ改革を行うことが構造改革に直結すると考えております。また、制度改革の内容についても規定しており、これらにより財政構造改革を着実に推進していくことが可能であると考えております。
 なお、この法律案におきましては、財政構造改革の趣旨につきまして、規制緩和等による経済構造改革を推進しつつ、将来に向けて効率的で信頼できる行政を確立するなど、我が国の緊要な課題に柔軟に対応できる財政構造改革を実現することとともに、財政運営の当面の方針として、国と地方、国と民間の役割分担を見直しながら、すべての歳出分野を対象とした改革を進めることといたしております。
 また、適切な措置を講ずることにより、人件費の総額を極力抑制する旨規定いたしております。
 次に、公共事業について幾つかの御指摘がございました。
 六月三日に閣議決定をいたしました「財政構造改革の推進について」の中におきまして、公共工事の建設コストの縮減及び国の補助対象の縮減、採択基準の引き上げなど、補助金の見直しを図ることを既に決定いたしております。
 次に、入札制度についてのお尋ねがございました。
 公共事業の入札、契約制度につきましては、平成六年度から、大規模工事への一般競争入札の導入や指名競争入札の改善など、透明性、客観性、競争性の大幅な向上を図るための抜本的な改革を実施してきたところでありまして、今後は、一層その定着、浸透に努めていきたいと考えます。
 次に、社会保障制度改革についてのお尋ねがございました。
 少子・高齢化の急速な進展、経済成長率の低下という環境の変化の中におきまして、社会保障のニーズの変化に対応しながら、効率的で質の高いサービスを提供できる安定的な制度をつくり上げていくことが必要である、そう考え、今後、介護、医療、年金などの改革を順次進めてまいります。
 また、財政構造改革を達成いたしますために、社会保障関係費につきましては、対前年度伸び率を高齢者数の増によるやむを得ない影響分以下に抑制する、そうした観点から、対前年度三千億円を加算した額を下回ることといたしております。
 次に、財政赤字の定義についてお尋ねがございました。
 貯蓄投資差額は、国連が設定いたしました国民経済計算の体系における財政赤字の定義として国際的に広く用いられていること、法律には定義の明確性が求められていることから、今回用いることといたしました。
 なお、国と地方の公債金収入額の合計が貯蓄投資差額より大きい、これは、前者では償還額がカウントされていないことなどによるものであります。
 次に、建設公債の減額、赤字国債の発行ゼロのみを目標とし建設国債に何ら言及がないという御指摘がございました。
 建設公債と特例公債の区別にとらわれず、国、地方の財政赤字の対GDPを三%以下とすること、及び国の一般会計について公債依存度を引き下げることを、財政構造改革の当面の目標としてこの法律案には盛り込んでおります。
 次に、国鉄長期債務及び国有林野事業の経営改善について、これに対しての具体的な記述がないという御指摘がございました。
 これの経営改善のあり方につきましては、本年中の対応について閣議決定が行われているところでありまして、本法律案において改めて同様の規定を置く必要性は薄いと考えられ、この法律案には盛り込んでおりません。
 債務の累積残高に対するお尋ねでありますが、財政構造改革法案においては、当面の目標として、国、地方の財政赤字対GDP比を三%以下にすることなどを規定しております。
 この達成によって公的債務残高対GDP比の上昇に歯どめをかけた後には、昨年十二月に閣議決定されましたように、速やかに公的債務残高が絶対額で累増しない財政体質を構築してまいりたい、そのように考えております。(拍手)

発言情報

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発言者: 橋本龍太郎

speaker_id: 24487

日付: 1997-10-17

院: 衆議院

会議名: 本会議