岩國哲人の発言 (本会議)

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○岩國哲人君 私は、太陽党を代表し、政府提出の財政構造改革の推進に関する特別措置法案に反対し、池田元久君外一名提出の同法案の修正案に賛成し、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に反対の立場から討論を行います。
 今や五百兆円を超える財政赤字を抱え、世界最大の財政赤字国となっている我が国にとって、財政再建が現下の急務であるとの認識は、政治に携わる者すべてがひとしく共有するものであると考えます。
 しかし、本法律案は、歳出削減のみに偏し、財政構造改革には歳入増加の方策も必要だとの視点が欠如しております。歳入増加とは、経済の活性化による税収の増加であります。つまり、経済成長による税の増収なくして財政の再建はあり得ないということです。
 ことしの四-六月期の国内総生産は年率換算でマイナス一一・二%と二十三年ぶりの減少となったことは、既に各議員からも指摘され、回復基調にあると言い続けてこられた政府も、足踏みとの表現で景気が停滞していることを認めざるを得なくなっております。ことしの成長率について、世界最大の投資銀行の一つ、メリルリンチの調査リポートでは、年初の予測は一・六%であったものを九月初めに〇%と下方修正し、その他の各調査機関も軒並み下方修正をし、上方修正をした調査機関は一社もありません。
 消費税の引き上げ、特別減税の廃止、医療保険の負担増等で九兆円ものお金が国民の財布から減ってしまい、その上、株価の下落で一年間に五十兆円の損失による逆資産効果が加わって、消費が冷え込むのは当然であります。十月の自動車の新車販売台数が前年同月比で一三%も減ったことを初め、ほとんどの消費財の売り上げが減っていることは、あらゆる指標からも明らかであります。消費の停滞が景気を冷やし、さらなる停滞を呼ぶという悪循環に入っているのではないでしょうか。
 一方、日本の潜在的体力に目を向けますと、経済の現況とは違ってそう悲観したものではありません。千二百兆円の個人資産があり、輸出競争力もあり、世界最大の債権国であり、外貨準備も最大であります。しかし、もしこのまま実体経済がなえていくような事態となれば、取り返しがつかぬこととなってしまいます。今求められているのは、経済再活性化のための構造的経済対策ではないでしょうか。それは、減税以外にはありません。
 財政再建を優先し財政出動はしないというのが政府の基本姿勢のようですが、公共投資と減税を混同してはなりません。公共投資は大きな政府を生む要素をはらんでいますが、減税は民間経済の活性化を通して税の増収につながり、民間活力の活用等で規制緩和が進めば、大きな政府を必要としなくなるのです。
 何度も申し上げておりますが、赤字国債が問題なのは、赤字がさらに赤字を生むような硬直化した財政構造があるからであり、国債の使途を公共事業主導から減税主導にして経済発展が伴うものとすれば、将来の税の増収につながることになるのです。減税と財政の構造改革は全く矛盾しないところか、財政再建のためには避けて通れぬ選択と考えます。
 単純化した言い方で恐縮ですが、例えば金利六%のときに二兆円の国債を発行するのと、金利二%のときの六兆円の国債発行は同じコストとなります。低金利の今こそ、所得減税と公共投資を含めた経済再活性化を目的とした国債を発行すべきではないでしょうか。そして、所得制限も借入制限も、すべての制限を撤廃したわかりやすい大胆な住宅減税を行って、景気の浮揚を図るべきだと考えます。
 本法案では三・五%の名目経済成長率の達成が前提となっておりますが、この数字は、平成七年十二月に閣議決定の構造改革のための経済社会計画期間中の三・五%の名目経済成長率見込みに準拠しているものと思われますが、この二年前の計画で描かれた経済の姿と現在の実体経済は大きく乖離しております。果たして三・五%を達成できるのでしょうか。現在の危機的状況にある景気の回復についてもいまだ明確な対策を示さず、さまざまな措置を講じてといった抽象論で当面を糊塗しているばかりでは、三・五%の達成は不可能と断じざるを得ません。
 十月一日に財政構造改革会議企画委員会に提出された「財政事情の試算」では、名目成長率を半分の一・七五%とした場合でも、六年間歳出の伸びをゼロにして、それでも要調整額は生じることになっておりますが、この処理についても明確な答弁をいただけませんでした。国鉄や林野の債務の処理についても、一向に明確な策は見えません。計画期間六年間の経済運営の指針はもとより、国民に多大な我慢を強いておりながら、民の財布の状況がどうなるのか、何一つ示されておりません。
 肝心な景気対策には手かせ足かせをはめ、大事な数字は口任せ、責任は先送りの人任せ、それを絵にかいたような本法案には賛成できません。
 以上申し上げましたように、両案については、財政再建の方向づけが不十分であり、反対いたします。
 なお、池田元久君外一名提出の修正案については、財政の透明化、その他問題の解決に資するとの見地から賛成であることを申し上げて、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 114105254X00919971106_018

発言者: 岩國哲人

speaker_id: 12438

日付: 1997-11-06

院: 衆議院

会議名: 本会議