寺澤芳男の発言 (行財政改革・税制等に関する特別委員会)
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○寺澤芳男君 ビッグバンについてさまざまな質問をさせていただきました。私は、ビッグバンを迎えた日本として非常に大事な根幹になることというのは個の確立てあると思います。
非常に大事なことだと思いますが、集団主義の非常に考え方の強い我が国においては、赤信号みんなで渡れば怖くない、あるいは会社ぐるみ、護送船団方式という、みんながどこかの企業に帰属している、どこかの役所に帰属している、どこかの団体に帰属している。そうではなくて、まず個があって、個人があってそして社会があるという、いわゆる市場経済の根本に立ち返らなければならない、これが非常に大きなショックだろうと思います。
この個の社会、いわゆる市場経済を支えている自由競争、またそれを支える自己責任というその社会の確立が果たして日本の土壌になじむのかどうか、これは大変大きな問題だろうと思います。
去年の文芸春秋の三月号に、衆議院議員をやめたばかりの石原慎太郎さんが「芥川賞を目指す諸君へ」というエッセーの中で、大隈重信と福沢諭吉はどちらが偉いか、福沢諭吉が偉い、なぜならば福沢諭吉は言葉を残したというようなことを書いておられました。
確かに、福沢諭吉はいろんな言葉を残した。多分その中で「独立自尊」という言葉を一番気に入っておられたのではないかと思います。元麻布の善福寺のお墓には、独立自尊居士という戒名になっている。その個という観念はあの当時日本ではなかった。その時代が今また到来した。
福沢諭吉がどこから自尊という言葉を考えられたのか。この間、国会図書館にお願いして四書五経の中にそういう言葉があるのかどうか調べていただいたんですが、どうもない。そうすると、一八四一年にアメリカの哲学者であったラルフ・エマーソンという人が「セルフリライアンス」というエッセーを書いて、当時のアメリカで大ベストセラーになった。ひょっとすると、あの「セルフリライアンス」という本を福沢諭吉が読んで自尊という言葉を考え出したのではなかろうかというのが私の推論ですが、間違っているかもしれません。
とにかく、ここで大事なことは、今ビッグバンを迎えた日本が、果たして西欧型の、アングロサクソン型の本当の弱肉強食の市場経済に耐え得るだけの思考が思想が、あるいは慣行があるのかどうか。もしないとすれば、今後どういう教育でそれをやっていったらいいのか。この辺は非常に大事なポイントになると思っております。臨床心理学者の河合隼雄さんは、日本を母性社会と呼んでおりますが、父性社会、全く違った個人主義社会、市場経済、これを迎えるというのがビッグバンであろうと思います。
その自己責任を基盤とした新しい社会をつくろうというふうに総理はお考えになっているんだろうと私は思いますが、総理の御意見をお伺いしたいと思います。