行財政改革・税制等に関する特別委員会

1997-11-12 参議院 全187発言

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会議録情報#0
平成九年十一月十二日(水曜日)
   午後二時一分開会
    —————————————
   委員の異動
 十一月十一日
    辞任        補欠選任
     小島 慶三君     本岡 昭次君
     梶原 敬義君     志苫  裕君
     吉岡 吉典君     緒方 靖夫君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                片山虎之助君
                高木 正明君
                野間  赳君
                三浦 一水君
                荒木 清寛君
                広中和歌子君
                伊藤 基隆君
                赤桐  操君
                笠井  亮君
    委 員
                狩野  安君
                鹿熊 安正君
                金田 勝年君
                亀谷 博昭君
                久世 公堯君
                沓掛 哲男君
                斎藤 文夫君
                清水嘉与子君
                田村 公平君
                常田 享詳君
                長尾 立子君
                林  芳正君
                保坂 三蔵君
                宮澤  弘君
                泉  信也君
                今泉  昭君
                岩瀬 良三君
                小林  元君
                菅川 健二君
                高橋 令則君
                寺澤 芳男君
                益田 洋介君
                吉田 之久君
                齋藤  勁君
                峰崎 直樹君
                本岡 昭次君
                志苫  裕君
                清水 澄子君
                緒方 靖夫君
                吉川 春子君
                西川きよし君
                椎名 素夫君
                山口 哲夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       法 務 大 臣  下稲葉耕吉君
       外 務 大 臣  小渕 恵三君
       大 蔵 大 臣  三塚  博君
       文 部 大 臣  町村 信孝君
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
       農林水産大臣   島村 宜伸君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       運 輸 大 臣  藤井 孝男君
       郵 政 大 臣  自見庄三郎君
       労 働 大 臣  伊吹 文明君
       建 設 大 臣  瓦   力君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    上杉 光弘君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       鈴木 宗男君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       谷垣 禎一君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  大木  浩君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第三
       部長       阪田 雅裕君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       総務庁人事局長  中川 良一君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       法務省刑事局長  原田 明夫君
       外務省経済協力
       局長       大島 賢三君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  薄井 信明君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部大臣官房総
       務審議官     富岡 賢治君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省教育助成
       局長       御手洗 康君
       文部省高等教育
       局長       佐々木正峰君
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       郵政大臣官房総
       務審議官     濱田 弘二君
       郵政省貯金局長  安岡 裕幸君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       労働省職業能力
       開発局長     山中 秀樹君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       五十嵐健之君
       建設省都市局長  木下 博夫君
       建設省道路局長  佐藤 信彦君
       建設省住宅局長  小川 忠男君
       自治省行政局選
       挙部長      牧之内隆久君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 久雄君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○財政構造改革の推進に関する特別措躍法案(内
 閣提出、衆議院送付)
    —————————————
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遠藤要#1
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、一言申し上げます。
 本委員会運営に際し、昨日の外交日程に係る連絡不十分並びに緊張感を欠く審議態度等、政府側の対応について、委員長は、各会派の総意を持って遺憾の意を表し、その対応の改善について申し入れを行ったところ、政府側を代表して内閣官房長官から、その趣旨のとおり、真剣に取り組む旨の表明がございました。
 政府側には、今後、誠意を持って委員会の運営に御協力を願いたいと存じます。
 内閣官房長官より発言を求められておりますので、これを許します。村岡内閣官房長官。
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村岡兼造#2
○国務大臣(村岡兼造君) 昨日の委員会審議に際し、外交日程について十分な連絡調整を行わず、御迷惑をおかけしたことを委員長及び委員各位に深くおわびを申し上げます。
 今後、内政、外交の日程については、当然、早期に連絡調整を行い、十分な意思疎通を図ってまいります。
 また、委員会審議に当たっては、国会の権威を尊重し、緊張感を持って真剣な態度で臨むよう全閣僚に対し厳重なる注意を喚起し、実行させます。
    —————————————
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遠藤要#3
○委員長(遠藤要君) 財政構造改革の推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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寺澤芳男#4
○寺澤芳男君 平成会の寺澤芳男です。
 本委員会の審議の合間にバブルの後遺症ということがたびたび指摘されました。バブルの後遺症はいまだに続いている。続いているのみならず、ますます重く日本経済の上にのしかかっていると私は思います。
 去年の四月二十三日だったと記憶しておりますが、参議院の予算委員会で、私は参議院の中にペコラ委員会のようなものをつくったらどうかという御提案をいたしました。これは、御承知のように、一九二九年、アメリカの株が大暴落をして、何と時価総額が五分の一まで下がってしまった。ワシントンの上院で直ちに銀行委員会が開催されまして、ニューヨークにいたペコラさんという弁護士を委員長にしてペコラ委員会というのができました。徹底的に暴落の原因、そして暴落後のアメリカ経済、これを国会議員として上院が議論をいたしまして、いろんな法律ができた。それが今日のアメリカの証券業務の基盤になっております。
 ペコラ委員会が参議院の中でできなかったということにつきましては、私としては、私自身の力不足を含めて非常に深く反省をしております。この種の委員会は、本来ならば国民の代表である、ローメーカーである国会議員が国会で超党派で議論をして、そして例えば今提出されているような法案もつくるべきであるというのが私の考えであります。
 今、日本経済にバブルの後遺症が大変重々しくのしかかっている。株は安い。きょうも安い。不動産価格も低迷している。不況なのか、不況感の強く漂う経済状態なのかは別としまして、この難しい法律を通すタイミングとしては、余りタイミングはよくない。
 総理は、この法律が通らなければ日本のあしたはないとまで極言しておられますが、こういう非常にタイミングの悪いときに、国民の本当の心からのサポートを得てこの法律を通さなければならない総理のお覚悟、御見解をまず賜りたいと思います。
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橋本龍太郎#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員から、かつてのアメリカの大恐慌、そしてそれを受けましてアメリカ上院の動きの中で生まれましたペコラ委員会の遠因、そしてそれが今日にまで続いているアメリカの法制度、こうしたものを引用されながら改めてのお尋ねでありました。
 これはもう何度も繰り返して申し上げておることでありますけれども、私は、我が国の経済の現状を考えましたときに、まさに足踏み状態という言葉を私自身が使う、そして企業の景況感にも非常に慎重さが見られる、しかし一方で、まだ民間需要を中心とする景気回復の基調というものは続いている、そのように考えております。
 他方、我が国の財政の状況を考えますと、まさに御指摘になりましたバブルの崩壊後、その景気の下支え策として累次にわたる公共投資の追加などを行う、こうした努力を重ねてまいりましたけれども、これはまさに下支えにとどまりました。そして、その中において財政収支は著しく不均衡な状態になり、その中で少子・高齢化はますます加速をいたしております。
 こうした状況の中で現在の財政構造を放置した場合、将来財政赤字を含めました国民負担率が七〇%にもなる、そうした試算も示されておりますように、我が国の経済、国民生活が大変厳しいというよりもう破綻に近い状態を迎えることは明らかである、これは数字の上でも議員ごらんのとおりの状況であります。
 そして、そういう中で、私はこれ以上、財政に今までのような運営が許されるかというならば、財政構造改革への取り組みというものは一刻の猶予も許されない課題になっていると考えております。確かに、短期的にこれは痛みを伴うということは繰り返し私も申し上げてまいりましたけれども、中長期的に国民負担率の上昇を抑えられる、また公共部門の簡素合理化などにより経済の活性化に資するということは間違いのないことであると思います。
 当然ながら、これは財政構造改革だけの問題ではありません。経済構造改革、すなわち規制緩和・撤廃等の、また新しい産業分野を育成していくためのそうした努力を並行して行わなければならない。行財政改革もその一つであります。しかし、こういう状況の中で今までと同じようなことが許されるのかというなら、私は既に限界に来ていると思っております。このためにも、この財政構造改革法案の速やかな成立をお願いいたし、これによって改革を強力に進めてまいりたいと、心から願っております。
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寺澤芳男#6
○寺澤芳男君 十一月三日、三洋証券が倒産をいたしました。負債総額三千七百三十六億円。金融機関としては珍しく会社更生法の適用を申請いたしました。この申請が東京地裁によって認められれば、多くの債権者間の調整がこれまでのような大蔵省主導ではなく裁判所で行われ、会社再建に向けての手続が始まるわけですが、まず大蔵大臣の御所感を求めたいと思います。
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三塚博#7
○国務大臣(三塚博君) 三洋証券は、多額の不良資産を抱える関連ノンバンクの経営が行き詰まり、その再建を図るために関係金融機関の支援を受けて平成六年に経営改善計画を取りまとめまして、その計画の実行を図ってまいってきたところであります。
 こうした中で、十一月三日、三洋証券から、関係者と今後の三洋証券グループの建て直しについて協議を進めました結果、これ以上現行の経営改善計画の遂行は困難であるとの判断に至ったとして、関連ノンバンク等について法的措置を講じますとともに、三洋証券自身につきましても会社更生法の適用の申請を行った旨の報告が三日にありました。
 三洋証券が関連ノンバンク等の業容の悪化という特殊事情によりまして今回の措置に至りましたことはまことに残念でございますが、今後、同社は会社更生法という透明性のある法的枠組みの中で再建を目指すことになりました。行政としましては、関係者の努力を見守ってまいりたいと思っておるところであります。
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寺澤芳男#8
○寺澤芳男君 一九九〇年二月に、アメリカのドレクセル・バーナム・ランベールという証券会社が、大体三洋証券と同じ負債総額、約三十億ドルだったんですが、倒産をいたしました。
 アメリカでは、早速、上院の銀行住宅都市委員会で、このドレクセル社の倒産を教訓として何らかの立法措置の必要性を考える公聴会を開きました。実は、ドレクセルが倒産する前にウォールストリートには、アメリカの政府がドレクセル社に緊急融資を行うのではないかという憶測が、うわさが流れておりました。しかしながら、結果はそういうふうにはなりませんでした。
 今、私がアメリカと日本の証券会社の倒産について、大蔵大臣にもう一度お伺いしたいと思っておりますことは、アメリカの場合は、証券行政というのが登録制である。証券会社になりたいと思う人はSECにその旨登録すれば直ちに証券会社になれる。そのかわり、一たん証券会社になったら、負債比率とかあるいは自己資本比率とか一定のルールは守らなければいけない。しかしながら、日本の場合には、証券会社になりたいと思っても、免許制ですから大蔵省から免許がもらえないと証券会社にはなれない。証券会社になってからの大蔵省の指導というのは、手をとり足をとり、完全に大蔵省の指導の中で証券業務が行われている。このように、免許制の我が国の証券会社の倒産と登録制の米国における証券会社の倒産とは同じレベルでは論じることができないかもしれない。
 今後、今のまま日本の証券業者の免許制をお続けになるおつもりなのか、あるいは登録制ということもお考えの中にあるのか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
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三塚博#9
○国務大臣(三塚博君) 大変今日の事態を踏まえての御質問でございます。
 ビッグバンを迎えるに当たりまして、業際を外しながら自由市場の原理に基づいてそれぞれが預貯金者、寄託者、契約者の利益にかなう商品を出すことによって、その行為を通じ地域社会、国家に貢献をしてまいりたい、こういうことでございます。
 今後の証券行政ということで見ますと、三洋証券は裁判所、寄託証券補償基金、関連金融機関等の関係者の協力によりまして投資家保護に万全を期したところでございます。また、同社は今後、会社更生法という透明性のある法的枠組みの中で会社再建を目指すことといたしております。そういう中で、行政としてこの努力を見守りながら、今後のあり方を最大の関心を持って裁判所の業務が進むことについて見守ってまいります。
 今後、三洋証券問題の教訓を踏まえまして、自己資本規制比率等を通じまして証券会社の財務の健全性のチェックに努めますとともに、寄託証券補償基金の充実を含めました証券会社退出の際の投資家保護の枠組みの整備に今後努めてまいりたいと思います。その帰趨を見ながら、御指摘のようなことも視野に入れながら取り組んでまいらなければならないのかなと思っておるところであります。
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寺澤芳男#10
○寺澤芳男君 この三洋証券の倒産と今政府が考えている日本版金融ビッグバンとの因果関係というのは、果たして因果関係があるのかどうかもわかりません。しかしながら、一九七五年、たまたま私は居合わせたわけですが、ニューヨークにおけるメーデーあるいは一九八六年ロンドンにおけるビッグバン、少なくともこれによって多くの証券会社が倒産し、失業者が一時的に町にあふれ出たことは事実であります。
 当時、ニューヨーク証券取引所の前に常時二、三台のニューヨークのポリスカーが、パトカーがおりました。何をやっているのかと見ますと、証券会社を首になった従業員にニューヨークのポリスマン、お巡りさんにならないかという募集をしていたわけであります。はたまた、五十階六十階の高いビルができたはいいけれども、だれも入らない、本当にもうがらがらのビルが林立していたという恐ろしい経験を私自身しております。
 この証券業者の倒産、あるいは今たまたま大臣が指摘されましたけれども、寄託証券補償基金というものについて真剣に考えなければならない時代がやってきたのではないかと思います。いわゆる投資家がこうむる損失を補償する制度というのは、これは政府がやらなければならない。現在は証券業界が自主的に運営している財源三百五十一億円の寄託証券補償基金がありますが、二証券会社当たりの支払い限度額が二十億円どまりであり、多くの問題を抱えていると思います。
 三洋証券の倒産ではこの限度額を例外的に撤廃して対処するようですが、この際、補償基金の法人格のあり方、補償限度額を顧客ごとに変更する、あるいは証券会社からの出資を非課税にする等々、さまざまな補償基金の改革をなすべきものであると思いますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
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長野厖士#11
○政府委員(長野厖士君) 寄託補償基金につきましてお答えします前に、先ほど大臣からもお答えをしたところでございますけれども、証券業をめぐります免許制度につきまして、証取審におきましてこの日本版ビッグバンの内容につきまして御検討をいただきました。六月十三日に御答申をちょうだいいたしておりますけれども、その答申の中では、証券会社の参入というのは免許制を改めて登録制にすべきであるという方向性をお示しになっておられます。したがいまして、先ほどの大臣の御答弁とあわせまして、この具体的内容を検討の上、法改正すべきということになりますと御提案させていただきたい、そういう段階でございます。
 御指摘の寄託証券補償基金につきましては、まさに御指摘のとおりでありまして、現在、日本のシステムは財団法人におきます任意のシステムとなっておる、したがって損金算入にならない。また、補償限度額は一社当たり二十億円。ということは、顧客の側から見れば、万が一のことがあったとき自分は大体どのくらいの補てんが受けられるんだということの予測がつかないといったような問題がございます。
 諸外国におきましても、このような仕組みは法律上の法人として位置づけて、その拠出金も損金算入ができる。そして、どちらかと言いますと、一社当たり幾らという考え方ではなく、一顧客当たり幾らまで補償する、あるいは幾ら以上の損失については何%補償するという仕組みになっておるようでございますので、そういった例を参考にしながら制度を整えていきたいと思っております。
 また、あわせまして二言加えさせていただきますと、寄託補償基金で救済します前に、証券会社の場合には、顧客の資産を会社の資産と分けて分別管理をしておくということが顧客保護のためには一番大切なことだと考えております。したがいまして、そういった分別管理につきましても徹底していけば、破綻といった事態におきましても顧客の財産は証券会社とは別個のものとして完全に補てんされるということになりますので、その方向につきましても努力をいたしたいと考えております。
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三塚博#12
○国務大臣(三塚博君) ただいま証券局長が言われました全体の検討を進めながら、次期通常国会において所要の法改正を行い、御審議をいただきたいと考えておるところであります。
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寺澤芳男#13
○寺澤芳男君 次に、有価証券取引税の撤廃について何回かお願いをしておりますが、もう一度つけ加えさせていただきたいと思います。
 日本の場合に、銀行が普通株を持てるという状態になっておりまして、この件についてはまた後ほど御質問をいたしますが、すなわちダウが一万六千円を割ると、もう割っていますが、例えば三つの大銀行で所有株式資産が赤字になるとか、あるいは一万四千円を割れば主要二十行で九百六十億円の実質損失になると言われております。
 すなわち、銀行が普通株を持っているがゆえに、株式市場の低迷あるいは暴落ということが日本全体の経済に大きな暗雲を投げかけるということであります。なぜならば、金融機関が貸し出しをさらに制限し、景気回復はさらにおくれるということであるからであります。
 結局、証券市場再生の強力なメッセージとして、現在〇・二一%の有価証券取引税の撤廃、これを宣言してみたらいかがかと私は思います。取引税は、御存じのように米国にもドイツにもありませんし、一部残っている英国やフランスでも公社債の取引にまで課税することはありません。この点、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
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三塚博#14
○国務大臣(三塚博君) 有価証券取引税を含む証券税制につきましては、ただいま政府税制調査会におきまして既に金融課税小委員会が設置をされ、議論が進んでおるところでございます。
 有価証券取引税につきましては、証券取引審議会から示されました証券市場の活性化の観点から、ただいまの御指摘も踏まえつつ、株式など譲渡益課税を含む証券税制全体の中でその望ましいあり方について本年度末までに総合的に検討をし、平成十年度税制改正の作業の中で適切な結論を得てまいりたいと考えておるところであります。
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寺澤芳男#15
○寺澤芳男君 ビッグバンと日本の現在置かれているポジションについての考えを申し上げ、また各大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
 いわゆる東京の金融市場がニューヨーク、ロンドンに次いで世界のファイナンシャルセンターになれるのかなれないのか、のるか反るかの非常に大事な時期に今あると思います。あるいは、このビッグバンが日本で成功しなければ、日本の金融市場というのはフランクフルトあるいはパリのような規模の市場になってしまうのではないか。今、金融は非常にグローバルで、為替一日の取引は一兆ドルと言われております。このグローバルということとインターナショナルということは基本的に全く違う言葉であって、インターナショナルの場合はまだナショナルという言葉が残っているわけですが、グローバルになってくると、これはまさしく地球的ということであって国境が全くない、そういう意味であります。
 日本の金融市場がニューヨーク、ロンドンに次いで三番目のファイナンシャルセンターになれるかどうかということについて非常に問題があるのは、日本の商業の公用語であります。日本がファイナンシャルマーケットになれるかどうかのポイントは、日本の金融業界に英語で業務を遂行できる人材が極めて少ない、また金融業界を支援するコンピューターの技師、会計士、弁護士も同様であります。これは非常にシリアスな問題であります。
 私の友人の国際通貨研究所理事長の行天豊雄君は、日本の金融機関であるがゆえの制約とは何かという問いに対して、相当な危機意識を持って次のように警鐘を鳴らしています。ずばり言って、年功序列制度を全廃し、英語を公用語にしなければグローバルバンクにはなれないと。グローバルというのはそういうものであります。
 例えば、非英語圏の国の英語能力をはかるTOEFLというテストがありますが、この平均スコアを見ますと日本人の英語能力はアジアではほとんど最低の水準であります。シンガポールにはもちろん遠く及ばず、二位の中国、三位の韓国、香港にも大きく差をつけられております。国際的に見ると日本の英語授業時間数は短過ぎるのではないか。中学校では年間百十七時間。自国語を非常に大切にするあのフランスですら百七十三時間も英語を勉強しているそうであります。
 文部大臣の御所見をお伺いいたします。
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町村信孝#16
○国務大臣(町村信孝君) 寺澤委員にお答えいたします。
 確かに、御指摘のような問題、残念ながらTOEFLの結果が悪いということも率直に私どもも認めざるを得ない状況だろうと思います。戦後の日本の英語教育、外国語教育というのは、どうしても文法とか和文英訳とか英文和訳とかあるいは単語を覚えるというようなことが中心でありまして、話したりあるいは聞いたりというような教育を、私ども自分自身の経験に立ち返ってみましてもそういう教育を受けた記憶が確かに乏しいわけでありまして、やっぱり戦後の英語教育は大いに反省すべき点があるということであろうと思います。
 そんなこともありまして、ここ十年この方、大分コミュニケーション能力の向上ということに重点を移しつつあるところでございまして、例えばJETプログラムというのがありまして、外国の青年を五千名近く呼んできてそれぞれの学校に配置をしたりとか、あるいは日本人である英語教員を実際外国に派遣をしてその能力を身につけてもらったり、あるいは集中的な研修をやったりといろいろやっておりますし、例えば全部の都道府県の高校入試では英語の聞き取りのテストをやるというような改善もやっております。
 ただ、それではやっぱり足りないかなということで、現在、教育課程審議会におきましても、週五日制のもとでどのくらい英語というものあるいは外国語というものに力を割くべきかということでその強化を図っていきたい、こんな検討が今教育課程審議会で進んでおります。小学校の段階から英語に触れるという時間をつくってはどうだろうか。なかなか英語という独立した時間をつくるのは難しいかもしれないので、総合的な学習の時間といったようなものを設けて英語になれ親しむということを始めてはどうだろうか。さらに中学、高校ではより基礎的、実践的なコミュニケーション能力を向上させる、そんな方向で今御審議をいただいているというふうに聞いております。
 ぜひ、先生の御指摘、多分十年後か十五年後のTOEFLでは日本も相当よくなったと、時間がかかることではございますがそのようにしてまいりたい、かように考えております。
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寺澤芳男#17
○寺澤芳男君 ビッグバンというものを金融に限らず、規制に縛られていたさまざまな分野が規制を全部放してしまった後どうなるか、そういうふうに考えますと、ビッグバン後の世界は、ビジネスチャンス、金融、情報、学術論文等々が国境を越えて世界じゅうを飛び交うダイナミックなものになるだろうと私は想像しております。そして、世界に飛び出す道具はやはり英語とパソコンだろうと思います。
 私は、ビッグバンパージという言葉を考えているわけですが、例のレッドパージに倣って。このグローバルな世界で取り残される経営者、政治家あるいはマスコミ、やはり英語とパソコンに弱い人たちは多分取り残されるだろう。私のようにパソコンに触っただけでじんま疹ができるような政治家は真っ先に取り残されるであろう。
 リテラシーという言葉があります。識字能力、字が書けるか、読めるか。現在、ユネスコあるいは各国政府の努力もあって、世界の識字率は、国際識字年だった一九九〇年から一九九五年の五年間で二%上昇し、八〇%近くになっております。もちろん、日本は一〇〇%近いだろうと思います。しかし、今後はいわゆる情報リテラシー、パソコンが操作できるかどうかというのが、字が書けるか読めるかというくらい大事な時代になってくることは必至であります。いわゆるパソコンを使って情報を集めたりコミュニケートをする能力があるかどうか、これを情報リテラシーと呼ぶそうであります。
 シンガポールには国家コンピューター庁という機関があって、その機関が国民の情報リテラシー向上のための三つの目標を掲げております。一つは一九九七年から全小学校でコンピューター教育を実施する、二つは二〇〇〇年までに少なくとも家族の一人は情報リテラシーを有する、三つは二〇〇六年までに労働者の一〇〇%が情報リテラシーを有するというものであります。
 ことしの二月、一般教書演説でクリントン大統領は国民に呼びかけました。八歳で本を読むことができ、十二歳でインターネットにログオン、接続することができ、十八歳で大学に進学できるように、そして成人のすべてが学び続けることができるようアメリカの教育を改革したいと。
 もちろん、橋本内閣も教育改革に取り組まれております。これにつきまして、橋本総理大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
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橋本龍太郎#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど私どもは、第二次世界大戦に敗れ占領行政が始まりましたときは、当時は国民学校と申しました小学校の二年でありました。そして、議員も御記憶のように、その後、当時の日本の初等教育の水準というものは、占領軍の行政政策の中で、特に数学等、その水準を大きく変えられたことは御承知のとおりであります。
 そして、その後、戦後の教育というものが平等ということに非常に大きなウエートを置いて行われてきたと、私自身は、自分がその中に学んでまいりましたことを振り返りましても、そのような記憶を持っております。これはまさに等質の国民をそろえ、等質の国民の一致した協力のもとに今日の経済発展を築いてくるプロセスにおいては、私はこの教育システムは極めて有効に機能したものと思います。
 しかし、今まさにそれぞれがみずからに責任を持ちながら、同時に、個性を伸ばし創造性やチャレンジ精神を有する青少年を育てていこうといたしましたときに、今までと同様の手法で足りるかとすれば、そこには必ず問題はあろうと思います。
 それだけに、一方的に知識を教え込むというその教育の手法から、みずから問題意識を持ち自分なりの答えを出していく、その実現に努力できる力や倫理観、責任感、こうしたものを育てる教育の実現を目指したいと考えておりますし、そのために、今まで文部省当局としても中教審等から、より大きな権限と責任を個々の学校におろしていく、そこに父母の協力も得ていく。そうした発想も、また小さな、小さくはありませんけれども、部分的なものとしては例えば飛び級。さらに大学教育のあり方から、他の先進国に比べ大学進学率は高いが、大学院において専門というものを学んでいくという点ではまだまだ不十分と言われる我が国の教育制度全体に対してこれを改めていく。
 要は、今申し上げましたように、みずからの責任においてみずからの人生設計ができるだけの個性と、そしてチャレンジ精神を持ったそうした人々が育っていき得るような教育というものを目指すということに尽きるかと思います。
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町村信孝#19
○国務大臣(町村信孝君) 全般のお答えは今、総理からお話しいただきましたが、情報教育のお話がございましたので、ちょっと触れさせていただきたいと思います。
 今、各国の状況などにお触れをいただきまして、大変貴重な御助言をいただきましたことを感謝いたしております。
 教育内容と、それからコンピューターの設置といった条件整備と、両面から文部省も今努力をしているところでございまして、私も先般、小学校、中学校の現場を見てまいりましたが、やっぱり我々が通っていた学校とは相当違いまして、空き教室も大分できていたりしているものですから、そういうところに、小学校、中学校いずれも相当の台数のコンピューターを並べてパソコンを使えるようにと努力をしているところでございます。目標といたしましては、平成十一年までには、小学校では児童二人に一台、中学校では生徒一人に一台、ちょっと小学校の整備が予定よりも少しおくれておりますが、着々と整備が進んでおります。
 また、教育内容の方も、小学校のうちからコンピューターにとにかく触れてなれ親しむということ、実際に子供たちは家に帰って随分やってはいるわけでありますけれども、そういうことを学校でも心がけ、中学校でも選択でこの情報基礎を学ぶようになっております。教育課程審議会の中では、中学校でその基礎的な内容を必修にするということを今検討している最中でございまして、鋭意この情報関係に関する教育内容の充実、また条件整備に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
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寺澤芳男#20
○寺澤芳男君 ビッグバンの進展ということは、私は年金制度にもさまざまな影響を与えてくるのではなかろうかと思います。
 日本的雇用慣行の三要素、終身雇用、年功序列あるいは企業別労働組合、これが今後変化を遂げていくことは火を見るよりも明らかでありまして、勤労者の定年後の所得の確保、これはどのような形で行われるかということは大変重大な問題であります。もちろん、現行では勤労者は退職後の所得に関して現役時代の貯蓄とか退職金、年金によって準備をしておりますが、このうち退職金とか年金はビッグバンの進展により、大きく影響を受けることになるだろうと思います。
 現在、アメリカで行われている四〇一Kという年金プランがございます。御存じの方も多いと思いますが、これは、勤労者が自分で毎月一定額を積み立てていく、また、その雇用者が、企業がその額に足して積み立てる。個人が積み立てた分は税金の控除が受けられる、会社が積み立てていく分は損金算入ができる、これはもちろん一定の金額があるわけでありますが。これが五十九・五歳、五十九歳と六十歳の間まではすべてそういうふうに両方とも無税で積み立てることができる。それで、その積み立てた人の自由な判断で、全部株を買ってもいいし投資信託を買ってもいいし国債を買ってもいいというやり方で、たまたまアメリカの株が非常に上がってまいりましたので、そしてこの四〇一Kによる株あるいは投資信託の買いというのがアメリカの株高の相当重要なファクターになっているわけですが、非常にアメリカ人は今ハッピーだと。普通の勤労者でも、この四〇一Kによる自分で計画して自分で積み立てた年金がふえていっているわけですから、朝起きたらまた株が上がっていてハッピーだと。
 本当は、資本主義、市場経済の国はそうならなければならないんですが、そのような四〇一Kというものを直ちに日本で導入できるかどうか、これはいろんな問題があるだろうと思います。しかし、いわゆる少子・高齢社会の進展、先行きのない公的年金制度の将来を考えてみると、個人として、自分自身のイニシアチブで退職後の所得確保策を図らなければならなくなっていることも事実だろうと思います。
 年金改革の中でも最も現実性の高い選択肢と言える確定拠出型の個人積立年金制度の創設について導入の意思があるのかどうか。この制度の利点や欠点の検討、研究を行っているならばその成果、導入を検討していないのであればその理由について、小泉厚生大臣、伊吹労働大臣の答弁を求めます。
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小泉純一郎#21
○国務大臣(小泉純一郎君) 確定拠出型の年金ですが、これは現在の日本の公的年金とどういう関連性を持つか。同時に、運用利回りによって給付が変わってまいりますから、税制優遇策なしにはこれは導入できないと思います。そういうことも踏まえて、今後検討課題として勉強させていただきたいと思っております。
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伊吹文明#22
○国務大臣(伊吹文明君) 今、総論としては政府の年金担当大臣である小泉大臣からお答えがございました。
 先ほど来先生がお話しになっているように、労働力というものが非常に流動性を増してくるという意味では、この四〇一Kという仕組みは職場を移るにつれて持っていけるという利点がございます。これは非常にいい点だと私は認識しております。ただ、日本の場合には、基礎年金はすべての方がお受けになりますが、厚生年金それから厚生年金基金、これを持っている企業、持っていない企業がございますので、自営業者をも含めてもし税制の優遇策を講ずるということになれば、資産性の貯蓄なのか積み立ての年金なのかということも含めて、私は、かなり抜本的な検討を要する課題ではないかと思います。
 働く人をお預かりしているという労働省の立場からは、今部内的にはかなり検討を重ねているということだけ御報告をいたしたいと思います。
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寺澤芳男#23
○寺澤芳男君 はたまたビッグバンの進展に伴って起こってくるであろう変化について御指摘を申し上げたいんですが、産業構造の変化、企業や国家間の世界的な競争の激化ということは、ホワイトカラーの労働者にこれまで以上の高度な知識や創造性を要求することが当然予想されます。学校を卒業して職を得た後でも、働きながら英語やパソコン、専門知識についての自己開発をしていかなければ生き残れない大変厳しい状態に今後なるだろうと思います。
 こういった在職労働者の自己開発について、これまで政府は、社員の自己開発を支援した事業主に対して主に自己啓発助成給付金から助成をしてきたと思います。つまり、自己開発をしている労働者個人を助けるのではなく、企業、事業主を通しての間接的な助成を行ってきた。
 今後、終身雇用が崩れて転職が頻繁な状態になってまいりますと、自己開発に努める労働者個人を企業を通さずに直接援助することがあってもよいのではないか、このような発想からだと思いますが、中高年の労働者が自己開発を目的として学校に通ったり通信教育を受ける場合に、その費用の半額、年額十万円を限度に雇用保険の会計から助成する制度がありますが、労働大臣に、その制度の現在の状況をお伺いしたいと思います。
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伊吹文明#24
○国務大臣(伊吹文明君) まず、基本的に構造改革が進み、先生がおっしゃいましたように国際化が進みますと、終身雇用制が徐々に崩れて、労働力の移動というものが激しくなると思います。
 あらゆる政策には効果と副作用が伴いますので、弱い人たち、比較的力がない人たちが切り捨てられないように、我々の立場としては労働者の方々にいろいろな意味での自己啓発、または職業訓練ということを現にやっておりますし、これからもやりたいと思っております。
 一つは、今おっしゃった企業に対する自己啓発助成給付金でございますが、もう一つは、原則として四十歳以上の雇用保険に入っていただいている方々に対して、今、先生が御指摘になりましたような自分で進んで研修を受けたい、あるいは技術を手につけたいという方々に対して、助成率二分の一、限度十万円までの補助を行っております。
 なお、雇用保険の構造改革関連法案に伴う改正を控えまして、現在、審議会においてこの点をさらにお話のような方向に沿って充実できないかどうかを今広く検討していただいているところでございます。成案を得ましたら、次期通常国会に提出をさせていただきたいと思っておりますので、そのときにはぜひ御賛成をいただきたいと思います。
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寺澤芳男#25
○寺澤芳男君 先ほど申し上げたように、終身雇用、年功序列、企業別労働組合というのがかなり変わった形になってくる、日本の雇用環境が変わってくるということにおきまして、具体的にはホワイトカラーの転職が増加するであろうと予想されます。政府の施策についても、勤労者の人権が損なわれないよう留意しながらも、ホワイトカラーの転職ができるだけスムーズにいくことを目的とするものが求められていると思います。
 その施策の一つが、この四月から実施されたホワイトカラーを対象にする有料職業紹介の自由化であると思いますが、半年たちました。今までの経過を簡単に労働大臣からお話し願いたいと思います。
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伊吹文明#26
○国務大臣(伊吹文明君) 御指摘のように、有料職業紹介事業を、従来はこれとこれとこれまでやっていいですよという形から、これとこれ以外は自由におやりになって結構ですという形に実は変えました。その大きな対象は、専門技術職の一部、それから事務職、今、先生がおっしゃったホワイトカラー、それから販売関係の職業、セールス。ここで約二千万人の人が職業紹介の対象になっております。
 そこで、職業紹介事業を自分たちの手で市場原理の中でやりたいという方は、前年に比べまして五倍の申請が労働省の方へ出てきております。このほとんどの扱い対象は今御指摘になったホワイトカラーでございます。
 問題は、今は紹介事業所の自由化を進めているわけですが、これの向こうにあるものはやはり派遣職員という形になってくると思います。ここにはいろいろな効果と副作用が日本社会にあらわれてくると思いますから、大きな流れとしてはおっしゃった方向は間違っていないと思いますので、副作用を最小限に抑えながら国際化の大波に立ち向かえるような雇用構造をつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
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寺澤芳男#27
○寺澤芳男君 ビッグバンについてさまざまな質問をさせていただきました。私は、ビッグバンを迎えた日本として非常に大事な根幹になることというのは個の確立てあると思います。
 非常に大事なことだと思いますが、集団主義の非常に考え方の強い我が国においては、赤信号みんなで渡れば怖くない、あるいは会社ぐるみ、護送船団方式という、みんながどこかの企業に帰属している、どこかの役所に帰属している、どこかの団体に帰属している。そうではなくて、まず個があって、個人があってそして社会があるという、いわゆる市場経済の根本に立ち返らなければならない、これが非常に大きなショックだろうと思います。
 この個の社会、いわゆる市場経済を支えている自由競争、またそれを支える自己責任というその社会の確立が果たして日本の土壌になじむのかどうか、これは大変大きな問題だろうと思います。
 去年の文芸春秋の三月号に、衆議院議員をやめたばかりの石原慎太郎さんが「芥川賞を目指す諸君へ」というエッセーの中で、大隈重信と福沢諭吉はどちらが偉いか、福沢諭吉が偉い、なぜならば福沢諭吉は言葉を残したというようなことを書いておられました。
 確かに、福沢諭吉はいろんな言葉を残した。多分その中で「独立自尊」という言葉を一番気に入っておられたのではないかと思います。元麻布の善福寺のお墓には、独立自尊居士という戒名になっている。その個という観念はあの当時日本ではなかった。その時代が今また到来した。
 福沢諭吉がどこから自尊という言葉を考えられたのか。この間、国会図書館にお願いして四書五経の中にそういう言葉があるのかどうか調べていただいたんですが、どうもない。そうすると、一八四一年にアメリカの哲学者であったラルフ・エマーソンという人が「セルフリライアンス」というエッセーを書いて、当時のアメリカで大ベストセラーになった。ひょっとすると、あの「セルフリライアンス」という本を福沢諭吉が読んで自尊という言葉を考え出したのではなかろうかというのが私の推論ですが、間違っているかもしれません。
 とにかく、ここで大事なことは、今ビッグバンを迎えた日本が、果たして西欧型の、アングロサクソン型の本当の弱肉強食の市場経済に耐え得るだけの思考が思想が、あるいは慣行があるのかどうか。もしないとすれば、今後どういう教育でそれをやっていったらいいのか。この辺は非常に大事なポイントになると思っております。臨床心理学者の河合隼雄さんは、日本を母性社会と呼んでおりますが、父性社会、全く違った個人主義社会、市場経済、これを迎えるというのがビッグバンであろうと思います。
 その自己責任を基盤とした新しい社会をつくろうというふうに総理はお考えになっているんだろうと私は思いますが、総理の御意見をお伺いしたいと思います。
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橋本龍太郎#28
○国務大臣(橋本龍太郎君) 慶応義塾出身の私として、独立自尊という言葉を福沢先生とともに引用していただいたことを、ある意味では幸せに感じながら、ある意味では大変複雑な感じも持って伺っておりました。
 なぜなら、私はこの福沢先生の独立自尊という言葉は、議員がその前にこのビッグバンが進んだ場合の社会というものを想定されて、欧米型のいわば優勝劣敗、弱肉強食がルール、その中における自己責任という突き詰めた思いの中で私はこの言葉を用いられたとは実は考えておりません。
 むしろ、封建時代から近代日本が生まれようとする中で、改めて日本というものを福沢先生なりにみずからの心の中に問いかけ、あるべき姿として導き出されたものがある。文明の名において輸入される洋風のものすべてに対し、その技術は取り入れながら日本人の心を失うまじといった、そのような思いを持たれたのではなかろうか、私はそのような思いを持ってこの言葉に接しておりました。
 そして、もちろんその市場原理というものが私は完全なものだということを言い切るつもりはありません。なぜなら、そこには独占支配の弊害といったこと、あるいは環境問題の悪化など、市場の失敗と呼ばれる事態も起こり得るわけであります。
 かつてのように右肩上がりの経済の続く時代でありましたなら、結果の平等を求めることもできたでありましょう。しかし、そういう時代を夢見ることができないとするなら、まさに国家としてはセーフティーネットをできるだけ適切に整備をしておきながら、その上で、社会全体の活力というものを求めていくためにも、チャレンジ精神と申しましょうか、私はよく夢という言葉が好きで、夢という言葉を用いますけれども、みずからの夢に対して挑戦し、それがかなえられるチャンスのあるといった社会を築いていかなければならないのではないでしょうか。むしろ、今度は逆に、しかし、そのセーフティーネットを大きくすることにのみ奔命するならば、逆に活力をそぐ場合もありましょう。
 私はそんな思いで、今、議員が福沢先生の言葉を引用されながら述べられましたものに対し、市場原理というものを当然追求しなければならないと思います。同時に、その弊害というものも目配りをしなければならないと思います。その上で、欧米型の弱肉強食、優勝劣敗の社会に対して我々は適切なセーフティーネットを用意する責任はある。まさに、そうした点を補完するのが政府の役割の中で大きなウエートを占めるのではなかろうか、議員の御議論を拝聴しながら、そのような思いを持っておりました。
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寺澤芳男#29
○寺澤芳男君 質問を終わります。
 ありがとうございました。拍手
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