島田晴雄の発言 (行財政改革・税制等に関する特別委員会)
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○参考人(島田晴雄君) 島田でございます。
最初に十分ほど所見を申し上げたいと思います。
三点ほど触れたいと思いますが、一つは財政構造改革法を今次国会で成立させる必要があるというポイント、それから経済構造改革についてなすべきこと、それから三点目に、とりわけその中で法人税の改革について触れたいと思います。
第一点は、財政構造改革法案でございます。
これは今後六年間に、つまり二〇〇三年度に、財政赤字をGDP比三%水準以内に抑えるという大きな目標のもとで、特にこれから三年間を集中改革期間として、あらゆる予算項目に聖域を置かず、数量的な削減目標、いわゆるキャップ、これをかけて過大な予算については削減に努めるという法案は、ぜひ今国会で成立させるべきだというふうに考えます。
この程度の改革が実現できない場合には、政府の累積債務の利払いの負担がさらに金利負担を生むというような形で、累積債務が雪だるま式に膨れ上がっていくおそれが極めて強いわけでございます。そうした累積赤字を放置しておきますと金利の上昇、投資の圧迫による経済の停滞、インフレの加速、為替レートの低下、実質所得の低下、失業の増大といった典型的な経済の衰退に陥るおそれが極めて強いということでございます。
とりわけ財政構造改革法という形で、法律の形で明確に国家の目標を定めていくということは極めて重要な意味を持っていると思います。といいますのは、これまで多く観察されました予算配分の懇意性のようなものを排除する、そして不透明性を排除するという意味では、法律の形で基本方針を定めておくということは重要だというふうに考えます。したがって、今度の国会で国民の理解を得るために十分な論議が尽くされることを心から期待したいわけでございます。
それを申し上げた上で、経済構造改革について一言触れたいと思います。
今日、景気の足踏みと言われておりますけれども、急速に景気の低迷感が強まっているということは何人も否定し得ないところだと思います。私も大変この問題を憂慮しておりますが、これに対して、財政出動あるいは所得減税ということが有力な解決策となるかどうか、私はかなり疑問を持っております。それよりも、規制緩和の戦略的推進といった構造改革を強力に進めることが有効ではないかというふうに考えます。
この財政出動、所得減税の効果が期待しにくいのではないかと思われることについては、次のような理由でございます。
公共投資などの財政支出は、一時的にもちろん需要の創出になります。しかし、サービス経済化の進展しております近年の経済構造の中では、その波及効果は極めて乏しい、ますます乏しくなっていることはさまざまなデータから明らかになっておりますが、それは財政構造改革をおくらせることになるわけですけれども、この改革を先伸ばしにすればするほど累積債務問題というのは困難がいよいよ増幅をいたします。長期的に弊害がますます大きくなるということでございます。
所得減税についてはどうかということでございますが、今日所得が低迷をしているということは事実でございますけれども、これは実質可処分所得の伸び悩みということもあることはありますけれども、さらに先行きの金融不安、雇用不安、老後不安といったような将来不安が影を落としている面が大きいと思われます。したがって、一時的な減税をした場合に、むしろ将来不安ということで消費よりも貯蓄に回る、あるいは将来の増税を予測して消費が伸びないということがあるのではないかと思います。
したがって、経済の活性化のためには、今日二千八百三十項目の規制緩和推進計画ということで行われているわけでございますけれども、この中身をさらに実質的に強力に進めることが必要ではないか。経済構造が変化していかざるを得ない中で、今日、全般的な景気の低迷があるけれども、決算の状況などを見ておりますと、業績のむしろ増加している、収益の増加している企業が五分の一ぐらいはございます。つまり、経済構造の変化の未来をとらえて、市場のニーズをとらえて伸びている産業部門、企業もあるわけでございまして、そういった新しい社会のニーズ、市場の機会をとらえた企業や産業の成長を促進すること、そのために規制緩和を一層本格的に促進することが必要ではないかというふうに考える次第でございます。
ただ、ここで一つ、規制緩和は相当程度今進行中だと思いますけれども、国民がこの規制緩和の進行について自信を持てる、安心して規制緩和の推進に参加できるというためには、実は私は早い段階で市場システムの整備というものを急ぐ必要があるのではないかと思います。これは何かというと、透明性を確保すること、公正な市場競争の仕組みを確保すること、そして安全を確保することでございます。
これはあらゆる産業分野、あらゆる市場について言えることなんですが、最近非常に関心を呼んでおります金融について一つの例でいいますと、金融の情報公開は果たして十分なのか、あるいは市場監視制度は本当に機能しているのか。あるいは預金保険機構のような問題がありますけれども、一時八千数百億円まであったのが今日は三千億円台になっている。あるいは保険契約者保護基金が底をついている。こういうようなセーフティーネットでは極めて心もとないわけでございまして、ここら辺の安心して規制緩和を進められる市場システムの推進、整備ということを急ぐ必要があろうというふうに思います。
最後に、法人税の問題について触れたいと思います。
大変いろいろ政策手段が困難である中で、私は、構造改革としては言うまでもありませんが、景気対策としても最も効果が期待できるのは法人課税の改革であろうというふうに思います。
今日、法人税の改革について、課税ベースの拡大を引当金の見直し等で進めながら数%の国の法人税率引き下げということが意図されていて、それに連動して地方税の引き下げということが議論されておるようでございますけれども、私は法人課税全体の見直しをすることが必要だと。とりわけ課税といいますのは、地方の法人関連の課税でございます。
問題は、特に地方法人所得課税、つまり法人事業税一二%、法人住民税法人税割、これが六・五%ございますが、あえて思い切って申し上げますと、私見でございますけれども、これらの地方法人所得課税を撤廃して、そして地方税収を賄うために付加価値税型の外形標準課税を導入することが適当なのではないかというふうに思います。企業が上げております総付加価値をもし付加価値税型の税で賄うとすると、そして法人事業税の税収をその分で賄うとすると約一・五%から二%程度の付加価値税率で済むわけでございます。これは地方自治体にとっては税収が減らない、しかも安定化するというメリットがございます。
これは、来年度の法人税改正にはこの地方税改革の具体案を盛り込むことは難しいかもしれませんけれども、そういう方向を明確に打ち出すということが将来の投資行動を明らかに刺激いたしますし、恐らく株式市場がすぐこれに反応して株価が反転するのではないか、そういうアナウンスメント効果も期待されると思います。この外形標準課税の導入による法人所得課税の撤廃は、何よりも生産性の高い効率的な企業、産業の成長を促進いたします。そして、応益税という基本をめぐっての住民と自治体当局の切瑳琢磨が高まることによって、責任のある地方自治が実現できるのではないか、このように思います。
以上でございます。