上條俊昭の発言 (行財政改革・税制等に関する特別委員会)
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○参考人(上條俊昭君) 私は、昭和二十九年に社会に出ましてから、野村証券調査部及び野村総合研究所で三十数年日本経済の分析や日本産業の調査に当たってきました民間エコノミストとして、この法案を日本経済の視点で読ませていただきました。
財政構造改革を何で進めるかという視点は、やはりその目的がありまして、日本経済を再活性化するという目的があろうかと思います。そういたしますと、日本経済の担い手は、もちろん政府の役割もございますけれども、特に民間企業の果たす役割が大きいと思います。その民間企業と政府の役割がこの法案の趣旨、目的を見ましても余りはっきりと書かれておりません。政府は財政を均衡化する方向に向かう、これは確かに結構でございますけれども、民間との二人三脚と申しますか、役割分担をもう少しはっきりと書いてほしいと思いました。
私は、それをはっきりさせるために、島田先生とはちょっと違った観点ではございますけれども、やはり法人税制というものの抜本改正が必要ではないかというふうに思います。
今、法人税制は御存じのように約五〇%弱と言われております。三七・五%の法人税に一二%の事業税、それから地方税等々で約五〇%ということでございますが、その実効税率を私は先進国の普通の水準であります三〇%台に持っていく必要があるのではないかというふうに考えます。今、大体五〇%の税率を四〇%に二割カットいたしますと約四兆円ぐらいの減税に相なろうかと思います。三割カットいたしますればそれは六兆円ということに相なりますが、四兆ないし五兆の法人税をカットすることによって、これはその資金を政府が吸い上げるのではなくて民間に使わせるわけでございますから、当然、民間はその資金をもとに設備投資をふやしたり、雇用をふやしたり、研究投資をふやしたりするのに使う。政府が使うか、民間が使うかということでございまして、政府はその五兆円なら五兆円をみずからカットするという形で、むしろ背水の陣をしくということになりますので、私はもっと切実なといいますか、緊張感を生む財政削減の努力がなされるのではないかというふうに思います。
当然それは民間の活性化を通じて日本経済を再浮揚するための戦略的な手段でありまして、もしそれで五年ぐらいたって税収が例えば三〇%ぐらいの増益になれば、当然もとの税収に戻るわけでありますから、そのぐらいは民間として、むしろ企業を活性化して法人税収を上げるように努力するでありましょうし、そのときに政府が少し小さくなっておれば財政的余裕が生まれるというふうに思うわけであります。
いわゆる、税率を下げて税収を上げるという.ラッハー教授のやったレーガン減税の一つの実験を日本でも法人税制についてやられてはどうかというふうに思うわけであります。仮に二割の法人税を下げるといたしますと、企業の税引き利益は二割増益になります。したがいまして、株価収益率が一定といたしますれば、株価は日経平均は一万六千円から一万九千円ということに相なりまして、これは日本の今行われております金融不安の解消に役立ちますし、年金、生命保険等の資産の増加によりまして国民生活に大変重要な安心感を与え、景気にもいい影響を与えると思います。
今、九〇年のバブルがはじけましてから、外国の機関投資家、年金等が日本の株を二十三兆円、ネットで買い増しました。彼らは日本企業の収益の増加を信じて二十三兆円というお金を投資しているわけでございます。したがいまして、企業収益を伸ばし、しかも株価水準を上げるということは、国際的な視点からも私は重要な経済活性化の視点ではないかというふうに思います。
それから、第二でございますけれども、やはり経済を活性化するためには、何といいましても、私は雇用の問題が大事だというふうに思います。この法案にも少し雇用のことは触れておりますけれども、もっと前向きに雇用と財政構造の問題についての点で突っ込んでいただければよかったかなというふうに思います。
今、御承知のように、日本は高齢化社会を迎えまして、二〇〇〇年には六十五歳以上の人口が一七%を超しまして、日本はスウェーデンを上回る高齢化社会になると言われております。どんどんいきますと、これが二〇%、二五%になるというのは多くの識者が指摘しておるところであります。一体、そういう高齢化を放置して社会の運営ができるのかどうか、私は甚だ疑問に思います。
そこで、一つの提案ではございますけれども、この法案に盛り込むというのじゃありませんけれども、日本の社会を明るくするためには、私は七十歳までは元気な人は働けるような社会をつくるべきだというふうに思います。農業とかお医者さんの世界では七十歳で現役で頑張っている方がいっぱいいらっしゃいます。サラリーマンだけが六十歳で定年を迎えるというのはいささか不合理な制度ではないかというふうに思うわけであります。
それは、なぜそういうことを申し上げますかといいますと、七十歳まで働きますと、高齢化社会と言いますけれども、七十歳以上を高齢人口と定義しますと、人口に占める比重は現在はまだ一〇%であります。アメリカが先進国の中で今非常に経済が好調なんですが、それは老人人口が少ないからであると思います。アメリカは大体二一%台であります。それで、ちょっと試算してまいりましたけれども、二〇〇〇年になりましても一一・五%ぐらいでありまして、七十歳まで働く社会をつくれば、私は日本の経済はかなり活力を維持できるのではないかというふうに考えるからであります。
そういたしますと、年金の問題にも大変好影響を与えます。ここでも何か年金が将来削減されるというように思われるような文脈が書かれておりますけれども、年金財政にもいい影響を私は与えると思いますし、医療、福祉の面でも私は非常にいい効果を与えると思います。
先般、長野県に行ってまいりました。長野県というのは一番長寿県でありまして、しかも医療費が低い県で有名であります。何でお年寄りが非常に元気なのかということを質問しますと、幾つかの要因がありますけれども、長野県というのは非常に高齢者の就業率が高いということを多くの方がおっしゃっておりました。私は、元気で働く社会をつくることがこの社会を明るくし、活性化する源ではないかというふうに思いますので、その点についてもぜひひとつ税制等、この財政構造の面でも一つの御配慮をお願いいたしたいと思います。
あと、少子化の問題についてお話をしたいと思いましたけれども、時間が来ましたので、これは御質問がございましたらお答えいたします。
日本は二〇〇四年から一番厳しい見方をすると人口減少の時代がやってきます。人口が減少して経済が成長したという国は私は経済史の中で例を知りません。したがいまして、人口減少というものにいかに歯どめをかけるか。高齢化はある程度高齢者雇用をすることによって解決が可能な面もございますけれども、人口減少というのは、これは別の時点でございまして、これについてはこの構造改革の中に一つも触れられておりませんが、ひとつこういう視点もこれからの財政構造改革の中に入れていただきたいと思うわけであります。
以上三点を申し上げました。