山口公生の発言 (大蔵委員会)
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○説明員(山口公生君) それでは、私の方から、現在その具体化・法案化の作業を進めております金融システム安定化のための緊急対策につきまして、その概要を御説明いたします。
大臣のお話にもありましたように、今回の緊急対策は二つの柱から成り立っております。預金保険法を改正することにより、すべての金融機関における預金の全額保護の徹底を図る体制を整備するとともに、新法を制定することにより、金融危機時において金融機関の自己資本充実を図ることにより金融システムの安定化を図る制度を創設することとしております。
以下、その具体的な内容について御説明申し上げます。
第一に、預金の全額保護を図る体制の整備でございますが、二〇〇一年三月末までの時限措置として設けられた預金保険機構の特別勘定について、一般金融機関と信用組合の区分を廃止し、すべての金融機関を対象とした一つの特別の勘定に統合いたします。そして、預金保険機構の財政基盤の強化を図るため、七兆円の国債をその特別の勘定に交付し、破綻処理に伴い発生する損失、すなわち特別保険料では賄い切れない破綻金融機関の債務超過相当分及び買い取った資産から二次的損失が発生した場合のその損失の補てん分等について、国債の償還金により補てんできることといたします。また、この特別の勘定における資金調達が円滑に行われるよう、日銀等からの借り入れに加え債券発行機能を付与するとともに、借り入れなどに対し十兆円の政府保証限度額を設定し、これにより調達した資金で破綻金融機関の資産の買い取りなどを行えるようにいたします。
次に、信用組合が破綻した際の受け皿として設立された整理回収銀行について、信用組合のみならず、一般金融機関の受け皿銀行としての機能も果たせるようその機能を拡充することとし、これにより、一般金融機関の破綻処理において他に受け皿銀行が見出せない場合においても預金者が保護される仕組みを整えることといたします。
さらに、預金保険機構において、これまで旧住専から承継された住宅金融債権管理機構の貸付債権の回収業務に限り認められております罰則つき立入調査権を破綻した金融機関の貸国債権の回収業務にも拡大するなど、預金保険機構の回収体制の強化も図ることといたします。
第二に、金融危機時における金融機関の自己資本充実策でありますが、金融の危機的な状況に対処するための緊急措置として、預金保険機構に新たな勘定を設置し、二〇〇一年三月末までの間、整理回収銀行に委託して金融機関が発行する優先株等を引き受けることを可能といたします。
そのための財政上の措置として、その新たな勘定に三兆円の国債を交付し、優先株などの引き受け及び優先株などの売却等に伴い損失が発生した場合のその損失の補てんについて、国債の償還金を充てられることといたします。また、この新たな勘定における日銀等からの借り入れなどによる資金調達が円滑に行われるよう、先ほど述べました預金の全額保護のための勘定と同様、債券発行機能を付与するとともに、借り入れ等に対し十兆円の政府保証限度額を設けることといたします。
また、公的資金による優先株等の引き受けが厳正に行われるよう、法律に基づき、公正な審査を図るための審査機関を設置します。その構成員は、経済または金融に関してすぐれた識見と経験を有する者として内閣が任命する民間の有識者三名及び大蔵大臣、金融監督庁長官、日銀総裁、預金保険機構理事長の七名といたします。
この審査機関は、厳正な審査基準を策定し、金融機関から優先株等の引き受けの申請があった場合には、これに基づいて審査し、慎重を期す観点から全員の一致をもって議決することとし、さらに議決された案件については閣議で了承を得ることといたします。また、透明性を高めるため、審査機関の審査の議事録などは公表することといたします。
審査機関が定める審査基準については、優先株等の引き受けが個別金融機関の救済とならないよう、次の基準を満たすものでなければならないことといたします。
第一に、破綻処理における受け皿金融機関において、受け皿金融機関となることで悪化した自己資本を改善しなければ、信用秩序の維持及び地域経済の安定に大きな支障が生じるおそれがあることであります。ただし、その場合でも、破綻処理の円滑な実施のために必要な範囲を超えないことといたします。
第二に、経営の状況が悪化していない一般の金融機関について、優先株等の引き受けにより自己資本が改善されなければ、我が国の信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じることとなる事態として、金融機関の内外の金融市場における資金調達が極めて困難な状況に至ることになるなどにより、我が国の金融の機能に著しい障害が生じるか、あるいは、金融機関の連鎖的な破綻を発生させることになるなどにより、これらの金融機関の業務を行っている地域・分野の経済活動に著しい障害が生じるか、いずれかの事態が生ずるおそれがあることであります。
そして、いずれの場合も、優先株等の引き受けが発行金融機関の経営再建を目的として行われるものではなく、信用秩序の維持を目的とするものであること、発行金融機関の経営が悪化しておらず、発行金融機関の破綻が見込まれない場合であることなどを要件といたします。
なお、優先株等の引き受けを申請する金融機関は、経営の合理化及び健全な経営体制の確保に関すること、財産の状況の健全性の確保に関すること、その他業務の健全かつ適切な運営の確保に関することを盛り込んだ経営の健全性確保のための計画を審査機関に提出しなければならないこととし、審査機関はこれを適当と認める場合でなければ議決を行えないものとします。そして、審査機関は、承認の議決をした場合はこれを公表するものといたします。
以上、金融システム安定化のための緊急対策の概要について御説明させていただきました。なお、以上の内容につきましては、現在検討途中のものであり、今後変更の可能性があり得ることをお断り申し上げておきます。いずれにせよ、最終的には法律案の形で御審議をお願い申し上げることとなると思います。
最後に、改めて、本対策は現在の金融の危機的状況に対処し、預金者保護と金融システム安定化に万全を期すためのものであり、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げまして、御説明とさせていただきます。ありがとうございました。