大蔵委員会

1998-01-08 参議院 全246発言

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会議録情報#0
平成十年一月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月六日
    辞任         補欠選任
     上山 和人君     梶原 敬義君
 一月七日
    辞任         補欠選任
     直嶋 正行君     今泉  昭君
 一月八日
    辞任         補欠選任
     西田 吉宏君     谷川 秀善君
     今泉  昭君     平田 健二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川  弘君
    理 事
                河本 英典君
                楢崎 泰昌君
                牛嶋  正君
                峰崎 直樹君
                梶原 敬義君
    委 員
               大河原太一郎君
                片山虎之助君
                金田 勝年君
                清水 達雄君
                谷川 秀善君
                西田 吉宏君
                野村 五男君
                松浦 孝治君
                今泉  昭君
                海野 義孝君
                白浜 一良君
                平田 健二君
                広中和歌子君
                岡崎トミ子君
                久保  亘君
                笠井  亮君
                山口 哲夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       大 蔵 大 臣  三塚  博君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  奥田 宗久君
       経済企画庁調査
       局内国調査第一
       課長       古川  彰君
       大蔵政務次官   塩崎 恭久君
       大蔵大臣官房金
       融検査部長    原口 恒和君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       通商産業省産業
       政策局産業資金
       課長       齋藤  浩君
   参考人
       日本銀行総裁   松下 康雄君
       日本銀行理事   本間 忠世君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (金融安定化対策等に関する件)
    ―――――――――――――
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石川弘#1
○委員長(石川弘君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六日、上山和人君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。
 また、昨日、直嶋正行君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
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石川弘#2
○委員長(石川弘君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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石川弘#3
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に梶原敬義君を指名いたします。
    ―――――――――――――
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石川弘#4
○委員長(石川弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁松下康雄君及び日本銀行理事本間忠世君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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石川弘#5
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
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石川弘#6
○委員長(石川弘君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 本日の議事の進め方でございますが、金融安定化対策等に関する件について、まず、三塚大蔵大臣及び大蔵省当局から説明を聴取した後、政府に対して質疑を行い、その後、内閣総理大臣に対する質疑を行います。内閣総理大臣に対する質疑が終了後、引き続き委員間の自由討議を行います。
 それでは、金融安定化対策等に関する件について、三塚大蔵大臣及び大蔵省当局から順次説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣。
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三塚博#7
○国務大臣(三塚博君) 参議院大蔵委員会の閉会中審査に当たりまして、次期通常国会において御審議をお願いする予定の金融システム安定化のための緊急対策について、その背景及び大要を御説明いたします。なお、具体的内容につきましては、後ほど銀行局長から説明させます。
 金融の国際化・情報化が進み、国境を越えた市場取引を通じ、我が国金融システムは世界のマーケットと直結する時代となっております。
 最近では、例えばアジア地域において、タイを発端に香港、韓国などの通貨・金融市場に大きな混乱が見られました。こうしたアジア地域における経済・金融情勢の深刻さは、我が国金融システムの安定性に関係する問題となっております。
 国内においては、金融機関は不良債権処理に取り組んでいるものの、昨年秋以降、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国金融の機能に対する信頼が大きく揺らぎかねない状況となっております。また、海外におきましてもジャパン・プレミアムは急上昇しており、これが金融機関の資金調達に重大な影響を与えております。
 金融システムは国民経済の基盤をなすものであり、金融機関の資金供給機能が損なわれれば、健全な企業を初め経済にはかり知れない打撃を与えるとともに、それがさらなる不安を招くという悪循環に陥る危険があります。金融システムの安定は、我が国経済の自律的な成長の実現、国際経済における我が国の信用の保持にとって必須の条件であります。
 また、仮に我が国の金融が機能不全を起こせば、世界じゅうのマーケットに直ちに伝播し、深刻な影響を及ぼすこととなります。こうした事態を未然に防止するための体制整備は、政府に課された重大な責務であると考えております。
 以上の認識に立って、今般、金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐための時限的な緊急対策として、次の措置をとることといたしました。
 まず第一に、今後いかなる事態が生じても預金の全額保護が可能となる体制を整備いたします。具体的には、信用組合のみならず、一般金融機関全体を対象として、公的資金により預金保険機構の財政基盤の強化を図ります。また、破綻処理の受け皿銀行となる整理回収銀行の機能の拡充及び預金保険機構における不良資産の回収体制の強化を図ります。これらにより、金融機関の破綻に対し、円滑かつ迅速に対処してまいります。
 第二に、金融危機の際の対応として、一時的に金融機関の発行する優先株等を引き受け、金融機関の自己資本を充実させる制度を設けます。この措置を行うに当たっては、公正な審査機関により厳正な基準を設けて、透明性の高い手続のもとで運用を行うことといたします。こうした運用により、優先株等の引き受けが個別金融機関の救済ではなく、我が国の金融システムに著しい障害が生じ、信用秩序と国民経済に重大な支障が生ずることが懸念される場合に限られるようにしてまいります。
 以上の措置に関して、預金保険機構に総額十兆円の国債を交付するとともに、借入金等の政府保証限度額を総額二十兆円とし、合わせて三十兆円の公的資金を活用できることとします。
 こうした公的資金の活用の前提として、金融機関自身による責任ある経営体制の整備やリストラの徹底、破綻した金融機関の経営者責任が厳しく問われることは言をまたぬところであります。
 最後に、我が国の金融システムを安定させることが、これまで講じてきた予算・税制面における対応等と相まって、我が国経済の自律的な安定成長の実現に大きく寄与し、財政の健全化にもつながるものであることを申し上げまして、私の説明といたします。
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石川弘#8
○委員長(石川弘君) 山日銀行局長。
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山口公生#9
○説明員(山口公生君) それでは、私の方から、現在その具体化・法案化の作業を進めております金融システム安定化のための緊急対策につきまして、その概要を御説明いたします。
 大臣のお話にもありましたように、今回の緊急対策は二つの柱から成り立っております。預金保険法を改正することにより、すべての金融機関における預金の全額保護の徹底を図る体制を整備するとともに、新法を制定することにより、金融危機時において金融機関の自己資本充実を図ることにより金融システムの安定化を図る制度を創設することとしております。
 以下、その具体的な内容について御説明申し上げます。
 第一に、預金の全額保護を図る体制の整備でございますが、二〇〇一年三月末までの時限措置として設けられた預金保険機構の特別勘定について、一般金融機関と信用組合の区分を廃止し、すべての金融機関を対象とした一つの特別の勘定に統合いたします。そして、預金保険機構の財政基盤の強化を図るため、七兆円の国債をその特別の勘定に交付し、破綻処理に伴い発生する損失、すなわち特別保険料では賄い切れない破綻金融機関の債務超過相当分及び買い取った資産から二次的損失が発生した場合のその損失の補てん分等について、国債の償還金により補てんできることといたします。また、この特別の勘定における資金調達が円滑に行われるよう、日銀等からの借り入れに加え債券発行機能を付与するとともに、借り入れなどに対し十兆円の政府保証限度額を設定し、これにより調達した資金で破綻金融機関の資産の買い取りなどを行えるようにいたします。
 次に、信用組合が破綻した際の受け皿として設立された整理回収銀行について、信用組合のみならず、一般金融機関の受け皿銀行としての機能も果たせるようその機能を拡充することとし、これにより、一般金融機関の破綻処理において他に受け皿銀行が見出せない場合においても預金者が保護される仕組みを整えることといたします。
 さらに、預金保険機構において、これまで旧住専から承継された住宅金融債権管理機構の貸付債権の回収業務に限り認められております罰則つき立入調査権を破綻した金融機関の貸国債権の回収業務にも拡大するなど、預金保険機構の回収体制の強化も図ることといたします。
 第二に、金融危機時における金融機関の自己資本充実策でありますが、金融の危機的な状況に対処するための緊急措置として、預金保険機構に新たな勘定を設置し、二〇〇一年三月末までの間、整理回収銀行に委託して金融機関が発行する優先株等を引き受けることを可能といたします。
 そのための財政上の措置として、その新たな勘定に三兆円の国債を交付し、優先株などの引き受け及び優先株などの売却等に伴い損失が発生した場合のその損失の補てんについて、国債の償還金を充てられることといたします。また、この新たな勘定における日銀等からの借り入れなどによる資金調達が円滑に行われるよう、先ほど述べました預金の全額保護のための勘定と同様、債券発行機能を付与するとともに、借り入れ等に対し十兆円の政府保証限度額を設けることといたします。
 また、公的資金による優先株等の引き受けが厳正に行われるよう、法律に基づき、公正な審査を図るための審査機関を設置します。その構成員は、経済または金融に関してすぐれた識見と経験を有する者として内閣が任命する民間の有識者三名及び大蔵大臣、金融監督庁長官、日銀総裁、預金保険機構理事長の七名といたします。
 この審査機関は、厳正な審査基準を策定し、金融機関から優先株等の引き受けの申請があった場合には、これに基づいて審査し、慎重を期す観点から全員の一致をもって議決することとし、さらに議決された案件については閣議で了承を得ることといたします。また、透明性を高めるため、審査機関の審査の議事録などは公表することといたします。
 審査機関が定める審査基準については、優先株等の引き受けが個別金融機関の救済とならないよう、次の基準を満たすものでなければならないことといたします。
 第一に、破綻処理における受け皿金融機関において、受け皿金融機関となることで悪化した自己資本を改善しなければ、信用秩序の維持及び地域経済の安定に大きな支障が生じるおそれがあることであります。ただし、その場合でも、破綻処理の円滑な実施のために必要な範囲を超えないことといたします。
 第二に、経営の状況が悪化していない一般の金融機関について、優先株等の引き受けにより自己資本が改善されなければ、我が国の信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じることとなる事態として、金融機関の内外の金融市場における資金調達が極めて困難な状況に至ることになるなどにより、我が国の金融の機能に著しい障害が生じるか、あるいは、金融機関の連鎖的な破綻を発生させることになるなどにより、これらの金融機関の業務を行っている地域・分野の経済活動に著しい障害が生じるか、いずれかの事態が生ずるおそれがあることであります。
 そして、いずれの場合も、優先株等の引き受けが発行金融機関の経営再建を目的として行われるものではなく、信用秩序の維持を目的とするものであること、発行金融機関の経営が悪化しておらず、発行金融機関の破綻が見込まれない場合であることなどを要件といたします。
 なお、優先株等の引き受けを申請する金融機関は、経営の合理化及び健全な経営体制の確保に関すること、財産の状況の健全性の確保に関すること、その他業務の健全かつ適切な運営の確保に関することを盛り込んだ経営の健全性確保のための計画を審査機関に提出しなければならないこととし、審査機関はこれを適当と認める場合でなければ議決を行えないものとします。そして、審査機関は、承認の議決をした場合はこれを公表するものといたします。
 以上、金融システム安定化のための緊急対策の概要について御説明させていただきました。なお、以上の内容につきましては、現在検討途中のものであり、今後変更の可能性があり得ることをお断り申し上げておきます。いずれにせよ、最終的には法律案の形で御審議をお願い申し上げることとなると思います。
 最後に、改めて、本対策は現在の金融の危機的状況に対処し、預金者保護と金融システム安定化に万全を期すためのものであり、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げまして、御説明とさせていただきます。ありがとうございました。
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石川弘#10
○委員長(石川弘君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより政府に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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清水達雄#11
○清水達雄君 自民党の清水達雄でございます。
 昨年来、政府におきましては、かなり思い切った税制改正でありますとか二兆円の特別減税を含む補正予算、あるいはただいま御説明がございましたような金融安定化対策というふうなものを次々と出されてきているわけですけれども、このことが証券市場とかあるいは為替市場とかに余り反映されていないといいますか、そういう状況にあるわけでございます。そういう意味から、後から金融システム安定化対策の問題を伺いますけれども、この周辺の株式市場とかレートの問題とか、そんなことにつきまして現状認識やら御見解を若干伺っておきたいと思います。
 株式市場におきまして風説とか憶測等を交えた不安、心理が非常に強くて過剰反応が起こりやすい、こういう状況にあるというふうに聞くわけでございまして、実はこの質問をつくっておりましたら、大蔵大臣の方から空売りの規制とかいうふうな対策も出てきたわけですが、こういった株式市場の現状についてどんな認識を持って、空売り対策だけではなくてほかにもいろんな対策が私は必要だと思うんですけれども、そういうことについてどんな対応を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
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長野厖士#12
○説明員(長野厖士君) 株式市場の昨年来の状況につきましては、いろいろな要素が絡み合った状況であろうかと思います。
 基本的に、日本の経済の先行きに対する投資家の方々の判断あるいは懸念といったもの、その中で特に本日議題とされております金融システムというものに対する問題ということも大きくございます。
 そういった中で、政府におきましてもろもろの経済活性化あるいは金融システム安定化の対策が講じられておるところでございますけれども、片や、かなり著名な上場企業における破綻といった現実も生じましたものですから、清水先生がただいま御指摘になりましたように、市場の心理といたしまして非常に不透明感というものがございまして、そういったものをまたバックといたしまして、いろいろな個別会社をめぐるうわさといったようなものが恐らく平時におきますよりは過敏に市場に伝達されるというふうな状況もございます。
 そこで、基本的な経済運営に関する施策と並びまして、そういった市場の透明性の確保、あるいは場合によっては相場操縦等証券市場の価格形成をゆがめる不公正な取引に対しては断固として対応するという観点から、先日、大蔵大臣が御指摘いただきました談話を発表されまして、不公正な取引に対する証券取引等監視委員会による厳正な対応への期待、東京証券取引所による集中的な売買審査、空売り規制の見直し、あるいは相場操縦等に対する利得の没収規定の創設等ルール違反に対する厳正な対処といった措置を御発表いただいたところでございまして、基本的な経済運営の問題とあわせてこういった市場の公平性の確保の施策というものが相まちまして証券市場の健全な発展に資することを願っておるわけでございます。
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清水達雄#13
○清水達雄君 今お話しになった中で、企業経営の実態といいますか、そういうことについての情報開示が国民というか、みんなにもうちょっとわかりやすい形でなされる工夫が必要ではないかなということが一つありますし、それから金融システムとの関係で、企業が見放されたらすぐ倒れちゃうんじゃないかという話があるんですけれども、これはシステムと企業、個別事業会社という関係ではなくて、主としてつき合っている銀行と事業会社との関係が従来と変わってきている、そこに非常に不安な問題が多くあって、銀行から見放されるといつ倒れるかわからないよということもかなりあって、そこをまたつけ込まれるということもあるわけですね。
 こういう変革期でございますから、その辺にもうちょっと金融機関と企業との関係というふうなことについて漸進的な連携関係というようなことを何か考えないと不安というのがなかなかぬぐい切れないんじゃないかなというような感じもいたします。非常に難しい問題でございますけれども、御検討をお願いいたしたいと思います。
 それから、円安が非常に進んでおりまして、五、六年ぶりの安値というふうなことを言われているわけですが、このレートの現状をどう認識して、今後の動向についてどんなふうに見ておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
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黒田東彦#14
○説明員(黒田東彦君) 為替レートの動きにつきましては、一般的にファンダメンタルズによるものと、それからその時々の市場の思惑といったものが加味をされまして動いているというふうに認識をしております。
 したがいまして、個々の為替の動きを確定的な形で御説明するというのは非常に難しいわけですが、ことしの初めからの為替の動きを見ますと、実は円がドルに対して弱くなっているというだけではなくてマルクもドルに対して弱くなっている、すなわちドルが対円あるいは対マルクで上昇しているようでございます。これは景気の動きあるいは金利の動き、その他いろいろな状況によるものと思いますけれども、少なくとも短期的な動きにつきましてはむしろドルが対円、対マルクで上昇しているということではないかと思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、我が国といたしましては円相場が下落をするということについては懸念を有しておりまして、特に円の過度の下落は好ましくないというふうに思っております。したがいまして、今後とも為替市場の安定を維持するために適切に行動する用意があるという立場に変わりはございませんし、この点は常に大臣が強調しておるところでございます。
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清水達雄#15
○清水達雄君 円レートが安くなって実際どういう困難、何か困ることがあるのかという点についてもうちょっと御説明いただけますか。
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黒田東彦#16
○説明員(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたように、為替レートはファンダメンタルズの動きと市場の思惑と両面があるわけでございますが、ファンダメンタルズを反映している限りでは、それがたまたま円高であるとかあるいは円安であるということ自体が特に問題であるというふうには我々も考えておりません。しかし、しばしばそのファンダメンタルズ以上に為替が円高に振れたりあるいは円安に振れるということがございます。そういたしますと、それはまたいずれかの時点で修正され為替が激変するということになります。したがいまして、そういった為替の乱高下、激変ということはやはり経済にとって好ましくないということかと思います。
 したがいまして、例えば円安になるということ自体が一部の産業セクター、例えば輸出に特化している企業にとってはむしろプラスであるということは事実でございますけれども、他方で非常に多くの原材料を輸入して国内でサービスあるいは商品を供給しているという企業にとってはむしろマイナスかもしれません。したがいまして、単に円安になるということ自体が一定のセクターにプラスになりあるいはマイナスになるということがいろいろあると思いますが、私どもが常に念頭に置いておりますのは、ファンダメンタルズを超えて為替が円安に振れる、あるいは円高に振れるということはやはり中長期的に見て望ましくないということで、先ほど申し上げたような考えに沿って為替の安定を図ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
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清水達雄#17
○清水達雄君 レートというのはやっぱり通貨に対する需給関係だと思うんですね。そういうものが基本的な変動の根底にあるのではないかと。
 例えば円について言いますと、我が国が貯蓄過剰国で、要するにお金が余っているわけで、これを外国へ投資しようと思うとそれは円を売ってドルを買って投資されるというふうな形になってきますから、円を売ってドルを買うという量が多くなる。そういうことで、貯蓄過剰国で内需でそれが使われないから円が余っている、こういうのはやっぱり構造的な原因としてあるんじゃないか、それは当然投機対象になりますから変動はありますけれども、そういうふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
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黒田東彦#18
○説明員(黒田東彦君) ただいま御指摘の点は、理論的にそういう要素があるということは確かでございまして、先ほど申し上げたように、為替の動きというものはファンダメンタルズあるいは市場の思惑ということを反映して動くわけですが、具体的にそれではどういうふうに動くかといえば、まさにおっしゃるとおり、為替の需給という形で動くわけでございます。その需給の中にまさにファンダメンタルズを反映したものと市場の思惑を反映したものと両方が組み合わさって市場の需給にあらわれ、それが為替を動かしているということでございます。
 そこで、そのうちのファンダメンタルズという場合にはいろいろな要因がとられてくるわけでございますが、景気の動向であるとかあるいは内外の金利差であるとか、さらには国際収支の動き等々が挙げられるわけでございます。
 御指摘の俗に言いますISバランス論という議論で、貯蓄過剰国が、貯蓄過剰国というのはすなわち海外に資本が流出するとそれは自国通貨の安値あるいは外国の通貨、ドルの高値を呼ぶのではないかという御指摘だと思いますが、先ほど申し上げたようなそういう要因がないということはないと思いますが、他方で資本が流出しているということは、裏側からいいますと経常収支が大きな黒字になるということでございます。
 経常収支の黒字ということはむしろ為替に上昇圧力をもたらすというふうに言われているわけでございまして、先ほど申し上げたように、ファンダメンタルズ自体いろいろな要素がありますし、さらに市場の思惑といったことでいろいろな為替需給に対する影響が入り乱れておりますので一概に申し上げられませんけれども、必ずしも貯蓄過剰が即為替の下落の圧力というふうにはならないのではないかと。むしろ逆に経常収支の黒字ということで為替の上昇圧力につながる可能性もあるということでございますので、繰り返しになりますけれども、御指摘のような要素がないわけではないと思いますが、反対の動きもあり得るということで一概には申し上げられないのではないかというふうに思っております。
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清水達雄#19
○清水達雄君 なかなか難しい問題で、これはもうちょっと勉強させていただかないとよくわからないということだと思います。
 それから、アジアにおきまして最近通貨の混乱とか急激な変動があるわけでございますけれども、この原因をどういうふうに見ておられるのか、通貨価値の安定はどのようにしたら達成できるのだろうかということについて御見解を伺いたいと思います。
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黒田東彦#20
○説明員(黒田東彦君) アジア諸国を見てまいりますと、確かに御指摘のように最近非常に為替が弱くなっております。通貨が下落しております。昨年中も下落しておりましたし、殊にことしに入って急速に下落しているという状況にございます。したがって、こういった通貨価値を安定させるためにどうしたらいいかということは非常に重要な問題、ポイントであるというふうに思っております。
 この問題を考える場合に特に念頭に置くべき点が二つあると思いますが、第一点は、アジア諸国は実は経済のファンダメンタルズを見ますと貯蓄率が非常に高い、例えば四割とか、一部の国は五割近い貯蓄率というふうになっておりまして、他の地域、先進国のみならず、ラテンアメリカあるいはアフリカその他の国と比べましても非常に高い貯蓄率があります。しかも勤勉な労働力を有しておりまして、また財政も実はほとんどの国が基本的に黒字でございます。
 そういったことで、経済の基礎的な諸条件は良好でございまして、なお高い潜在成長力を維持しているというふうに認識しております。これは何も私どもが認識しているというだけではなくて、最近ございましたAPECの非公式首脳会談あるいは拡大ASEAN首脳会談等でもほとんどすべての国が、アジア以外の国も含めて同様な考え方を持っておりました。
 もう一つ、それではどうしてこんなに通貨が激動しているかということでございますが、これにつきましては、この二、三年、あるいはもう少し長い期間をとった場合に、これら諸国の為替がドルにペッグするという形で過大評価になっていた、そのために経常収支の赤字が拡大し、また海外から流入した資金が不動産セクター等の分野で必ずしも生産的でなく使われた国があったというようなことから市場の信認が低下し、それがまた為替の下落、それによる金融セクターの困難ということで悪循環を生じて通貨・経済の変動が生じたというふうに思っております。
 したがいまして、こういう潜在的な高い能力と現下の困難ということでございますので、やはり現在の局面を克服して、引き続き持続的な成長を達成するということが何よりも中長期的な為替、経済の安定にとって必要でございまして、そのためには適切なマクロ経済運営を行う、これは具体的には、IMFとの合意したプログラムに沿って、既に例えばタイ、インドネシア、韓国等が行っておりますけれども、適切なマクロ経済運営を行うということと、金融セクターを中心とした構造改革を進めていくということで市場の信認回復に努めていく努力が必要であるというふうに思っております。
 こういった努力を通じて、必ずやこれら諸国の為替あるいは経済が安定し、潜在的な高い成長力を具現していくことができるというふうに確信をしております。
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清水達雄#21
○清水達雄君 年が明けましたら我が国の景気対策ということでかなり大幅な所得税減税等の要望が出てきているわけでございまして、六党の連合組織が六兆円ぐらいの減税をしろとか、あるいは経済界におきましてもかなり多額な減税をしなければいけないんじゃないかというふうな声が何か新年の会等で出てきているというふうなことが言われているわけでございます。
 この点については従来、景気対策の問題として減税か公共投資かというような議論はずっと続いてきているわけですけれども、減税による消費拡大効果があるのかどうかという点について必ずしも議論がはっきりしていないと私は思うのでございます。今のような高齢化社会、あるいはリストラがどんどん進んでいつ首になるかわからぬといった状況にサラリーマンが置かれているときに、減税をやってもらったからその金で何か使おうかということじゃなくて、それは蓄えておこうということになる、私はそういう傾向にあると思うのでございますけれども、そういったことについてやっぱりはっきりした答えがないと適切な経済政策が打っていけないというふうに思っているわけでございます。
 政府としては、減税をやった場合にそれがどれだけの消費支出の増大につながっていくのかというきちっとした解析、分析をしなきゃならぬというふうに思うわけでございます。そういう点で、これは本来経済企画庁がやらなきゃならぬ話だと思いますけれども、企画庁がやるにしても、世界経済モデルか何かで古い時代のモデルを使ってやってみたってこれはだめなんです。今の状況に照らして限界消費性向がどうなっているかとかいろんなことを考えなきゃいけない。そういうことも含めて、やっぱり経企庁に僕はもっと真剣に、経済審議会でこの問題だけでも一生懸命やってほしいと思うぐらいなんだけれども、その点についてどんな考え方を持っておるか、何%ぐらい消費支出の増大につながっていくのかというあたりの試算があれば御回答をいただきたいと思います。
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奥田宗久#22
○説明員(奥田宗久君) 御説明申し上げます。
 減税の経済効果につきましては、その期間、その規模、その時々の経済状況等により異なるものと考えられますために一概に申し上げることは困難でございますが、経済企画庁の第五次世界経済モデルによりますと、全額公債を財源として名目GDPの一%相当額の個人所得減税を行った場合、一年目に実質民間消費支出を〇・五八%押し上げる効果を持つと見込まれます。
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清水達雄#23
○清水達雄君 その一%とか〇・五八%とかいったのは、要するに減税額に対して〇・五八%の消費の増加をもたらす、こういうことですか。
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奥田宗久#24
○説明員(奥田宗久君) 今御説明申し上げました一%相当額といいますのはGDPの一%相当額でございまして、個人所得減税を行った場合には実質民間消費支出を〇・五八%押し上げる、こういうものでございます。
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清水達雄#25
○清水達雄君 よくわからないんですけれども、減税額と消費の増大額との関係で数字を言ってください。
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奥田宗久#26
○説明員(奥田宗久君) 経済企画庁の第五次世界経済モデルを用いまして統計上入手可能な確報値でございます平成八年度の実質民間最終支出をもとに試算を行いますと、減税実施一年目に、これは一兆円の減税を実施した場合でございますが、一兆円を実施した場合に三千三百億円相当の数字になるものと機械的な計算によりますと出てまいります。
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清水達雄#27
○清水達雄君 一年目が。
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奥田宗久#28
○説明員(奥田宗久君) はい。
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清水達雄#29
○清水達雄君 二年目はどうですか。――それはわからない。
 いずれにしましても、今のお話で、一兆円減税をして、その初年度は三千三百億ということですから三分の一の部分しか消費されないということですよね。だから、何兆円減税しろと言う方は一体何を目指して減税をしろと言っているのかということなんですね。そんな非効率な話があるかと私は経済政策として思うわけでございまして、この点は今のお話も本当にしっかりした答弁であるかどうかもよくわかりませんので、大蔵大臣、これは極めて大事な話ですから、政府としての統一見解といいますか、見解というのもおかしいかもしれないですけれども、要するに勉強に基づいた見解というものを私はぜひ出していただきたいというふうに思います。
 それから次に、金融システム安定化緊急対策として、御承知のように、三十兆円の金を用意する、その中で十兆円の国債を預金保険機構に交付するということにしているわけでございますが、この十兆円の国債というのは、性格あるいは償還財源、そういうものについてどういうことになっているのかということと、それから国債の発行残高の中に、いつどういう形で残高幾らの中に組み込まれるのか、組み込まれないのか、その辺、国債の性格についてお伺いしたいと思います。
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