諸井虔の発言 (地方行政委員会)
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○参考人(諸井虔君) 地方分権推進委員長の諸井でございます。
先生方には常日ごろから地方分権の推進につきましては格別の御支援をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございます。また、本日は、当委員会の勧告内容につきまして説明の機会を与えていただきましたことを感謝申し上げます。
本日は、地方分権推進委員会のこれまでの四次にわたる勧告につきまして、その内容のあらましを説明させていただき、御理解を賜りたいと存じます。
まず、私どもの方の出席者を紹介させていただきます。
委員長代理で地方行政体制等検討グループ座長の堀江湛杏林大学教授でございます。
それから、委員で行政関係検討グループ座長の西尾勝東京大学教授でございます。
専門委員で補助金・税財源検討グループ座長の神野直彦東京大学教授でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お手元に資料をお配りしてあると存じますが、それをひとつごらんいただきながらお聞き取りいただければと存じます。
当委員会は、地方分権推進法に基づきまして、平成七年の七月三日に五年間の時限の機関ということで発足をいたしました。昨年の十二月二十日に第一次勧告を行いました後、本年に入りまして、七月八日に第二次勧告、それから九月二日に第三次勧告、そして十月九日に第四次勧告を順次行ってまいりました。これによりまして、地方分権推進法に示された地方分権推進のための課題について具体的指針を一通り勧告することができたというふうに考えております。
また、当委員会の勧告のすべてが政府の作成する地方分権推進計画に着実に具体化され、実施に移される、そういう改革案になっているというふうに考えておる次第でございます。
それでは、四次にわたる勧告の概要につきまして御説明申し上げます。資料の八ページからその勧告の内容が書いてございます。
まず、第一次勧告におきまして、明治以来の我が国の中央集権型行政システムの中核的部分を形づくっておりました機関委任事務制度については、国と地方公共団体とを上下、主従の関係に置いている。二番目に、知事、市町村長に地方の代表者と国の地方行政機関としての二重の役割を負わせているため、知事、市町村長が地方公共団体の代表者としての役割に徹し切れないなどといった弊害が生じていることから、国と地方公共団体との行政システムの関係を地方自治の本旨を基本とする対等、協力の関係に転換させるために、この際、機関委任事務制度そのものを廃止すべきことを勧告いたしました。
それから、地方公共団体の事務の新たな考え方でございますが、従前の地方公共団体の事務を再編成いたしまして、新たに自治事務、これは仮称でございますが、それから法定受託事務、これも仮称でございますが、その二つに区分することといたしまして、新たな事務区分に応じた条例制定権、地方議会の権限、監査委員の権限等の制度上の取り扱いについて基本的考え方を整理いたしました。
このような地方公共団体の事務の新たな考え方を踏まえて、従前の機関委任事務について、事務自体を廃止するもの及び国の直接執行事務とするものを除きまして、原則自治事務、例外法定受託事務とする方針で事務区分の整理を個別の事務ごとに行い、地方自治法別表第三、第四に掲げる五百六十一項目の機関委任事務すべての整理を第四次勧告までに終えることができました。その結果、従前の機関委任事務に占める自治事務と法定受託事務との割合はおおむね六対四となりました。
なお、事務自体を廃止することとしたものは十一項目、国の直接執行事務としたものは二十項目となっております。
また、従前、団体委任事務と称しておったものがございますが、これは今後とも存続すべき事務は自治事務とすることにいたしました。
それから、第三次勧告におきまして、地方事務官制度の前提となってきた社会保険関係及び職業安定関係の機関委任事務につきまして基本的に国の直接執行事務といたしまして、職員はそれぞれ厚生事務官、労働事務官とすることによりまして地方事務官制度を廃止することといたしました。
次に、権限移譲の関係でございますが、国から都道府県への権限移譲については、農地転用許可、保安林の指定、解除など、地域づくりに関し長年の懸案であった事項を中心に第一次勧告で取り上げましたが、第四次勧告では市町村の規模等に応じた権限移譲について検討いたしまして、二十万人以上など一定の人口規模を有する市を当該市の申し出に基づき指定することなどによりまして、権限をまとめて移譲することとしております。
例えば、指定都市へ移譲すべき事務としては埋蔵文化財包蔵地域における土木工事等の届け出受理等がありますし、また中核市へ移譲すべき事務としては大気汚染の公表等があります。また、今回新たに設定した人口二十万人以上の市へ移譲すべき事務としては公害関係の規制地域の指定や開発行為の許可等がございます。そのほか、すべての市、すべての市町村へ移譲すべき事務として整理したものを含めまして、全体で三十四件について提言をいたしました。
また、特に地方公共団体から要望の強い都市計画については、都道府県から市町村へ決定権限を大幅に移譲するとともに、国、都道府県による関与も限定することといたしております。
次に、機関委任事務制度の廃止に伴う事務区分の再編成に合わせまして、国と地方公共団体との新しい関係を確立するため、地方公共団体に対する国の関与のあり方も極力廃止、縮減する方向で見直す必要が出てまいりますので、国の関与の基本類型を一般ルール法で設定することや、公正、透明性を確保するための国の関与の手続と紛争処理の仕組みを定めることとしております。
まず、地方公共団体が担う事務に対する国の関与については、法定主義の原則、一般法主義の原則、公正・透明の原則、この三つの一般原則を定めております。
また、一般法主義の原則に基づきまして、一般ルール法で定めることとされる国の関与の類型を自治事務及び法定受託事務の性格に応じて設定をいたしまして、事前協議に合意を要するものや緊急時等に指示ができるものを限定することとしております。
次に、国と地方公共団体の新たな関係の具体的なあり方といたしまして、第一に地方公共団体に対する国の関与の手続のルール、第二に地方公共団体の意見の申し出と国の応答義務、第三に国と地方公共団体との間の係争処理の仕組み、この三つについて提言をしております。
地方公共団体に対する国の関与の手続については、官と民の関係を律する行政手続法的な考え方に準じてその調整ルールと手続を定めようとするものであり、第一に国が関与等を行う際の書面交付などの書面主義の原則、国による許認可等の基準の公表など手続の公正、透明性の確保、第三に標準処理期間の設定など事務処理の迅速性の確保といった内容を原則として一般ルール法に定めることとしております。
また、特定の地方公共団体または地方自治全般に影響を及ぼす国の施策に関し、地方公共団体の意向が適切に反映されるための機会を設ける意味から、地方公共団体の意見の申し出の仕組みと、これに対する国の応答義務についても勧告いたしております。これらにつきましては第二次勧告で提言したものでございます。
国と地方公共団体との間の係争処理の仕組みにつきましては、第四次勧告において最終的に結論を得ることができました。すなわち、第一に、国の関与に関する係争を処理する第三者機関として国地方係争処理委員会、これは仮称でございます、を置くこと。第二に、地方公共団体は国の関与に不服がある場合に、国は地方公共団体が是正措置要求または指示に従わない等の場合に委員会に審査の申し出をすることができる。地方公共団体と国の両方が審査の申し出をすることができるということでございます。第三に、委員会は審査の申し出を受けて勧告または調停を行う。第四に、委員会の勧告に従わない場合等には、地方公共団体は関与の取り消しの訴え等を、また国は是正措置要求または指示に従わないことの違法の確認の訴えを高等裁判所に提起することができることを提言しております。
次に、都道府県と市町村の新しい関係でございます。
これまでの機関委任事務制度のもとで、都道府県が市町村に対して一般的に優越的な地位にあり、市町村の事務に関与したり市町村を指導したりすることが当然であるかのような様相を呈してきたことを踏まえ、都道府県と市町村の間において、分権型社会にふさわしい対等、協力の新たな関係を構築していくこととしております。このため、都道府県と市町村の事務配分を見直し、機関委任事務制度を前提とする従来の後見的な監督規定を廃止するとともに、市町村に対する都道府県及び国の関与を極力縮減することとしております。
次に、国と地方公共団体の財政関係については、第二次勧告において、地方公共団体の自主性、自立性を高める観点から基本的見直しを行う必要があることを踏まえ、第一に国庫補助負担金の整理合理化、第二に存続する国庫補助負担金の運用、関与の改革、第三に地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保、この三つの視点から財政面における自己決定、自己責任の拡充に向けた改革方策を提言いたしました。
国と地方の経費負担区分の原則等でございますが、最初に国と地方の関係を整理する方向といたしまして、第一に地方公共団体の担う事務に要する経費につきましては、従来どおり当該地方公共団体が全額負担することを原則とすることとしましたが、専ら国の利害に関係のある法定受託事務などについては、国はその負担すべき割合に応じて毎年度確実に負担することとしております。第二に、法定受託事務または法律に定めのある自治事務のうち地方公共団体が実施を義務づけられているものは、国はそのために要する財源について必要な措置を講ずることとしております。それから、国庫補助負担金の整理合理化を進めるに当たりまして、国庫補助金または国庫負担金の区分を明確化することを求めております。
次に、国庫補助負担金の整理合理化の基本的考え方として、第一に存続意義の薄れた事務、事業及びこれに対する国庫補助負担金の廃止、第二に同化、定着、定型化しているもの、人件費補助等の一般財源化、第三に五年を終期とするサンセット方式やスクラップ・アンド・ビルドの原則の徹底等を提言しております。
国庫補助金については、国家補償的な性格を有するものや災害支出に関するものなどを除き、原則として廃止、縮減を図っていくほか、補助率三分の一未満のもの、零細なものなどについて原則として廃止または一般財源化等を進めていくこととしております。また、国庫補助金削減計画を策定し、計画的に削減していくこととしております。国庫負担金については、おおむね十年ごとに基本的な見直しを行うとともに、対象分野、事業についても限定することとしております。
存続する国庫補助負担金については、地方の自主的、自立的な行財政運営の確立を図る観点から、補助金等適正化法等及びその運用のあり方についての見直しを含め、その運用、関与の改革を図ることとしております。なお、例示として百件の国庫補助負担金を取り上げ、整理合理化や運用、関与の改革等の処方せんを具体的に示しました。
次に、地方税財源の充実確保として、地方税、地方交付税、地方債を取り上げております。
地方税については、地方の歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小する観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図るべきであるとしております。また、国と地方の役割分担を踏まえつつ、中長期的に国と地方の税財源配分のあり方について検討しながら充実確保を図っていくべきことを勧告するとともに、当面は国庫補助負担金の廃止、縮減を行っても引き続き当該事務の実施が必要な場合や、国から地方公共団体への事務、権限の移譲が行われた場合において、その内容、規模等を考慮しつつ、地方税等の必要な一般財源の確保を図ることとしております。
さらに、課税自主権の尊重の観点から、第一に法定外普通税の許可制度を合意を要する事前協議とし、税源の所在及び財政需要の有無は事前協議の基本事項から除外すること、第二に法定外目的税制度を創設すること、第三に住民みずからが負担を決定する性格が強い個人市町村民税については制限税率を廃止すること、以上三点を提言いたしました。
地方交付税については、その総額の安定的確保を図るとともに、算定方法の簡素化の観点から、補正係数を極力単位費用化するとともに、その算定方法について地方公共団体から意見を申し出ることができる制度を設けることとしております。また、財政再建、行革努力等を促す観点、市町村合併の支援の観点からの財政需要に反映させることの検討や、地方債の元利償還期について、地方債の実償還額等に応じ基準財政需要額に算入する措置のあり方の見直しなどを提言しております。
地方債許可制度については、地方公共団体の自主性を高める観点に立って廃止し、事前協議制に移行するとともに、地方財政計画等を通じた財源措置は、合意が調った地方債についてのみ行うこととしました。ただし、赤字額や公債負担が一定水準以上の地方公共団体等については原則起債禁止としておりますし、一定の場合には許可を受けて発行することとしているほか、財政構造改革期間中においては地方公共団体の歳出の抑制が求められていることから許可制度を維持することとしております。
次に、地方行政体制の整備、確立として、第一に地方公共団体における行政改革等の推進、第二に市町村の自主的合併や広域行政の推進、第三に地方議会の活性化、第四に住民参加の拡大、多様化、第五に公正の確保と透明性の向上、第六に首長の多選の見直しについて、地方公共団体において自発的な取り組みを積極的に行うよう要請するとともに、国が講すべき支援策や促進策について提言をしております。
行政改革等の推進については、第一に、行政改革大綱等の改定、充実、年度行政改革実施計画の策定、公表、第二に、定員管理、給与の適正化等、第三に、人事交流と人材の育成等を取り上げております。
また、市町村の自主的合併については、今まで以上に積極的に進めていただくため、第一に、大都市圏、地方中心都市とその周辺地域、過疎地域などの地域の実情に配慮した施策を実施することとし、政令市、中核市の権限の拡大、中核市の要件緩和、中核市に準ずる市の特例の創設、市となるための要件の見直しの検討を行うこと、第二に、合併推進のための都道府県の役割として、地域の実態を反映した市町村合併のパターンの提示、先進事例の紹介等を行い、国はこのために必要な指針を策定すること、第三に、そのほかとして、地方交付税等による財政上の支援措置の検討、住民発議制度をより効果的なものとするための制度的工夫、旧市町村代表の合併市町村の執行機関などへの参加の仕組みの導入などを提言しております。
地方議会の活性化として、条例による議決事件の拡大、議会事務局の充実強化、議員定数の弾力化、議会の公開の推進等を取り上げております。
住民参加の拡大、多様化として、直接請求制度の見直しの検討、住民投票制度の検討、民間のコミュニティー活動等との連携、協力のための支援等を提言しております。
公正の確保と透明性の向上として、第一に情報公開の推進、第二に行政手続の適正化、第三に監査機能の充実強化を提言しております。
首長の多選については、首長の選出に制約を加えることの憲法上の可否を十分吟味した上で、地方公共団体の選択により、多選の制限を可能とする方策を含めて幅広く検討するよう提言をしております。
次に、国が地方公共団体に対し、職員、行政機関等を設置しなければならないと義務づけている必置規制について、地方公共団体の自主組織権を制約すると同時に、行政の総合化と効率化を阻害する要因ともなっているとの認識に立って、必置規制は法令に根拠を置き、必要最小限のものにとどめることとするとともに、職員、行政機関、施設、各種審議会等について七十九件を具体的に取り上げ、提言をいたしました。
国の地方出先機関の見直しについては、地方分権の推進に伴い事務量が減少する機関、本庁と事務、補助金等の手続が重複する機関について見直しを進めるよう提言をしております。
以上が地方分権推進委員会の第一次から第四次までの勧告の概要でございます。
最初にも申し上げましたとおり、四次までの勧告によりまして、地方分権推進法により示された地方分権推進のための課題について、地方分権を推進し、国と地方公共団体との間の新たな関係を確立するための道筋を示すことができたものと考えております。国と地方公共団体の双方が、四次にわたる勧告が示した国と地方公共団体との関係についての新たな枠組みのもとで対等、協力の関係を築き上げる努力を続けることにより、我が国の行政のあり方は大きく変わることと信じております。
今後、委員会の任務は、地方分権推進計画の実施状況の監視に中心を移すこととなりますが、政府による地方分権推進計画の策定作業の間においても、これをよりよいものとするために、随時政府に協力し、必要に応じ補足的な検討を行ってまいりたいと考えております。
以上で説明を終わらせていただきますが、当委員会の活動に対しまして、引き続き議員各位の御理解と御支援を切にお願いする次第でございます。
どうもありがとうございました。