田中慶司の発言 (逓信委員会)
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○説明員(田中慶司君) 厚生省の精神保健福祉課長でございます。
事件の概要、今回発生しました健康被害の状況、そして厚生省の対応と、三つに分けて御説明をさせていただきます。
まず、各委員等も御承知のとおり、本年十二月十六日六時三十分より放送されましたアニメ番組「ポケットモンスター」の視聴者の間で気分不良、意識障害、けいれん発作等の健康被害が全国的に発生して、各種の救急医療センター等医療機関を受診したところでございます。
被害の実態については明らかではありませんが、消防庁の行った調査によりますと、救急要請を行い医療機関に搬送された人数は全国で六百八十五名でございまして、最少年はゼロ歳から最年長は五十八歳の方まで被害が生じているところでございます。被害者のうち六歳から十歳の児童が百六十五名、十一歳から十五歳までの児童が四百十八名でありまして、この六歳から十五歳までの年齢層が八五%を占めているところでございます。また、医療機関に搬送されました者のうち二百十八名が入院しましたが、全般的に症状は比較的軽度であったというふうに聞いております。
また、消防庁による調査はあくまで救急搬送されました患者さんを対象にしておりますので、実際には自分で医療機関を受診された方あるいは気分不良等を訴えても医療機関を受診しなかった者も多数いると考えられております。
また、入院された方の現在の状態等については把握できておりません。
次に、症状でございますが、今回の事例につきましては、その詳細については今後の調査が必要であるというふうに考えておりますが、専門家等の御意見を伺いましたところ、光感受性発作によるものではないかという意見でありました。
光感受性発作のメカニズムについては、光刺激を含む知覚刺激に対しては脳のレベルでさまざまな反応というものが発生いたしますが、このうち光感受性に関する反応に異常があることが要因の一つであるというふうに考えられております。具体的には、画面のちらつき、図形の変化、反復する閃光等の刺激によって誘発される発作でありまして、症状としては、場合によっては意識を失ったりけいれん発作を起こしたりすることもございます。
また、これとは別に、閃光刺激あるいは素早く動く色模様、強烈な図形反転などのスクリーン映像を長時間にわたって凝視していますと目まい、吐き気、冷や汗、動悸等の兆候を自覚することがございます。これらの兆候あるいは症状というものは、急に始まりまして数分の間に症状が消滅するものでございまして、この場合には必ずしも先感受性発作とは言えないと考えているところでございます。
光感受性発作の予防策等の保健的対応につきましては、今後の検討課題でございますけれども、テレビ等を見過ぎない、一定の距離を置いて画面を見る、部屋を明るくするといった基本的なことが重要であるというふうに考えているところでございます。
なお、事件直後には、マスコミ等におきまして光過敏性てんかんであるという報道もなされておりましたが、中にはてんかん症状を持っておられる方も含まれてはいると思いますが、今回の被害者については、脳波検査の実施等によりましててんかんの診断が必ずしも全員に行われているわけではありません。てんかん発症の既往も不明でございます。実際にはこのような光過敏性てんかんよりも幅広い方々が症状を発症したのではないかというふうに考えております。
最後に、厚生省の対応でございますけれども、お手元の資料も御参照いただけたらと思いますけれども、今回たまたま大量の被害者が発生しましたが、今後とも起こり得るものであって、発作についての予防やあるいは発作が起きた場合の対応等についての保健相談体制を整備していくというのが大切ではないかというふうに考えているところでございます。厚生省としましては、健康被害を受けた方々が各都道府県等の精神保健福祉センター等において十分な相談を受けられるようにするため、都道府県、政令指定都市の衛生部局長に対しまして十二月十八日付でその旨の指導通知を発したところでございます。
精神保健福祉センターと申しますと、これは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律というものに定められているわけですが、各都道府県、政令指定都市に現在五十四施設が設置されております。精神保健福祉センターは、精神保健や精神障害者の福祉を中心に、広く国民の心の健康について調査研究や相談事業等を行う施設でありまして、精神科医、精神科のソーシャルワーカー等の精神分野の専門家が配置されて各種相談活動に従事しているところでございます。
厚生省としましては、引き続き精神保健福祉センターを中心に、保健所、医療機関、各行政機関、さらには今回の被害者等に関しまして必要な情報の提供あるいは指導を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
また、今回の事件についての被害状況を把握し、その原因を調査するために、厚生科学研究におきまして光感受性発作に関する臨床研究班というものを設けまして、あした二十六日に第一回の班会議を開催したいというふうに考えているところでございます。
研究範囲につきましては、現在確定作業中でございまして、精神科の専門医、小児科の専門医、神経内科の専門医あるいは視覚生理学の専門のお医者さん等を中心に構成しまして、今回の事件の実態調査、光感受性と症状の因果関係、光刺激の脳波等に対する影響などにつきまして早急に研究を行うことを予定しております。本年度中、来年の三月を目途に報告を出したいというふうに考えているところでございます。この研究班の成果を精神保健福祉センターにおける今後の相談活動や医療機関あるいは光感受性発作を起こしました方々等への必要な情報提供に活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。
また、他省庁あるいは民間の放送会社等におきまして、番組制作のためのガイドラインづくりを行う等の動きがあるというふうに聞いておりますけれども、厚生省としましても、必要な情報提供を行いまして、その取り組みに協力をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。