小田晋の発言 (文教委員会)

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○参考人(小田晋君) 子供は、乳児期にはもう全面的に受容して愛する。幼児期にはしつける、これはもう体でしつけるんです。少年期には教えるということです。少年期に教えるということをしないために、考えさせるといっても何を考えていいかわからないんです。
 例えば、親に対する扶養というのは本能じゃありません。人間以外の動物で親を扶養する動物というのはないんです。だからこそすべての高等宗教は、ユダヤ・キリスト教はなんじの父を敬えと言いますし、仏教には父母恩重経というのがありますし、儒教には孝は百行のもとというのがあります。この孝という言葉を、孝というのはもう私的なことであって親子の情というのは私的なものだから、これは公教育から取り除いてもいいだろう、あるいは民法から取り除いてもいいだろうということにしてしまいまして、戦後、これは国会で教育勅語を廃止するという決議をなさって、その後それにかわるものをおつくりにならなかった結果そうなりまして、今、孝という言葉は国民の間から消えてしまいました。そうしたら、子供は自然の情で親を大事にするかというと、必ずしもそうではないということが現在わかってきているわけです。
 それと同じように、やはり基本的な道徳観念というのは少年期に教えなきゃだめなんです。それに対して、徳目教育徳目教育ということで妨害に妨害を重ねてきたのは、実は現在までの国会でもそういうような機能が少しはあったと思うんです。ただ、思春期になったらただ教えるだけではだめで、善悪についてみずから考えさせなきゃならない。これはソクラテスの方法と言うんですけれども、何でも議論をさせ考えさせるという時間をつくらなきゃならない。モラルの問題について話し合うという時間は、ゆとりの教育が導入されるならば、それはやっぱり絶対必要なことだということなんです。
 ただ、性教育の問題について言うと、この少年は実は少し思春期が早く来ています。客観的にわかるのは、この少年は国語力は非常に高いんです。ところが英語力は非常に低い。ギャップがある。小学校の教育にはよく適応しているけれども、中学校の教育になってから完全にだめになった。そういうことが起きるのは普通は中学校二年生で起きるのでありますが、小学校六年から中学校一年の間に起きている。思春期が非常に早く来まして性ホルモンの濃度が急激に高くなりますと認知能力が落ちるという論文も幾つかあります。そういう成績が落ちたときに、これをどうやって立ち直らせるか、どうやってアドバイスするか。昔は身辺にちょっと不良のおじさんとか、ちょっと不良のいとことかいうのがいて、それこそ非常に上手にこういうものをやったんですが、今これがなかなかできない。親も教師もこれを道徳的に責めてしまう。お前が怠けているからと言ってしまう。
 こういうときの性教育というのは担任の教師にとっても、それから学校カウンセラーにとっても、それから養護教員にとっても非常に重要なことなのでありますが、こういうとぎの性教育ができるような教育というのは、そういう人たちはだれもやらされていない。現在、確かに性教育の読本というのはありますけれども、あれを見たら性の解放ともう一つはコンドームの使用法しか書いてない。それしか書いてないというのは言い過ぎですけれども、それが中心になっている。コンドーム、コンドームということでエイズ予防に振り回されて、思春期における性のモラルの問題、性をどうするかということを無視した性教育が行われたために、数十億円の金を日本国はどぶに捨てたんです。

発言情報

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発言者: 小田晋

speaker_id: 8151

日付: 1997-11-18

院: 参議院

会議名: 文教委員会