山下泰裕の発言 (文教委員会)

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○参考人(山下泰裕君) 指導者の条件ということですけれども、私自身が今勉強中でして、十分理解していない部分もありますけれども、まず指導者が言われたことで非常に私の心に残っていることが一ついつも胸にある。試合で勝つこと、オリンピックで勝つこと、これも大事だ、しかしもっと大事なことは、そうやって頑張った頑張りを生かして社会人として世の中の役に立つ、社会人としての勝利者に、社会人としての金メダルを自分の胸につけることが大事なんだよ、そのために今頑張っているんだよ、このことを中学時代に言われました。ですから、私は何とかして先生の教えのとおり社会人として役に立つ人間になれるようにと思って今頑張っています。やはりそういうポイント、ポイントでの言葉というのは非常に大きいかなと。
 私が指導者の条件として思いますのは、まずはやはり情熱じゃないかと思います。そのスポーツに対して、そして子供に対しての情熱、これがなければとても務まらないと思います。それから、口先だけじゃなくてみずから実践し、これは技術だけではなくてふだんの行動、マナーの面からもみずから実践し、そして常に飽くなき向上心を持つこと、子供からでもいろんなことを学ぼうという気持ち、これが大事じゃないかな。それから、選手強化だけじゃなくて、子供たちを教えるにしても自分だけの力ではできません。周りの人の協力を得て一緒に頑張っていこうという、そういうふうな広い心を持たないと一流の指導者になることは、底辺レベルでもあるいはトップレベルでも難しいんじゃないかな。ほかにもいっぱい要素があると思うんですけれども、この三つは私は欠かすことができないことではないかと思います。
 それから、指導者の育成ということに関してですけれども、先ほど申しましたが、私は在外研究員ということで、現役を終わりました後一年間自由に自分の好きなところに行って、外国へ行って勉強しなさい、何をやってもいいよと言われてイギリスの方に行きました。この一年間イギリスで勉強したことがなければ、多分私はきょうここに立っていることはないと思うんです。この一年間日本を離れて外に出て、外から日本を見て、あるいは外国の人たちといろんなことを話し合ったり一緒にやったりして、私は貴重な財産とも言えるもろもろのことを学びました。
 私は前々から文部省の方にもお願いしているんですけれども、どこへ行っても外国人に、すばらしいな、そんな制度が日本にあるのかと言われますけれども、来年度はどうも予算が三人分ぐらいしかないらしいんですね。できれば柔道で毎年三人ぐらいそういう指導者を出したいぐらいですね。トップを育てていくのに、そういう幅広い認識と幅広い人脈を持ちながら、日本が勝てばいいだけじゃなくて、国際的なマナーとか常識とかそういうものをわきまえた、世界と一緒に協力してやっていけるような指導者をつくっていく必要があるんじゃないかと。
 それから、もう一つ非常に気になっていますのは、全柔連でもありますけれども、トップクラスの選手でも、勝てばいいんだろうと。学校教育の一環と言われる大学の監督の中にも、勝てばいいんだろう、勝ちがすべてだよ、何でそんなうるさいことを言うんだというような方も実際におられます。そうすると、選手として世界的に活躍しても、私はその選手の十年後、二十年後、三十年後がすごく心配です。底辺を見渡してみましても、親もそれから先生も周りの評価も、小学校で勝たせた、中学校で勝たせた、そのことをすごく評価して、そのことによって子供が燃え尽きたり、あるいは子供の自主性や積極性、自分で何かをつくり出していこう、こういうすばらしい芽が摘まれてしまったりする。そういうことからいいますと、勝つことはすばらしいことですけれども、勝ちだけにこだわるのじゃなくて、一生懸命頑張っていきながらいろんなことを学んでいくことを大事にしていく。
 スポーツは私は教育的価値が非常にあると思うんですけれども、そういうところも含めて、技術的な面も含めて、現在いろんなスポーツで、各競技団体がそういう底辺の指導者に対しての適切な指導をやれるだけの財源もない、時間もないんじゃないか、スタッフもそろってないんじゃないか、そういうところが大事なんじゃないかなと。
 それからもう一言言いますと、点数を取ればいいんだろう、いい大学に入ればいいんだろう、いい企業に入ればいいんだろう、多分これとつながっているんじゃないかな。僕はこれは一つの大きな間違った価値観じゃないかなと個人的に思っております。

発言情報

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発言者: 山下泰裕

speaker_id: 33748

日付: 1997-12-11

院: 参議院

会議名: 文教委員会