文教委員会

1997-12-11 参議院 全112発言

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会議録情報#0
平成九年十二月十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 十一月十八日
    辞任         補欠選任
     福本 潤一君     山下 栄一君
     松 あきら君     但馬 久美君
 十二月一日
    辞任         補欠選任
     阿部 幸代君     吉岡 吉典君
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     吉岡 吉典君     阿部 幸代君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         大島 慶久君
    理 事
                小野 清子君
                北岡 秀二君
               日下部禧代子君
    委 員
                井上  裕君
                岡  利定君
                塩崎 恭久君
                世耕 政隆君
                田沢 智治君
                本岡 昭次君
                阿部 幸代君
                江本 孟紀君
                堂本 暁子君
                長谷川道郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   参考人
       東海大学体育学
       部教授      山下 泰裕君
       筑波大学体育科
       学系教授     八代  勉君
       日本スポーツ少
       年団常任委員   恵美三紀子君
       財団法人日本体
       育協会会長    安西 孝之君
       東京都地域婦人
       団体連盟常任参
       与        田中 里子君
       大阪体育大学教
       授        池田  勝君
       社団法人日本プ
       ロサッカーリー
       グチェアマン   川淵 三郎君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○スポーツ振興投票の実施等に関する法律案(第
 百四十回国会衆議院提出)(継続案件)
○日本体育・学校健康センター法の一部を改正す
 る法律案(第百四十回国会衆議院提出)(継続
 案件)
○スポーツ振興法の一部を改正する法律案(第百
 四十回国会衆議院提出)(継続案件)
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大島慶久#1
○委員長(大島慶久君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一月十八日、松あきら君及び福本潤一君が委員を辞任され、その補欠として但馬久美君及び山下栄一君が選任されました。
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大島慶久#2
○委員長(大島慶久君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 スポーツ振興投票の実施等に関する法律案、日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案及びスポーツ振興法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会に参考人として東海大学体育学部教授山下泰裕君、筑波大学体育科学系教授八代勉君、日本スポーツ少年団常任委員恵美三紀子君、財団法人日本体育協会会長安西孝之君、東京都地域婦人団体連盟常任参与田中里子君、大阪体育大学教授池田勝君及び社団法人日本プロサッカーリーグチェアマン川淵三郎君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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大島慶久#3
○委員長(大島慶久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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大島慶久#4
○委員長(大島慶久君) スポーツ振興投票の実施等に関する法律案、日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案及びスポーツ振興法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 三案につきましては、先国会において既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 なお、本日は、参考人の方々から御意見を賜った後、質疑を行うことといたします。
 まず、午前中は、東海大学体育学部教授山下泰裕君、筑波大学体育科学系教授八代勉君及び日本スポーツ少年団常任委員恵美三紀子君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 皆様方には、主にスポーツの振興について忌憚のない御意見をお述べいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事の進め方でございますが、まず山下参考人、八代参考人、恵美参考人の順序でそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただいた後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山下参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。山下参考人。
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山下泰裕#5
○参考人(山下泰裕君) ただいま御紹介いただきました東海大学の山下でございます。
 国政に携わっておられます先生方を前にしまして、若輩の身で身が引き締まるような思いでございます。非常に緊張しております。
 きょうは、スポーツ振興全般につきまして、私自身の体験を踏まえまして素直に話をさせていただきたい、こう思っております。
 まず、私は小学校四年生で柔道を始めたんですけれども、小学校に入りましたときからもう人並み外れて体が大きく、しかも非常に元気がありました。元気があり余っていました。このあり余ったエネルギーをうまく発散させることができなくて、教室で暴れたり、物を壊したり、仲間をいじめたりして周りじゅうに迷惑をかけていたわけです。小学校四年生になりましたときには、何とクラスメートの中に、山下君が怖くて学校に行けないと登校拒否を起こす者も出てきました。
 そういう中で、私の両親が、このままではうちの息子は大変なことになる、将来、人様から後ろ指を指されるような人間になってしまうんじゃないかと私の将来を心配しまして、柔道でもやらせたら少しは人に迷惑をかけないような人間になってくれるんじゃないかと、こういう母の勧めで柔道を始めました。
 私は、柔道を通しましてすばらしい恩師とも出会いまして、柔道の道、人間としての生き方、また人間形成、これが柔道を通して少しずつでき上がってきて今日に至っているのではないかなと、こう思います。
 私は、いろんなところで、主としてお子さんが柔道をやっている関係のお母さん方から、先生、どうしたら先生みたいに強くなれますか、こういうふうな質問を受けます。
 私の答えはいつも決まっています。柔道を通して、あるいはスポーツを通して丈夫な体、強い心、礼儀、それから相手をいたわったり思いやったりする心、我慢すること、忍耐することの大切さ、力を合わせること、こういうことを学べば十分じゃないですか、お母さんこれ以上何を望みますかと、そういうふうな言い方をするんですけれども、なかなかお母さん方には理解していただけないようです。
 でも、これが私はスポーツのすばらしさではないかなと、こう思っております。そして、これは現在の学校教育の中の勉強では身につけることができないことじゃないかな、しかし世の中に出ていったときには非常に大切な部分じゃないかなと、こういうふうに思っております。
 実は、私が小学校一年生のときに東京オリンピックがありました。今、正面に座っておられます小野先生も出られまして活躍されましたけれども、このオリンピックは私にとりまして非常に強烈な印象がありました。
 私は、中学校二年生のときの国語の時間に「将来の夢」という作文を書かされまして、その中で、ぼくは柔道が好きだ、一生懸命頑張ってオリンピックに出られるような選手になりたい、私の夢はオリンピックに出場してメーンポールに日の丸を仰ぎ見ながら金メダルをもらうことです、そして現役を終わった後は、柔道のすばらしさを世界の人々に広げられるような、そんな仕事がしたいということを書いておりました。
 一言お断りしますと、私の日の丸、君が代には思想的なものは全くありません。多分、私が小学校一年生のときに、日本代表の選手が活躍してメーンポールに日の丸が上がって君が代が流れた、これが非常に強烈に心に残ったからじゃないかなと、こう思います。
 自分の小さいころからの夢を実現できて、そして現在もその夢の中を歩んでいける自分自身を、私は本当に幸せ者であると、こう思っております。
 もちろん、私はこの目標を達成するために、夢を実現するために全力を傾け、この目標を目指し、努力し、工夫し、また試合においては命をかけるつもりで戦ってきました。そして、すばらしい指導者ともめぐり会いました。また、東海大学という本当に恵まれた理解ある環境の中で学べ、働くこともできました。
 私の経験からいいまして、世界をねらうには本人の素質、努力だけでは無理です。すばらしい指導者との出会い、そして恵まれた環境、思い切りそのスポーツに打ち込める環境が不可欠です。そういう意味で私は非常に幸運だったと、こう思います。
 しかし、今日本は、すばらしい世界に通用するような指導者の育成、それから選手が思い切ってその競技に打ち込めるような環境づくりの面で言いますと、外国と比べて非常におくれている、これは私だけの思いではないと思います。今は現場の指導者の情熱に任せるばかりで、また一部の恵まれたスポーツでは違いますけれども、それ以外ですと、選手が安心してその競技に打ち込める環境はないと思います。
 ちなみに、私の尊敬しております故松前重義前東海大学総長は、柔道をこよなく愛しておりましたけれども、私に一度も試合で勝ってくれと言われたことはありませんでした。いつもいつも私に言われたのは、柔道を通して、スポーツを通して世界の平和に貢献できる人間になってくれと、このことをいつも何度も何度も言われました。
 私は、幸運にもロサンゼルス・オリンピックで自分の夢を実現できました。しかし、実は私は、不本意にも二回戦で軸足のふくらはぎを肉離れするというアクシデントを起こしてしまいました。非常に勝負師としては情けない、恥ずかしいことです。
 準決勝を勝ち上がりまして、決勝まで上がりました。決勝を控えて控室におりましたら、私が二回戦を戦った相手の旧西ドイツの選手が私の控室に入ってきました。彼は申しわけなさそうな顔をして、山下、おまえが足をけがしたのはおれのせいか、おれが何か変なことをしたからおまえは足をけがしたのかと、こう尋ねてきました。私は正直に、いや違う、このけがはおまえと何も関係ない、これはすべておれが悪いんだ、心配しないでくれ、そう言いましたら、彼はちょっとほっとしたような顔をして、そして、ああそうか、もう一試合だから決勝頑張ってくれよと、こう言い残して私の控室を去っていきました。
 決勝が終わって、自分の夢を実現できて表彰式に臨んだとき、私の足のけがを心配して、表彰台に登ろうとする私、表彰台からおりようとする私、この私に手を差し伸べてくれたのは決勝を争ったエジプトの選手でした。
 我々は、オリンピック、世界選手権、こういった大会では、それぞれの国の代表として、その誇りと名誉を胸に戦います。徹底的に戦います。戦って戦って戦い抜きます。しかし、一たび試合が終わりますと、あるいは試合場を離れますと、同じような目標に向かって頑張っているからこそお互いのことが理解できる、お互いのことが尊敬できるんですね。
 スポーツに国境はありません。宗教も人種も思想も関係ありません。私は柔道というスポーツを通して世界じゅうにすばらしい友達をたくさんつくることができました。もし信頼とか人間関係とかこういったものを財産として見ることができるのであれば、私はスポーツを通して非常に大きな財産を、宝を手に入れることができたんじゃないかなと、こう思います。
 私は現役を引退した後、一九八六年に日本オリンピック委員会から派遣で、これは在外研究員制度というすばらしい制度です、費用は文部省から出ております、これで一年間イギリスに留学しました。そして、ヨーロッパの柔道について勉強する機会を与えていただきました。
 先生方ももう既に御存じと思いますけれども、ヨーロッパでは至るところで、小さな子供からかなり年配の方々までが気軽に、楽しく、身近にスポーツを行える環境がありました。その雰囲気を見ておりまして、ヨーロッパの人々の生活にとってスポーツは不可欠なものだなということを私はヨーロッパの至るところで強く感じました。
 日本でも青少年の健全育成、高齢化社会、健康で生き生きとした社会づくり等を考えますとスポーツの振興は必要不可欠でありまして、まだまだ日本はスポーツ後進国であると、こう感じました。そして、現在もそのための環境整備の必要性を強く感じております。我々大人にとりまして大切なことは、次の時代の子供たちに何を残してやれるかということじゃないかなと、そう思っております。
 また、我々、強化に携わっている人間が直接関係しておりますナショナルトレーニングセンターの建設に関しましても、私が回ったほとんどの国々ですばらしい、国立にふさわしい立派なものができております。外国の友人の中には、こんなにお金持ちの日本でなぜナショナルトレーニングセンターの一つもできないのと、こういうふうに驚く者もおります。
 話は変わりますけれども、実は私にはオリンピックに出場できそうなチャンスが三度ありました。一回目は一九七六年のモントリオール・オリンピック。残念ながらいま一歩力が及ばず、私は補欠で終わりました。二度目は一九八〇年のモスクワのオリンピック。このとき、我々選手は参加することができませんでした。日本はこのモスクワ・オリンピックをボイコットしました。三度目がロスのオリンピックです。
 モスクワ・オリンピックには柔道から私を含め七人の代表が選ばれました。七人全員が初出場でした。しかし、この七名の中で四年後のロスのオリンピックに出場できたのは私だけです。オリンピックは四年に一度開かれます。見る側にとっては四年に一度です。しかし、大半の選手にとっては一生に一回のチャンスです。私以外の柔道の六名の選手、それから多くのモスクワ・オリンピック代表選手は一生に一度のこのチャンスを奪われました。
 このモスクワ・オリンピックに関しまして、非常に残念なことがあります。同じくボイコットしましたアメリカ合衆国の当時大統領でありましたカーターさんは、USAのモスクワ・オリンピック代表のすべての選手と役員をホワイトハウスに招かれました。そして、なぜUSAがこのモスクワ・オリンピックをボイコットしなければいけないのかについて説明されました。そして、USAのために、西側の諸国のために、皆さんには申しわけないけれども私の決定を理解してほしいと訴えられました。そして最後に各テーブルを回られたそうです。私の友人のアメリカのコーチは、このときの写真を大事に自分の家のテレビの上に写真立てに入れて飾っております。日本では、日本オリンピック委員会から一枚の認定書が送られてきただけでした。日本と外国の国政に携わる方々のスポーツに対する認識、理解の大きな違いに非常に寂しい気持ちになったものです。今から十七年前です。
 一九八二年には、当時副総理であられました故江崎眞澄先生が私の祝勝会に来ていただきました。そしてスピーチで、先日フランスでミッテランと会ったんだけれども、いきなり日本おめでとうと言われて戸惑ったよ、君の話から話が始まって、十五分間の会談が四十五分になったよと喜んで話されました。私の結婚式にも来ていただきまして同様の話をされました。実はその前年の一九八一年に、世界選手権、これはオランダで開かれましたけれども、私がここで史上初の二階級制覇をなし遂げました。それでフランス・スポーツアカデミーから一九八一年度のグランプリ、最高賞をいただいたわけですね。ミッテラン大統領が江崎副総理に会ったときに、日本おめでとうとそれで言われたということなんですね。
 先日も、橋本総理がサウジアラビアに行かれましたときに、ファハド国王とワールドカップサッカーの予選の話が持ち上がったということを聞きました。私が見聞きする限り、国政に携わっておられます外国の方々のスポーツに対する関心は非常に高い、私はそう感じております。
 私は、現在、大学教授の傍ら全日本柔道男子監督をしております。柔道は、日本オリンピック委員会からは、他の競技団体と比べますと多額の強化費用をいただいております。しかし、貧乏な団体です。この十月にパリで世界選手権が行われました。この世界選手権を行ったフランスと比較しますと、全日本柔道連盟、全柔連の年間の予算が七億五千六百万、フランス柔道連盟が二十二億、約三倍です。そのほかに、専務理事を含めまして連盟の幹部職員十名と地方連盟の技術指導者七十二名、計八十二名が国家公務員です。日本の全柔連の場合には、もちろん国家公務員はゼロ名です。
 また、七月にイギリスの友人に会いましたら、イギリスの柔道やスポーツはこれから強くなるぞ、新しくナショナルトレーニングセンターもイギリス中央部にできるし、それからまた柔道連盟の予算も十倍ぐらいになるぞと喜んでおりました。イギリスの前首相メージャーさんも、現在の首相のブレアさんもスポーツの強化に対しての関心が高く、昨年のアトランタ・オリンピック惨敗がきっかけで、強化費が最低でも年間約五百億ぐらいは増加すると、彼はこう言っていました。
 貧しい団体ですから、監督の私自身が、全柔連の主催する大会のスポンサーをお願いして各企業を回ったり、それからドクターやトレーナー、マッサー、メンタル、栄養等のスタッフを出していただけるように会社を回ったりしてお願いしております。非常にありがたいことに、私が頭を下げて回りますと、企業の中には、協力してくださるスポンサーもありますし、そういうスタッフを派遣してくださるところもあります。また私自身、ふだんからいろんなことでいろんな方に協力していただいております。
 最近は、私が私自身のために一生懸命頑張ったことが、結果的に多くの方々に感動を与え、そして勇気づけた、そういうことで多くの方々が私に対して協力してくださるのかなと、こう思っております。
 サッカーのワールドカップ出場、引退したテニスの伊達公子さん、大リーグの野茂選手、彼らの活躍は、日本国内のみならず世界じゅうの日本人あるいは日系の方々に明るい話題を提供し、そして我々に感動や夢や勇気、希望、そして誇りを持たせてくれたと思っております。来年二月の長野五輪では多くの日本選手が活躍し、子供たちから年配まで我々日本人に夢や感動を与えてくれる、私はそう信じています。そして、これらの日本選手の活躍は、人々のスポーツに対する関心を高め、興味を持たせ、生涯スポーツの発展にも役立つと確信しております。
 時間がオーバーしましたけれども、どうも御清聴ありがとうございました。
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大島慶久#6
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、八代参考人にお願いをいたします。八代参考人。
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八代勉#7
○参考人(八代勉君) 八代でございます。今お話しになりました山下さんのような華やかな経歴は全くございません。学校の体育とそれからコミュニティー、地域のスポーツの状況を身近なところではい回りながら調べている、そういう程度の者でございます。
 今、スポーツのすばらしいお話がございましたが、私は特に、自分のフィールドとの関係で、地域におけるスポーツの振興をメーンのテーマにして少しお話をさせていただきたいと思います。余り話がうまくありませんので、ちょっと資料をつくっておきました。その概要のところをお読みいただけばいいんですが、一分程度で終わってしまいますので、少し説明させていただきたいと思います。
 もう先生方の検討の中で、スポーツが人類の文化であるということについては既に語られ、十分理解されているというふうに理解しております。ただ、我が国の実態を見ますと、まだまだ文化という名にふさわしい状況ではないということも言えると思います。今、山下先生の方からスポーツの後進国、発展途上の国であるというような位置づけをなさいましたが、まさに私もそのように思っております。
 文化だ文化だと最近特に言うようになったわけですけれども、スポーツがもたらしてくれるさまざまな効果とかベネフィットが期待できるほどスポーツをやっている人の数は多くございません。後で申し上げたいと思います。そして、もっと問題なのは、この十数年、東京オリンピック以降ですから三十年ぐらいになるんでしょうか、そのころスポーツ振興という言葉が世の中に初めて出たかと思いますけれども、いまだにスポーツ振興という言葉でお金をいただいておるような状況で、なかなか実際に言葉で言われるほど状況が変わっていないという事実をやはり直視しなければいけないと思いますし、いろんな調査を見ましても、特にこの十五年間ほど、それほどスポーツ実践者はふえていないんじゃないかという見方が私どもの一般的な見方でございます。そして、スポーツをやる人も、個人の自由でもあるわけですけれども、地域に根差したスポーツ活動が非常に少ないというようなことも非常に大きな問題点だと思っております。
 もっと根本的なところへいきますと、スポーツに対する価値観の違いあるいは価値の置き方が非常に低い。主要五教科なんというのは教育でよく語られますけれども、もちろん体育は入っておりません。そんな意味では、きょう、こういうところでスポーツのことを論じてお話しさせていただくだけでも、職員室でたまに年に一回出てくる体育の話題に似た感じを持つわけですけれども、そのような位置がまだまだ続いてきている。これをやはり変えていかなきゃいけないというのが私の根本にございます。
 したがいまして、我が国におけるスポーツ振興の方向としては、私どもが言っているような、生活の中に溶け込んだ、文化という名にふさわしい状況をやはり時間をかけてつくり上げていくことである。その事実をつくっていくということは、別の言葉で言えばスポーツ人口をやはりもっとふやしていく。そして、特にスポーツが与えてくれる社会にとっての便益、後で申しますが、社会的な便益を上げていく。私は、その中で特に地域社会の再構成といいましょうか、コミュニティーの形成、町づくり、これが非常に重要なベネフィット、便益だと思っておりますけれども、そういうものを目指していかなければいけないと思っております。
 具体的には、地域に根差した、そして住民のボランティア活動をもっともっと多く用いた、ボランティア活動を基軸としたスポーツの振興が求められる。そのためには、住民の活動の拠点となる身近な施設の充実は何より必要なことでございますし、住民活動を支援するためのお金も欲しいなと思っておりますし、さらに、住民のボランティア活動だけではなかなか事は進みません。そのボランティアを束ね、組織したりあるいは調整をする、そういうスポーツの専門家をぜひコミュニティーレベルで養成あるいは配置していただきたい、こんなことを思っております。これが私の申し上げたかった概要でございますが、もう少しございますので、少しお話をさせていただきます。
 もう周知のことでございますが、スポーツは人類の文化とされています。特にその中に、さまざまな個人的あるいは社会的な便益をスポーツがもたらしてくれるからというふうに私もとらえております。特に個人については、健康や体力の問題にしましても、今や生きがいだとか交流、さまざまな個人にとっての便益というのはよく理解されておりますけれども、むしろ政治が関与し、あるいは行政がたくさんのサポートをしていくその背景には、社会的な便益を期待するからだと思っております。青少年の健全育成、これは長い歴史を持つスポーツの社会的な便益の一つでございますし、かつては能率の向上等も企業のスポーツでよく用いられておる一つの便益でした。私は、地域社会の形成というものに今一番関心を持っているところでございます。スポーツの持っているこの両方の便益、個人、社会両方の便益をもっと大きくしていく、あるいはバランスのとれた形で大きくしていくというのが今求められておりますし、そうなって初めて文化という名にふさわしい状況と言えるんじゃないかと思っております。
 同じようなことなんですけれども、スポーツは今日の社会が持っておりますさまざまな問題解決に貢献できる可能性をたくさん持っている。山下先生もそのことについてたくさんお触れになりましたけれども、私、学校の関係を少し持っておりますが、もうまさに学校週五日制が始まらんとしている中で、学校だけではなくて、地域あるいは家庭と連携を図りながらスポーツを初めとする教育をしていかなければいけない時代になってまいりました。今の子供たちに生起しておりますさまざまな問題点は、もうよく言われているとおりでございますが、単に体力の問題だけではなくて、心の優しさやあるいはたくましさ等々の問題がむしろ深刻だとも考えられます。
 あるいは高齢者の問題にしましても、日本の高齢者の扱い方というのは、コミュニティーの中に置きながら、あるいは家庭、在宅でというよりも、特定の施設に収容するという形がまだ多いというようなことを見る中で、やはり我々は、多くの元気な高齢者に対して、スポーツを楽しんでいただくだけではなくて、スポーツをつくる立場の人として迎え、彼らに生きがいを与えていく、こういうこともできると思っております。
 医療費が三十兆円を超えたということも報道されておりますが、どの国もやはりスポーツと医療費の軽減の問題を何らかの形で結びつけようという努力が出ておりますし、地域社会の問題については、何度も申しますが、亡くなっていたのに地域のだれも気づかなかったというような寂しい事件もよく起こります。あるいは、地域社会の中で子供を育てるという環境は、今むしろ非常に弱まっているというようなこともございます。このようなさまざまな社会の問題を解決していくということを、本当に本音でスポーツを活用していくという必要を私は感じております。
 三番目に、スポーツというのは、行う、これは当然でした。そして今、見て楽しむ。山下先生のすばらしい柔道の、我々も覚えておりますが、オリンピックでの活躍は見る人に感動を覚えさせる、これはもう当然でございます。行うことも見ることも大事であるということは多くの人たちが言うところでございますが、私は、もう一つ、最近よくかかわるという言い方をする人もいますが、私は創造の創という言葉を使って、「創って楽しむ」と。スポーツを「創る」というのは、何かニュースポーツをつくるわけじゃございません。それも一つあるんですけれども、スポーツの仲間をつくるのもありましょうし、スポーツのイベントをつくるとか、さまざまな地域の中で食べる側に回っていた人間が、今度は「創る」側に回る。ですから、スポーツは、見て、行って、そして創って、創ったということは他者にそのスポーツの楽しさ、喜びを与えるということですけれども、スポーツと人間とのこの三つの関係をもっともっと重視していくことがこれからのスポーツを振興していく上でとても大事なことだと思っております。
 特にこの第三番目のかかわりについては、ほとんど調査結果もございませんけれども、例えばスポーツに関するボランティア活動等をやっているという人は、恐らく極めて低い状況ではないかと思います。
 ちょっと先を急ぎます。四番目のスポーツの特性については、これはちょっと省略させていただきますけれども、スポーツといってもさまざまなスポーツがございます。人間の一年のシーズンの中でのスポーツの楽しみ方、そして、人間の生涯にわたるライフステージに応じたスポーツの楽しみ方ということを考えたり、あるいは、種目が多様だけではなくて、クラブに入って楽しむスポーツもございますし、いろんな人から物事を教わったり、イベントに参加して楽しむスポーツもございますし、夫婦でふらっと裏の庭で軽いバドミントンの打ち合いをするのもスポーツでございます。
 いろんなスポーツの楽しみ方、行い方があるということを考えながら人々の多様なニーズにこたえていく、これが実は今文部省が、そういうことを総合的にできるスポーツ環境ということで、総合型地域スポーツクラブづくりに平成七年からかかられたと、私自身はそういうふうに理解しております。そういう意味では、幼児から高齢者まで、障害者をももちろん大事な仲間に包み込んだ地域の中で楽しめるスポーツの装置といいましょうか、システムとして総合型の地域スポーツクラブ、これをつくっていくことが日本のスポーツの文化としての価値を高めていくためにも必要かと思います。
 実施状況については、日本人のスポーツをやっている人は大体成人の三割、七割の人たちはほとんど週単位の運動はしていない。これも非常に問題だと思います。その状況がこの十数年ほとんど変わっていないということを申し上げたわけですが、この資料に載せておきましたのは諸外国の比較の例でございますけれども、日本の男女ともこの比較した国に比べて極めて少ない運動量であることが一目瞭然でございます。
 三ページ目に書かせていただきましたスポーツクラブヘの参加状況。日本のクラブは三十人程度の小さい小規模型のクラブでございます。今文部省が目指しているのは、千人とも、あるいは多ければ多いほどいいコミュニティーをベースにした総合型のスポーツクラブですから、このクラブとはかなり様相が違いますけれども、今回と書いてあるのは平成六年の意味なんですが、平成六年の実態を見ますと、国民の一六%がスポーツクラブに入っている。ちなみに、ドイツはもう既に三五%を超えたスポーツクラブヘの参加率だということも聞いておりますし、下にいろんな国のスポーツクラブヘの加入状況等も資料の中へ添付させていただきました。
 そこで、こういう状況を踏まえて、これからの日本のスポーツの振興についてどういうように取り組んだらいいかということについて簡単に申しますと、今までのスポーツはどうしてもやはり行政におんぶにだっこの、しかも、施設を町の中心部に据えた中央集中型のスポーツ振興システムであった。これをやはり住民がもっと、先ほど「創る」という言葉を申しましたが、スポーツイベント、スポーツ教室、あるいはスポーツ施設の自主管理、こういうことを自分たちで住民がみずからやっていく、そして、身近な施設を使った住民主導型あるいは参加型の地域分散型のスポーツシステムへ転換していかなきゃいけない。その転換された形が、ここに書きました小学校区あるいは中学校区において住民を主体とした総合型の地域スポーツクラブということになると思っております。
 日本の三千数百の自治体がみんなこういう形でいけるかどうかは全く私もわかりませんけれども、基本的に、今までやはりどうしても住民は甘やかされていた面がございます。施設等々まだまだ不足ですけれども、自分の町は自分でつくるということと同じように、その一環としてのスポーツを自分たちでつくっていく、こういう考え方と行動が今求められているというように思っております。
 そのような仕組みをちょっと図であらわしてみました。わかりにくい図なんですけれども、行政は一たん外へ出て、スポーツ経営に必要な資源は人、物、金、情報とよく言われますが、特に施設等の、そして指導者等の、住民がスポーツを自分たちで自主的に進めていくための元手となる資源を整える役割に行政は徹していただく、そんな中で自分たちの創意を、そしてボランティア活動を通して自分たちのスポーツの楽しみを自分たちでつくっていく、こういう仕組みをぜひこれから構築していく必要がある。現に、進んだ地方自治体の振興方法というのは大体この住民主導型ととらえていいかと思いますので、全く世の中にこういうものがないわけではございません。
 このようなことを私は考えておりまして、そのためには、自主的な住民の活動あるいはボランティア活動をやるためには活動の拠点がないことにはどうしようもないものですから、身近なスポーツの活動拠点が欲しい。新しい施設をつくるのは大変ですから、学校という非常に世界にも誇る財産を日本は持っております。この学校の施設を大幅に改築していく、あるいはつくりかえていくことによって質的、量的な性能をアップさせれば、これが非常に重要な地域住民の活動拠点になろうかと思います。そしてボランティア活動を組織化していくわけですけれども、ボランティアだけではなかなか事が動きませんので、そのボランティアを束ねる指導者の配置にもぜひ力を入れていかなければいけないということ、そのようなことをスポーツ振興として特に考えております。
 しかし、そんなに急にできることではございませんので、このような方向を持ちながら、ドイツのスポーツクラブも既に百年の歴史を持ちながら現在三三%から三五%の参加率であるということを聞きますと、平成七年から始まったこの日本の総合型スポーツクラブ構想も、そのぐらいの長期的なビジョンを持ちながらこのような状況を少しずっつくり上げていく。そして、行政と住民と両方がお互いに役割を分担しながら共同し合ってこういうスポーツの状況をつくり上げていく、こういう社会が望ましい社会ではないか、このように思っております。
 どうもありがとうございました。
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大島慶久#8
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 次に、恵美参考人にお願いいたします。恵美参考人。
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恵美三紀子#9
○参考人(恵美三紀子君) 御紹介いただきました恵美三紀子でございます。
 私は、山下選手のようなすばらしい選手でもございませんし、八代先生のような研究員でもございません。一地方で長年子供たちを相手に地域でスポーツをしてまいりました者でございます。そういう者にこういう発言の機会を与えていただきましたことを本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。
 これからしばらく、私がかかわってまいりました地域におけるスポーツ団体の活動状況、そして課題ということでお話しさせていただきたいと思います。
 私が今までかかわってまいりましたのは日本スポーツ少年団という組織でございます。この日本スポーツ少年団は日本で一番大きな青少年のスポーツの組織となっております。一九六二年、東京オリンピックの開催を機に創設されまして三十五年たっております。スポーツ少年団の目的は、スポーツによる青少年の健全育成ということで、すべての子供たちにスポーツの喜びを知ってもらい、そして地域の子供を地域の大人がスポーツを通して心身ともに健康に育てるということを目的にして活動してまいりました。現在、団員が九十七万四千人、そして指導に携わっております者が十七万六百人ということで、およそ百十万ぐらいの組織でございます。ちなみに団数は三万四千三百ございます。完全メンバーシップ制をとっておりまして、物事を決定するに当たりましては代議員制をとっております。
 活動内容でございますが、地域で活動しております。そして、スポーツを中心に、文化、社会、奉仕活動なども取り入れて活動しようということで、生涯スポーツの基礎づくりを目指しております。子供たちの体の発育、発達のすばらしい時期に多種目を経験させることによりまして、体の各部位を発達させ、いろいろな運動能力を身につけさせようということで、多種目を経験させることを基本に置いております。
 現在、この組織率でございますけれども、団員九十七万四千のうち、小学生がおよそ〇%、そのほかは中学、高校生となっておりまして、高校生はごくわずかでございます。ここが残念なところでございますが、小学生は、この対象年齢のおよそ一割が日本スポーツ少年団の組織に加入しております。
 このスポーツ少年団の活動の形態でございますが、多種目を取り入れて活動しております複合団がおよそ二〇%、そして、例えば野球ですとかサッカー、馬術、水泳、カヌーなど四十七種目今登録されておりますが、そういう単一種目をやっておりますのがおよそ八〇%ぐらいでございます。活動日数ですが、週に三日から四日、時間は一回当たり一時間半から二時間ぐらいが平均的なところでございます。
 この子供たちを指導しておりますのが地域の大人、ボランティアでございます。ただいまは団員の父兄、父母を中心に組織されておりますけれども、中には、二十年、三十年と、お子さんが卒業なさっても、卒団なさっても続けている指導者の方もございます。
 この指導者になりますには、日本スポーツ少年団の方で認定講習会というものを持っております。これは、やはりまだ発育、発達途上にある子供たちを指導するに当たって、体のこと、それから心の健康、それを知った上で指導していただきたい、全人格的に子供を育てようということでございますので、技術指導だけではいけないということで認定講習会を持っております。ここで、心身の発育、発達、団の運営の仕方というようなこと、安全対策なども含めまして、六単位十四時間の講習を終わった後に認定指導員ということで登録していただいております。残念ながら、これは義務づけではございませんので、ただいま十七万おります指導員のうち約五一%がこの認定講習会を受けて指導をしております。
 この子供たちの活動している場所でございますが、学校、それから公民館ですとかコミュニティーセンターのような公的なところを使っておりますのがおよそれ五%、残りは道場ですとか民営の施設で活動をいたしております。
 以上のようなところがスポーツ少年団活動の現在の状況でございますが、このスポーツ少年団を支えておりますものに、地域の育成会、そして母集団というものがございます。日本スポーツ少年団は、地域の大人が地域の子供をということで地域に根差した活動を目指しておりますので、地域との連携を大切にしております。
 育成会には、学校、PTA、地区体協、そしてスポーツ少年団の関係者が参加をしております。そして母集団の方は、団員の父母を中心にいたしまして、子供たちのスポーツ環境の整備などを行っております。現在は、母集団も、みずからも活動する団体になろうということで、子供たちと一緒にスポーツを楽しむということを目指しております。これはスポーツの習慣化ということにもかかわってまいりまして、やはり親がスポーツをいたしますと、その子供もスポーツに親しむ機会も多くなります。ということで、親を通して子供にスポーツの楽しみを知ってもらいたいというところも目指しておりますし、もう一つはこの母集団の中から指導者も育ってほしいという願いもございます。
 このようなことでスポーツ活動をしておりますが、課題は指導者の問題と活動場所でございます。
 まず、指導者の問題でございますが、先ほども申しましたように、団員の御父兄が中心になって指導してくださっていますので、どうしても団員がその団から抜けますと指導者も一緒に抜けてしまう。せっかく経験を積まれたいい指導者の方が残っていただけない、これが一つの悩みでございます。それからもう一つは、女子の指導員が少ないということでございます。これは、団員九十七万の中に男子が三分の二、女子が三分の一というところにも関係してまいりますが、女子の指導員が少ない。女子の指導員が少ないということは、やはりこのスポーツ少年団活動の上におきましても、ともすれば技術中心に走りがちな指導を、女子が入ることによりまして生活習慣の指導ですとか心を育てていくというようなことにも目が向いていくと思いますが、そこがちょっと今足りないところかと思っております。
 もう一つは、活動場所のことでございます。現在は学校、公民館などというところにおよそれ五%お願いしておりますが、それでも活動の活発なところは団数に比べまして活動場所が少のうございます。中には取り合いなどということもございまして、そのために育成会がバランスをとりながら活動しておりますけれども、そんなことで活動場所が少ない。このことは種目をふやすことができないということにもつながってまいりまして、実は女子の団員が三分の一しかいない原因の一つに、女子に向いたスポーツが少ないということがございます。現在はサッカーでもラグビーでも女の子が入っておりますが、これはまだまだ一部で、どうしてもそういう野球、ラグビー、サッカーというような人気のある種目は男子優先になっておりまして、女子のやりたい例えば新体操のようなことですとか体操のようなことは場所がなくてできない。
 そしてもう一つは、そういう指導者の方も少ないということもございますけれども、女子のスポーツを盛んにするためにも、活発にするためにも、私はやはり活動場所、そして指導者をふやしていかなければいけないのではないかと思っております。
 この活動の場所、そして指導者のことについてでございますが、実はこれは大変その地域によってばらつきがございます。現在、日本スポーツ少年団で一番対象年齢の子供たちの組織率が高いのは東北地方でございまして、秋田、山形というようなところは対象年齢の三〇%以上の子供がスポーツ少年団に入っております。しかし、大都市圏におきましては一〇%にも満たない、七%、六%というような大変ばらつきがございます。
 この辺のところは、先ほど八代先生のお話にもございましたように、やはり行政側がスポーツに対する関心をどれぐらい持っているかということに大きな原因があるのではないかと思っております。大変組織率の高いところは行政がスポーツに対して関心が高いということになりますと、場所の確保についても考えていただけますし、指導者の待遇についても御配慮があるということでございまして、これから地域スポーツを盛んにしていくためには、やはり行政の関心を高めていかなければいけないのではないかと思っております。
 この地域単位にスポーツクラブがあるということは、やはり身近なところでスポーツができるということにつながってまいりまして、これは大人に関しても言えることだと思います。秋田県で実は調査したことがございますが、スポーツをしていない人たちになぜしていないのかと聞きますと、やはり身近なところで活動できないとか、それから私にはスポーツ音痴だからスポーツができないというような返事が返ってまいりまして、決してスポーツ嫌いだからという返事は多くございません。
 ということを考えますと、スポーツといいますとどうしても単一スポーツ、競技スポーツを思い浮かべますが、身近なところでもっと気軽に体を動かして楽しむことだというふうに広く考えてまいりますと、多くの方が参加していただけることになるのだと思います。これからは、地域のスポーツ、地域で体を動かすことができるそういう施設づくりをしていただければ、スポーツだと感じないまま体を動かしてスポーツをしていく方々がふえるのではないかというふうに考えております。
 この地域ごとのスポーツ活動といいますのは、そこで大人も子供も一緒に触れ合えます。そのことによって、社会が子供を育てていく、社会が子供を教育していくという力もまた回復できるのではないか、そのようなことを考えて、私どもはこれからも地域でスポーツ活動を続けていきたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
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大島慶久#10
○委員長(大島慶久君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 午前の質疑は、あらかじめ質疑者等を定めることなく、委員の皆様に自由に質疑していただきます。
 質疑を希望される方は、挙手をしていただき、委員長の指名を待って御発言を願いたいと存じます。
 なお、御発言は、お一人一分以内でお願いをしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 また、参考人の方々にお願いを申し上げますが、時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
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小野清子#11
○小野清子君 それでは、時間が一分と限られておりますので端的に申し上げます。
 三先生、ありがとうございました。
 山下先生にお伺いさせていただきますが、環境整備の必要性ということをおっしゃられました。特に、日本予算が年間七億、フランスが二十二億ということで、私もよく国会の中で何で弱いんだ、オリンピックで負けるんだと聞かれますと、予算に合わせてますと、こういうふうに返事をさせていただいておるところでございますが、学校教育の一環として日本はスポーツ振興をいたしましたので、スポーツにお金がかからないという認識が皆多うございます。やはりスポーツはそういう費用がかかる。この七億と二十二億の差の中で、どういう面で一番予算的な響きをお感じになられるのか、それを一点伺わせていただきます。
 あと、八代先生には、三十人程度のスポーツクラブが日本はどうしても多いと。諸外国を見ますと二百人、三百人という規模です。おとといの夜ですか、フィンランドの方は今回のオリンピックのために千五百メートルの屋根つきのドームを国が用意したと、選手の活躍のために。そういうのを見ても、フィンランドとか他国の場合にはチャンピオンスポーツと市民スポーツが一緒なのか別なのか、その辺を伺わせてください。
 最後に恵美先生の方には、指導者不足で、継続するために、子供と一緒に卒業しないために何をどう努力したらいいのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
 以上でございます。
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山下泰裕#12
○参考人(山下泰裕君) 環境整備の話ですけれども、私が言わせていただきましたのは全体としてのということで、先ほどの話で言いますと、子供たちが身近に体を動かそうとする場所も十分ないと。そういうことからナショナルトレーニングセンターがないということも全部含めての意味だったんですね。
 競技団体の方で言いますと、柔道はまだましな方なんですね。と申しますのは、講道館という我々が集まって合宿できるところがあるんです。恵まれない競技団体になりますと、合宿をやるにも、その場所を確保するのも大変。そういうことで非常に苦労している。ですから、ナショナルトレーニングセンターの建設をぜひとも実現してほしいというのが競技スポーツ界全体のお願いなんですね。
 それから日仏の差に関しましては、国からの直接の予算というのは日本に比べて二倍から二・五倍ぐらいしかないんですけれども、それ以外に会員の登録費が日本に比べるとかなり多いです。それから、約七億五千万といいましても、やはり人件費等がかなりを占めるんですね。そうすると、フランスなんかで連盟の専門の幹部が十名ぐらい、それからそういう正しい技術指導をしていく、地方の底辺を広げていくのが七十二名ですか、これだけが国家公務員であるというのは、これは長い目で見たときのスポーツ全体の振興・普及、柔道に関して非常に大きな差が出てくるのではないかなと。
 今までは学校スポーツ、それから柔道ですと町道場がそれを担っておりましたけれども、やはり今の時代、代がかわってきますと、あれは経営するというよりもボランティア活動で、自分で得た富を、お金を何らかの形で柔道界のために還元したいということで、お金をつぎ込んで町道場をやっているのが現状です。だんだん代がかわってきますと、そういうことをするよりも、自分自身で楽しみたいとか、もっと自分のためにお金を使いたいという形になっているものもあるんですね。ですから、かつての柔道を支えていた町道場も非常に減ってきているというのが現状でございます。
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八代勉#13
○参考人(八代勉君) 御質問にありましたチャンピオンシップスポーツと、もう一つのスポーツは私は生活スポーツという呼び方がいいかなと思います。今、生涯スポーツと呼んでいるのが多いんですが、生活スポーツ、生活を豊かにしてくれるスポーツと。ヨーロッパのスポーツクラブの場合、一緒になってトップクラスのチームを持っているという例もよく紹介されております。
 ただ、日本の場合は、やはりチャンピオンシップスポーツと、底辺に住民のスポーツがあって、それの頂点にチャンピオンシップスポーツというもの、Jリーグはそういうスポーツクラブづくりを目指しておられますけれども、必ずしもそれがいいと私個人は思っておりません。むしろ両方あって、やはりいい選手を育てるためには別に育てていかないと、もう今は世界のチャンピオンスポーツの中で過ごしていけないんじゃないかと思っております。
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恵美三紀子#14
○参考人(恵美三紀子君) 指導者がなぜ続かないのかという原因でございますが、一つはやはり経済的な負担が大きいということだと思います。実は、指導者になるためには日本スポーツ少年団に登録いたしますが、登録の費用、そしてスポーツ安全保険の費用、それから研修の費用、それらがやはり全部指導者個人の負担になっているところが多いと思います。行政が理解のあるところは、一部負担や補助がございますけれども。そのほかに、やはり指導者といいますのは、子供たちにいろいろと練習の後でジュースですとかお菓子ですとかを買ってあげるなどということもよくございますので、そういう経済的な負担が結構あるということです。
 もう一つは、やはり活動時間の回数が多いと御自分のプライベートな時間がなくなりますので、どうしても子供がいる間だけで燃え尽きてしまうのではないか、そういうふうに考えられます。
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長谷川道郎#15
○長谷川道郎君 八代先生にお伺いをいたしますが、先ほど先生のお話の中で大変すばらしい御提言というかアイデアをお示しいただいたと思うんですが、身近なスポーツ施設として学校をというお話がございました。身近なスポーツ施設として学校をということであれば、今学校開放というような問題があるわけでありますが、その後に先生は学校改造云々というお話をされました。
 少なくとも私は、学校を改造してそれを地域のスポーツセンターにするという、そこまで踏み込んだアイデアは持っておりませんでしたもので、改造云々以下のお話は大変すばらしいお話だったと思うんですが、具体的にどういうイメージで、例えばロッカー施設ですとかシャワールームだとか、そういうのも当然今の学校にない施設を付随させるというようなことだと思うのでありますが、どういうイメージで考えたらよろしいでしょうかというのが一点。
 それから、日曜日に学校開放しておる学校があるわけでありますが、一番困っているのは、率直に申し上げてマナーの悪い、夕方になるとたばこの灰、吸い殻がいっぱい、ジュースの空き缶がいっぱいというようなマナーの悪さで、管理者側がこんなことはもう嫌ですよという、それがネックになってなかなか進まないという現実があると思うのでありますが、まず第一点はイメージの問題、それから管理上の問題、その二点についてお伺いいたします。
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八代勉#16
○参考人(八代勉君) イメージとしては、二十年前に実はイギリスのある中・高等学校を見学しましたときに実際見聞きしたんですが、約二万ぐらいの住区でしたけれども、うちの学校では、この学校の建物はすべて子供のものであると同時に地域住民二万人のものです。子供が入っちゃいけない場所が二つあります。大人は全部入っていいです。子供が入っちゃいけないところはどこでしょうかというと、これはバーです。私たち年寄りはバーというのはわかるんですが、今はスナックと言ったりしていますけれども、よくお酒を飲む場所が、ライセンスバーが二つある、そういう学校でした。日本もそうなれば一番いいかなと思っておりますが、これは理想ですね。
 なお、そこでもう一つ感心したことがあるのでついでに言わせてください。
 その昼間は学校、夜は地域の人たちが使うところに昼夜両方通しで働く先生が何人かいて、昼夜の地域の人たちのスポーツ活動やさまざまな文化活動のいわゆるマネジメントに当たる、そういう形で地域住民の活動を支援している、こういうことがすばらしかったと思います。
 学校の改造というのは、クラブハウスやロッカールーム、シャワールーム等はもう既に今文部省でもその充実へ向けてやっていただいておりますけれども、せめてもっと明るい体育館であるとか、あるいは電気が切れてもなかなかかえてもらえない体育館なんですけれども、小学校の体育施設は、子供が小さいからといって一番小さいのではなくて、むしろ一番地域の人がたくさん集まりますから、高等学校や中学校と同じような広さの体育館すら求めたいとも思っております。
 しかし、余りそういう理想を掲げてもいけませんけれども、新しいスポーツ施設をつくるよりもずっと安いコストで、しかもアクセスが非常にしやすいものが学校ではないかと思っています。そのためにも、学校教育に支障のない限りというあの文言がある意味では学校側を非常に守っているという側面もありますので、できればその辺もぜひまた御検討いただけたらと思っております。
 学校の利用のマナーの悪さの問題は初期的な問題でございまして、最初の時点で利用者に対して訴えればかなり早期に解決できると考えております。
 以上です。
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日下部禧代子#17
○日下部禧代子君 きょうはお三人の参考人、どうもありがとうございます。
 山下参考人にまず最初にお尋ねいたします。
 昨年、私はアトランタのオリンピックに政府代表で行かせていただきまして、特に柔道は一生懸命応援させていただきました。選手の御活躍に大変胸が熱くなる思いでございました。
 しかしながら、山下参考人のお話にもございましたけれども、柔道が日本の国技であるというふうに言われながらも、だんだん今外国に押されぎみである。山下参考人が今御指摘になりました財政の問題というのは、フランスの場合と比較なさいましたけれども、非常に大きな隔たりがあるなということを感じましたし、またホワイトハウスでのカーターさんのお話も大変に感銘深く承りました。
 ところで、スポーツの振興ということに関しては、すそ野を広くしていくということ、スポーツ人口を広めるということと同時に、また山下先生のように、トップレベルでのいわゆる選手としての養成ということがあると思いますが、特にトップレベルでの選手の養成についてもう少し具体的に、例えば先生の御専門である柔道の場合ですと、どういうふうに選手養成というもののレベルアップができるかということの先生の理想をお持ちでいらっしゃると思いますので、もしそういう理想があればここでお示しいただきたい。国がどうしたらいいのか、あるいは地域でどうすればいいのか、選手養成についてのシステムがこうあるべきというふうなことがあれば、まずお尋ねしたいと思います。
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山下泰裕#18
○参考人(山下泰裕君) まず、私が話させていただいたことなんですけれども、私個人としては競技スポーツを代表してという気持ちがありまして、その一つの具体的な例としての柔道を挙げた、一つの具体的な例としての私の体験を挙げたということでありまして、わかりやすくということで挙げただけで、私個人としては競技スポーツを代表してということできようは話させていただきました。
 全日本の監督をやっていまして、どうしてもなかなか高いところから見ることができなくて、そういう理想とする姿というものをとらえることはできない部分があります。それから、お金の問題もありますけれども、我々全日本柔道連盟そのもののあり方という点も、これがやはり一番問題じゃないかな、各競技団体がまずしっかりしていくことが非常に大事じゃないかなと思います。
 わかりやすく言いまして、ではどうやったらこれから日本の柔道は勝っていけるのかといったときに、一つはやはり柔道がもっともっと魅力的になって、運動能力の高い子供が柔道に入ってくるようなそういうふうな連盟に、そういう子供たちがあこがれるような選手をつくっていくということが大事だと思います。
 そのためにやはり指導者の育成。実際に子供たちを現場で指導してくださっている先生方は自分の経験と自分の情熱でやられていますけれども、こういう先生方を計画的に研修を行ったり指導したりしながら、間違った方向に進まないように、バーンアウト、ドロップアウトしないように、そして柔道の本来の本質というものをしっかり身につけさせながら楽しくやらせていく、そしてもっともっとやりたいという気持ちにさせていく、そういう底辺の指導者の育成というのが非常に大事な部分じゃないかな。
 それからもう一つ、私は大学の教授ですけれども、全日本のシニアのコーチが六名おりまして、全部六名とも大学の教員なんですね。ほかのコーチはほとんど私が招聘したんですけれども、なぜか私の代は優秀な連中は大学に集まってしまったんですね。そうすると、大学で授業を持ちながら私は年間百二十日ぐらい全日本の活動で大学をあけています。それから、大学におりましてもファクスや何だで年間百六十日ぐらいは全日本監督としての仕事に使っています。ですから、大学ではもう頭をぺこぺこ下げて低姿勢です。まだ監督だから許せますけれども、ほかのコーチの場合はもっときついですね。やはり、日本が勝っていくためにはかけ持ちでは限界があると思います。外国のプロの監督、コーチが日本に来て活躍されているように、それで食べていく専任の指導者を、一人じゃなくて、スタッフをある程度つけるということが大事じゃないかな。
 それから、連盟が機能していくためには、これもやっぱり幹部の方々が自分で仕事をやりながらではなくて、連盟を支える幹の部分の方々、専務理事とか常務理事とかこういう方々が専任になってそのことにかかり切りになっていかないと、一生懸命やられても使える時間が限られておりますので、外国の一つの例としてフランスを出しましたけれども、連盟幹部十人が専任でフランスの柔道の普及、強化だけを考えているのと、仕事を持ちながらやっているのではやはりこれはもう限界がある。この辺から変えていくと、もっともっと日本柔道のやるべきこと、現在の課題等が明確になってきて強化が進んでいくと思うんですけれども、この辺が今私は一番の問題かなというふうに考えております。
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阿部幸代#19
○阿部幸代君 山下参考人に伺います。
 トップレベルの選手の競技や、それから競技の後の競い合った者同士の尊重の姿というか、そういうものに私は大変感動しているんですが、きょうのお話にも感動しました。初めにお願いですが、スポーツマンはもっとスポーツのすばらしさを語っていただきたいと思います。感動する人がたくさんいると思います。
 質問に入りますが、先ほどのお話の中で、オリンピックに出場するチャンスというのは普通は一生に一度あるぐらいだろう、その一回のチャンスが奪われたということでモスクワ・オリンピックの参加ボイコットのことをお話しなさいました。日本のスポーツマンにとって、またスポーツ史にとってモスクワ・オリンピックのボイコットというのがどんなに痛恨の思い出になっているかということがよくわかりました。本でも読むんですけれども、直接お話を聞きますとそれが一層よく伝わってまいります。
 それで、たしかあのときには政府が政治的な介入をして、もともとは出場することになっていたものがストップになったんだというふうな記憶があるんですが、こうした政府の政治的な介入の問題。その一方で、先ほど来予算の問題をお話しになっていると思うんですけれども、私は衆議院の財政構造改革特別委員会に文部省から出された資料を見てみたんですけれども、「スポーツ白書二〇〇一年のスポーツ・フォア・オールに向けて」という中に出てくる資料なんですが、一九九〇年度の政府予算の対GDP比を見ると、トップがポルトガルの〇・二八%なんですね。その続きが、フランス〇・二一%、ベルギー〇・〇九%、スペイン〇・〇六%、フィンランド〇・〇五%、デンマーク〇・〇四%、スウェーデン○・○二%、イギリス、ドイツ〇・〇一%と続いていくんですが、日本は一けた低い〇・〇〇三%です。
 一方で政治的な介入、口出しをしながら、その一方で財政的には本当に諸外国に比べると支援らしい支援をしない。それで、スポーツ振興法に基づく基本計画もたしかまだつくったことがないんですね。こういう国のスポーツ行政について率直に言ってどんな感想を持っておられるか。また、昨今、財政危機の問題とかいろいろありますが、政治が変わればこういうものも変わり得るわけですから、本来、国のスポーツ行政というのはどうあってほしいのか、基本について伺いたいと思います。
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山下泰裕#20
○参考人(山下泰裕君) 非常にレベルの高い話で、それについていけるのかわかりませんけれども。
 まず、モスクワ・オリンピックのボイコットに関してですけれども、私はやはりこう思っています。スポーツと政治は、スポーツは政治から干渉されないというのが理想であると思います。ただ、現実問題として、日本人である以上は日本の決定に対しては従うべきじゃないかなと。ただ、多分アメリカ人の大半の選手は、あそこでカーターさんがああやって話して、話を聞いて納得したと思うんですね。でも日本では全く説明もなかった。それでやはり私は納得できない部分があった。だから、個人的には非常に夢を奪われて、悔しいし残念で、二度とこんなことがあっちゃいけない、次の若い選手たちにこういう思いをさせちゃいかぬ、そのために何らかの役に立たなきゃいかぬという気持ちは持っていますけれども、ただ、やはり国民であるということは国の決定に従わなきゃいかぬ、でも納得するような説明は欲しいなというのが私の素直な感想です。
 それから、もう一つ素直な感想を言いますと、その必要性が叫ばれながら実際的な効果が出てこないというのは、スポーツは票につながらないからかなと。ですから、青少年の本当に健全育成を考えていったときに、今の青少年の非行化とかいろんな問題があります。スポーツはチャンピオンスポーツじゃなくて、スポーツで汗を流して、ともに力を合わせたり頑張ったり励まし合ったりしていくことが僕はかなりプラスになると思うんですね。だけれども、そういうことに対して格段の効果があらわれるような策が打たれていない。諸外国に比べてもやっぱりお金をかける数が少ない。これは何でかなと思ったときに、僕のレベルですと、スポーツじゃ票にならぬものなと。でも、二十年後、三十年後の日本というもの、あるいは五十年後の日本ということを考えたときに、青少年、次の時代を担う人間をつくっていくには、やっぱりたくましい体と心と他人を思いやる心、力を合わせる心、我慢できる心、こういうものが絶対必要であって、頭でっかちじゃだめだと思うんですね。
 そういうところがやっぱりだんだん子供から欠けてきている。そうすると、票にはつながらなくても、これはぜひとも全力で将来の日本のために何とかここの先生方に頑張っていただきたいなというのが私の素直な思いでございます。
 ちょっとまとまりませんけれども、申しわけございません。
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岡利定#21
○岡利定君 八代先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、地域で自分たちのスポーツを自分たちでつくっていくということが大変大事だということだけれども、まだそこまで行っているところはそうないというようなお話だったわけです。先生のいろんな御調査の中で、この辺はうまくやっているんじゃないかというような例があったら教えていただきたいなというのが一つでございます。
 もう一つは、そういう地域においてスポーツを振興していくといったときに、行政側の対応と、もう一つはそれを支えるボランティアの存在というのが大変大事だというお話であったわけですけれども、以前は、ボランティアというのは青年団というのが大変大きな役割を果たしておったと私は思うんですね。地域でのいろんな行事を自発的にみんなでやっていくということ、だからこれはスポーツだけじゃなくて、高齢者対策とかあるいは地域の清掃だとかも含めていろんな面であった。しかし、残念ながら最近そういう青年団活動というのはまずほとんどどこにもないんじゃないかと思われるわけでありますので、それにかわるようなボランティア的なものというのがやはりコミュニティーを活性化していくのに必要じゃないんだろうか。そういう意味でスポーツの振興という面から見たときに、そのボランティアのあり方、育成ということについて先生のお考えがあったらお教えいただきたいなと思っております。
 それからもう一点は、山下先生のお話ですけれども、先生の御経験としてすばらしい指導者に会えたというお話がありました。指導者の条件というのはいろいろとあると思いますけれども、人格だとかあるいは一つの技術にすぐれているとか、先生のお考えになっているすぐれた指導者の具体的な条件というのはどういうようなことだろうか。
 また、そのスポーツを振興していく、あるいは特にオリンピック選手なども含めて、少年団の方でもそうなんですけれども、指導者の育成というのが一番大事だと。指導者の育成のために、先ほど大学の教授を兼ねながらっいでにやっていくというのも大変だというお話を承ったんですけれども、そういうことも含めて、環境整備としてこういうことを国なり政府なりにやってもらいたいということがあったらお聞かせいただきたいと思います。
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八代勉#22
○参考人(八代勉君) 住民が自分たちでスポーツをつくっていくというのは、まだまだ日本ではそんなに多くございませんが、身近なところで私がよく調べさせていただいている三鷹市に一つ例がございます。三鷹市人口十五万の町を七つのコミュニティーにゾーニングいたしまして、そしてコミュニティーセンターをそれぞれ各一個持っております。そしてその施設の運営に関しては、行政のプロが若干名と、むしろ実際に施設を動かしていく運営に関しての主体性は、地域住民の人たちのそういう組織で動かしている、こういう例がございます。また、かなり全国的に有名なところでは、岩手県の金ヶ崎でしたか、あそこは生涯教育宣言都市ということで、そこもやはり町を幾つかのコミュニティーにゾーニングして、それぞれごとに住民の活動拠点をつくり、拠点がないと活動が生じないということでそういうふうにやっております。柏崎等もやはり市を二十幾つにゾーニングして、そこに必ずコミュニティーセンターを持っているというところが共通でございます。
 それから、ボランティア活動。かつては青年団、婦人会、子供会もいろいろあったかと思うんですが、今、子供会は、大人のつくる子供会はございますが、確かにありません。私も、今住んでいる団地でこの前消防訓練をやりましたら、集まってきたのが御婦人と高齢者ばかりで、働き盛りはほとんどおりませんで、青年団もおりませんでした。
 そういうようにして、昔であったら人々が連帯しなきゃいけないことが非常に今少なくなって、専門業者が出てきたり企業がやるようになったものですから、昔の消防に当たったり防犯に当たるものをプロがやるようになりましたので、自分たちでできるものとしてはスポーツとかあるいは生涯学習、そういうものをやることによって地域の連帯を図っていく、こういうことがなおさら必要と私は考えております。
 以上でございます。
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山下泰裕#23
○参考人(山下泰裕君) 指導者の条件ということですけれども、私自身が今勉強中でして、十分理解していない部分もありますけれども、まず指導者が言われたことで非常に私の心に残っていることが一ついつも胸にある。試合で勝つこと、オリンピックで勝つこと、これも大事だ、しかしもっと大事なことは、そうやって頑張った頑張りを生かして社会人として世の中の役に立つ、社会人としての勝利者に、社会人としての金メダルを自分の胸につけることが大事なんだよ、そのために今頑張っているんだよ、このことを中学時代に言われました。ですから、私は何とかして先生の教えのとおり社会人として役に立つ人間になれるようにと思って今頑張っています。やはりそういうポイント、ポイントでの言葉というのは非常に大きいかなと。
 私が指導者の条件として思いますのは、まずはやはり情熱じゃないかと思います。そのスポーツに対して、そして子供に対しての情熱、これがなければとても務まらないと思います。それから、口先だけじゃなくてみずから実践し、これは技術だけではなくてふだんの行動、マナーの面からもみずから実践し、そして常に飽くなき向上心を持つこと、子供からでもいろんなことを学ぼうという気持ち、これが大事じゃないかな。それから、選手強化だけじゃなくて、子供たちを教えるにしても自分だけの力ではできません。周りの人の協力を得て一緒に頑張っていこうという、そういうふうな広い心を持たないと一流の指導者になることは、底辺レベルでもあるいはトップレベルでも難しいんじゃないかな。ほかにもいっぱい要素があると思うんですけれども、この三つは私は欠かすことができないことではないかと思います。
 それから、指導者の育成ということに関してですけれども、先ほど申しましたが、私は在外研究員ということで、現役を終わりました後一年間自由に自分の好きなところに行って、外国へ行って勉強しなさい、何をやってもいいよと言われてイギリスの方に行きました。この一年間イギリスで勉強したことがなければ、多分私はきょうここに立っていることはないと思うんです。この一年間日本を離れて外に出て、外から日本を見て、あるいは外国の人たちといろんなことを話し合ったり一緒にやったりして、私は貴重な財産とも言えるもろもろのことを学びました。
 私は前々から文部省の方にもお願いしているんですけれども、どこへ行っても外国人に、すばらしいな、そんな制度が日本にあるのかと言われますけれども、来年度はどうも予算が三人分ぐらいしかないらしいんですね。できれば柔道で毎年三人ぐらいそういう指導者を出したいぐらいですね。トップを育てていくのに、そういう幅広い認識と幅広い人脈を持ちながら、日本が勝てばいいだけじゃなくて、国際的なマナーとか常識とかそういうものをわきまえた、世界と一緒に協力してやっていけるような指導者をつくっていく必要があるんじゃないかと。
 それから、もう一つ非常に気になっていますのは、全柔連でもありますけれども、トップクラスの選手でも、勝てばいいんだろうと。学校教育の一環と言われる大学の監督の中にも、勝てばいいんだろう、勝ちがすべてだよ、何でそんなうるさいことを言うんだというような方も実際におられます。そうすると、選手として世界的に活躍しても、私はその選手の十年後、二十年後、三十年後がすごく心配です。底辺を見渡してみましても、親もそれから先生も周りの評価も、小学校で勝たせた、中学校で勝たせた、そのことをすごく評価して、そのことによって子供が燃え尽きたり、あるいは子供の自主性や積極性、自分で何かをつくり出していこう、こういうすばらしい芽が摘まれてしまったりする。そういうことからいいますと、勝つことはすばらしいことですけれども、勝ちだけにこだわるのじゃなくて、一生懸命頑張っていきながらいろんなことを学んでいくことを大事にしていく。
 スポーツは私は教育的価値が非常にあると思うんですけれども、そういうところも含めて、技術的な面も含めて、現在いろんなスポーツで、各競技団体がそういう底辺の指導者に対しての適切な指導をやれるだけの財源もない、時間もないんじゃないか、スタッフもそろってないんじゃないか、そういうところが大事なんじゃないかなと。
 それからもう一言言いますと、点数を取ればいいんだろう、いい大学に入ればいいんだろう、いい企業に入ればいいんだろう、多分これとつながっているんじゃないかな。僕はこれは一つの大きな間違った価値観じゃないかなと個人的に思っております。
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江本孟紀#24
○江本孟紀君 自由の会の江本と申します。きょうは質問だけさせていただきます。
 先ほどのいろいろなお話を伺っておると、参考人の皆さんはスポーツは大変重要であるという御認識はもう共通しておると思いますので、これは御意見があっても、それから簡単にイエスかノーかで言っていただいても結構ですが、スポーツ行政ということで言いますと、スポーツ省とかスポーツ庁とか、そういったものは必要なのかどうかということをお聞きしたいと思います。
 それからもう一点、スポーツに関してはいろんな子供さんが関心を持つ。それで、スポーツというのはいろんなスポーツが今はあるものですから、必ずしも野球だとかサッカーとか相撲とか柔道とか、相撲というのは余り聞かないですが、そういう目立ったものだけではなくて、子供によってはいろんなものをしたいという人がいると思います。その中で、皆さんの御認識をちょっと聞きたいのは、競輪の選手、競馬騎手、ボートの選手、オートレースとかありますね、要はギャンブルにかかわっているそういうスポーツ選手のことをスポーツ選手と認識されているのかどうか、その二点をお聞きしたいと思います。
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山下泰裕#25
○参考人(山下泰裕君) スポーツ省についてですけれども、私のこれについての考えはイエスです。
 今、いろんな省にまたがっていろんなスポーツに関してのいろんな試みというか行政が行われていると思うんですけれども、やっぱりこれを一つにまとめてスポーツ省としてやるべきじゃないかなと。そして、それは青少年の健全育成、高齢化社会、生涯スポーツ、教育、すべてまとめて、それはそれだけの価値は十分ある、こう思っています。非常に現実が難しいことはよくわかっていますけれども、これは強く願っています。
 それから、二番目もイエスです。確かにギャンブル的な要素はありますけれども、じゃお金がかかっているからスポーツ選手じゃなくてかかっていないからスポーツ選手か、そういうふうには見れませんし、我々は実際にそういう人たちも我々スポーツの仲間であるというふうに思っております。
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八代勉#26
○参考人(八代勉君) スポーツ省の設置につきましては、私は大変慎重論でございまして、やはり教育というものと非常に絡む部分があります。確かに、いろんな省庁で四千数億のスポーツ関連のお金があるとか伺いますけれども、一緒にしてしまうとかえって出ないんじゃないかとも思っておりますし、慎重論で私は対応しております。
 それから、スポーツの選手ということでは、競輪、競馬、ボート等々がスポーツでないということは考えておりません。
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恵美三紀子#27
○参考人(恵美三紀子君) 初めのスポーツ省、スポーツ庁のことでございますが、生活スポーツ全般も含めて考えていただけるという条件つきで、私はひとつ独立した方がいいと思っております。
 それからもう一点の方は、私は当然選手だと思っております。かけるのは勝手でございます。
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江本孟紀#28
○江本孟紀君 ありがとうございました。
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田沢智治#29
○田沢智治君 私は山下参考人と八代参考人に聞きたいんですが、プロ野球で、巨人が大変金を使って優秀な選手と言われる人を自分のチームにトレードした。それで優勝するかというと優勝しない。お金さえ使えば優勝できるというものじゃないなということをよくわからせてもらったんです。また、全然お金を使わなくて優勝するということはあり得ないにしても、要するに、今の先生方の話を聞くと、一般社会的な次元でとらえた場合、競技スポーツ振興策と、市民スポーツというか生涯スポーツの振興策と、大体二つぐらいに分類されるのか。あるいはもちろん学校スポーツというのもあると思います。そうすると、競技スポーツというのは、もちろん世界の水準レベル以上に、常に世界のトップクラスを目指すという切磋琢磨をしなきゃならぬと思うんです。
 そうした場合、受け皿とすれば、今、日本体育協会というものがその受け皿として主たる役割を果たしていると思うんですが、じゃ果たしてその日本体育協会だけを強化すればうまく世界的水準に競技スポーツのレベルが達成できるのかと。もちろん、行政なり政治がそれを支援するということは必要であるし、また国民世論がそれを支えていくということも必要だと思いますが、まず、その受け皿として、競技スポーツの場合はどこをどう充実したらいいのか、これが一点です。
 それから、市民スポーツなり生涯スポーツの振興策を考えたときに、特に恵美さんが大変御苦労なさっているというふうに私は思うんですが、やっぱり地域社会の中では行政が関心を持ってほしいということは私は必要だと思います。しかし、余り行政が関心を持ち過ぎて干渉的な立場になっちゃうと死んじゃうんじゃないだろうか、拘束されて。だとするならば、地域社会の市民スポーツを振興させるには何か受け皿がそこに必要じゃないのかなと思うと、先ほど三鷹の例を話されたとおり、やはり地域のコミュニティー形成というものがその受け皿として大事じゃないかというふうに私は思うんです。何にしても、よきコーチ、よき指導者をきちっと計画的に養成ができたとすれば大変成果は上がるんじゃないか。
 私も日本大学におる関係で、うちの大学は柔道も強けりゃ相撲も強いしゴルフも強いし、大体三十何ぼは全国一になっているんですが、それを見ると、やっぱり専門的な知識を持ったコーチのある程度生活を保障してやらないと、これはなかなか難しいんです。監督だけじゃ強くならぬです。
 そういうようなことを考えてみると、財政的な、ある意味において国なり自治体なりが保障というかある程度の環境づくりを支援してあげる。私は干渉しちゃいかぬと思うんだ、国も地方自治体も干渉しちゃいかぬけれども支援をしてあげなければならない。それを中長期的な視野に立ってやらない限り成果は出ないと思うんです。
 今何が必要で何をどうしてもらいたいんだという具体的な、競技スポーツという領域の中で、あるいは市民・生涯スポーツの領域の中で皆さん方は求められているのか、ちょっとお三人の方々、それぞれのお立場で結構でございますが、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うんです。
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