甘利明の発言 (緊急経済対策に関する特別委員会)

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○甘利委員 そこで、バブル崩壊以降今日までの景気状況を時系列的に検証をしてみますと、次のようになります。最近パネルがはやっていますので、私も実は初めてつくってきました。ここにあるのであります、ちょっと立派なものですけれども。
 景気基準日付の谷、つまり景気の底は平成五年の十月でありますけれども、その前後から今日までの経済成長の推移を一覧にしますと、こういうふうになるわけであります。
 平成四年度の経済成長率が〇・四、五年度が〇・五、六年度が〇・六。四、五、六と、〇・四、〇・五、〇・六とこれは続いているわけであります。平成七年度に二・八、八年度に三・二となっているわけでありまして、これは、平成七年の九月まで六次にわたる景気対策を行った、それが着実にきいてきているというのがこの時系列でわかるわけであります。平成八年の三・二という数字は、同時期でいいますと先進国中最高の数字になっております。
 平成九年の四月に、御案内のとおり、消費税が三%から五%に上がって、特別減税が廃止をされたわけであります。そして、この駆け込み需要のリバウンドが次の四半期、平成九年の四—六に出るわけであります。対前期比でマイナスの二・八、リバウンドは予想した以上に大きかった。ということは、駆け込み需要も予想をちょっと超えて大きかったということでありますが、しかし、この懸念は翌四半期、つまり平成九年の七—九には、プラス〇・八ということでこれは回復をしたわけであります。このプラス〇・八というのは、年率換算をしますと三・二%という数字がはじき出されます。この平成九年の七—九期のプラス〇・八というのは、絶好調の経済というふうに言われているこの同時期のアメリカと同じ数字であります。
 統計にはもちろんタイムラグがありますから、平成八年度の成長率がプラスの三・二%であった、今のこの数字、このことが判明したのが平成九年の六月でありまして、景気はこういう数字を追って拡大してきて、いよいよその時期に、景気は財政出動の後押しなしに自分の力で、つまり自走を始めた、つまり官需から民需にバトンタッチしたと政府は判断をしたと思います。
 さらにその後、野党は、この景気後退の一番の原因は、消費税のアップ、特別減税の廃止、そして医療費の値上げたというふうに言われているのですが、政府も四月から上がるということを懸念したわけでありますけれども、その懸念された消費税の引き上げと特別減税の廃止に伴うリバウンド、それが意外にも次の四半期には回復したという事実、それが判明したのがタイムラグを置いて平成九年の十二月であったわけでありまして、そこで三・二が確認された。それから、リバウンドが修復に向かったということを確認して、景気はきちんと離陸をしたというふうに政府が判断をしたのだと思います。
 ところが、実は景気は離陸をしていなかった。官需から民需にバトンタッチは本当のところはしていなかったのでありまして、それが、昨年の十一月の金融危機による影響であったわけです。順調に進んでいると思っていました民間企業のリストラや構造調整というものが実は終わっていなかった。当時、大蔵省は、不良債権がただいま二十何兆円です、割と順調に進んでいますとかいうことを発表したわけでありますけれども、これは、銀行側の言うことをうのみにしていた感がある。もっと言えば、実は当の銀行の頭取自身でさえ、自分の銀行の不良債権が一体本当は幾らなのか、承知していなかったのじゃないかと思います。つまり、金融機関のディスクロージャーが全く不十分であったということじゃないのでしょうか。
 それらが明確になったのが昨年の十一月危機でありまして、北海道拓殖銀行、北洋銀行、山一証券の破綻であります。加えて、昨年の八月以降に、アジアの金融不安を引き金にしたアジア経済の減速、将来不安が急速に個人消費を落ち込ませたわけであります。あんな一流企業でも倒産するんだからうちの会社だって危ないんじゃないだろうかとか、あるいはあんな有名な銀行が倒産をするんだから私の預金先だって危ないんじゃないかとか、国民が急速に生活防衛に走ったわけであります。
 この間、ある銀行の支店長が嘆いておりましたけれども、窓口に、中年の御婦人が定期預金を全額引き出したい、解約したいという申し出がありまして、支店長が、また週刊誌が報道する格付の高い銀行とかあるいは郵便局にでも預けかえるんだろうかと、いささかげんなりしてその様子を見ていましたら、引き出した大金を大事そうに抱えたくだんの御婦人が、その銀行の貸し金庫室に入っていきまして、ほどなく晴れやかな顔で手ぶらで出てきた、ここまで銀行は信用がなくなったのかと、その支店長は天を仰いだそうであります。
 そんなこんなで、消費性向、つまり可処分所得に占める消費支出の割合というのは、昨年の九月には七一・九だったものが、ことしの二月には六八・四に落ち込んだわけであります。実に五カ月で三・五%の落ち込みでありまして、これは年別換算をしますと約十兆円になるのだそうであります。マインドだけでこれだけ経済が落ち込んだわけであります。これが今回の景気後退の経緯だというふうに思っております。
 今までの私の指摘につきまして、経企庁長官はどうお考えになりますか。

発言情報

speech_id: 114204055X00319980514_004

発言者: 甘利明

speaker_id: 20087

日付: 1998-05-14

院: 衆議院

会議名: 緊急経済対策に関する特別委員会