緊急経済対策に関する特別委員会

1998-05-14 衆議院 全255発言

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会議録情報#0
平成十年五月十四日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
  委員長 中川 秀直君
   理事 甘利  明君 理事 中山 成彬君
   理事 村井  仁君 理事 村田 吉隆君
   理事 上田 清司君 理事 岡田 克也君
   理事 太田 昭宏君 理事 谷口 隆義君
      浅野 勝人君    飯島 忠義君
      石崎  岳君    小野 晋也君
      大石 秀政君    大村 秀章君
      木村 隆秀君    佐藤  勉君
      桜井 郁三君    新藤 義孝君
      菅  義偉君    杉浦 正健君
      園田 修光君    田中 和徳君
      田村 憲久君    谷畑  孝君
      中野 正志君    西川 公也君
      穂積 良行君    目片  信君
      森  英介君    山口 泰明君
      池田 元久君    生方 幸夫君
      海江田万里君    金田 誠一君
      菅  直人君    北脇 保之君
      島   聡君    石井 啓一君
      西川 知雄君    桝屋 敬悟君
      佐藤 茂樹君    鈴木 淑夫君
      児玉 健次君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    濱田 健一君
      河村たかし君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  橋本龍太郎君
        法 務 大 臣 下稲葉耕吉君
        外 務 大 臣 小渕 恵三君
        大 蔵 大 臣 松永  光君
        文 部 大 臣 町村 信孝君
        厚 生 大 臣 小泉純一郎君
        農林水産大臣  島村 宜伸君
        通商産業大臣  堀内 光雄君
        運 輸 大 臣 藤井 孝男君
        郵 政 大 臣 自見庄三郎君
        労 働 大 臣 伊吹 文明君
        建 設 大 臣 瓦   力君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     上杉 光弘君
        国 務 大 臣 村岡 兼造君
        (内閣官房長官)
        国 務 大 臣 小里 貞利君
        (総務庁長官)
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      鈴木 宗男君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 久問 章生君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      尾身 幸次君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      谷垣 禎一君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 大木  浩君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 亀井 久興君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      塩谷 隆英君
        経済企画庁調整
        局審議官    小林 勇造君
        経済企画庁調査
        局長      新保 生二君
        科学技術庁長官
        官房長     沖村 憲樹君
        国土庁大都市圏
        整備局長
        兼国会等移転審
        議会事務局次長 林  桂一君
        外務省総合外交
        政策局軍備管  阿部 信泰君
        理・科学審議官
        外務省アジア局
        長       阿南 惟茂君
        外務省経済局長 大島正太郎君
        外務省経済協力
        局長      大島 賢三君
        外務省条約局長 竹内 行夫君
        大蔵大臣官房金 原口 恒和君
        融検査部長
        大蔵大臣官房総
        務審議官    溝口善兵衛君
        大蔵省主計局長 涌井 洋治君
        大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
        大蔵省証券局長
        心得      山本  晃君
        大蔵省銀行局長 山口 公生君
        大蔵省国際金融
        局長      黒田 東彦君
        文部大臣官房長 小野 元之君
        文部省教育助成
        局長      御手洗 康君
        厚生大臣官房総
        務審議官    田中 泰弘君
        農林水産大臣官
        房長      堤  英隆君
        通商産業省貿易
        局長      今野 秀洋君
        通商産業省産業
        政策局長    江崎  格君
        資源エネルギー
        庁長官     稲川 泰弘君
        中小企業庁長官 林  康夫君
        運輸大臣官房長 梅崎  壽君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
        労働省職業安定
        局高齢・障害者
        対策部長    中野 秀世君
        建設大臣官房長 小野 邦久君
        建設大臣官房総
        務審議官    小鷲  茂君
        建設省建設経済 五十嵐健之君
        建設省都市局長 木下 博夫君
        建設省住宅局長 小川 忠男君
        自治省財政局長 二橋 正弘君
        自治省税務局長 成瀬 宣孝君
 委員外の出席者
        参  考  人 速水  優君
        (日本銀行総裁)
        衆議院調査局緊
        急経済対策に関
        する特別調査室
        長       大久保 晄君
    —————————————
委員の異動
五月十四日
 辞任         補欠選任
  菅  義偉君     木村 隆秀君
  杉浦 正健君     中野 正志君
  園田 修光君     新藤 義孝君
  田中 和徳君     飯島 忠義君
  田村 憲久君     大村 秀章君
  西川 公也君     大石 秀政君
  北脇 保之君     菅  直人君
  矢島 恒夫君     佐々木憲昭君
同日
 辞任         補欠選任
  飯島 忠義君     田中 和徳君
  大石 秀政君     西川 公也君
  大村 秀章君     田村 憲久君
  木村 隆秀君     菅  義偉君
  新藤 義孝君     園田 修光君
  中野 正志君     杉浦 正健君
  菅  直人君     北脇 保之君
  佐々木憲昭君    矢島恒夫君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部
 を改正する法律案(内閣提出第一一二号)
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置
 法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一一三号)
 中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一一四号)
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第一一五号)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一一六号)
     ————◇—————
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中川秀直#1
○中川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
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甘利明#2
○甘利委員 甘利明でございます。自由民主党を代表して、総理並びに関係大臣に御質問をさせていただきます。
 思い起こしますと、約七カ月前に私はこの場で財政構造改革法案に対しまして代表質問を行いまして、その必要性を訴えた一人であります。そして今、この修正案に対する質問を行うという事態にいささか複雑な心境を覚えますが、しかし、財政再建の必要性は現在も変わらぬ、いや、むしろさらに重要になっている課題であるということは疑う余地もないことでありますし、そうした中でどういうアプローチの仕方がベストなのか常に模索をしていくということは、政治の責務でもあるわけであります。
 君子は豹変すとは、無責任者の代名詞のように解釈をされていますけれども、本来は、過ちを確認したときに変更する勇気を持つことこそ君子たる資格であるという意味であります。
 ところで、現在ほど株価や為替レートの話が頻繁に国会審議の中に出てくる時代はかつてありません。それだけ経済がグローバルな視野で語られる時代になったということでありましょうけれども、いささか神経質になり過ぎているという面も否めないわけであります。
 マーケットの声を聞けとかマーケットが判断をするとか、スーパーの安売りじゃあるまいし、各般の経済対策にマーケットがどう反応するかに一喜一憂するというのも情けない話であります。もっとも、最近はマスコミの論調も少し変わってまいりました。マーケットに振り回され過ぎるなというような論説も散見をされるわけであります。
 大事なことは、過去の景気判断のどこに誤りがあったのか、見誤った原因は何なのか、そしてそれに対する適切な処置は何なのかを冷静に分析をして、抜本的な対策を大胆に構築をして、確固たる自信を持って内外に宣言をするということであります。そうすればマーケットの評価というものはおのずとついてくるわけでありますし、それでも反応しないような市場であったらこちらから見限るというくらいの毅然たる姿勢で臨んでいくべきであろうと思います。ヤジ
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中川秀直#3
○中川委員長 御静粛に願います。
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甘利明#4
○甘利委員 そこで、バブル崩壊以降今日までの景気状況を時系列的に検証をしてみますと、次のようになります。最近パネルがはやっていますので、私も実は初めてつくってきました。ここにあるのであります、ちょっと立派なものですけれども。
 景気基準日付の谷、つまり景気の底は平成五年の十月でありますけれども、その前後から今日までの経済成長の推移を一覧にしますと、こういうふうになるわけであります。
 平成四年度の経済成長率が〇・四、五年度が〇・五、六年度が〇・六。四、五、六と、〇・四、〇・五、〇・六とこれは続いているわけであります。平成七年度に二・八、八年度に三・二となっているわけでありまして、これは、平成七年の九月まで六次にわたる景気対策を行った、それが着実にきいてきているというのがこの時系列でわかるわけであります。平成八年の三・二という数字は、同時期でいいますと先進国中最高の数字になっております。
 平成九年の四月に、御案内のとおり、消費税が三%から五%に上がって、特別減税が廃止をされたわけであります。そして、この駆け込み需要のリバウンドが次の四半期、平成九年の四—六に出るわけであります。対前期比でマイナスの二・八、リバウンドは予想した以上に大きかった。ということは、駆け込み需要も予想をちょっと超えて大きかったということでありますが、しかし、この懸念は翌四半期、つまり平成九年の七—九には、プラス〇・八ということでこれは回復をしたわけであります。このプラス〇・八というのは、年率換算をしますと三・二%という数字がはじき出されます。この平成九年の七—九期のプラス〇・八というのは、絶好調の経済というふうに言われているこの同時期のアメリカと同じ数字であります。
 統計にはもちろんタイムラグがありますから、平成八年度の成長率がプラスの三・二%であった、今のこの数字、このことが判明したのが平成九年の六月でありまして、景気はこういう数字を追って拡大してきて、いよいよその時期に、景気は財政出動の後押しなしに自分の力で、つまり自走を始めた、つまり官需から民需にバトンタッチしたと政府は判断をしたと思います。
 さらにその後、野党は、この景気後退の一番の原因は、消費税のアップ、特別減税の廃止、そして医療費の値上げたというふうに言われているのですが、政府も四月から上がるということを懸念したわけでありますけれども、その懸念された消費税の引き上げと特別減税の廃止に伴うリバウンド、それが意外にも次の四半期には回復したという事実、それが判明したのがタイムラグを置いて平成九年の十二月であったわけでありまして、そこで三・二が確認された。それから、リバウンドが修復に向かったということを確認して、景気はきちんと離陸をしたというふうに政府が判断をしたのだと思います。
 ところが、実は景気は離陸をしていなかった。官需から民需にバトンタッチは本当のところはしていなかったのでありまして、それが、昨年の十一月の金融危機による影響であったわけです。順調に進んでいると思っていました民間企業のリストラや構造調整というものが実は終わっていなかった。当時、大蔵省は、不良債権がただいま二十何兆円です、割と順調に進んでいますとかいうことを発表したわけでありますけれども、これは、銀行側の言うことをうのみにしていた感がある。もっと言えば、実は当の銀行の頭取自身でさえ、自分の銀行の不良債権が一体本当は幾らなのか、承知していなかったのじゃないかと思います。つまり、金融機関のディスクロージャーが全く不十分であったということじゃないのでしょうか。
 それらが明確になったのが昨年の十一月危機でありまして、北海道拓殖銀行、北洋銀行、山一証券の破綻であります。加えて、昨年の八月以降に、アジアの金融不安を引き金にしたアジア経済の減速、将来不安が急速に個人消費を落ち込ませたわけであります。あんな一流企業でも倒産するんだからうちの会社だって危ないんじゃないだろうかとか、あるいはあんな有名な銀行が倒産をするんだから私の預金先だって危ないんじゃないかとか、国民が急速に生活防衛に走ったわけであります。
 この間、ある銀行の支店長が嘆いておりましたけれども、窓口に、中年の御婦人が定期預金を全額引き出したい、解約したいという申し出がありまして、支店長が、また週刊誌が報道する格付の高い銀行とかあるいは郵便局にでも預けかえるんだろうかと、いささかげんなりしてその様子を見ていましたら、引き出した大金を大事そうに抱えたくだんの御婦人が、その銀行の貸し金庫室に入っていきまして、ほどなく晴れやかな顔で手ぶらで出てきた、ここまで銀行は信用がなくなったのかと、その支店長は天を仰いだそうであります。
 そんなこんなで、消費性向、つまり可処分所得に占める消費支出の割合というのは、昨年の九月には七一・九だったものが、ことしの二月には六八・四に落ち込んだわけであります。実に五カ月で三・五%の落ち込みでありまして、これは年別換算をしますと約十兆円になるのだそうであります。マインドだけでこれだけ経済が落ち込んだわけであります。これが今回の景気後退の経緯だというふうに思っております。
 今までの私の指摘につきまして、経企庁長官はどうお考えになりますか。
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尾身幸次#5
○尾身国務大臣 先ほど来、ここ当分の間の経済の動向について、甘利委員からお話がございました。全体として、私、おっしゃるとおりだと思うのでございますが、確かに、昨年の第三・四半期、つまり七月−九月には回復の方向に動いてまいりまして、GDPも対前期比で〇・八%増、年率三・二%増ということになったわけでございます。
 しかしながら、秋口にかけまして、アジアの経済がおかしくなったこと、それから、金融機関等の大型の倒産、破綻が相次いで起こったことによりまして、秋口から暮れにかけまして、いわゆる消費者心理、家計の心理状態が非常に悪化をいたしまして、その結果といたしまして、徐々に消費が冷え込む、それにつれて設備投資等も冷え込んでくるという現象が起こりました。消費性向で見ましても、先ほどのお話のとおり、昨年の九月の七一・九%から二月までには六八・四%と三・五%ポイント下がったわけでございます。
 そういう状況が、この二月、三月に企業への貸し渋り現象等とも相まちまして、実体経済、生産あるいは雇用等の面に非常にマイナスの効果を及ぼしてきている、そういう状況のもとで失業率三・九%という非常に厳しい状況になっているわけでございます。
 ただしかし、三月の動向を見ますと、消費性向は七一・七まで上がってきておりまして、この三・五ポイント下がったもののかなりの部分を回復しております。ただ、これが特別所得減税の影響による要因もあると考えておりまして、一概に完全に回復したと言い切れるわけではございませんが、しかし、このいわゆる消費者心理の悪化には歯どめがかかってきているという感じもするわけでございます。しかし、実体経済の面で雇用、生産等が非常に厳しい状況にございます。
 そういうことも含めまして、私ども、総合経済対策を早急にかつ強力に進めてまいりたいということで、今回の提案をしているわけでございます。
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甘利明#6
○甘利委員 私が与党だから言うんじゃありませんけれども、今回の総合経済対策というのは、かつてないくらい内外で評価された、されるべきだと私は確信をいたしております。というのは、先ほど来指摘をさせていただいております景気後退の本当の原因、日本経済の四つの症状に対して適切に四つの処方せんが書かれているからなんですね。
 四つの症状というのは、一つは、内需を中心とする深刻な不況であります。二つ目は、バブルの後遺症、先ほどから述べました。それから三点目は、日本の経済構造が古くなってきている、構造改革を迫られているという点であります。そして四点目が、アジアの金融不安であります。これらの症状に対して、今回の経済対策には適切な処方せんが書かれている。
 尾身長官は、先月の三十日に、我が党の山崎政調会長と一緒に訪米をされまして、グリーンスパンFRB議長やルービン財務長官と会談されたというふうに伺っておりまして、総合経済対策、特に内需拡大策については大変な評価を受けたというふうに聞いております。日本の政治家とか日本の政策が海外で評価されるということを伝えることは日本のマスコミは余り好きじゃないものでありますから、日本では余り報道されなかったようでありますけれども、私が聞くところ、最大級の評価を受けたと聞いています。その辺のところ、尾身長官、実際どうでありましたでしょうか。
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尾身幸次#7
○尾身国務大臣 四月三十日に、山崎政調会長とともにワシントンを訪問して、日本の総合経済対策の内容及びその効果等につきまして説明をいたし、理解を求めに参りました。ルービン財務長官やグリーンスパン連邦準備制度理事会議長等と会談をしたわけでございますが、米国の政府関係者はいわば異口同音に、この総合経済対策が大規模な政策措置であり、かつ積極的な内容であるという高い評価をいただいたわけでございまして、私ども大変に、行ってよかったなという思いと同時に、日本の政策努力に対しますこのような評価が国際社会で得られましたこと、日本経済の将来に対するコンフィデンスの向上という点からも非常にプラスになると考えて、有意義であったと考えている次第でございます。
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甘利明#8
○甘利委員 日本経済の病状の正確な分析はできたわけであります。それに対する適切な処方せんも書けました。あとは、毅然たる姿勢で自信を持って、患者にいついつまでにこの病気は回復しますというふうに宣言をすることが医者としての責務であります。医者が不安に思ったり自信なげな態度をとれば、患者はますます不安になりますし、病気の治癒はおくれるわけであります。
 橋本総理、総理は、日本経済のチーフドクターとして、日本経済は全治何年何カ月か、それまで頑張れば必ず回復をする、自分の手で必ずよくしてみせると、国民にぜひ自信を持って宣言をしていただきたいと思います。経済対策の効果が、この対策の効果があらわれて景気が軌道に乗ってくるまでにどのくらいかかるでしょうか、見通しを示していただきたいと思います。
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橋本龍太郎#9
○橋本内閣総理大臣 今回の総合経済対策、これは、議員からも御指摘がございましたように、我が国経済を力強い回復軌道に乗せていく、同時に二十一世紀における活力のある我が国経済社会を実現するために策定したものであります。そして、これは、今まで既に実施している財政、金融の両面からのさまざまな施策と相まって、我が国経済を次第に順調な回復軌道に乗せていくものと考えておりますし、一日も早い景気回復のためにも、十年度補正予算及び関連法案のぜひ速やかな成立に御協力をいただきたいと思っております。
 多少の時間をいただいて、そのポイントについて幾つか触れたいと思うのですが、今やはり私どもが考えていかなければならないのは、それは、バブルの崩壊の後遺症から脱し切れていない現状の中で、そこに、アジア経済の混乱も国内における金融システムに対する不安も、景気の落ち込みに大きく影響してきました。ですから、まず当面必要なことは何だといったら、思い切って内需をつくり出していく。そしてそれは景気回復にすぐつながっていくことでありまして、そのために、社会資本整備、そして特別減税を行うことにしました。
 社会資本整備は、これは、国におきましても地方公共団体におきましても、ちょうだいした皆さんの税金を使って仕事をしていく、あるいは公債という名前による後世代からの借金をもって仕事をしていくわけですから、これは本当に思い切って必要な分野にそのお金は使わなきゃなりません。ダイオキシン対策のように国民の皆さんが不安を持っておられる部分、あるいは新エネルギー対策、科学技術の振興、福祉、やるべきことは、これはたくさんあるわけです。
 これが一つの柱だとすれば、もう一つの柱は、まさにバブルの後遺症の中でも一番我々が今までにもてこずってきました不良債権の処理です。この十年間、ずっと実はこの問題がのしかかっておりました。そして、議員が言われましたように、私は、金融機関のトップが自分のところの不良資産、不良債権を把握していなかったとまでは思いませんけれども、積極的にそれをバランスシートから落とすという決意というものは必ずしも強くなかったように思います。
 ですから、不良債権の処理、言いかえれば金融機関が不良資産を、債権をバランスシートから落とすために何が必要なのか。担保になっている土地などを処分して、焦げついている債権を回収する、あるいは不良債権を売却する、そうした処理が思い切って進められるように、土地にかかわる債権債務を整理するための委員会の設立、あるいは土地担保つき債権の証券化、今まで我が国になかった仕組みをここで整備をしたい。これも一つの手法です。そして、これは当然のことながら、関連して、土地取引の活性化あるいは都市の開発という問題と連動していくわけでありますから、金融システム改革法案の審議も進めていただいておりますので、不良債権処理と相まって、ここでもう一つの柱を立てていきます。
 そして、もう一つ大事なこと、それは、さまざまな構造改革の中から、いわゆる規制の撤廃・緩和の中からベンチャー企業が育つ、そのための環境づくりなども非常に大事なことでありますし、この柱のポイントの一つです。
 また、税制についても、幅広い見直しを既にお約束をしてきました。
 こうしたものが今、議論ではなくて実施に移せるようにするためにも、国会における、必要な補正予算あるいは減税法案等御審議をいただいておりますものをできるだけ早く成立をさせていただいて、実行に移させていただきたい、それが今一番大事なことだ、私はそのように考えております。
 日本経済は、本来、非常な強さを持っております。これは、あえて、私を信じてくれなんといううぬぼれたことを言うんじゃないんです。日本人自身が持っているその経済の強さあるいは技術力あるいはその資金というものに対してもう一度自信を持っていただく、そのためにも、一日も早い関連法案の御審議を心からお願いをする次第です。
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甘利明#10
○甘利委員 先ほど来指摘させていただいておりますとおり、将来不安不況、あるいは不安あおり不況という言葉さえあるんですね。総理は、日本自身を信じてくれと。そのとおりだと思うのです。日本の底力を信じてくれ。その日本政府の顔が総理でありますから、総理が毅然たる姿勢で、大丈夫だから頑張ろうという姿勢をぜひ示していただきたいというふうに思う次第であります。
 今回の不況は、一面では消費不況というふうに呼ばれております。先ほど指摘をさせていただきましたとおり、GDPの六〇%を占める個人消費が例を見ないくらいに落ち込んでいるからであります。過去に、日本が経済危機に直面したことは何度かあります。経済がマイナス成長を記録したこともたしか一度ありました、オイルショックのときだったというふうに記憶しておりますけれども。しかし、そのときですら、個人消費は、前年比マイナスというのは記録をしませんでした。過去に、四半期でマイナスを記録したということはありましても、年ベースでマイナスを記録したということはないんですね。それくらい消費支出というのは、景気変動に大きく左右をされない安定した経済構成要素なんであります。
 その個人消費が、この一年は前年比マイナスを記録いたしました。政府が景気対策を打つときには、経済の、ここではGDPを指しますけれども、この構成要素のいろいろな部分を刺激するわけであります。例えば民間設備投資も、各種の分析をしまして、各般にわたる支援施策を講ずる。住宅建設、公共投資しかりであります。しかし、事消費になりますと、画一的な減税しか我々はツールを持たないわけであります。それは、個人消費の分析が過去の手法のままだからじゃないかと私は思うのであります。
 アメリカでは、既にもう十年くらい前から景気刺激策というのは個人消費に特化してきておりまして、個人消費をいかに細かく分析をしてそこに各般の刺激策を打つかということに重点が移行しているわけであります。
 それは、個人消費がGDPの六〇%を占める構成要素だからであるのですけれども、日本では消費関係の経済統計が甚だ不備でありまして、家計調査のサンプリングは八千世帯だけでありますし、百貨店とかスーパーへの消費分析はありますけれども、ディスカウント店とかコンビニヘのそれはありません。さらに、消費の大宗はサービス消費へと移りつつありますけれども、その統計もないというふうに聞いております。ですからきめ細かい消費刺激策が打てないのだと思います。
 設備投資とか住宅建設を刺激することはもちろん大事なんですよ。経済の六割を占める部分をより効果的に刺激するということはこれも非常に大事だというふうに思いますが、その消費の分析の仕方が非常に粗っぽい。何かといえば単に恒久減税という話しか出てこないということになりますけれども、そこのところはもっと細かく、世帯別、所得別、地域別とか、いろいろな消費支出別とか、こういう分析をして戦略を練った方がいいというふうに私は思うのでありますが、尾身長官の見解を伺いたいと思います。
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尾身幸次#11
○尾身国務大臣 甘利委員のおっしゃるとおり、消費構造そのものがかなり近年変わってまいりまして、例えて言いますと、必需品の方向から非必需品の方向に変わってくる。したがいまして、マインドの状況というのが消費の水準に非常に大きな影響を及ぼすというような状況になっております。それからまた、サービス化というような方向もあるわけでございまして、私ども、その状況、内容の変化に応じて、今おっしゃるとおりのさらに必要な分析、調査等の手法についても工夫をしてまいりたいと考えている次第でございます。
 なお、ライフスタイルの変化ということもかなりあるわけでございまして、消費者ニーズというものが変わってきているように感じている次第でございます。したがいまして、これに対応する供給サイドのいわゆる事業者の側も、そのような消費者ニーズに対応した新しい商品、サービスの開発等を行って消費者ニーズを引きつけるような努力もしていただきたいなと私自身は感じている次第でございます。
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甘利明#12
○甘利委員 私の持ち時間が来まして、もう一点質問通告をさせていただいておりますが、次の機会に譲りたいと思います。
 先ほど来私が申し上げていますのは、景気対策、刺激策のツールをもっとたくさん持とうということでありますし、消費不況と言われるのであるならば、消費のマインドをもっと細かぐ分析をしましょう。消費が落ちている、オウム返しに減税という単純な話でなくて、そういう話が出ると、いや、不安が解消されないのだから全部貯蓄に回ってしまって効果がないじゃないか、それよりも公共投資の方が具体的に所得移転に結びつくのだからそっちの方がいいよという話になってしまうわけであります。もっと、消費マインドの落ち込んでいる原因は何なのか、どういう消費構造に今陥っているのか、それをうんときめ細かく分析することによって次の打つ手がいろいろと出てくるのだということを考えている次第であります。
 先ほど来、総理に、自信を持って国民に説明をしてほしいと申し上げました。この現状の分析は割と正確にできていると思いますし、先ほど来申し上げていますとおり、その対応策というのは現在考えられるベストなものだと私は思うのであります。これ以上のものはないと思うのであるならば、国民に対して自信と責任を持って説明をしていただきたい。それで、みんなで頑張ろうということを、意思統一を国民にしてもらいたいというふうに思う次第であります。
 総理初め関係閣僚の御健闘を心からお祈りをし、与党の一員として全力をもってお支えをすることをお誓いを申し上げます。
 ありがとうございました。
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中川秀直#13
○中川委員長 この際、杉浦正健君から関連質疑の申し出があります。甘利君の持ち時間の範囲内でこれを許します。杉浦正健君。
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杉浦正健#14
○杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。甘利先生の御質問に関連いたしまして、二、三点、総理にお伺いしたいと存じます。
 本題に入ります前に、甘利先生がお触れになりませんでしたので、ぜひ触れなければならぬと思うのですが、インドの核実験の問題でございます。
 これにつきましては、政府も無償新規停止という措置をとられたということでありますが、重ねて、実験を強行したインドに対しまして、私は、断固たる態度を、総理、政府としておとり賜りたいとお願い申し上げる次第であります。
 日本は唯一の被爆国であって、国際社会に対して核兵器の廃絶を主張し得る権利を有しておりますし、また、将来の国際社会に対して崇高な責務を負担していると存じます。毅然とした態度でインドの核実験に臨んでいただきたい、お願いを申し上げておく次第であります。
 ただいま甘利先生からいろいろと基本的な点にお触れになりました。現在の景気は下降局面にある、異常かつ非常の状態である、まあ危機と言っていいかと存じます。先輩方の中には、未曾有の国難に我々は直面しているという表現を使われる方もございますが、私は当たっていると思うわけであります。
 総理初め閣僚の皆さん方、医者の車という言葉をお聞きになったことがあると思うのですが、今の日本の経済の成り行きを見ておりますと、まさにそうだという感じがいたします。つまり、患者のいる方に、悪い方へ悪い方へ走っていくという感じがいたすわけでございます。
 甘利先生もお触れになりましたが、総理もただいまおっしゃいましたけれども、バブル経済崩壊の後始末がしっかりできていない。不良債権がまだ多額に、処理されないで残っております。
 それに加えまして、同じ時期に我々は、六大改革、二十一世紀を目指して諸改革を断行する、財政改革並びに経済構造改革、そして金融システム改革に着手したばかりであります。時期が重なりました。それに、金融不祥事から始まりまして、さまざまな金融機関の問題が露呈してまいったところに、昨年秋、アジア危機の突発でございます。金融機関の不祥事は、大蔵、日銀の汚職にまで発展してまいりまして、非常な国民の不信感を助長いたしておるわけであります。
 それやこれや重なって、国民の間に非常な不安が広がっておるというのが実情ではないかと思うわけでございます。
 総理はたびたび申しておられますけれども、現在の時期は、冷戦の終了に伴います大きな変革期にある、明治維新、終戦後に次ぐ第三の開国の時期だ、変革期だということを総理は再三言及しておられますけれども、そのとおりの大変革期にあると思うわけであります。変革期は、すべて流動的であります。不均衡が常態であります。終戦直後がそうでありました。また、不確実性が支配的であります。先例で物事を判断できない、そういう時代にあるわけであります。そういった大きな歴史の流れ、この時期に集中したもろもろの事象、そういったものが国民の不安を増幅しておると言っていいかと思います。
 内外のエコノミストの論評も大変盛んになってまいりました。書店に参りますと、平成の大不況、大恐慌といった言葉が乱舞しておるわけであります。
 私は、本来、楽観的な人間でありますが、ここで一つのパロディーを御紹介したいと思います。まあ、エコノミストの言われることは当たっている面もあるし、当たり外れがある面もあるということであります。
 この話は、OBサミットを福田先生と一緒にお始めになりました西ドイツの元首相でございますヘルムート・シュミットさんから、昨年夏のOBサミットの際にお伺いした話であります。
 二人の男が熱気球に乗りまして出発した。ところが、広い農場、まあ日本にはそんなところはありませんが、アメリカの西部の大平原のようなところに出まして、方向を見失ってしまった。どっちに行っていいかわからない。そこで、下をすっとおりて探したところ、一人の農民が働いておった。近づいていって、その農民に向かって、我々はどこにいるんだと尋ねた。ホェア・アー・ウィーと尋ねた。そうしたら、その農民が上を向いて叫んだ。おまえさん方は私の農場の上の熱気球の中にいるんだと答えたというわけであります。
 その二人の男は議論をしまして、三つの結論に達した。一つは、その男の言うことは正しい。正しいでしょう、上の気球の中にいる。第二の結論は、しかし、その答えは我々の質問に対して無関係である。関係がない、関連がない。第三の結論は、したがって彼はエコノミストに違いない、こういうことであります。
 ここは政治家の方ばかりでありますが、外国のエコノミストの評論の中には的外れの議論もあるわけでございます。しかし、評論家のおっしゃることをたくさん私も最近は読むようにしておりますが、当たっている面も多々あるわけでありまして、耳を傾けなければならない。特に、海外からのものについては、見当外れのものもありますけれども、中には、日本はぜひ景気回復を当面図るべきである、アジアのエンジンとなって頑張ってもらわないと困る、こういう御意見でございますとか、日本が大不況に突入することによって我々を道連れにしてもらっては困る、こういうような論調もあるわけでございます。
 先輩の御努力のおかげで世界の経済大国になり、アジアの中の本当に経済初めリーダーの地位を占めている我々としては、これらの声に耳を傾けてやっていかなければならないと思うわけでございます。
 先日、山崎政調会長、経企庁長官も御一緒だったようですが、グリーンスパン議長に会われた。そのときの議事録と申しますか、メモを拝見いたしますと、グリーンスパン議長は、「金融システムの安定化に成功することが今回プランが実質的に有効となる鍵である。バブルの発生と崩壊は、担保資産、従って金融機関の資産に甚大な影響を与え、これらの価値の下落は金融機関の仲介機能を損ねている。この問題に迅速に取り組み的確に対応しない限り、成長軌道に戻ることは困難であろう。」こういうふうに述べられたと聞いております。「不良債権が銀行のバランスシートに残っているうちは、邦銀に対する国際的信用に影響がある。従って、邦銀が国際金融界からサポートを得るためには不良債権をバランスシートから取り除くことが必要だ。」というふうなことを述べられたと聞いておるわけであります。
 グリーンスパンさんは実務家でありますが、こういった批判には、もちろん我々も不良債権処理に全力で取り組んでおりますが、耳を傾けていく必要があるかと思います。
 総理が、日本発の世界不況は絶対に起こさないというかたい決意を表明されておりましたが、その御決意は特に重要であるというふうに思う次第でございます。
 エコノミストの議論の中にも間違っているものもございます。
 この財政構造改革法による日本の財政改革は取りやめてしまって、景気対策のみに全力を挙げるべきであるという御議論もあるわけであります。しかし、財政改革は、二十一世紀に向かっての五大改革の重要な一部であって、断固としてなし遂げなければならないものであります。景気対策は、いわばマクロ経済政策であって、絶えず生きた経済について我々は注意を払って適正な軌道に乗せなければならない、そういう政策でありますから、これは両立させなければならないことであります。
 また、中には、こういう法律を制定したのは間違っていた、臨機応変の対策がとれないようになってしまった、閣議決定しておけばよかったんだというような議論も国内の一部にはございますが、これも私は間違っていると思うわけであります。財政構造改革法を制定した根本的な意義は、国権の最高機関である国会において財政再建についての確固たる意思を内外に示したことにあると私は考えております。
 総理の御見解を承れればありがたいと思います。
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橋本龍太郎#15
○橋本内閣総理大臣 財政構造改革法、これは既に御承知のように、主要な経費ごとの量的な縮減目標あるいは各種の制度改革の内容を定めているものでありまして、こうした構造改革のための具体的な方策あるいは枠組みというものが国会の意思として中長期にわたって明示されている、これに大きな意義があることは議員御指摘のとおりであります。
 同時に、政府は、この間、みずからの判断、もちろんその判断の範囲内ということはあるわけですけれども、判断のみによって自由に、法定された方針を勝手に変更する、そういうことは許されなくなる。私は、この点に大きな意義があると思っております。
 そして、二十一世紀に向けて私どもが努力をしていかなければならない、その財政構造を変えていく努力というものは当然必要なことでありますし、財政構造改革法というものを挟んで、挟んでという言い方が適当かどうか、これによりまして行政府と立法府、それぞれの立場から財政構造改革を進めていくということが非常に大事なことだと思っております。
 同時に、議員から御指摘がありましたように、さまざまな情勢に対応して臨機応変の措置をとる、これもまた大切なことでありまして、今回、財政構造改革を進めながらも、その時々の経済状況に応じて緊急避難的に適切な措置をとり得るような、そうした枠組みを整備することを考えました。こうした点についても、ぜひ御理解を賜りたいと考えております。
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杉浦正健#16
○杉浦委員 財構法を二、三年凍結したらどうかという意見が、有力な意見がございます。つまり、平成十年度についてはこの法改正で対応できる、十一年度はどうするんだ、もし景気が期待どおりの安定軌道に戻らなかったらどうするか。ことしじゅうにしっかりした軌道に乗ってほしいとは思うわけでありますが、経済は生き物であります。その場合には、十一年度の予算編成で困るじゃないかというような観点からの御議論だろうと思います。
 私は、今回の法改正は、去年の暮れ以降の急激な経済の下降、ある意味では予期せざると申しますか予想外の下降に対して、財構法の改正を緊急に御提案なさったものと受けとめておるわけでありますが、各年度の予算編成の時期において、その時点における景況を慎重に判断をして、そして必要あれば財構法の改正も同時に検討するということでもいいのではないか、こう思うわけであります。この点について総理の御見解を承りたいと存じます。
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橋本龍太郎#17
○橋本内閣総理大臣 確かに、内外のさまざまな情勢に変化に応じて臨機応変の措置をとる必要がある、そういう場合はこれは当然想定されるわけですけれども、同時に、日本の財政の状況というものを考えましたとき、二十一世紀に向けて皆さんに安心していただけるような福祉社会あるいは健全で活力のある経済というものを実現させていこうとするとき、それに十分対応できる財政構造改革を実現するというのは、私は極めて大事なことだと思っております。
 そうした考え方をお認めいただけますならば、やはり私は財政構造改革法を凍結するというのは適切ではないと思っておりますし、毎年度の予算編成のたびごとに景況判断をして財革法の改正を検討したらどうだ、これはやはり私は、ちょっと慎重に考えるべきことではないだろうか。
 財革法というものがもし必要だと、私は必要だと考えておりますけれども、必要だとして、そして、そのために法律によって政府の予算編成を規律を保つ、そういうことから考えると、やはりその点は慎重に考えるべきだと思っております。
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杉浦正健#18
○杉浦委員 財革法の意義は、国会において政治に携わる我々が、財政改革についての意思を鮮明にしたという点にあると思うわけであります。法律を改正することにはもちろん慎重でなければならないし、その法の趣旨に従った経済運営を求めるものでありますけれども、経済は生き物であります。状況に応じて適宜適切に改正することは、これまたやむを得ないこともあるのではないかという点を申し上げたかったことを申し添えておく次第であります。
 少し、将来に向かった点について二、三言及させていただきます。
 今回の抜本対策は、あくまでも現在の日本経済のあり方に対する一石であります。将来に向かってさらになすべきことは山積をいたしておるわけでございます。
 六大改革、先ほど触れさせていただきましたが、これは、日本の二十一世紀における新しい時代、子供が少なくなる、人口が減っていく、高齢者がふえる、そういう社会に日本の社会の活力を維持する、そのためにぜひともなし遂げなければいけないことであります。先ほどバルーンの例を申し上げさせていただきましたが、日本の将来について、六大改革が形をなした場合の、まだまだ十分その姿形が見えない部分があるわけであります。そういった方向性がやや国民の皆さんにとっては、不透明と申しますか不確実と申しますか、そういうところがあるかと思うわけでございます。言いかえますと、パラダイムの大変換が行われ、自己責任を基本にして、より透明な、そしてグローバルな大競争時代に即していける、そういった活力ある国家や社会の構築を目指しておるわけであります。これからの経済対策、あるいは財構法の運用につきましても、やはりそれに即した方向で取り組まれていくことが望ましいことは言うまでもございません。
 経済の面に即して申しますれば、日本はやはり何といっても内需主導型の経済構造に大転換を遂げるべきでございましょう。今、アジアとか環太平洋の貿易、経済構造を見てみますと、アメリカにこぞって輸出をして黒字を稼ぐ、そして日本以外の国は日本に対する貿易赤字をその黒字で払っておるという、いわば一人勝ちの実情でありますけれども、こういった不均衡はぜひ是正していかなければならないと思うわけであります。
 そのためにいろいろな方策が考えられるわけでありますが、この財政構造改革との関係でいえば、税制の問題が一つ大きな問題としてございます。
 恒久減税につきましては、参議院選後に、選挙の後に本格的に検討するというふうに承っておるわけでありますけれども、私は、この恒久減税論議におきましては、そういった将来を見据えまして、腰を据えて、しっかりした恒久減税に踏み込むべきだと思っておる一人でございます。去る五月十二日の大蔵大臣の所信表明におきましても、国際的な整合性のある税制の確立という御言及もございました。
 例えば、個人の所得税におきましては、最高税率は、先進国中日本は最高であります。法人税の実効税率も非常に高い状態にあるわけでありますが、こういったところを是正をして、国際社会並みに一刻も早くすることが大切だと思う次第であります。それに際しましては、財源があるとかないとかということではなくて、いわゆるレベニュー・ニュートラルでない一思い切った減税に踏み込むべきである。
 財源につきましては、この五大改革の結果、公務員の数も減っていくでありましょうし、諸改革による経済効果もあるわけでありますから、そこのところを見込んで思い切って踏み込むべきであると私は考えておりますけれども、総理の御見解はいかがでございましょうか。
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橋本龍太郎#19
○橋本内閣総理大臣 税制改正というのが非常にこれから大事なテーマであることは、私は議員の御指摘を否定するものではありません。
 その上で、所得税につきましては、二度にわたる抜本的な税制改革の中で、大半のサラリーマンの方々は、生涯、一〇ないし二〇%の税率が適用される。最高税率に今議員触れられましたけれども、最高税率などの問題を除くと、フラット化が進んでおります。同時に一方で、累次にわたる減税の結果として、課税最低限が諸外国に対して高い。ですから、所得課税の負担全体としては先進国中最低の水準です。また、資産性の所得課税あるいは年金課税のあり方、個人所得課税につきましては、さまざまな角度からの議論があるはずです。
 こうしたさまざまな問題について、税制調査会において、公正、透明で、国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指して幅広い議論をしていただきたい、検討していただきたいと願っておりまして、恐らく、そうした方向での議論を進めていただけると思います。
 また、法人課税につきましては、今後三年以内にできるだけ早く総合的な税率を国際水準並みに引き下げたい、そう私自身が意思を明らかにいたしました。十年度改正におきましても、課税ベースの適正化を図りながら、基本税率の引き下げ、これは法人事業税も含めて行ったことは御承知のとおりです。
 今後、税体系全体のあり方も踏まえながら、地方の法人事業税の外形標準課税の問題を検討するなど、法人課税のあり方についても、国際的な水準というものを目指して、真剣な検討を政府税制調査会にもお願いを申し上げておりますし、党税制調査会においても行っていただける、私はそう考えております。
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杉浦正健#20
○杉浦委員 総理並びに政府の方でもぜひ前向きにお取り組み賜りたいと存じます。
 次に、文芸春秋を持ってまいりましたが、先輩の梶山静六議員が文芸春秋六月号に「日本興国論」という論文を発表されております。拝読させていただきましたが、住専の処理以来の政権の中枢におられた痛切な反省を踏まえられまして、現在の日本の抱えている諸問題について、実に痛切な、適切な御指摘をなさっている、卓見であると拝読いたした次第でございます。
 その中で、梶山先生は、日本は将来に向かって、二十一世紀に活力を維持するためには相当の投資も必要であると思うわけでありますが、それについて、バブル以降目的を失った日本人が将来の目標を得ることができるように、技術開発に関する長期的な国家プロジェクトを検討したらどうかということを申しておられます。そして、幾つかのことを挙げておられるわけであります。例えば、無公害車であるとか、あるいは世界的な課題であるエネルギー、環境問題、食糧問題の解決に四、五十兆円を二十年ぐらいで注ぎ込んで世界平和に貢献するとか、いろいろのアイデアを出しておられるわけであります。
 私は、六大改革が成った後の新しい日本、世界に対して我が国はこういう出発をするんだということを天下に示す意味で、現在準備が進められておりまする首都機能の移転、首都の移転を急ぐ、それによって人心を一新するということを積極的に進めたらどうか、こう思っておる一人でございますが、総理の御見解はいかがでございましょうか。
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橋本龍太郎#21
○橋本内閣総理大臣 私は、梶山議員が「日本興国論」の中で提起をされた問題は、首都機能移転とはちょっと異質の種類の話だと思うのです。
 首都機能移転そのものにつきましては、私は、東京一極集中の是正ということがよく言われますけれども、むしろ東京にゆとりのある生活空間を取り戻すという視点でも、また防災、災害対応力の強化という点から見ても、これは本当に大事なことだと考えておりますし、国会等移転審議会におきまして、移転候補地の選定などについての精力的な審議を行っていただいているわけですけれども、私は、むしろ、梶山さんが提起をされた問題というのはこれとはちょっと異質の種類の話だと思うのです。
 そして、たしか昭和四十六年に環境庁が生まれましてから二十年後に、環境庁の諸君が、その環境庁をつくるころをもう一度振り返り、当時の公害問題というものを分析し、これに対しての技術開発、公害防除のための投資というものが日本経済にどう影響したかという分析をいたしました。そして、その中には非常に興味を引かれる部分がありまして、結果としてそれが新技術を生み出す土台をなした、同時に、その時点において公害防止の投資を行っていなかったら後により巨大な投資を必要としたであろうという分析でありました。
 そして、その次の年の環境白書に、では、その問題解決のために、企業がいかなる理由でそれぞれのテーマを選び研究に着手したか、そしてそれが実験室段階から生産ラインに移されるのに、例えば政府のどのような措置がインセンティブとして働いたのか、これを分析した論文が載りました。その中には、まさに太陽光発電でありますとか、さまざまなテーマが拾い上げられておったことを今記憶いたしております。
 私は実は山登り屋ですから、ヒマラヤの遠征などに行きますと、太陽光発電によるエネルギーというものにはどうしても関心を持たざるを得ませんし、遠征のたびに、その能力がどんどん向上し、コンパクト化し、しかしなおかつ非常にまだコスト高のものだということを実は味わってきました。
 そういう意味では、私どもはまさに、新エネルギーの分野でありますとか、あるいは環境技術に関連する分野でありますとか、あるいは今我が国の食料自給率の低下が憂えられている、そうした中においていかなる技術を駆使することが必要なのか。私は、梶山論文で提起をされている種類の問題は実はそういう分野のことではないかと思いますし、そうした意味で、実はこの論文を私は大変関心を持って目を通した次第です。
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杉浦正健#22
○杉浦委員 最後に、先ほどのバルーンの例ではございませんが、海外から、ある意味では力強い励ましのメッセージもあるということを御紹介して、終わりたいと思います。
 有名なレスター・サロー教授、近著で「資本主義の未来」というのを書かれました。その中で、非常に日本については厳しい見方をしておられます。「日本は、これまで成功を収めてきただけに、企業と政府がとってきた方法がもはや通用しないこと、世界の経済環境が大きく変わっていることを認識できたとしても、それに合わせてみずからを変えていくのはきわめて困難だろう。」と、非常に厳しい見方をされながらも、その四百十五ページですが、「貯蓄率が高く、ヨーロッパよりも集団主義の考え方が強い日本は、長期的な社会投資が必要になるこれからの時代に、どの国よりも簡単に適応できるだろう。」ということも申しておられるわけであります。
 橋本総理を先頭にして進めておられます六大改革を進めることによりまして、新しい時代を開いて、いち早く我が国を生き返らせることができることを私は楽観しておる次第であります。
 メッセージを御紹介して、終わらせていただきます。
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中川秀直#23
○中川委員長 これにて甘利君、杉浦君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
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菅直人#24
○菅(直)委員 いよいよサミットに出かけられるわけですが、その直前に大変大きな、しかも憂慮すべきニュースが飛び込んでまいっております。言うまでもなく、インドにおける核実験が、五月の十一日に引き続いて十三日にも行われたというニュースであります。
 これについて、各党それぞれ抗議声明を出し、あるいは政府もいろいろな対応を協議されていることは知っております。二十四年ぶりのインドの核実験。この地域はインド、パキスタンといった長年のいわば対立構造もありますし、我が国からは多少は離れておりますが、しかし、アジアの大きな国であるインドの行動として大変衝撃を受けたところであります。インドは、核拡散防止条約にも加盟していない、あるいは核実験全面禁止条約の署名もいたしていない、そういう中でこういった行動がとられてきているわけであります。
 そこでお尋ねをしたいわけですけれども、我が国はこれに対してどういう対応をとろうとしているのか。
 大使の召還を考えておられるのか。あるいは、ODAが無償、有償合わせて相当の額に上っているわけですが、無償協力あるいは有償協力についても全面的な見直しが必要ではないかと思いますが、この点についてどう考えられるか。さらには、国連でのこの問題に対する取り扱いをどのように考えるか。そして、まさに目の前に迫ったサミットにおいてこの問題が議題になるというふうにも伝えられておりますが、そういう中で、総理としてはどのように取り組まれるつもりか。これらについてお尋ねをしたいと思います。
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橋本龍太郎#25
○橋本内閣総理大臣 十一日の核実験を受けまして、我が国はインド側に対して、小渕外務大臣を初めとする高いレベルから、これに対する遺憾の意を強い意思で申し入れを行ったところでありますが、にもかかわらず十三日、インドが再び核実験を行った、極めてこれは遺憾な事態であります。
 実は、三月三十一日付の、私自身からインド側に対する、首相に対する親書の中でも、核政策に対する最大限の自重を求めておりましたが、結果としては、これに対する返答が参ります前に核実験という事態になりました。昨日、改めて小渕外務大臣から在京インド大使に対して、強く抗議すると同時に、インドの核実験、核兵器開発の即時停止、NPT及びCTBTの締結を強く求めたところでございます。
 同時に、パキスタンに対しましても、外交当局を通じましてこれに対する最大限の自制を求めておることも申し添えたいと思いますが、十三日、私どもは、無償資金協力における新規協力の原則停止、あるいは世銀の対インド支援国会合の東京招致を見合わせるといった内容を措置とする発表を行ったところでありますが、当然ながら、新しい事態に臨んで、さらなる措置をとらなければならないと考えております。
 本日、サミットに出発いたしますまでの間、国会の方でどれだけの時間をそういう問題の作業に与えていただけるか大変微妙でありますけれども、私の出発までの間に、最終的な方針はいずれにしても決しなければなりません。
 同時に、国連におきましては、インドに対して、核実験の即時停止とNPT、CTBTへの参加を求めるメッセージを早急に発出するように、安保理で協議をいたしております。
 また、サミットにおきましても、この問題について十分な議論を行い、G8が結束して、明確であり、かつ強いメッセージを発することができますように、議長国であります英国を初めとする各参加国に働きかけを開始しておりまして、当然ながら、協力し、対応していかなければならない。
 ただ、現時点におきましては、各国これに対して非常に強い姿勢で臨むという方針には恐らく私は食い違いは生じないと思いますけれども、それぞれの国のとろうとする対応には差異がありまして、その辺が恐らく議論として相当の時間を要する部分になろうかと思っております。
 ただ、日本は、少なくとも被爆国としての立場から、今までも強い自制を求めてまいりましたものが、抗議をいたしました直後にまた再度の実験が行われたというような状態を踏まえて対応をしなければならない、そのように考えております。
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菅直人#26
○菅(直)委員 ODAの見直しは、これから最終結論を出されるということですか。
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橋本龍太郎#27
○橋本内閣総理大臣 ODAの問題に限定をされないようにお願いをいたしたいのは、人的な問題その他幾つものオプションをどう組み合わせるかということでありますので、その点についてはしばらくの猶予を与えていただきたいと思います。
 各国、今も申し上げましたように、対応には差異がございます。当然、私は、議員が御指摘になりましたような問題点をも選択肢の中には加えなければならないと考えておりますけれども、同時に、それだけで済むかどうかというぐらいの問題だと思っております。
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菅直人#28
○菅(直)委員 この問題は、CTBT、核実験全面禁止条約の問題や核拡散の防止条約の議論のときから、つまり、これらの条約は、ある意味では現在の核保有国の核の独占はそのまま認めながら新たな核の拡散を防ぐという要素があるわけで、当時からインドは、それに対して必ずしも賛成しないという態度をとってきたわけです。
 そういう点で、安保理の常任理事国、すべて核保有国です。サミットの中でも多くの国が核保有国です。我が国は、そういう中で、核を保有しない、もちろん唯一の被爆国として、最も強く、我が国においても、もちろん核拡散を我が国自身がするつもりはないわけですから、そういうことをしないという立場を前提として、ある意味では、他の安保理の、特に常任理事国やサミットの核保有国以上にきちっとした態度がとれる問題であるわけですから、そういう点で、特に総理には、サミットにおいてそういう姿勢をもって臨んでいただきたい、そのことを念を押して申し上げておきたいと思います。
 さて、それでは本題に入っていきたいと思いますが、その関連として、いよいよバーミンガム・サミットが直前になっておりますけれども、せんだって来日をされたエリツィン・ロシア大統領が、何か報道によりますと、二〇〇〇年に日本で予定されているサミットをロシアでやらせてもらえないか、何といいましょうか、こういう要望があるやに聞いておりますが、そういう事実があるのかどうか、あるいはそれについて総理はどうお考えか、まずお尋ねしたいと思います。
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橋本龍太郎#29
○橋本内閣総理大臣 そうした意向を報道に対して述べられたという報道はございますけれども、今、ただいまの瞬間まで、外交当局を通じての、あるいは正式な要請というものは全く受けておりません。
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