杉浦正健の発言 (緊急経済対策に関する特別委員会)
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○杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。甘利先生の御質問に関連いたしまして、二、三点、総理にお伺いしたいと存じます。
本題に入ります前に、甘利先生がお触れになりませんでしたので、ぜひ触れなければならぬと思うのですが、インドの核実験の問題でございます。
これにつきましては、政府も無償新規停止という措置をとられたということでありますが、重ねて、実験を強行したインドに対しまして、私は、断固たる態度を、総理、政府としておとり賜りたいとお願い申し上げる次第であります。
日本は唯一の被爆国であって、国際社会に対して核兵器の廃絶を主張し得る権利を有しておりますし、また、将来の国際社会に対して崇高な責務を負担していると存じます。毅然とした態度でインドの核実験に臨んでいただきたい、お願いを申し上げておく次第であります。
ただいま甘利先生からいろいろと基本的な点にお触れになりました。現在の景気は下降局面にある、異常かつ非常の状態である、まあ危機と言っていいかと存じます。先輩方の中には、未曾有の国難に我々は直面しているという表現を使われる方もございますが、私は当たっていると思うわけであります。
総理初め閣僚の皆さん方、医者の車という言葉をお聞きになったことがあると思うのですが、今の日本の経済の成り行きを見ておりますと、まさにそうだという感じがいたします。つまり、患者のいる方に、悪い方へ悪い方へ走っていくという感じがいたすわけでございます。
甘利先生もお触れになりましたが、総理もただいまおっしゃいましたけれども、バブル経済崩壊の後始末がしっかりできていない。不良債権がまだ多額に、処理されないで残っております。
それに加えまして、同じ時期に我々は、六大改革、二十一世紀を目指して諸改革を断行する、財政改革並びに経済構造改革、そして金融システム改革に着手したばかりであります。時期が重なりました。それに、金融不祥事から始まりまして、さまざまな金融機関の問題が露呈してまいったところに、昨年秋、アジア危機の突発でございます。金融機関の不祥事は、大蔵、日銀の汚職にまで発展してまいりまして、非常な国民の不信感を助長いたしておるわけであります。
それやこれや重なって、国民の間に非常な不安が広がっておるというのが実情ではないかと思うわけでございます。
総理はたびたび申しておられますけれども、現在の時期は、冷戦の終了に伴います大きな変革期にある、明治維新、終戦後に次ぐ第三の開国の時期だ、変革期だということを総理は再三言及しておられますけれども、そのとおりの大変革期にあると思うわけであります。変革期は、すべて流動的であります。不均衡が常態であります。終戦直後がそうでありました。また、不確実性が支配的であります。先例で物事を判断できない、そういう時代にあるわけであります。そういった大きな歴史の流れ、この時期に集中したもろもろの事象、そういったものが国民の不安を増幅しておると言っていいかと思います。
内外のエコノミストの論評も大変盛んになってまいりました。書店に参りますと、平成の大不況、大恐慌といった言葉が乱舞しておるわけであります。
私は、本来、楽観的な人間でありますが、ここで一つのパロディーを御紹介したいと思います。まあ、エコノミストの言われることは当たっている面もあるし、当たり外れがある面もあるということであります。
この話は、OBサミットを福田先生と一緒にお始めになりました西ドイツの元首相でございますヘルムート・シュミットさんから、昨年夏のOBサミットの際にお伺いした話であります。
二人の男が熱気球に乗りまして出発した。ところが、広い農場、まあ日本にはそんなところはありませんが、アメリカの西部の大平原のようなところに出まして、方向を見失ってしまった。どっちに行っていいかわからない。そこで、下をすっとおりて探したところ、一人の農民が働いておった。近づいていって、その農民に向かって、我々はどこにいるんだと尋ねた。ホェア・アー・ウィーと尋ねた。そうしたら、その農民が上を向いて叫んだ。おまえさん方は私の農場の上の熱気球の中にいるんだと答えたというわけであります。
その二人の男は議論をしまして、三つの結論に達した。一つは、その男の言うことは正しい。正しいでしょう、上の気球の中にいる。第二の結論は、しかし、その答えは我々の質問に対して無関係である。関係がない、関連がない。第三の結論は、したがって彼はエコノミストに違いない、こういうことであります。
ここは政治家の方ばかりでありますが、外国のエコノミストの評論の中には的外れの議論もあるわけでございます。しかし、評論家のおっしゃることをたくさん私も最近は読むようにしておりますが、当たっている面も多々あるわけでありまして、耳を傾けなければならない。特に、海外からのものについては、見当外れのものもありますけれども、中には、日本はぜひ景気回復を当面図るべきである、アジアのエンジンとなって頑張ってもらわないと困る、こういう御意見でございますとか、日本が大不況に突入することによって我々を道連れにしてもらっては困る、こういうような論調もあるわけでございます。
先輩の御努力のおかげで世界の経済大国になり、アジアの中の本当に経済初めリーダーの地位を占めている我々としては、これらの声に耳を傾けてやっていかなければならないと思うわけでございます。
先日、山崎政調会長、経企庁長官も御一緒だったようですが、グリーンスパン議長に会われた。そのときの議事録と申しますか、メモを拝見いたしますと、グリーンスパン議長は、「金融システムの安定化に成功することが今回プランが実質的に有効となる鍵である。バブルの発生と崩壊は、担保資産、従って金融機関の資産に甚大な影響を与え、これらの価値の下落は金融機関の仲介機能を損ねている。この問題に迅速に取り組み的確に対応しない限り、成長軌道に戻ることは困難であろう。」こういうふうに述べられたと聞いております。「不良債権が銀行のバランスシートに残っているうちは、邦銀に対する国際的信用に影響がある。従って、邦銀が国際金融界からサポートを得るためには不良債権をバランスシートから取り除くことが必要だ。」というふうなことを述べられたと聞いておるわけであります。
グリーンスパンさんは実務家でありますが、こういった批判には、もちろん我々も不良債権処理に全力で取り組んでおりますが、耳を傾けていく必要があるかと思います。
総理が、日本発の世界不況は絶対に起こさないというかたい決意を表明されておりましたが、その御決意は特に重要であるというふうに思う次第でございます。
エコノミストの議論の中にも間違っているものもございます。
この財政構造改革法による日本の財政改革は取りやめてしまって、景気対策のみに全力を挙げるべきであるという御議論もあるわけであります。しかし、財政改革は、二十一世紀に向かっての五大改革の重要な一部であって、断固としてなし遂げなければならないものであります。景気対策は、いわばマクロ経済政策であって、絶えず生きた経済について我々は注意を払って適正な軌道に乗せなければならない、そういう政策でありますから、これは両立させなければならないことであります。
また、中には、こういう法律を制定したのは間違っていた、臨機応変の対策がとれないようになってしまった、閣議決定しておけばよかったんだというような議論も国内の一部にはございますが、これも私は間違っていると思うわけであります。財政構造改革法を制定した根本的な意義は、国権の最高機関である国会において財政再建についての確固たる意思を内外に示したことにあると私は考えております。
総理の御見解を承れればありがたいと思います。