伊藤大一の発言 (決算行政監視委員会)
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○伊藤参考人 お答えいたします。
第一の点でありますけれども、おっしゃるとおりでございます。今までの制度の建前が、社会から切り離すという建前になっておりました。特に治安関係の公務員の場合には、腐敗というものは絶対あってはいけないということもございまして、例えば戦前の日本では、ドイツの制度に倣いまして、内務省のお役人が地方に赴任いたしますときに、自分の出身地へは絶対赴任させなかったわけであります。それは、くされ縁のようなものがあってはいけないということでございますけれども、これが戦後変わってきたわけであります。
これから先、現在もそうでありますけれども、経済行政が中心になってまいりますと、嫌でも民間と接触せざるを得なくなってくる。そういうときには、むしろ制度そのものを開いておく。開いた上で、いかにして公正さを保つかということを考えるべきだろう、そちらの方向に向かっていくべきだろうと。制度としては閉鎖系にしておいて、しかし実際上接触するということになりますと、どうしても無理が生ずるということであります。
そこで、対応策でありますけれども、人事院の方で、実際に国と民間企業との間の人事交流をお進めになる、そのときに幾つかの歯どめのようなものを設けておられます。
一つは、役人が民間部門に行きます場合、これは三年間という期限つきでありますけれども、その役所の職務権限が直接関係する業界には派遣しないということです。逆に、民間の方が役所に三年間という期限を限って来られます場合にも、自分の企業もしくは業界に対して直接監督権を持っているような役所には行かないといったようなことを、一項入れておられます。
私は、これだけで十分だとは思いませんけれども、とにかくこれから先、試行錯誤でそういう新しい制度をつくっていかなければいけないわけでありまして、一つの基本的な方法としては、そういったような措置を講ずるということであります。
もう一つは、やはり基本的に情報公開の問題というものが大事だろうと思います。
そういうようなことでありまして、最終的にはアメリカのような形ということをおっしゃいましたけれども、私は、アメリカの公務員制度は初めから開放系としてつくられている、それだけに、開放系に伴いがちな問題を防ぐような措置が講じられていたと思います。アメリカの政府倫理法というのも、そういったような趣旨でつくられてきていると思います。
ですから、日本としては、もちろんアメリカに学ぶべき点はあると思いますけれども、ただ、アメリカまでいってしまうのはちょっと行き過ぎではないか。アメリカのような政治的任命職、これについては、メリットもございますけれども、いろいろなデメリットも指摘されているわけでありますので、私は、何か日本的な行き方とアメリカ的な行き方との、両者のいいところを総合した中間的なものがあるのではないか、今後、そういうものを試行錯誤を重ねながらつくり出していくということが大事ではないかと思っております。
二番目の点であります。
渡り鳥で、お役人をやめたときの退職金はそう大したことはございませんけれども、その後の公社公団で大変な額の退職金が出される。私は、これは本当におかしなことだと思いまして、本当に個人的に憤慨しているのですけれども、ただ、ある経済学者の説明によりますと、これはおくれて支払われる給与の一種であると。お役人というのは、どの民間部門と比較するかという問題もございますけれども、例えばサービス産業、金融産業なんかに比べますと、確かに比較的給与が安い。退職金につきましても、先ほど申しましたように、一回こっきりしか出ないということもございます。その埋め合わせをするのが天下りであり、天下りに伴う退職金だ、そういうような説明をなさる方もいらっしゃいます。
一面の真理はあると思うのですけれども、先ほどおっしゃいましたような渡り鳥に多額の退職金が支払われる、これは行き過ぎだろうと思います。明らかに行き過ぎでありますから、これはぜひやめるべきだろうと思います。
それに関連いたしまして、年金の問題であります。
現在の日本の場合、次官の経験者でありましても、退職されまして年金は大体三百万円ぐらい。私は、やはりこれは少ないと思うのです。戦前の日本の公務員は非常に清廉潔白でありました。清廉潔白であった一つの理由は、戦前は年金と申しませんで恩給と申しましたけれども、十分悠々自適の生活ができるだけの恩給を差し上げていたということであります。イギリス、フランスなどにつきましても、年金の水準は日本よりはるかにいい水準であります。特に第二の就職口を探さなくても、ある程度の生活ができるだけの年金が保障されているということであります。
私は、先ほど増島参考人がおっしゃいましたように、原則として六十五歳まで定年を延長する、その後は年金である程度の生活ができる、そういうふうな基本を整える必要があるだろうと思います。御指摘のとおりであります。