杉浦正健の発言 (大蔵委員会)
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○杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。
今度の大蔵省の事件は、まことにゆゆしい、残念きわまりない事件であります。私は、今自由民主党の財政部会長を拝命いたしまして、微力ながら全力を挙げて取り組ませていただいておるわけでありますが、心の奥底と申しますか心境を申し上げれば、非常に暗たんたる気持ちと、同時に深い憂慮と申しますか、これからどうなるんだろうか、日本の将来はどうなるのかという念でいっぱいであります。恐らく、ここにおられる同僚議員の先生方は、政党を問わずそういうお気持ちでいらっしゃるのではなかろうか、こう思っておるわけであります。
今度の大蔵省で発覚いたしました不祥事は、申し上げるまでもなく、一個人の偏執的なと申しますか、世間にはいろいろあるわけですが、私は弁護士をやっておりますが弁護士会でもおかしなのはおります、そういう個人の起こした事件ではどうやらなさそうであります。まだ捜査は進行しておりまして、今のままで終わるのか、新たに逮捕者が出るのか、不透明ではありますけれども、これは大蔵省組織として、かなり重症と申しますかむしばまれた状態にあるのではなかろうか、それを推測させる事件の成り行きであります。松野さんは信じがたいと言いましたが、それに類する話はいろいろちょくちょくと前から耳に入っておったわけですが、これほどまでにひどいということは私も知らなかったわけでありますし、多くの同僚諸君もそうではなかったでしょうか。
この事態は、大蔵省が果たしているその役割、先日の質疑で官庁の中の官庁という御表現もありましたが、ほかの官庁が役割が低いという意味ではありませんが、少なくとも、国民のお金を預かっておる、国庫を預かっておる、国民から税金を徴収し、それを予算で配分し、国の重要な財産、国民から預かっている郵便貯金等を配分をし、そして国の財産を管理する。家庭でいえば女房のような役割でありますが、そういう重大な役割を担っている役所がおかしい。これは現在の国家運営の根幹を揺るがす大きな問題だと言ってもよろしいわけですし、これから二十一世紀へ向けて日本が進んでいく上で、この大蔵省が信用を失墜したことがどのようなことになるだろうかと思いますと、背筋の寒くなる思いがいたすわけであります。
ここにお見えの三和銀行の佐伯さんは、その大蔵省の相手となった業界の方であります。もちろん贈収賄というのは、受け取る方も悪いわけでありますが、贈る方も悪い。対向犯であります。そのあたりの責任をどの程度お考えになっているのか。今業界としての方向を示されましたが、非常に抽象的な感じがして、これも深憂にたえないわけでございます。
時あたかも、我々は日本版ビッグバンという金融システム改革を遂行しようとしております。これは、日本が二十一世紀でしっかりとした国連を築くために必要な政策であります。しかも、それが昨年末来の金融システム不安の中で遂行されようとしておるわけであります。いわゆる不良債権の処理もまだまだこれからであります。
金融システム不安については、この二月、三月が勝負だと言われておるこのときにこういう事態が起こった。この大蔵委員会でも、重要法案、今国会実質三十数本の法案を御審議賜るわけでありますが、この法案の審議の行方も、あるいは予算の成立の方向も、一転して霧の中になったわけでありまして、現実にこの春をどういうふうに切り抜けるかという点についても、まことに心痛にたえないところであります。
そういったとき、まさにこのような問題が発覚をいたしたわけでありますが、松野さんには先ほど、自分は局長時代に知らなかった、知り得なかったと申しておられましたが、これは相当長い間かかってここまで来たと思われるんですね。少なくとも、私は昭和三十二年に大学を卒業して社会に出たわけでありますが、若い時代十数年、大蔵省の主計官とも接触する時期が仕事の面であったわけでありますけれども、三十年代から四十年代前半ぐらいの大蔵省には一このような接待を受ける気風は全くなかったと言ってもいいんじゃないかと私は思っております。
いつごろからか徐々に徐々に起こっていったと思うわけでありますが、松野さんの先ほどおっしゃられた、簿外債務を知らなかった、知り得なかったということは、あるいは犯罪行為ですからあり得るかもしれないけれども、大蔵省が次第次第にむしばまれていった、特に大切な検査部門で集中的に起こっておるということでありまして、まことに首肯しがたい松野さんの認識であります。そういう傾向について感ずるところはなかったのかどうか、後ほどお答え願いたいと思います。
佐伯さんには、今後の対策が示されましたが、項目としてはそういうことかもしれません。しかし私は、その中身が問題ではないか、こう思うわけであります。
今、金融業界は、世間から貸し渋りで非難をされております。私の選挙区でも、中小業者を初め皆さん、銀行から金を借りるのには非常に苦労しておるわけであります。苦労話を聞きますといろいろございますが、一言で申しますと、銀行が借り主を選別する。ともかく借り手は、貸付係長の言ってみれば草履をとるような感じでお願いをしても貸してもらえない場合もある。
我々は、金融システムは国家の血管であり血液だということで言っておるわけでありますが、銀行業界が、佐伯さんのような立場の方は別かもしれませんが、末端の一行員に至るまで、本当に銀行は社会の公器である、公の役割を果たしているんだという認識があってやっておられるのかどうかという点は、長年にわたって疑問を持ってきたところであります。
これから、法案でお願いしておるわけでありますが、この金融システム改革のために、例えば資本注入をやろうと臨時措置法をお願いいたしておりますが、この法律についても、世間からさまざまな批判があります、銀行を助けるのか、けしからぬと。さまざまな御批判があるわけでありますが、しかし、我々はやろうとしている。これは経済社会を混乱させないためでありますが、果たして、銀行が今の状態のままで、真に経済社会の公の機関だという認識がないままになされた場合に、本当に国民の理解を得て所期の目的を果たせるかどうか甚だ疑問であると感ずる面もあるわけであります。
我々自民党は、あの案をつくるに際しまして条件をつけようということを決めておりますが、法律案では条件にはなっておりません。計画を出していただいて審査委員会が審査するということに相なっておりますが、その条件の中で一番議論にと申しますか、意見が出されたことは、今の金融機関は高給取りが多いじゃないか、一般社会の給与水準に比べて金融機関の給料は高いじゃないか、高い給料を取っている金融機関に国が支援をする、とんでもない話だ、むしろ給料を下げてもらえという議論が、議論といいますか意見が非常に多うございました。世間にも多数ございます。
これはこの法律ができ上がった場合、審査委員会ができてそういう計画といいますか、条件をつけられることになるわけだと思います。我々がやることじゃありませんが、我々は、公的支援を行う場合には、金融機関のリストラを徹底的にやってほしい、給料も具体的に目標を決めてカットしてほしい、そういう希望を強く持っておるところであります。
三和銀行として、公的資金の受け入れをお決めになっておられる、資本注入をお受け入れになっておられるようでありますが、お受け入れになる場合、従業員全体の給与水準を二割なり三割なり将来に向かってカットしていく決意がおありかどうか。それに限らず、銀行が天下の公器として、これから荒波が来る日本の将来社会において、貸し手に対してえり好みせずに、公の立場で機能を果たしていくような銀行に立ち返っていくように強力なリーダーシップを先輩として発揮していただきたいわけでありますが、そういう決意はおありかどうか、お伺いしたいと存じます。