片桐純平の発言 (農林水産委員会)
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○片桐参考人 日本生協連の片桐でございます。日本生協連と申しますのは生協の連合会でございますが、農協に例えますと、中央会と全農が二つくっついているような組織でございまして、私はどちらかといいますと全農系の、商売をやっている方の者ですから、そういう立場からお話をさせていただきます。
私どものところでは、HACCP的な形での品質管理の業務というのは多分、九二年ぐらいからやっているかというふうに思いますが、特に必要性ということでの認識を強くいたしましたのが、たしか九五年ですか、例のホタテの輸出問題がございました。
私どものところでもよくあるのですが、私どものところと提携している我が国のメーカーさんで問題がいろいろ出てまいりますときに、どうも日本のメーカーさんあるいは現場での製品管理の思想といいますか感覚というのは、最終製品のレベルが基準に合致していればいいという、この考え方が非常に根強くあります。ですから、今回新しく取り入れられた例のレトルトの基準がございますけれども、レトルトなんかも、あれは最後にレトルト殺菌を加えるということがあって、ですから、その前の過程というのはかなりの大手メーカーでも、皆さんがたまに工場でもごらんになるとちょっとびっくりするほどずさんなことを結構おやりになっているものです。まあ少々大ざっぱにやっても最後に高温加熱をかけますので、確かに、そうそう直ちに危害が発生するものではないのですけれども、多分、発達した国の中でそういう製造思想が定着している国というのは、ちょっと日本が特殊だろう、欧米に比べて非常に違っているという感じを強く受けておるわけです。
HACCPというのは、御案内のようにあらゆる工程、ですから最後のところで冷凍で締めるだとか、レトルトで殺菌するだとかというようなことではなくて、すべての工程についての危害分析を行い、そこで重要な管理点を明らかにしてそれぞれを監視する方法を決める、あるいは管理基準を定める、こういう考え方なわけです。私ども、大体年間、会員生協に二十億点ぐらいの商品を多分供給しているかというふうに思うのですけれども、これで毎年一万件を超える商品クレームが上がってまいります。ですから五ppm、百万個の商品を供給いたしますと五つクレームが上がってくる、こういうようなレベルにあります、高いか低いかという問題はありますけれども。
そこで、クレームが上がるときに、大きなクレームになりますと当然、工場に入って原因究明をするわけですけれども、原因究明に足るような工程の作業記録が残されているということはまず九〇%ないというふうに考えていいかと思います。ですから、原因究明が非常におくれる。記録があっても使い物にならない、こういうレベルがおおむね我が国の提携メーカーのレベルでございます。
何としてでもこれを変えなければならないということで、先ほど申しましたように、おおむね九二年から始めまして、九五年までは私ども品質管理の専門部局で専らその仕事をやっておったわけですけれども、とてももう状況に追いつかないということで、九六年からは、実際の商品実務にかかわっている、要するに日ごろメーカーさんとおつき合いをしている担当者にすべて、毎年毎年の重点の工場を決めて、このHACCPに基づく計画をつくらせるという仕事をやってまいっております。これで丸二年ですが、現在でほぼ七十から八十件ぐらいのHACCP計画が各提携メーカーさんとの間で、大変メーカーさんにも御協力いただいておるわけですが、でき上がってきておるというようなことであります。
きょうお配りしてございます「日本生協連の商品基準」というのがございますが、これはその中の抜粋なのです。この一番後ろのところにチョコクリーム、シュークリームというのがございますが、これがシュークリーム系のあるメーカーさんとの間で結ばれたHACCP計画です。あるいは、その前のところには冷凍枝豆がございます、冷凍枝豆でこんなことをやる必要があるのかということをおっしゃる方もないわけではないのですが。こんなふうにやってございまして、したがって、当然のことながら、現在進められておりますこの食品衛生法の改正以降の、総合衛生管理製造過程という制度の枠を超えてこれらの作業を進めておるということでございます。
あわせて、これを進めるために、私どもの商品実務を担当している者に対するHACCPの、主に通信教育をやらせまして、現在、六十人ちょっとぐらいがこれを修了して、提携メーカーさんとの間でここにお示ししたようなHACCP計画の作業を進めておるというようなことでございます。
食衛法の改正があって、その中でこのHACCPの管理手法というものが制度的に取り入れられるということについては大変歓迎するところではありますけれども、ただ明らかに、今回の場合は食衛法上の製造基準が決められているものに限っての措置でございますので、多分、あとはもう清涼飲料水ぐらいしかたしか食衛法上製造基準の決められているものはないわけで、これではほとん
ど、HACCPを我が国が少なくとも国内に向けて、国内の消費者に向けてシステムとして立ち上げつつあるというような状況では全くないというふうに思っているわけです。
問題は、より普遍的な形でもって、このHACCPのシステムをどういうふうに我が国の製造段階のあり方として定着させていくか、このことが最大の問題でございましてそういう意味でいいますと、今回の一連の動きについて、もちろん前進しているというふうに私どもは考えておりますけれども、HACCPそのものの動きであるかということについて言いますと、若干物は異なっているという認識が一つございます。ぜひ、より普遍的なシステムとしてこのHACCPのあり方というものを定着させる、そのために先生方に一層の御努力をちょうだいできれば、そんなふうに思っているわけでございます。
もう一つは、現在進められておりますHACCPの問題なのですが、先ほども大変金がかかるという話がございました。率直に申しまして、このガイドラインがきょうのところにも資料としてございますが、七原則と十二手順というのがございます。七原則というのは、これは確かにHACCPそのものだというふうに思いますけれども、十二手順の特にこの製造工程一覧図みたいなものは、これはHACCPと連動するものでございますが、少々過度にガイドラインをつくり過ぎているというふうに思っております。これでは金がかかり過ぎる。
HACCPというのは、要するに品質保証のための、品質確保のための工程管理のシステムですから、それに対して製品の質にかかわる問題までガイドラインに持ち込もうとしているというのが、これは多分食衛法の改正の流れから出ているからという感じはするわけですが。これですと、多分大手さんはともかく、中小のメーカーさんはかなり設備投資をやったりいろいろしないとこれはやれないという要素が出るし、第一、実務的にこれはむちゃくちゃ大変だろうというふうに思います。
ここは、もっと普及させるためには、こんながちがちの品質レベルの管理と工程の管理というものをもっと区分をして、工程管理のレベルでもってシステムの思想が普遍化する処置をとるということをしないと、現在やられているような品種の限りではともかくとして、これは普遍化することはできないというふうに思っております。ぜひ、そういう意味では、このHACCPのシステムをどう我が国全体のものにしていくかということについて御検討を継続的にしていただければと思います。
もう一つは、最大の問題は肉と魚の問題でして、魚については輸出問題があっていろいろ業界での検討も進んでいるようですけれども、国内向けに魚をどうするのだというのがございます。それから、精肉をどうするのだというのがございます。この生鮮の領域が大変難しいというのは私どもも実務に携わりながら思うところでございますけれども、国民の保健衛生という立場からいえば、この領域についてどういうふうに、例えば屠場であるとか魚のプロセスセンターであるとか、こういうところでのHACCPのあり方ということについてぜひ今後御検討を賜る必要があるのではないか、そんなふうに思っているところでございます。
時間が参りましたので、そのあたりで終わります。(拍手)