明石康の発言 (外交・防衛委員会)
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○参考人(明石康君) 今の宮澤先生の二つの御質問でございますけれども、第一のNPT条約第六条が核保有国によってまだはかばかしいそういう核軍縮に向かった具体的な措置にあらわれていない、それをどういうふうに進めたらいいのか、国連を通じて何ができるかということであります。
非常に難しい核兵器解体に伴う問題については、まさに堂ノ脇元大使が言われたとおりでありまして、技術的な問題、資金的な問題、特にロシアの場合は非常に深刻な問題がありますから、これに対する国際的な援助、我が国を含むそういう支援体制が要請されておると思います。そういう支援体制が整っても、なおかつ毎年本当に廃棄、解体できる核兵器の数というものは、我々にとっては非常にもどかしい思いをするくらいでありますけれども、二千個くらいが現在の能力では限度ではないかということが言われておるわけであります。しかしながら、支援体制がもっと強固なものになればスピードアップできるということは言えるんじゃないかと思います。
国連を通じて何ができるかといいますと、核保有国は国連ところかジュネーブにあります軍縮会議がこの核軍縮のプロセスに口を出すというのを嫌っておりまして、核軍縮というのは核保有国同士の間でやるべきであって、マルチの場でこれを審議すべきではない、口出しすべきではないという態度を堅持しておりますので、そのバイの形でやる核交渉というものにいかにして国連ないしは国連以外のマルチの国々が参加できるかというのは一つの大きな課題であろうかと思います。そういう意味で、この印パの核実験が終わった今という時点が、あるいはその一つのきっかけになりはしないかという感じがしますけれども、核保有国の組むがっちりとしたスクラムを崩せるかということになりますと、これは大変に難しいことであろうかとは思います。
第二の点、非核保有国の安全保障、消極的安全保障と申しますと、つまりそれは核保有国が非核保有国に対して核による攻撃をしないという約束であり、積極的な安全保障というのは非核保有国が核による攻撃ないしは脅威を受けた場合に核保有国がこれを守ってやるというふうに単純化して言えるんじゃないかと思います。
核の傘というのは積極的安全保障の一つのあり方でありますけれども、私はアメリカがかざす核の傘を将来においてユニバーサルな核の傘みたいなものに転化できるかどうか。さっき申し上げたとおり、安保理事会を通じるそういう安全保障措置というものは採択されておりますけれども、私が申しましたとおり、これは現在の体制では拒否権に抵触してきますから、一〇〇%安全なそういう保障措置ではございません。
こういったようなものをどういうふうに除去していくかということについても、私は日本発の提言をじっくりと考えた上でしてもいいんではないかと思います。その達成の難しさを考慮に入れつつも、こういったような点について考えるということは決してむだではないと思います。
それに関連して、最近東京を訪れた国連のパキスタン人の幹部職員と話しておりましたときに、ちょうどそれはパキスタンが核実験を行う数時間前でありましたけれども、この幹部職員は実は、パキスタンのシャリフ首相に自分は私信を今書いて出したところだと。
一つは、核実験をするような金があったらこれをパキスタンの民衆の福祉のために使うべきだと。それから、日本と同じようにパキスタンも核の傘のもとに入ってしまえばいいじゃないかという二つの提案をしたと言っておりました。そういう意味での非核保有国の安全保障をどう確保するかというのは、これからもっと国際的に考えてよろしい問題ではないかと思います。