森本敏の発言 (外交・防衛委員会)

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○参考人(森本敏君) 高野先生の御質問につきましては、私は、TMDはパワーバランスのコンテクストで力をもって力で対抗する手段というふうには必ずしも考えておりません。
 TMDというのは、本来ある国に対して地域で脅威を受ける、つまりその国に対して飛来する弾道ミサイル、それが核ミサイルであれ何であれ、弾道ミサイルをミサイルのシステムで迎撃するということによってこれを抑止あるいは排除するシステムで、入ってくる兵器が核兵器であっても通常兵器のシステムによってこれを防御するという純粋の防御手段であります。したがって、周りの国がいかように大きな弾道ミサイルの脅威があっても、これを最も効果的に排除する通常兵器のシステムとして開発されようとしているものであるというふうに考えております。
 したがって、TMDで相手の国を攻撃できるというのはTMDの技術的な可能性から見て極めて可能性が低く、あくまで相手の脅威をこちらが振り払うための純粋防御的な手段であって、力に対して力で対抗する手段というふうには考えておりません。
 そもそもガイドラインというのは日米同盟の抑止機能を強化するものですが、このガイドラインというものは、日本及び日本の周辺におけるいろいろな事態に日米両国がどのように協力をして、日本の国家並びに北東アジアの安定をいかにして維持するかというための基本的な枠組みとして日米両国で協議されたものです。その際、TMDというのは、そのような事態に立ち至った場合、周りの国からミサイルの脅威を受けることを、いわば最も効果的に排除するシステムとして開発されようとしているわけです。
 極端に言いますと、TMDがあるとガイドラインに基づく日米同盟の抑止機能が強化されるということにはなります。しかし、物事を単純化して申し上げますと、TMDがなければガイドラインが成り立たないかというと、そういうものではないというふうに考えます。したがって、ガイドラインというものがあれば、アメリカのいわゆる核の抑止機能というものをむしろ通常兵器のシステムによって強化するというシステムであります。
 このようなシステムというのは、従来日本が不拡散政策といって世界に大量破壊兵器が拡散しないように進めている政策だけで国家の安定が維持できればいいのですが、それができない場合、国家にとって深刻な脅威が生起する場合、これを排除する手段というものを同時に持ちつつ不拡散政策を進めるということがぜひとも肝要である。その意味において私は、従来の不拡散政策というものをむしろカウンタープロリフィレーションというか、こちらで不拡散政策を進めつつ、こちらで実際にあり得べき脅威に対して抑止の機能をきちっと持つという二つの、ダブルトラックのアプローチがむしろ今から必要なのではないかという趣旨で申し上げたつもりでございます。

発言情報

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発言者: 森本敏

speaker_id: 34495

日付: 1998-06-11

院: 参議院

会議名: 外交・防衛委員会