森本敏の発言 (外交・防衛委員会)
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○参考人(森本敏君) 今の堂ノ脇参考人、明石参考人、両参考人の御意見に特別につけ加えることはないのでございますが、私は少しニュアンスが違いまして、NPT条約はそのまま堅持すべきであるし、しかもインド、パキスタンをNPT体制下で核兵器国として認めるわけにはいかないという論理はそれは正しいと思います。それではインドとパキスタンという両国が核兵器を保有したと宣言してしまったこの事態をどのように扱うのかということは、単にNPTから排除するということだけでは問題解決にならないというふうに思うわけです。
そうしたらどういう方法があるのか、私には妙案がありませんが、一度インドでの核の国際会議に入ったことがあります。この国際会議はアメリカのある機関が主催をしたのですが、その国際会議は、かつて核兵器を開発した経験がある国、あるいはその意図を持った国、あるいは極めて高い能力を持った国だけが呼ばれているという不思議な会議で、その会議の場で南アフリカの核兵器開発の最高責任者が、いかようにして国際社会の目をくぐり抜けて核開発に成功したかということをるる説明し、いかなる理由でこれを廃棄したか、廃棄した後NPTに入ったか、それにどれぐらいの金がかかりどれぐらい気を使って核開発をやったかということを説明するのを、アメリカがインドにその実例を見せるという極めて意図的な国際会議に参加したわけです。
この例を見ますと、明石参考人の御指摘のように、核の抑止力というのは本来、持っているか持っていないかよくわからないが持っているに違いないし、とても大きな能力を持っていると思わせることによってむしろ抑止の機能が高まるわけで、どこにどれだけの能力を持っているかということを青天白日のもとに明らかにするということは、いわば核の抑止の理論からいうと一番愚かなやり方なので、国際政治の現実から見るとインドとパキスタンは余りに正直過ぎるのかなとさえ思うわけです。
この両国が持ってしまった核兵器をどのようにしてみずからの意思で廃棄していくのかということを考えた場合に、NPTの核兵器国の中に入れないというだけで問題は解決せず、やっぱり開発したけれども間違っていた、これはみずからの手で廃棄した方が国家の安全保障上にも役に立つし国際社会の中に受け入れられる、国内政治上も有利であると思わせるようにするにはどうすればよいのかということを考えることが一番重要です。いわばインドのメンツが立つように、しかもインドが核兵器を開発したことによってどうも利益がなかったと根底から思わせるような方法がどのようにしてできるのか、これが今からの知恵の出しどころだと思います。
その観点で、広中先生のおっしゃるように核疑惑国というのがありますが、私は核疑惑国というよりむしろ核兵器を持ったかもしれないという国ではない機関、例えばある団体や反政府ゲリラあるいはテロといったものが、宣言もしてくれずに、しかし持っているに違いないと周りに思われるような状態が生起することをどのようにしてこれから国際社会の中で管理していくかこれが非常に大きな問題として今挙がっているのではないかというふうに考えます。
以上でございます。