森本敏の発言 (外交・防衛委員会)

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○参考人(森本敏君) ミサイルの規制というのは、ミサイルという運搬手段である特定のウエポンシステム、これを規制するというのは現実の問題としては大変難しく、いわば冷戦期を通じてこれに成功した例というのは、米ソで交渉が成立しましたINFがその代表的な例であると思います。
 もちろん、現実の問題としては先生御指摘のようにMTCRその他がありますけれども、ミサイルというのは、ミサイルそのものよりもミサイルの弾頭にいかなる兵器が積まれるかということが非常に重要な意味を持っている。したがって、ミサイルだけではなく、弾頭の部分に搭載される可能性のある大量破壊兵器そのものをまず規制するとともに、ミサイルそのものについての規制というのを考えていかないといけないということなわけで、現実の問題としてこの問題を多国間で規制する枠組みというのは大変難しいのだろうと思います。
 しかしながら、地域の安定のためにはミサイルの規制というものがどうしても必要で、アジアについていえば、中国や北朝鮮がまずMTCRに加盟し、しかる後にそのミサイルの規制というものの枠組みがもしでき得るのであれば、そのような枠組みの中にどのようにして招き入れるかということが重要なかぎであると思います。
 もう一つの問題の、実は核の傘というのはどのようにして説明をしたらいいのかということは大変難しいんですが、物事を単純化して言いますと、核の傘というのは結局は核の抑止力なんです。
 核の抑止力というのはどういった条件のもとで成り立つのかということを考えてみますと、核の脅威を受けた場合に、核の脅威を相手に与えたことによって得る利益よりもその脅威を与えたことによって反撃される、つまり第二撃の報復の方がはるかに損害が大きく、結果として核の威嚇もしくは核の先制使用をした方が利益がないという現実の状態をつくること。そのためには相手方に常に第二撃の報復能力、しかも確実に生き残っている報復能力が常に存在するということ、そしてそれが政治的なシステムの中で常に間断なく相手に撃ち込めるというシステムが確立していること。第三に、そのことをお互いに理解していて、こちらから撃ったら必ず相手からそれを上回る報復が来て、撃ち込むことの方がむしろ利点がないと相手に思わせる、この三つが成立しないと実は核の傘というものが成り立たないわけです。
 我が国が日米安全保障体制のもとで米国の核抑止力の核の傘の中にあるということは、米国が、これは大統領と我が国の首相の累次の声明の中に明記されているように、日米安全保障体制のもとで我が国に核の抑止の機能を常に約束しているということによって、もしある国が我が国に核の脅威を与えたり威嚇を与えたりした場合に、確実にアメリカの報復戦力の被害をこうむるという現実の枠組みの中で核の傘が維持されているわけです。裏返して言うと、そのような脅威が理論的にほとんどないという状態になるのであれば、核の傘に頼る必要はないということになります。
 しからば、我が国にいかなる核の脅威があり得るのかというと、もちろん冷戦時代は旧ソ連邦がその最大のものでありましたが、今日ではロシアや中国のみならずその他の核疑惑国の核脅威に対応しなければならないということであり、そのような累次の米国のコミットメントによって核の傘が維持されているということなわけです。
 問題は、その核の傘が維持されているということは、その前提として今申し上げたような機能が常に働いているということが重要なのですが、その核の傘に依存している程度というのは、もし中国やロシア並びにその他の核疑惑国が著しく核軍縮を進め、ほとんど核の脅威がなくなるという状態になれば、核の傘に依存する程度がそれだけ減るということになるわけです。したがって、その意味において核の傘と核軍縮というのは関連しているということなんです。裏返して言うと、核軍縮が極めて進み核の脅威がなくなったら、核の傘に頼る必要はないという理屈になるわけですから、そこには何らの論理矛盾はないということになるんだろうと思います。

発言情報

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発言者: 森本敏

speaker_id: 34495

日付: 1998-06-11

院: 参議院

会議名: 外交・防衛委員会