中川良一の発言 (行政監視委員会)
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○政府委員(中川良一君) 服務に関する総合調整につきまして、お手元の「服務管理の総合調整について」という表題の資料に沿いまして御説明申し上げます。
まず、一ページ目でございますが、「国家公務員の服務管理の総合調整について」という資料がございます。そこにございますとおり、国家公務員の服務は、当該公務員の所属する行政機関の長が統督することとされておりますが、内閣総理大臣は、国家公務員の服務に関する事務をつかさどるとともに、各行政機関の長が行う人事管理の総合調整に関する事務を担当することとされております。したがいまして、国家公務員の服務に関する総合調整につきましては内閣総理大臣がその責めを有するわけでございますが、その事務は総務庁が分担管理することとされております。
次に、国家公務員の服務とは何かについて御説明申し上げます。
資料の二ページでございますが、服務とは、国家公務員が国民全体の奉仕者であることにより国家公務員法に基づき課される特別な義務であります。服務の体系については資料に記してありますとおりでございますが、それぞれの趣旨について簡単に御説明申し上げます。
まず、服務の根本基準でございますが、国家公務員は国民全体の奉仕者であるという特殊な身分を有することから、公共の利益のために勤務し、かつ職務の遂行に専念しなければならないとされているものであります。この服務の根本基準に基づき、具体的には以下の服務義務が課されております。
第一に、服務の宣誓でありますが、国家公務員は国民全体の奉仕者として服務義務を課されることから、新たに公務員になるときには国家公務員としての義務に服するということを自覚、確認させるために宣誓を行わせることとしております。
第二に、法令及び上司の命令に従う義務でありますが、法治主義の原則に基づき、行政が法令に基づいて行われることが必要であります。したがいまして、国家公務員に対し法令に従って事務の執行を行うべきことを義務づけておるものでございます。また、法治主義を実現するためには法令を具現化する職務上の命令に従うことが必要であり、行政機能が円滑かつ統一的に発揮されるためにも、指揮命令系統を明確にし、一体となって行政機能を発揮する必要があります。このため、上司の命令に従う義務を課しているところであります。
第三に、争議行為の禁止でありますが、公務員は公共の利益のために勤務するものであることから、公務の円滑な運営を確保し、その職責を果たすことが重要であり、公務員が争議行為に参加することは、その地位の特殊性、職務の公共性と相入れないばかりでなく、国の業務の停滞を招き、公共の利益に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、公務員の争議行為は禁止されており、その意味で労働基本権が制限されております。
第四に、信用失墜行為の禁止でありますが、公務員は国民の信託を受けて公務の遂行に当たるものでありまして、公務員が不祥事を起こすなど非行に及ぶときは職務に対する信頼を損ね、ひいては公務全体の信用を失い、公務の円滑な執行に支障を生ずるおそれもあります。このため、公務員は、その官職の信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるような行為をしてはならないということになっております。
第五に、秘密を守る義務でありますが、外交、防衛に関する情報のように、内容をすべて公にすることにより公益を損なうこととなる場合が少なくなく、また決定前の段階で内容が外部に漏れることで円滑な行政の運営に支障を生じる場合も多くございます。さらに、職務の執行に際して接した個人情報を漏らすことで個人の利益を損なうこともあります。したがって、職員が職務上知り得た秘密についてはこれを漏らしてはならないこととされております。
第六に、職務に専念する義務でありますが、職員は職務の遂行により国民の奉仕者としての使命を全うし得るものである以上、所定の勤務時間は全力を挙げて職務遂行に専念すべきであることを明らかにしたものであります。
第七に、政治的行為の制限でありますが、公務員は国民全体の奉仕者であり、一部の奉仕者ではないことから、一党一派の利益のために奉仕することは許されず、常に政治的に中立の立場を堅持しなければならず、また職員の地位は政治の動向に関係なく常に安定したものでなければなりません。したがって、公務員の政治活動には一定の制限が課されているものであります。
最後に、私企業からの隔離と兼業規制でありますが、職員が特定の営利企業と特別の利害関係を持ったり、また報酬を得て職務以外の事業に従事したりしますと、本来の職務の遂行がおろそかになること、兼業することとなる企業等との間に利害関係が生じて職務の公正な執行が阻害されること、職員が関係する企業等の職務そのものが職務に対する信頼を損ねる場合があることから、これに制限を加えているところであります。兼業規制については内閣総理大臣の許可を要することとしているところであり、実際の事務は総務庁において行っておりますが、おおむね課長級以下の職員に関する許可権限はさらに各省各庁の長に委任されているところであります。
また、いわゆる天下り問題として議論されております営利企業への就職につきましては、職員が在職期間中にその地位、権限を利用し特定の企業と私的な情実関係を結び、これを利用してその企業に就職しようとすることになりますと、職務の公正な執行をゆがめるおそれがあることから、在職中に関係のあった営利企業への再就職を制限しているものであります。
以上、服務義務の趣旨について御説明申し上げましたが、これまで総務庁は、服務に関する総合調整を行う立場から、過去の不祥事の発生に伴い、綱紀の粛正を図るための政府挙げての取り組みに関し各省庁に対するさまざまな通知等を行い、あるいは各省庁間の申し合わせの取りまとめ等を行ってまいりました。
このうち、いわゆるリクルート事件以降に総務庁が行ってきたこれらの取り組みについて取りまとめましたのが資料の三ページ以下の綱紀の粛正に関する政府の近時の取り組みでございます。
まず、リクルート事件に際しましては、事務次官経験者の逮捕という深刻な事態にかんがみ、官庁綱紀の粛正、とりわけ管理監督の立場にある者の服務規律の確保等について閣議決定がなされ、その趣旨が内閣官房長官より各省庁に対し通知されたところでありますが、総務庁としても、官庁綱紀の永続的な保持を図るために、各省庁に綱紀点検調査委員会を設置し、定期的に綱紀の保持について点検調査を行う体制を整備するとともに、その点検調査の結果を総務庁が取りまとめ、事務次官等会議に報告することを主な内容とする「官庁綱紀の点検調査について」の事務次官等会議申し合わせを取りまとめました。
続いて、2は、いわゆる官官接待についてでありますが、これについては、閣僚懇談会においで内閣官房長官及び総務庁長官より国民の疑惑や不信を招くことのないように各省庁に要請を行ったところであり、また次の四ページ目の4に記載してございますが、平成八年八月にもさきの閣僚懇談会における発言の趣旨の徹底方について重ねて依頼をいたしたところであります。
続いて、三ページ目に戻っていただきまして、大蔵省幹部職員のいわゆる不正蓄財疑惑に関連いたしまして、公務員の株取引のあり方が問題になったことから、平成七年九月に「国家公務員の株式の取引について」を事務次官等会議において申し合わせ、いわゆるインサイダー取引といった違法な取引についての規制の内容や、株式の取引に当たっては国民の疑惑や不信を招くことのないよう職員に対し周知徹底を図ることとしたところであります。
次に、四ページの5にありますとおり、平成八年十二月、厚生省の幹部職員が逮捕されるなどの一連の不祥事が発生したことにかんがみ、「行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための新たな取組について」の事務次官等会議申し合わせが行われ、総務庁としてその取りまとめに当たりました。この申し合わせは、各省庁が訓令により公務員倫理規程を制定し、職員の綱紀粛正に取り組むこととするものでありまして、これに基づき各省庁ほぼ一斉に公務員倫理規程を制定し、職員の綱紀の保持に取り組んできたところでございます。
このように、不祥事に際しまして綱紀の引き締めを行ってきたのみならず、四ページの下の方の「注」に記載してございますが、例えば衆議院総選挙、参議院通常選挙、統一地方選挙に際しては政治的行為の制限や公職選挙法上の地位利用の禁止の趣旨等の周知徹底を図っているところであり、また年末年始においては特に綱紀の厳正な保持に努めるよう努力を要請してきたところでございます。
五ページから八ページまでは先ほど申し上げました平成八年十二月の事務次官等会議申し合わせの中身でございます。
それから、九ページ以降をごらんいただきますと、人事管理の総合調整の一環として、総務庁において毎年度人事管理運営方針を定めまして各省庁の行う人事管理の統一的方針を示しているところでありまして、その中で綱紀の保持に関し各省庁がよるべき指針を示しておりますが、資料にはその関係部分を抄録してございます。
以上が総務庁の行っております服務管理の総合調整の概要でございます。