安岡正泰の発言 (国民福祉委員会)

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○参考人(安岡正泰君) ただいま御紹介いただきました健康保険組合連合会とそれから日本通運健康保険組合の安岡でございます。
 先生方には大変日ごろ御指導を賜っておりまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。また、本日、国民健康保険法等の一部改正につきまして、参議院のこの国民福祉委員会におきまして意見陳述の機会を与えていただきましたことをありがたく思っております。
 最初に、健保組合の現状について御説明を申し上げたいと思います。
 昨年九月に施行されました健保法の一部改正によりまして、保険財政に多少の改善が見られたことについては感謝をしておる次第でございます。しかしながら、長引く経済不況のもとで企業の活力は非常に沈滞をしておりまして、被保険者数の伸びや保険料収入の伸びの鈍化が見られております。一方、収入の伸びを上回る医療費、とりわけ私ども被用者保険が拠出しております老人医療費の増嵩によりまして、健保組合の多くは依然として厳しい状況であります。平成七年度の健保連傘下は千八百十五の組合がございますが、約七割を超える千二百九十三組合が経常収支で赤字になっております。
 お手元に資料としてお配りしてございますが、その中の三枚目に健康保険組合財政収支というのが平成三年度以降、時系列的に示してございます。
 まず、収入の保険料収入を見てみますと、平成三年度を一〇〇といたしますと、平成七年度で一一一、八年度で一一四という収入の推移になっております。一方、支出で見ますと、法定給付費で平成三年度の一〇〇に対して七年度で一一〇、八年度で一二三という上がり方、特に老人保健拠出金につきましては、平成七年度で一三一、八年度で一四一というような形で大幅な増嵩になってきているわけでございます。
 これに関連をいたしまして、私どもの日通健保ではどうなっているかということを二枚目に資料としてつけてございます。
 私どもの事業主であります日本通運というのはいわゆる物流企業でございまして、各産業がほとんどお客様という形で、産業の動向がよく読み取れる企業でございますけれども、非常に今物流動向も厳しい状況になってきている。そういうのを受けまして、日通健保におきましても、保険料収入については、この場合には平成五年度からにしてございますが、日通健保の場合には平成五年度に初めて七千六百万の経常収支が赤字になったわけでございます。
 それを一〇〇といたしますと、保険料収入は七年度で九九・五九、八年度で九九・五二というような形で下がりながら横ばい状況という形であります。それに対して保険給付費は、平成七年度で一〇〇・九七、八年度で一〇二・一四。特に老健拠出金につきましては、七年度で一二〇・四二、八年度で一二二・六九というような形で大きなウエートで上昇をしてきている。それで、保険給付費と三拠出金を合わせますと、平成八年度で六三・二と三三・五でありますので九六・七になるわけであります。
 そういたしますと、健保組合としてのもう一つの大きな柱であります疾病予防、保健活動、福祉活動というものが全くできないというのが現状であるわけでありまして、老健拠出金の増嵩が非常に大きな形で経営を圧迫しているということでございます。十年度予算編成をいたしましたが、もうこれで別途積立金もほとんどつぎ込んでしまったという形で、十一年度の予算編成は非常に厳しい状況になってきているということでございます。
 以上の現状の上に立って意見を申し上げたいと思いますが、今回の国保法等の改正につきましては、昨年暮れに日経連、連合とともに共同声明を発表したところでありますが、四月十七日も国会内で小泉厚相と会見いたしまして、別添の資料で緊急要請という形でつけてございますが、再度意思表示を行ってきたところであります。その立場、考え方は現在も変わっておりません。すなわち、国庫負担を削減するために被用者保険への拠出金負担のつけかえには絶対に反対であります。
 改正の内容は、退職者に係る老健拠出金を被用者保険に負担させるものでありますが、現行の老人医療費の負担方法は、生まれたばかりの赤ちゃんも成人並みに負担の対象とされていること、また老人自身が払っている保険料は老健拠出金に全く反映されていないことなど、いろいろな矛盾点や問題点を含んでおります。これらの問題は、審議会等で私どもが再三指摘し、制度の改正を主張し続け、その結果平成九年度中に全体的な見直しをすることが三年前の老健法の改正で決まっていたものであります。
 その約束に反しまして、先ほど連合の桝本局長からもお話がございましたけれども、審議会で議論らしい議論もされないままに国庫削減に役立つ部分だけをつまみ食いするという大変御都合主義の改正を行うことについて、内容の決定過程も含めまして全く納得できないところであります。さらに、平成十二年度には医療制度の抜本改革が予定されておりますが、今回の国庫の削減を優先させた小手先の改正を行うことによって抜本改革の支障となることを懸念しております。
 なぜ、今回の措置を含め、老人加入率上限の引き上げ等の小手先の改革しかされてこなかったのか。それは、増大する老人医療費問題に対する改革をしてこなかったからなのではないかと思います。問題の本質は、この増大する老人医療費をどうするかであります。既に診療報酬には一部定額制は導入されておりますが、現行出来高払いを全面的に定額払いにすべきだと思います。また、老人に出される薬の異常な多さも問題でありまして、諸外国と比べても薬の医療費に占める比重が高いのは周知の事実であります。現行の薬価基準制度から生じる薬価差が問題であります。薬価差を解消するため、現行制度を廃止して新たに参照価格制度を導入すべきであります。
 四月十七日の三団体の緊急要請でも、平成十二年度の抜本改革の第一段階となる診療報酬制度、薬価基準制度に関する改正法案を今国会に提出するよう要請したところでありますが、仄聞するところ、一部関係者の反発が強くて意見の集約ができず、今国会への法案提出を断念したということで、まことに残念であります。
 我々は、老人医療費の負担を回避しようとするのではございません。公平で将来も負担可能な制度が実現されることを基本目標としております。そのためには、現行老人保健制度を廃止して、新たな高齢者医療保険制度を構築すべきであると考えております。世代間の公平の観点から、若年世代との均衡を図った保険料や一部負担をしてもらうべきだと考えております。今後の超高齢社会を考えると、制度を早急かつ抜本的に改正しないと我が国の医療及び保険制度全体が早晩崩壊してしまうのではないかと懸念しております。
 最後に、小泉厚生大臣は、財政構造改革法に基づく社会保障関係のキャップ制の撤廃を強く主張されました。平成十一年度はキャップ制が外される方向になりました。このように今回の改正法案の根底にある社会保障予算のキャップが外されることから、前提条件が大きく変わってきているわけでございます。そのような情勢の変化も踏まえていただきまして、企業と勤労者に負担増をもたらそうとしている国保法等の改正について、ぜひ再考されるようお願いいたします。
 以上で陳述を終わります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 安岡正泰

speaker_id: 26170

日付: 1998-05-19

院: 参議院

会議名: 国民福祉委員会