森嶌昭夫の発言 (国土・環境委員会)

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○参考人(森嶌昭夫君) 私は、本日は中央環境審議会企画政策部会の部会長という立場で意見を陳述させていただきます。
 なお、このような意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 中央環境審議会では、環境基本法に基づきます環境基本計画というのがございまして、環境基本計画の進捗状況につきまして毎年点検作業を行っております。一昨年から昨年にかけましては、京都会議が開催されるということを受けまして、環境基本計画の対象としている諸施策のうち、特に温暖化防止対策につきまして重点項目の一つとして検討をいたしました。
 昨年の六月にその結果を出してございますけれども、その際検討をいたしましたところ、政府におかれましては、関係閣僚会議の決定としまして、地球温暖化防止行動計画という温暖化防止のための諸施策を平成二年に決定しておられるところでありますけれども、これは非常に総合的なものではございますが、既存の施策をより地球温暖化の防止に役立つという観点から運用していくというものでございまして、多くの施策が並べられておりますけれども、それらはもともと温暖化防止ということを目的とした施策ではないものも多いわけであります。さらに、国の行動計画ということでございますので、国の施策についてのみ計画が立てられておりまして、地方公共団体であるとかあるいはその他の事業者、国民等の主体についての直接の働きかけということはございません。
 この地球温暖化防止行動計画が存在しているにもかかわらず、実際には、行動計画が策定されました平成二年から平成七年の五年間に、先生方御案内のように我が国のCO2の総排出量は九%も増加をしております。とりわけ民生、運輸の分野では二八%の増になっております。その点で、全く効果はなかったというふうに評価するわけにはいきませんけれども、先ほど申し上げたような制約から、諸施策が行われているにもかかわらず、それらの間に有機的な関係、体系的な整合性がないということもございまして、ある程度の効果は見られるものの、当初予定されていたような一九九〇年レベルで安定化させる、そういう目的は達せられていないということに我々の評価、我々と申しますか、中央環境審議会の点検結果は出ました。
 そこで、点検をいたしました直後から昨年の八月以降、京都会議を迎えるということで、そもそも温暖化防止がなぜ必要であるのか、また我が国ではどのような温暖化防止のための取り組みがなされているか、これは民間も含めてでありますけれども、それからさらに温暖化防止に取り組むための技術的な対策等の見通し等につきまして、いわば事実を整理するということでございましたけれども、中環審での企画政策部会で検討をいたしまして、そして京都会議を迎え、京都会議の決定によって、それに対応できるような施策を中環審としても考えたいということでございました。
 さらに、これも御案内のとおりに、京都会議におきましては、我が国が二〇〇八年から二〇一二年の間に九〇年レベルの六%削減という義務を負うことになったわけであります。そこで、環境庁長官が「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」という諮問をなさいまして、これを受けまして、京都会議の結果を受けて具体的にどのような施策が可能かということで検討を開始いたしまして、かなり集中的な審議をした結果、本年の三月六日に中間答申を出したところでございます。
 そこでのこの中間答申の考え方でございますけれども、先ほど申しました政府の諸施策のあり方から見まして、やはり温暖化防止という目的を正面から掲げて、そして総合的、有機的な施策体系をつくる必要があるということを考えたわけでございます。
 具体的には、温暖化と申しますのは、これはすべての主体がかかわっております。国も地方公共団体も事業者も国民も、すべての主体がその活動によって温暖化にかかわっているわけでありますので、そこで温暖化防止の上での各主体の責務を明らかにする、各主体が温室効果ガスを削減するという責務を負っているんだということを法律上明らかにするということがまず第一点。
 それから第二点には、基本方針を策定しまして、それぞれの主体がどのような役割をなすべきかについて、枠組み条約というのがございますけれども、いわば枠組み的な法律をつくるということを考えました。
 なお、基本方針の内容につきましては、法律に項目は書いてございますけれども、これらは直接環境庁所管の法律のみならず、また直接に温暖化防止を目的とした法律ないしは施策でないものについても、それらは温暖化防止に向けての配意をするというようなことも含めまして、基本方針をいわば全体的に中長期的な観点から施策の整合性を図るということであります。
 それから三番目には、すべての主体にかかわっております。その意味では、直接にこの法律は権利義務を規定するものではありませんけれども、間接的に国民の生活にもかかわってまいりますので、それらすべての主体がどのような活動をするかということにつきまして国会の場で十分に御審議をいただいて、そして透明性のある法律とするということが必要であります。そして、法律に基づいて基本方針をつくる、そしてその基本方針は公表されるという形で透明性を確保していきたい。その一つの最も中核となるのは、これを法律に規定するということでございます。諸計画のように、事実上いわば行政的な決定、行政的な施策ということにとどまらないということが第三点であります。
 さらに、本来ならば、京都会議ですべての事項が最終的に決定されているのでしたら、この提案をしております温暖化防止推進法案にもすべての事項をいわば確定的な形で提示ができるわけでございますけれども、一つには、国内的にもさまざまな施策が新たに展開される。その意味では、既にいろいろな効果のわかるものが施策のすべてではないということのほかに、最も重要なことは、御案内のように、いわゆる柔軟メカニズムと言っておりますけれども、排出量の取引であるとかCDMとか共同実施というようなものは議定書には書かれましたけれども、中身はまだ決まっておりません。吸収源の扱いについてもこれからということでございます。
 その意味で、国際的な取り決めがまだできていない段階で日本が温暖化防止対策をとるにしても、国際的な合意と申しましょうか、交渉によっては変わってくるところはあるかもしれません。それにもかかわらず、少なくとも私は外国との関係がどうあろうとも国内施策はきちっと進めていくべきだというふうに考えております。
 その意味で、温暖化防止を全体として取り扱う法律としてはまだ固まらないところがあるので、ともかく現時点でつくれるものと申しますか、現時点で法律にできるところからしていく。そして、現時点でできている法律の内容ももちろんですが、現時点では法律に盛り込むことのできない事項については逐次実際の事態が展開するに従ってつけ加える、あるいは国内的なものについては改正をするということで、一刻も猶予ができない、すぐさま温暖化防止の対策に取りかかるべきであるという観点から、法律としてはやや不十分であっても、ともかく将来のためのフレームワークをつくってここで基本方針を検討し、さらには各施策をそれぞれ進めるということが大事ではなかろうか、そういう観点で中環審は答申を出したわけであります。
 なお、私どもの中間答申を出す前後に省エネ法の改正などがなされておりますし、それからまた、政府におかれましては温暖化防止対策推進本部を組織され、温暖化防止対策推進大網というものが六月に発表されております。そこでも既に取り組みが始まっているところでありまして、私は、中環審の部会長としてこれらの取り組みを高く評価しておりますけれども、それにもかかわらず、やはり基本的な枠組み、しかも特に省エネ法の場合にはその対象がある程度限定をされておりまして、ダイレクトに民生あるいは事業所等を対象にしておらないのみならず、中小企業についても必ずしも対象になっていないということ、それからまた、温暖化の中でも直接に対象となっているのは、化石燃料の燃焼ということを中心に考えておりますので、省エネ法は十分に有効に働き得る法律だとは思いますけれども、幾つかのところでまだカバーされていない点もございます。
 それから、温暖化防止対策推進大綱につきましては、これは政府の決定でございますから、やはり国会によって基礎づけられる必要があるのではないかという点から、私は、温暖化防止対策推進法をぜひ参議院においても御審議いただき、これを通していただきたい。中原審としては、ぜひ一刻も早く体系的、総合的に取り組む仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 森嶌昭夫

speaker_id: 32628

日付: 1998-09-22

院: 参議院

会議名: 国土・環境委員会